白黒の映像で10年前の出来事が回想される。
山脈のふもとの草原に、幼い少年と少女がいた。
少女が少年に錠前のペンダントを手渡した。
少女「ザクシャ イン ラヴ(愛を永遠に)」
「あなたは「錠」を、私は「鍵」を、肌身離さずずっと大切に持っていよう」
「・・・・・・」
「いつか私達が大きくなって再会したらこの「鍵」でその中の物を取り出すからそしたら――」
少年「――うん!」
少年・少女「「結婚しよう」」
それから10年。
成長したあの少年がコック服を着て、台所で料理を作っていた。
少年がコック服を脱ぎ捨て、ロッカーの中に入れた。
少年「よし」「おーい、メシ出来たぞてめぇら~」
組員たち「あっ!!お早うごぜぇやす!!坊ちゃん!!!」
少年の名は一条楽。ヤクザ集英組の組長の息子である。
ニセコイ
組員「うんんめぇ―――!!さすが坊ちゃんだ―!!」
「「「二代目の作る朝飯は最高だぜ!!」」」
楽「誰が二代目か!いつも言ってるだろ、オレはヤクザになんてならねぇ!」
組員たち「「「え――そんな――!!」
楽「オレは一流大学を卒業して堅実な公務員になって、お天道さんに顔向けてまっとうに生きていきてぇんだよ!!」
組員たち「「「お――!」」」
組長「やれやれ、毎日せわしねーな、てめーは」
楽「親父」
竜「組長!」
組員たち「「「おはよーごぜーます!!」 」」
組長「そうだ、楽。近ぇうちてめ―に大事な話があっから覚えときな」
楽「・・・?大事な話?」
楽は組員たちのリムジンに送られ、学校に来た。
竜「では坊ちゃん!!今日も元気に行ってらっしゃいやせ!!」
組員たち「「「行ってらっしゃいやせ!」」」
楽「・・はぁ―・・・」
竜「あ、そうだ、坊ちゃん。実ぁ最近見慣れねぇギャング共がウチの島ぁ荒らし始めてねぇ・・・」
楽「は?ギャング?」
竜「坊ちゃんも気つけて下せぇ」
楽(もう嫌だ、こんな血生臭い世界――)
(ああ――早くこんな家から飛び出して静かに平和に暮らしたい――)
(思えば一流大学行くため、勉強ばっかりで彼女はおろかモテた事すら一度もねぇもんな・・・いや、あるか。一回きりだけど・・・)
楽は10年前に貰った錠前のペンダントをまだ持っていた。
楽(オレはこの日まで毎日が苦労の連続だった)
食パンをくわえた一人の少女が学校に急いでいた。
少女「遅刻遅刻~!」
楽(だがこの日、オレの運命は変わったのだ)
少女は壁を側転で駆けあがっていった。
楽(そう今日からは)
楽「え」 少女「げ」
楽「ギャアァ―――!!!」
楽が壁の向こうから飛び降りてきた少女の下敷きになり、ペンダントが吹き飛んで行った。
楽(更に凄まじい苦労の連続となる―――)
少女「・・・いたた、あっ・・・!ごめん・・・!急いでたから!」ごめんなさ―い!!」
少女は走り去っていった。
楽「な・・・なんなんだ一体・・・」
1-Cの教室に怪我した楽が入り、クラスメイトの舞子集と 小野寺小咲が驚く。
集「オース、楽・・・ってうわ!?」
小咲「一条君!?どうしたのそのケガ!大丈夫!?鼻血出てるよ?」
楽「あ!小野寺!だっ・・・大丈夫大丈夫、全然平気!」
集「・・・はぁ?女通り魔にやられた?バカ言えよ、ウチの学校の塀を飛び越えて、ひざ蹴りって、どんな女の子だよ」
楽「ホントなんだって!!」
小咲「ちょっと待って、今、バンソーコー・・・」
楽「え!?小野寺、いーよ、そんな・・・」
小咲「ダメだよ!バイ菌入ったらどうするの?ほら!はい」
小咲が楽の鼻に絆創膏を張った。
楽(うおお~!!小野寺がこんな近くに・・・!ちょっとケガして良かったかも・・・)
集「・・・・・・良かったな、楽♡」
楽「うっせーな!!」
ニセコイ
楽 (ハァ~・・・今日は幸先最悪かと思ってたけど、小野寺とも話せたし案外悪かね―のかも・・・)
キョーコ先生「・・よーし、転校生を紹介するぞー。入って、桐崎さん」
少女「はい」
入ってきた転校生は壁を飛び越えて、楽にひざ蹴りしたあの少女だった。
千棘「初めまして!アメリカから転校してきた桐崎千棘です」
「母が日本人で父がアメリカ人のハーフですが、日本語はこの通りバッチリなのでみなさん気さくに接して下さいね!」
生徒たち「うお――かわいい――!!」 「すっげ―美人!」
「キャ―!!足細-い!!何あのスタイル~~!!」 「ハーフだってよ、あんなかわいい子見た事ねぇ!!」
キョーコ「じゃ―ひとまずテキト―に後ろの空いてる席に・・・」
千棘「ん?」
千棘と楽が顔を見合わせる。
楽「あ」
千棘・楽「「あ―――――!!!」」
千棘「あなたさっきの・・・」
楽「さっきの暴力女!!」
キョーコ「ぼ・・?」クラスメートたち「う・・・」集「りょ」 小咲「く・・・?」
千棘「ちょっ・・・!何よ、暴力女って!!」
楽「さっき校庭でオレに飛びひざ蹴り食らわせただろ!!」
クラスメートたち(え?え?えー・・・?)
千棘「ちゃんと謝ったじゃない!!何よ、ちょっとぶつかったくらいで被害妄想やめてよね!」
楽「どこがちょっとだよ!!こっちは気絶しかけたっつーんだよ!!」
千棘「へーそう、血圧低いんんじゃないのあなた!こっちは謝ってんだから許してくれてもいいでしょ!?女々しい人ね!!」
楽「それが謝ってる態度かよ!!この・・・猿女!!」
千棘「誰が猿女よ!!!」
キレた千棘が楽を殴り飛ばした。
千棘「あ」
ニセコイ
千棘は楽の隣の席になった。
千棘「・・・こっち寄って来ないでよね、女々しさがうつるから!」
楽「なっ・・・こっちこそ!!猿っぽさがうつったら迷惑・・・」
千棘のパンチが楽の頬をかすめる。
楽「何も言ってません」
オレと転校生の一日目
楽(くっそ~、なんなんだ、この女は・・・!!こんな凶暴でムカツク女は初めてだ・・・!!!)
(これで本当に女かよ・・・小野寺やあの‘約束の女の子‘とはえらい違いだ)
(あれから結局、一度も会えなかったけど・・・ああ・・・あの初恋のような恋を小野寺と出来たら・・・な~んて・・・)
しかし、楽のペンダントは千棘のひざ蹴りを食らった時に何処かに飛んでいた。
楽「・・・ん?ん?んん?あ―――!!? あの時のひざ蹴りで・・・!!)
千棘「ハァ!?なんで私がそんな物探すの手伝わなきゃなんないのよ」
楽「てめ―のひざ蹴りのせいで失くしたんだからてめ―にも責任あんだろ!!思い出してもあの時以外考えらんね―んだ!!」
小咲「どうしたの?一条君・・・」
楽「小野寺――!」
小咲「こんにちは、小野寺です」 千棘「よろしく」
楽「いや・・・ちょっと大事なもん失くしちまって・・・」
小咲「そうなの?手伝おうか?」
楽「い・・・いや!こいつのせいで失くなったんだし、こいつが探すのが筋ってもんだ」
千棘「なんですって!?」
楽が千棘を睨む。
千棘「・・・で?どんなペンダントなのよ、それ?」
楽「あ・・・このくらいのチェーンの先にこ~~んな形の鎖がついた・・・」
小咲「え、それって・・・」
楽「ん?どっかで見たのか?」
小咲「あ、ごめん。勘違いかも・・・多分・・・」
千棘「分かった。じゃあそれを探すかわりに今後私に学校の中で話しかけないって約束してくれる?」
楽「・・・は?」
千棘「私嫌いなのよ、過ぎた事をグチグチ言う男って。そんな器の小さい男とお友達って思われたくないもん」
楽(くぁ~~~~!!なんてムカツク女なんだ!!なんで初対面のオレがここまで言われにゃならねんだよ!!ふん!!何が話しかけんなだ!!)
キョーコ「そうだ。一つ言い忘れてたよ、一条」
楽「へ?」
キョーコ「桐崎に学校の事、色々教えてやって欲しいからさ、桐崎をお前と同じ・・・
飼育係にしたからよろしく!」
楽「・・・なんでこーなるんだよ!!」
千棘「ちょっと、話しかけない約束じゃなかったの?」
楽「オレとの会話ナシで作業出来んのかよ?更に言えばここは‘学校の中‘じゃねぇ!」
千棘「・・・細かい男ね」
楽(くそっ・・・!何が悲しくてこんな奴と・・・)
ニ セ コ イ
千棘「ほら!残った時間はペンダント探す!!」
楽「わ―ってるよ!!」
オレと凶暴女の二日目
千棘「む~~~~・・・」(ややこしいわね、日本語・・・)
授業の後、楽が千棘にノートを渡した。
楽「ほれ」
千棘!・・・何よ、コレ」
楽「現国のノート、お前全然取り切れてなかっただろ?」
千棘「話しかけんな、って言ったハズだけど?余計な事しないでくれる?」
楽(こ・の・ヤ・ロ~~!!)
オレと性悪女の3日目
集「・・・なぁなぁ楽、お前桐崎さんといつの間に仲良くなったんだよ」
楽「ハァ?何だよソレ・・・」
集「だってよく一緒にいるじゃん。放課後も二人で何かやってるし、仲良くしゃべってるしよ」
楽「仲良く・・・!?あれのどこが・・・」
集「ほら桐崎さんって美人だろ?気になってる奴も多いわけよ。なんでこの学校に?とか、なんでこんな変な時期に?とか色々な」
楽「美人~~?あれが?」
千棘は体育で活躍し、喝采を受けていた。
楽「・・・・ますます猿・・・!?」
楽の顔面にダンベルが投げつけられた。更にドラム缶まで飛んできた。
楽「何すんだよ!」
千棘「あんたもう手伝ってあげないわよ!?」
小咲「桐崎さん!?」
楽「悪かったって!」
オレと曲芸女の4日目
楽(いてて・・・ったくあのゴリラ女め、どういう環境で育てばあんな凶暴になるんだ?)
組員達「兄貴ィ!!三丁目でまたギャング共が!!」
竜「何ィ!?今週でもう三度目やぞ?おいオメーら!」
組員達「「「お――!!」」」
楽(まぁ環境は人の事言えた口じゃね―けど・・・)
小咲「・・・はい一条君」
楽「おっ・・・ああサンキュー!」
小咲が楽に絆創膏を渡す。
小咲「・・・なんかまたケガ増えたね」
楽「っとにあのヤロー・・・すぐに人の事殴りやがって・・・」
小咲「でも、そう言いながらも優しくしちゃうのが一条君の良い所だよね」
楽「・・・え?」
小咲「桐崎さんのためにノート取ってあげてたでしょ?見てたよ」
楽「そ・・・そっか」
(うおお~!!そんな所見ててくれたんだ!なんかスゲー嬉しい!)
小咲「あ、そうだ。一条君が探してるペンダントどこで買ったの?」
楽「いや、あれ貰ったんだ、昔」
小咲「昔?」
楽「10年くらい前・・・?」
小咲「じゅ・・・!も・・・物持ち良いんだねぇ・・・」
楽「ちょっとした約束でな、大事にしてんだ」
小咲「・・・約束・・・」
オレとゴリラ女の6日目
千棘「・・・あ―もう、全然見つからないじゃない」
楽「・・・うっせ―な。グチグチ言う奴嫌いなんだろ?そういえばさ、お前どうしてこんな時期に転校して来たんだ?」
千棘「は?何よ、いきなり・・・」別に、親の都合よ」
楽「ふ―ん、親って何してんの?」
千棘「な・・・なんだっていいでしょ!?なんであんたなんかに私の身の上話しなきゃなんないのよ!!私あっち探してくる」
楽「おう」
(・・・ん?あれ・・・この匂い・・・どこかで嗅いだ事があるような・・・どこかなつかしい・・・)
楽(昔から、よく知ってるみたいな匂い――どこで嗅いだ匂いだっけか?)「ん?」
楽の目の前で、ギャングと集英組の組員達が追いかけっこからの銃撃戦を始めた。
組員たち「おりゃあ――!!」「ヤクザナメンなや、コラ――!!」
楽(あれがギャングか・・・なんか・・・ますますひどくなってないか・・・?)
俺と桐崎の7日目
楽「おせ―よ、桐崎。早く手伝って・・・」
千棘「も――ガマン出来ない!やってられるか、こんな事!!」
楽「ハァ!?なっ・・・なんだよ、いきなり・・・」
千棘「・・・さっきクラスの子に言われたの」
女子2人「ねぇねぇ、桐崎さんと一条君って付き合ってるの?」
「え~だって、いつも楽しそうに話してるし、放課後も一緒にいるって聞いたよ~~~?」
千棘「・・・って」
楽「な・・・」
千棘「どぅわれが楽しそうに話してるって!?放課後一緒なのはこのバカの探し物を私が親切で探してあげてるだけなのに!!」
楽「なぁ!!?」
小咲(・・・今日は委員会も早く終わったし、一条君の探し物手伝おうかな)
楽「ふざけんな!!てめ―の過失でもあるんだろ―が!!」
小咲「!」
千棘「あんたがしっかり持ってなかったからでしょ!?何よ、大の男がペンダント一つ失くしたくらいで、あんたお気に入りのクマさん失くしたら夜も眠れなくなるタイプ?」
楽「ああ!?」
千棘「どーせ昔好きだった子に貰った物とかなんでーしょけど!あーやだやだ、昔の事ズルズル引きずって女々しいったら無いわ!!」
楽「・・・!!」
千棘「どーせその相手だって、あんたにそんなもんあげた事なんて忘れてるに決まってんのに、ホンットダサ!!バッカみたい!!」
楽「・・・うるっせぇな!!!だったらもう探さなくていいからどっか行けよ!!!」
雨が降り出した。
千棘「・・・・・分かった・・・」
千棘が去っていく。
楽(――やっちまった・・・女に本気で怒鳴るなんて・・・)
オレと千棘の11日目
千棘(――どーせその相手だって、あんたにそんなもんあげた事なんて忘れてるに決まってんのにバッカみたい!!)
楽「~~~!!・・・くそ!!」
小咲「一条君!!・・・桐崎さんが来て欲しいって・・・」
楽「え?」
楽と小咲は校庭に移った。
楽「・・・なんだよ、あいつ。こんなとこ呼び出して・・・」
千棘は遠く離れた所にいた。
楽「ん・・・あれ?あいつって・・・桐崎じゃ・・・」
千棘が振りかぶって投げた何かは、楽の顔面に直撃した。
楽「ギャアァア―――ス!!!」
「痛っっってぇ――!!何すんだあの野郎・・・!!」
小咲「だっ!大丈夫!?一条君・・・」
楽「ん?え・・・これ・・・!!」
千棘が投げたのは、楽のペンダントだった。
小咲「・・・!!それ・・・一条君の・・・?」
楽「あぁ・・・でもなんであいつが・・・」
小咲「・・・桐崎さんね、あの後ずっとソレ探してたんだよ・・・」
楽「・・・!?」
小咲「一条君に見つからないように言うなって言われてたんだけど・・・」
楽「ん?」
ペンダントの鎖には、手紙が付けられていた。
I fulfilled by duty.
So don’t talk to me anymore.
Suca basfand!!
Chitoge
(*訳 義理は果たした。今後、私に話しかけてこない事、クズ野郎!! 千棘)
楽「・・・読めねぇけどバカにされてる事だけは分かるな。どこまでもかわいくねぇ・・・」
(・・ったく、どこまでもムカツク奴だけどちょっとは良い所もあるらしい・・・)
「・・・それにあいつの言ってる事ももっともなんだよなぁ・・・オレもいいかげんこんな約束忘れちまった方がいいのかなぁ?」
小咲「そっ・・・そんな事ないよ・・・!」
楽「!?」
小咲「一条君・・・誰かと約束したんでしょ?もしその人が一条君と同じように約束を覚えてたら・・・きっとその人も悲しむよ?」
「たとえそれが10年も前の子供の約束だとしても・・・その人にとっては大切かもしれないよ・・・?」
楽(えっ・・・小野寺・・・?いやまさか・・・)
小咲「ハッ・・・!あっ・・・ゴメン!!変な事言って・・・!」
楽「え・・い・・いや・・・ありがとな。なんか元気出たわ」
「そうだよな。もし今後その子に会えても会えなくても、オレにとって大事な約束なのは変わんねぇ。大事に持っとくよ」
「色々サンキュ―な、小野寺!んじゃまたな!」
小咲「あ!うん・・・またね!」
楽が去っていった。
小咲「・・・ハァ・・・また聞けなかったな・・・私のバカ・・・」
小咲は、古びた鍵を持っていた。
楽は家に帰った。
楽「ただいまー」
組長「お、帰ったか、楽」
楽と組長は部屋に移った。
楽「なんだよ、親父、いきなり呼びつけて・・・」
組長「今度大事な話するっつたろ?」
組長の会釈を見て、部屋にいた竜と組員が部屋から出た。
組長「てめぇも最近のギャングとの抗争は知ってると思うが、それがいよいよ全面戦争になりそうなのよ」
楽「んなっ!!大丈夫なのかよ、戦争って・・・」
組長「そこでだ。実ァ向こうのボスとは古い仲でな、奴にもてめぇと同い年の娘がいるらしいんだが・・・そこで楽よ。おめぇ、その子と恋人同士になってくんねぇか?」
楽「ハア―――!!?」
組長「な―に、フリだけでいいんだ。互いの組の二代目が恋仲とあっちゃ、若ぇ連中も水差すわけにゃいかね―だろ?」
楽「いっ・・・いや、だからって冗談じゃねぇよ、んな事出来っか!!オレはなぁ・・・!」
組長「なんだ、彼女でも出来たのか?」
楽「うっ・・・それは・・・ 」
組長「悪り―がこっちも命かかってんでな、泣き言言ってもやって貰うぜ?」
楽「ぐっ・・・」
組長「よし、じゃあ入ってくれ」
楽「え!?もう来てんの!?」
(でも仕方ねぇか・・・あくまで‘フリ‘だし どーせ数日の事だろ―し・・・)
?「・・・だからまだやるって決めたわけじゃ・・・」
楽「ん?」
?「でも彼なかなかイケメンらしいよ?」
?「え!?いやいや、でも・・・」
楽(あれ?この声・・・)
組長「さぁ、この子がお前の恋人になる―――」
組長がカーテンを開ける、その向こうにいたのは――
千棘「まだ心の準備が・・・」
千棘だった。
楽(――瞬間、オレの中で全てが繋がった)
(なぜこいつがこんな時期に転校して来たのか、なぜ家の事を話したがらないのか)
(そしてなぜ、こいつの匂いをなつかしく感じたのか――)
(・・・そうだ、あの匂いは・・・ )
(硝煙の香り―――)
組長「・・・こちらがその桐崎千棘お嬢ちゃんだ。お前ら二人には明日から3年間恋人同士になって貰う」
楽「えっ・・・」
千棘「えっ・・・」
楽(かくして――相性最悪のオレ達は今日恋人になった)
(このニセモノの恋がオレを10年前の約束へと導いてゆく事になるのだが ――オレはまだ知る由も無い)
ニセコイ
最終更新:2017年12月10日 00:32