共通の価値観が存在すると以下の二つの流れで
モチベーションがアップする。
①従業員の欲求(内容論)
②認知的動機づけ(過程論)
まず内容論を用いて、従業員にはどのような欲求があるのかを説明し、次に過程論を用いてその欲求が喚起され、モチベーションが上がるプロセスを説明したいと思う。
2-1 従業員の欲求について
共通の価値観を得ることでどんな欲求が満たされるのか、ここでは内容論による説明をしたいと思う。マズローは人間の欲求を五段階に分け、下位の欲求が満たされて初めて上位の欲求が現れる、という欲求五段階説を提唱した。その五段階とは、①生理的欲求②安全欲求③所属欲求④承認欲求⑤自己実現欲求である。人間はまず、食欲を満たさなければならない。次に、心身ともに不安のない安全を求めるであろう。そして更に、どこかに所属していたいと思うようになる。私たちはこの所属欲求に注目したいと思う。なぜなら、所属とはもちろん企業に属すことを指すが、「企業に属す」とは企業の価値観に属すこと、つまりは共通の価値観を得ることに他ならないと考えるからである。「わが社はトップのこういう経営理念のもと、こんな素晴らしいCSR活動で社会に貢献しているんだ。」社員研修を初めとした、さまざまな伝達を経て、これが企業内の価値観として共有されていたとする。すると、このような価値観に属することで、所属欲求が満たされるのはもちろんのこと、他人に認められたいという承認欲求も満たすことができるだろう。自分の属する会社が積極的な社会貢献に取り組んでいれば、それが自慢となり、社外からの評判になるだろう。そして最後の欲求として、自己実現欲求が現れる。自分の力を試してみたい、仕事に全力を尽くしてみたい、このような欲求の発現が仕事へのモチベーションとなる。そして従業員全体がこのような欲求を持つことができれば、それは職場の活気を生み出すであろう。
2-2-1 過程論について
次に、このような欲求がどのように行動に結びつくかについて、過程論を用いて説明したいと思う。代表的なのはブルームの期待理論である。人間の行動には様々な選択肢があるなかで、なぜその行動を選んだのか。ブルームはそれを説明する変数に、「誘意性」と「期待」を使い、人間の行動選択を説明しようとした。つまり、その行動の結果が魅力的であればある程、またその結果がもたらされる確率が高ければ高いほど、その行動に駆り立てられるというわけである。先の欲求の説明に関連づけると、より欠乏した欲求を満たす行動に高い誘意性があると言える。例えば、マズローの言う承認欲求まで満たされた人間であれば、次の自己実現欲求を満たすため、「必死に仕事へ取り組む」という選択肢を選ぶだろう。このように、誘意性を高めることで行動の喚起に好影響を与えることができる。「期待」の向上に関しては本論文では難しいと考えられるため、次節ではこの「誘意性」向上について取り上げたいと思う。
2-2-2 認知的動機づけ
そこで、誘意性を高める一つの手段として、認知が挙げられる。この認知によって行動を喚起することを認知的動機づけという。トップは経営理念やビジョンを従業員に認知させることで、企業の価値観と従業員の価値観を同一化する。そこで、その価値観というフィルターを通した「目標」「方針」を従業員に持たせることができ、従業員に「目標」を達成したいという欲求を持たせることができる。これにより、企業の目標を達成するために「頑張って働く」という行動の誘意性が高まり、この行動が選択されるのである。このように、従業員が価値観を共有し、同一の目標を持った上で、全員がその目標に向かって取り組む職場には活気がみなぎり、良い雰囲気の中で、自分を成長させる機会に恵まれるだろう。つまり、CSRによって従業員に価値観を共有させることで、従業員のモチベーションをアップさせることができると言えよう。
→「期待」と「誘意性」と「道具性」の積和でモチベーションが上がることを提示
→共通の価値観が「期待」と「道具性」に当てはまらない理由を提示
→見やすいように「2-2-1 ブルームの理論」「2-2-2 ブルームを共通の価値観に当てはめると」という風に項目分けしてもいいかも!
最終更新:2009年11月06日 16:22