CSRの概要、背景についてはこれまで述べてきた通りだ。
経済のグローバル化、企業不祥事防止のためにブームになっているCSRであるが、CSR活動はただ単に企業の社会業績を高めるためだけに行われているのではない。CSR活動を行う究極的な目標は、企業価値を増大させることに意義があると言えよう。すなわち、CSRの目的としては、企業外部の人々への貢献の他に、企業内部の人々への貢献も含まれている。CSRが企業価値を向上させるとは一体どういうことだろうか。
多くの研究者がCSRに関する論文を発表しており、CSRは企業を取り巻く
ステークホルダー、そしてその企業自体に様々な影響を与えているという結果が出ている。従業員に対するCSR、株主に対するCSR、顧客に対するCSRと対象は様々であるが、最終的に向けられている対象は全て“人”である点に着目していただきたい。地域社会、地球環境に対するCSR活動も、活動内容自体はそのコミュニティーに対して行っているものだが、すべての活動はその地域、環境で生きる人たちへのCSR活動であり、回り回ってすべての活動が人に帰ってくる。
そこでCSR活動とその効果を論じる際に、私たちの論文では対象を、“人”を軸に見ていく。つまり、株主、顧客、取引先、地域社会、地球環境など、その企業の外部に位置する人たちへの効果を“外部効果”と定義し、逆に企業内部に位置する従業員への効果を“内部効果”と定義する。
最終更新:2009年10月30日 04:07