レオ・ヴォルクハルト - 架空アニメキャラ用語辞典

レオ・ヴォルクハルトは、PlayStation3用ゲームソフト『ロロナのアトリエ ～アーランドの錬金術士～』に登場する、王国お抱えの若き天才発明家。
アーランド王国の近代化を推し進める「機械ギルド」の長であり、錬金術を時代遅れの技術と見なしている。そのため、ロロナのアトリエの存続に対して、公然と反対の立場を取る、物語におけるロロナのライバル的存在である。

概要
アーランド王国の依頼を受け、古代文明の遺物（レリクス）を研究・解析し、新たな機械を開発する「機械ギルド」の初代ギルドマスター。年齢は19歳。
鍛冶職人の家系に生まれながら、早くから機械工学の分野で類稀なる才能を発揮した神童。論理と効率を何よりも重視しており、非科学的で成功率の安定しない錬金術に対しては、強い懐疑心と対抗心を抱いている。
自信家で少し皮肉屋な言動が目立つが、その根底には「自らの発明で、アーランドの民の暮らしを豊かにしたい」という純粋な情熱を秘めている。

生い立ちと背景
鍛冶屋の神童
レオは、アーランドの職人街で代々続く「ヴォルクハルト鍛冶店」の息子として生まれた。父親は、武具作りの腕では王国でも指折りと謳われる、実直な職人であった。
しかし、レオが幼い頃から興味を示したのは、槌で鉄を打つ伝統的な鍛冶の仕事ではなく、時計やオルゴールといった、精密な歯車が噛み合う複雑な機械の構造であった。彼は、父親の仕事場で余った鉄くずを使い、独学でからくり人形や、蒸気で動く小さな模型を作り出しては、周囲の大人たちを驚かせていたという。

機械時代の寵児へ
彼の才能が王国に知れ渡るきっかけとなったのは、アーランド近郊の遺跡から、未解明の古代機械が多数発掘されたことである。王国の名だたる学者が誰一人として動かせなかったその機械を、当時まだ少年だったレオが、一目見ただけでその構造を理解し、修理して見せた。
この功績により、彼は国王にその才能を認められ、王国の全面的なバックアップのもと、古代技術を研究し、新たな発明を促進するための専門部署「機械ギルド」を設立することを許可される。彼は、若くしてその初代ギルドマスターに就任し、アーランドの技術革新を牽引する時代の寵児となった。

錬金術への対抗心
レオが錬金術を敵視するのには、明確な理由がある。彼が信奉するのは、設計図さえあれば誰でも同じものを再現できる「科学技術」の持つ、論理的で、公平な発展性である。
対して、錬金術は、術者の才能や、その日の気分、時には「ひらめき」といった、極めて曖昧で属人的な要素に結果が左右される。彼は、そのような不確かな技術は、国家の未来を支える礎にはなり得ないと断じている。
特に、アストリッド・ゼクセスの気まぐれで、長年ろくに成果も上げてこなかったロロナのアトリエが、街の工房として存在し続けることを「非効率的で、国益に反する」と考えており、アトリエの閉鎖、およびその跡地への機械ギルド第二工場の建設を、大臣に強く進言していた。

作中での活躍
ライバルとしての登場
物語の序盤、ロロナが王国からの最初の課題を終えた頃に、ステルクに連れられてアトリエを訪れる形で初登場する。彼は、ロロナが錬金術で作った納品物を見るなり、「こんな非効率的な作り方では、量産もままならない」「材料の配分に科学的根拠が見られない」などと、専門的な見地から容赦のない批評を行い、ロロナを困惑させる。
以降、ロロナが王国の課題を達成するたびに、彼は「進捗の確認」という名目でアトリエに現れ、彼女の仕事ぶりや錬金術に対して、何かしらの皮肉や持論を述べていく。

機械と錬金術の代理戦争
彼の登場以降、王国からアトリエに出される課題の中には、機械ギルドと成果を競う形式のものが含まれるようになる。
例えば、「近くの鉱山の岩盤を破壊してほしい」という依頼に対し、ロロナが強力な爆弾「フラム」を調合する一方で、レオは自律式の「自動削岩ゴーレム」を開発して対抗する。
これらの競争を通じて、プレイヤーは錬金術と機械、それぞれの長所と短所を目の当たりにすることになる。彼の存在は、ロロナの3年間の奮闘に、明確なライバル関係というスパイスを加えている。

変化する価値観
当初はロロナと錬金術を完全に見下していたレオだったが、ロロナが次々と課題をこなし、人々から感謝されていく姿を見るうちに、その考えに少しずつ変化が生まれる。
特に、彼の機械では決して作ることのできない、人の心を癒す不思議なパイや、素材の持つ力を論理を超えたレベルで引き出す錬金術の成果を目の当たりにし、「非効率的」の一言では片付けられない、未知の可能性が錬金術にはあるのではないかと、認めざるを得なくなっていく。
物語の終盤には、彼の態度も軟化し、ロロナに対して素直に賞賛の言葉を口にしたり、時には発明のヒントを求めたりする場面も見られるようになる。

他の登場人物との関係
ロロライナ・フリクセル（ロロナ）
レオにとって、当初は侮りの対象でしかなかったが、物語が進むにつれて、最も意識するライバルへと変わっていく。ロロナの常識にとらわれない発想や、人々のためにひたむきに努力する姿は、効率ばかりを重視していたレオに、大切な何かを気づかせる。彼の存在は、ロロナが錬金術士として成長していく上で、欠かすことのできない起爆剤となった。

アストリッド・ゼクセス
レオが唯一、全く歯が立たないと感じている人物。レオがどれだけ論理的に錬金術の欠点を指摘しても、アストリッドはそれを上回る屁理屈や、常識外れの錬金術で、いとも簡単に彼を煙に巻いてしまう。レオにとって、アストリッドは自らの論理が通用しない、まさに「魔女」のような存在であり、最大の天敵である。

ステルケンブルク・クラナッハ（ステルク）
王国の騎士であるステルクとは、仕事上の付き合いが多い。レオは、ステルクの生真面目さと職務への忠実さを評価しているが、時に融通の利かないその石頭ぶりに、苛立ちを覚えることもある。ステルクもまた、レオの急進的なやり方に懸念を抱いており、互いにプロフェッショナルとして認め合いつつも、一定の距離を置いている。

クーデリア・フォン・フォイエルバッハ
ロロナの親友であるクーデリアは、ロロナを馬鹿にするレオのことが大嫌いであり、彼がアトリエに現れるたびに、激しい口論を繰り広げる。レオもまた、感情的で背の低いクーデリアのことを「チビのお嬢さん」と呼んでからかうため、二人の関係は常に険悪である。

性格・思想
「論理と進歩こそが未来を創る」
彼の行動原理は、科学的な論理と、それによってもたらされる技術の進歩こそが、人々を幸せにするという強い信念に基づいている。彼は、勘や経験則といった曖昧なものを信用せず、全ての物事は、設計図に起こし、計算し、再現可能であるべきだと考えている。
この思想は、彼の発明家としての誠実さの表れでもあるが、時に他者の感情や、数字では測れない価値を軽視してしまうという、若さゆえの危うさも併せ持っている。

内に秘めた情熱
一見すると、クールで合理的な思考の持ち主だが、自らの専門分野である機械工学のことになると、途端に饒舌になるという、根っからの技術者気質を持つ。彼は、自らが作り出した機械が、人々の生活を便利にし、笑顔にすることを、何よりも喜びとしている。
彼が錬金術を敵視したのも、それが自らが信じる「人々を幸せにするための最も正しい道」の邪魔になると考えたからであり、その根底には彼なりの純粋な善意が存在するのである。

物語への影響
作品のテーマの具現化
レオ・ヴォルクハルトは、『ロロナのアトリエ』の根幹をなす「錬金術と機械文明の共存」というテーマを、最も分かりやすく体現したキャラクターである。彼は、アトリエの存続を脅かす「機械文明」側の代弁者として、物語に明確な対立軸と緊張感をもたらした。
彼の存在があるからこそ、ロロナがアトリエを守るという物語の目的がより際立ち、プレイヤーはロロナを応援したくなるのである。

ロロナの成長を促す鏡
彼の存在は、主人公ロロナが錬金術士として成長していく上での、重要な役割を果たしている。レオからの厳しい指摘や、彼の作り出す便利な機械は、ロロナに「錬金術にしかできないことは何か？」を常に問いかけ続ける。
この問いに答えようと奮闘する過程で、ロロナは単に課題をこなすだけでなく、自分自身の錬金術の意味を見出し、一人前の錬金術士へと成長していく。レオは、ロロナの成長を映し出す、まさに「鏡」のような存在だったと言えるだろう。