虚無の王
退屈だ。
あまりにも退屈なのだ。
この数百年間、人間共や他の種族共を壊して暇つぶししてきたが
ここ最近はちと飽きてきた。
なにせどいつもこいつも行動原理が単調すぎる。
口を開けはやれ「家族の仇」だの、「世界の平和の為」だの、
「友達の為」だの、「使命を成す」だの。
どいつもこいつも行動理由が、味が、同じすぎる。
それが1匹や2匹ならいいが、何体も湧いてくる。
どんなに美味な料理でも幾度も喰らえば自然と飽きが来る。
退屈だ…
…そうだな、退屈だ。
どのような料理にもどのような食事にも飽きはいずれ来る。
飽きが来たら咀嚼をやめ、料理を口に運ぶのを止める。
それと同じものか。
なら我もそろそろ終わりにするとしよう。
ラストオーダーの時間だ。
幸いにも最後の晩餐に相応しい食材は大勢いる。
聖域を守る賢龍
暴走せし植物の王
誘眠の巫女
他にも食材は揃っている。
晩餐の準備は整った。
そろそろ調理へと取り掛かろう。
もうすぐだ…
ラストオーダー。
オーダーとは命令の他に「秩序」も意味する。
最後の晩餐とともに、秩序は崩壊する。
あの憎き神共の絶望の顔が楽しみだ。
さぁ…そろそろ仕上げに入ろうか。
最後の宴だ。

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