数々の動機づけ理論

■内容論■

  • マクレランドの達成欲求理論
マクレランド(McClelland,D.C.)は組織の中の人間を限定とした研究を行った。
その結果「達成(achievement)」「親和(affiliation)」「権力(power)」という3つの欲求と個々のパーソナリティとの間に強い関連性を有していることを明らかにした。とくに達成感の強い人間は「業績」に強い関心を示す一方で、親和動機の強い人は「人の和」に、権力動機の強い人は「他者への影響力行使とコントロール」に強い関心を示すことを明らかにした。

  • マズローの欲求段階説
マズロー(Maslow,A.H.)は人間は異なる5つの欲求の階層から成り立つとした。
  生理的欲求→安全欲求→社会的欲求(所属欲求)→自尊欲求→自己実現欲求 
以上の欲求は提示の欲求が充足されて初めて、高次の欲求が現れるとした。
故に、人間を動機づけるためには、低次の欲求から高次の欲求を段階的に充足させていく必要があるとした。

  • アルダーファーのERG理論
アルダーファー(Alderfer,C.P.)はマズローの欲求段階説の修正を行った。
 生存の欲求(E;existece needs)→人間関係の欲求(R;relatedness needs)→成長の欲求(G;growth needs) 
以上のように移行するとしつつも、これら相互間における同時的発現や逆行もあり得るとした。

  • ハーズバーグの動機づけ=衛生理論
ハーズバーグ(Herzberg,F.)は人間の欲求に関して、職務を通じてどのように充足されるかを明らかにした。
彼の研究の特質すべき点は、「人間を仕事の上で幸福にさせる要因と不幸にさせる要因とは全く別次元の要因である」とした点である。人間には「アダム的本性(動物としての”人間の欲求”;不快を回避したい欲求)」と、「アブラハム的本性(人間としての”人間の欲求”;精神的成長による潜在能力の発揮を求める欲求)」の2種類が存在している。職務において人間を満足させる要因は「達成」、「承認」、「責任」、「昇進」など具体的な内容とするのに対し、人間を不満足にさせる(職務不満)要因は、「作業条件」、「対人関係」、「給与」などが該当し、まったく異なるものであることを明らかにした。
そして、職務を通じて人間を動機づける要因を「動機づけ要因」とし、動機づけとしては機能せず、職務不満を排除する要因を「衛星要因」とし、この2つを明確に区分した。



■過程論■

  • 動因理論(強化理論)
ハル(Hull,C.L.)によって提唱された理論である。人間の欲求がどのように発現し、いかなる心理プロセスを通じて人間行動を方向づけるかということを解明した。ハルは、人間の行動を一定の方向に向かせる心的エネルギーとしての動因の強さ「D(drive)」と、過去の学習および強化経験の結合としての習慣の強さ「 S H R 」との積の関数によって、刺激「S(stimulus)」‐反応「R(response)」にもとづく人間の行動を解明することが可能であるとした。すなわち、人間の行動は、過去の経験のうち、高い満足を得ることができた経験がより強化されて習慣となった学習経験に強く影響を受けるものとした。

  • 期待理論
トールマン(Tolman,E.C.)やレヴィン(Lewin,K.)に代表される認知過程論に基礎をおく考え方であり、ブルーム(Vroom,V.)とローラー(Lawler,E.E.)によって「期待理論;ポーター=ローラーの期待理論(expectancy theory)」として発展した。
人間は自らにとっての期待価値や効用が最大となる行為を選択するという考えに基づく。そして人間の動機づけは「期待(expectancy);努力することによってある行為水準に到達できるとする本人の確信度合い」と「誘意性(valence);個人がとった行動がもたらす結果に対する魅力の度合い」、そして「道具性(instrumentality);最初に得られる結果(第1次結果)がさらなる結果(第2次結果)をもたらし得るかどうかということ」という3つの要素の積和によって示されるとした。
また、ローラーは「努力(Effort)」「業績(Performance)」「成果または結果(Outcomes)」の3つの要素をあげ、期待には「努力することにより業績が得られるという期待(E→P期待)」と「その業績が結果的に望ましい成果につながるという期待(P→O期待)」という2つのプロセスが存在しており、人間は自らの主観的判断にもとづいて、自分に最も有利な行動を選択するとした。


最終更新:2009年09月15日 16:21
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。