ハンナ - 架空アニメキャラ用語辞典

ハンナは、ニンテンドーDS用ゲームソフト『牧場物語 風のグランドバザール』に登場する、結婚候補の一人。
世界一の商人を目指して旅をする、元気で負けず嫌いな女の子。そよ風の町のバザールの噂を聞きつけ、カラフルな馬車のお店と共にやってくる。主人公にとっては、商売敵であり、かけがえのない友人、そして生涯のパートナー候補となる存在である。

概要
主人公の牧場経営が軌道に乗り、バザールが活気づいてきた頃に、そよ風の町を訪れるようになる移動販売の商人。年齢は主人公と同年代。
自家製のジャムやパン、漬物といった加工品を専門に扱っており、その品質の高さと商売にかける情熱は本物。明るく竹を割ったような性格で、誰に対しても物怖じしない。主人公の実力を認めた上で、真正面からライバル宣言をしてくる、本作における「好敵手」キャラクターである。

人物・来歴
商人の家系
ハンナは、特定の町に定住せず、代々、活気のある市場（バザール）を渡り歩いて商売を営んできた、由緒正しい商人の一族の生まれである。彼女の一族のモットーは「品質と根性！」。最高の品物を、最高のおもてなしで売るという教えを、幼い頃から叩き込まれてきた。

伝説の商人だった祖父
彼女の商売の師匠は、かつて「伝説の商人」とまで呼ばれた祖父であった。ハンナは、幼い頃から祖父の馬車に乗って各地を旅し、素材の目利きから、商品の加工技術、そして客の心をつかむ話術まで、商売の全てを祖父から学んだ。彼女の負けず嫌いな性格と、仕事に対する強いプライドは、この祖父の影響を強く受けている。
数年前にその祖父が亡くなり、形見として愛用の馬車「ローリング・パントリー号」を受け継いだ彼女は、祖父の名に恥じない、いや、祖父を超える商人になることを決意。一人前の商人として自分を試すため、独り立ちの旅に出る。

そよ風の町を訪れた理由
彼女がそよ風の町を目指した理由は、商人たちの間で交わされる一つの噂にあった。「かつては大陸一と謳われたが、今では寂れてしまった『そよ風の町のバザール』が、一人の若い牧場主の力で、かつての活気を取り戻しつつある」。
自分の力を試すのに、これ以上の舞台はない。ハンナは、その若い牧場主（主人公）に挑戦し、自らの手でこのバザールNo.1の商人になるため、大きな希望を胸に、そよ風の町へと馬車を走らせたのである。

ゲーム内での役割
登場とライバル宣言
ハンナがそよ風の町に登場するのは、バザールの規模がランク3以上に成長した後のことである。初めてのバザールの日、彼女は主人公の店にやってきて、商品を吟味した後、高らかにライバル宣言を行う。このイベント以降、彼女は毎週バザールに自らの店を出店するようになり、主人公と売上を競い合うことになる。

ハンナの店「ローリング・パントリー」
彼女がバザールで開く店は、自家製の加工品が専門。季節の果物を使った色とりどりのジャム、焼きたてのパン、保存食のピクルスなど、その品揃えは主人公の店の強力なライバルとなる。
彼女の店の商品は品質が高く、価格設定も絶妙。プレイヤーは、ハンナの店の売れ行きや品揃えを参考にしながら、自らの店の戦略を練る必要がある。バザールの終了後には、彼女が「今日はあたしの勝ちだね！」「くっそー、今日は負けた…！」など、勝敗によって異なるセリフを言うため、競争のモチベーションを高く維持することができる。

結婚候補として
ハンナは、男女どちらの主人公でも結婚することができる結婚候補の一人である。
彼女の好物は、「高品質な果物（特にイチゴやブルーベリー）」「小麦粉」「バター」といった、彼女が作る商品の材料となるものや、「ハーブサラダ」「いちごパイ」といった料理。逆に、料理に失敗した「ザンネン料理」や、どうでもいい「クズ鉱石」などをプレゼントすると、機嫌を損ねてしまう。
彼女との恋愛イベントは、商売上のライバルという関係性から、徐々にお互いを認め、支え合うパートナーへと変化していく過程が描かれる。新商品の開発に失敗して落ち込む彼女を励ましたり、幻のハーブを一緒に探しに行ったりと、二人の絆が深まることで、彼女もまた商人として、一人の女性として成長していく。

他の住民との関係
主人公
ハンナにとって、最も意識する相手。当初は打倒すべき商売敵としてしか見ていないが、主人公がひたむきに努力する姿や、時に見せる優しさに触れるうちに、ライバル意識は尊敬と友情、そして愛情へと変わっていく。彼女の存在は、プレイヤーにとって牧場経営の大きな目標となる。

フェリックス
バザールの復興に情熱を注ぐ町長のフェリックスとは、良い協力関係にある。「どうすればもっと客を呼べるか」「バザールの名物は何か」といったテーマで、熱心に意見を交換している姿が見られる。ハンナの持つ外からの視点は、町の発展に大きく貢献する。

イサク
町の雑貨屋の主人であるイサクとは、商人同士として、互いに切磋琢磨する仲。商品の仕入れルートについて情報交換をしたり、「安売りは店の価値を下げる」「いや、客足を伸ばすには必要だ」といった商売哲学について、熱い議論を交わしたりしている。

性格・思想
「競争こそが最高の品質を生む」
彼女の基本的な思想は、健全な競争こそが、個人と市場全体を成長させるというものである。彼女が主人公にライバルとして突っかかっていくのも、決して意地悪からではなく、「あんたというライバルがいるから、あたしももっと頑張れる！」という、彼女なりの敬意の表れである。
彼女は、馴れ合いや、楽をして儲けることを嫌い、常に正々堂々と、商品の品質と自身の才覚で勝負することを信条としている。

仕事への誇りと、その裏の不器用さ
ハンナは、自らが作る商品に絶対的な誇りを持っている。それは、尊敬する祖父から受け継いだ、大切な宝物だからである。そのため、自分の商品をけなされたり、努力を馬鹿にされたりすると、普段の明るさが嘘のように激しく怒る。
その一方で、商売一筋で生きてきたため、恋愛などには少し不器用で、素直になれない一面も持つ。主人公に好意を抱いてからも、つい売り言葉に買い言葉で、憎まれ口を叩いてしまう姿は、彼女の可愛らしい一面である。

物語への影響
バザールの活性化とゲーム性の向上
ハンナというライバルの存在は、『風のグランドバザール』の最も重要な要素である「バザールでの商売」というゲームプレイに、明確な目標と競争の楽しさを与えた。ただ漠然とお金を稼ぐのではなく、「ハンナに勝つ」という具体的な目的が生まれることで、プレイヤーはより深く牧場経営に没頭することができる。彼女は、本作のゲーム性を飛躍的に向上させた、影の功労者と言えるだろう。

町の精神を体現する存在
彼女は、そよ風の町のバザールが持つ「活気」「競争」「人との繋がり」といった精神を、一身に体現したようなキャラクターである。よそ者だった彼女が、主人公との競争を通じて町に溶け込み、やがて町の発展に不可欠な人気者となっていく物語は、この町の持つ温かさと、努力する者が報われるという『牧場物語』シリーズの普遍的なテーマを象徴している。
彼女の元気な声が響くバザールは、プレイヤーにとっても、いつしか故郷のような大切な場所になっていくのである。