仮面ライダーオーズ、前回の三つの出来事!
一つ! 自分の欲望に気付いた映司は、力を、そしてメダルを求める。
二つ! 一瞬でも欲望を忘れたアンクは、メダルを失う。
そして三つ! ウヴァが完全復活を果たす中、世界の終末が始まろうとしていた!
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昆虫系コアメダルを全て手に入れ、完全体となったグリード・ウヴァと戦う、仮面ライダーバース(後藤慎太郎)とプロトバース(伊達明)。
しかしその力の差は歴然であり、攻撃の余波でビルの屋上まで吹き飛ばされてしまった。
余裕の足取りで歩み寄るウヴァ。
プロトバース「この昆虫野郎!!」
強化パーツ・バースCLAWsを腕に装備して殴りかかるダブルバースだが、全く歯が立たない。
バースCLAWsを破壊され、変身も解けてしまう。
傷ついた後藤と伊達が地面を転がる。
後藤「伊達さん、大丈夫ですか……!?」
ウヴァ「今まで、こんな奴らに手こずっていたとはな……」
その時、遠方の鴻上ファウンデーション本社ビルから爆発が起こり、地響きと共に何かが歩いてくる。
コンクリートを踏み抜きながら現れたのは──火野映司。
後藤「火野……」
後藤と伊達の背後にあるビルの屋上から、世界に終末をもたらすために恐竜グリードとなった真木清人がそれを見下ろす。
鴻上「ドクター真木! 久しぶりだね」
どこから現れたのか、鴻上ファウンデーション会長・鴻上光生が真木に声をかける。その手の中には小さな白い箱があった。
振り向く真木。
真木「あれは?」
鴻上「オーズだよ。本当の!」
ビルの電光掲示板にも鴻上の顔が大写しになった。
後藤と伊達が電光掲示板を見る。
真紀「『本当のオーズ』? しかし、メダルは全てこちらに……」
鴻上「君は忘れたかね? 800年前、コアメダルはそれぞれ10枚ずつ作られたことを。 ──お見せしよう。これが800年前の王が初めての変身に使った10枚目……」
鴻上が箱からコアメダルを取り出す。
その色は、赤・黄色・緑。
鴻上「『タトバコンボ』だ!!」
鴻上が地上に投げ落としたコアメダルを映司がキャッチ。
映司「後藤さん」
腰に出現させたオーズドライバーの左の挿入口にバッタメダルをセットする。
映司「伊達さん」
続いてトラメダルを中央の挿入口に。
映司「離れててください……」
最後にタカメダルを右の挿入口にセットし、右腰に吊り下げたオースキャナーをかざす。
映司「変身」
『タカ! トラ! バッタ!』『♪タ・ト・バ! タ・ト・バ、タ・ト・バ!』
神々しい黄金の輝きを纏い、映司が仮面ライダーオーズに変身した。
勇んでオーズに立ち向かうウヴァだが、オーズはそれを一蹴する。
転がるウヴァ。
オーズは二つの武器・メダガブリューとメダジャリバーを取り出し、いたぶるようにウヴァを責め立てる。
鴻上「コアメダルの力で世界を終わらせるわけにはいかない。欲望のメダルは、世界の再生のためにこそある!」
真木「世界は終わらせるべきです」
鴻上「違う! この飽和し伸び悩む世界も、『欲望』で一変する。欲望が新たな文化、さらなる高みへと導く…… 進化するのだ。見たまえ! あのオーズの力を!」
真木「いいえ。何も存在しない究極の『無』…… それこそ、人が到達しうる最高の高みです!」
腕に乗せていた人形「キヨちゃん」を下ろしながら、真木が恐竜グリードに変身。
『スキャニングチャージ!!』
苦し紛れのあがきを見せるウヴァに、必殺技・タトバキックを放つオーズ。
だが、キックを受けたウヴァが爆死する直前、戦いの場に降り立った恐竜グリードによって、ウヴァの体内に今までの戦いで消滅していったグリードたちのコアメダルが投入された。
全快したウヴァの体には傷ひとつない。
ウヴァ「お、おぉ……? ドクター、感謝するぞ!」
素直に感謝を述べるウヴァを、恐竜グリードは冷ややかに見つめる。
恐竜グリード「手段は美しいとは言えませんが…… もたらす終末は、きっと美しい」
勝ち誇るウヴァは全くの無防備。恐竜グリードがそこにコアメダルを投入する。
苦しむウヴァ。
ウヴァ「うぅっ!! やめろ……! これ以上はいい…… 俺は暴走する気はない!」
恐竜グリード「志という点では、オーズを見習ってください」
逃げ出すウヴァ。恐竜グリードはさらにコアメダルを投入。
ウヴァ「うぅ…… よせと言っている!!」
恐竜グリードを止めようと近付くウヴァだが、さらにコアメダルを入れられて苦しみ、もがく。
オーズが恐竜グリードにパンチを放つが、恐竜グリードは腕一本でそれを止める。
セルメダルが地面に散らばる。
恐竜グリード「……なるほど。ここまでセルメダルを…… やはり君は危険すぎます」
恐竜グリードの掌から放たれた衝撃波をみぞおちに喰らい、オーズが吹き飛ぶ。
改めて逃げ出すウヴァ。
それを無視して、恐竜グリードが再びオーズに衝撃波を放つ──が、それは鳥系グリード・アンクが放った火炎弾で相殺された。
オーズの隣に立つアンク。
オーズ「アンク……!?」
恐竜グリード「……君の属性は『コウモリ』ですか? またオーズに付くとは……」
不敵に笑うアンク。
一方、ウヴァはフェンスを乗り越えるのに失敗し、転んで泥にまみれていた。
ウヴァ「うぅ、俺は…… 俺は嫌だぁ!!」
恐竜グリード「うーむ、何という見苦しさ……」
恐竜グリードが逃げるウヴァを追う。ウヴァの情けない悲鳴──。
アンクを見つめるオーズ。
オーズ「アンク…… どうして?」
アンク、黙って右手を差し出す。
一瞬目を見開く後藤と伊達。
アンク「今日の分の…… アイスよこせ」
オーズ「……お前~」
安堵するオーズ、後藤、伊達。
だが、それもつかの間──。
オーズ「うっ!! ぐっ、あっ、がっ……!!」
苦しむオーズ。オーズドライバーから王のコアメダルが弾き出され、オーズの姿がタトバコンボからプトティラコンボに変化する。
砕け散る王のコアメダル。
そのまま変身が解け、胸を押さえてうずくまる映司。
アンク「力がでかすぎたんだ。お前、また馬鹿な無茶したらしいな」
映司「ちょっとだけね……」
夜。
アンクは映司と、それを慕う泉比奈と一緒に公園に来ていた。
アンク「俺のメダルのことは、映司に言うな」
コアメダルの中には1枚だけ、グリードの意思が宿っている、まさに「中核」と呼ぶべきものがあり、それを破壊されるとグリードは消滅してしまう。
アンクは前回、恐竜グリードの攻撃で、そのコアメダルにヒビを入れられていたのだった。
比奈「どうして?」
アンク「俺と映司が上手く戦うためだ。邪魔したくなかったら、黙ってろ。いいな?」
映司「お待たせ!」
そこに映司がアイスを買ってきた。
映司「なぁアンク、お前が戻ってくるなんて、なんかあった?」
アンク「フン…… 真木は俺を器にするのはやめた。となれば、奴に協力する理由はないし、この体も必要ない」
映司「じゃあ……!」
比奈「もう少ししたら、お兄ちゃんの体、返してくれるって」
映司が比奈に駆け寄る。
映司「よかったね、比奈ちゃん! 本当よかったよ…… それだけが気になってたんだ」
比奈(それだけ、って……)
映司「もうこれ以上、アンクと戦わなくていいってことか!」
アンク「フン…… 決着がつけられなくて残念だったな?」
映司「これ以上の決着はないだろ?」
その時、映司の視界から一瞬だけ色彩と音が消えた。
恐竜系コアメダルを体内に宿したことで、映司の体は五感を持たないグリードのそれに変わりつつあったのだった。
映司が目頭を押さえると、視界が元に戻る。
映司「……本当、これ以上はないよ」
比奈(なんで……? なんだか、映司くんが遠くに行っちゃうみたい…… お兄ちゃん、私、どうすればいい? 映司くんのことも、アンクのことも、お兄ちゃんのことも…… できることが見つからない…… 何も言えない…… 私には…… もう…… ただ……)
背中合わせになって並び立つ映司とアンクの間に、比奈が立つ。
左右の手で映司とアンク、それぞれと手をつなぐ比奈。
比奈(ただ……)
戸惑いながら比奈を見つめる映司とアンク。
鴻上ファウンデーション本社ビル・会長室。
鴻上(欲望ある限り、何かが変わり、生まれる。今日という日を明日にすることさえ、欲望だ)
ワイングラスを手に取り、鴻上が朝焼けの空に向かって叫ぶ。
鴻上「HAPPY BIRTHDAY!!」
映司とアンクの拠点・多国籍料理店「クスクシエ」では、店主の白石知世子が開店準備を進めている。
知世子「さぁ、今日も元気に……」
店のテーブルの片隅に、ひっそりとキヨちゃん人形が置かれていた。
知世子「これって…… 真木さん!?」
知世子が亡き姉に瓜二つだったことから、真木は知世子に関心を寄せていた。
真木は何を思って、人形を置いていったのだろうか……。
スクラップ置き場。
恐竜グリードの追撃から逃れたウヴァだったが、コアメダルの過剰投入に苦しみ、息も絶え絶えの状態だった。
ウヴァ「や、やめてくれ…… 誰か、助けてくれ……!!」
ウヴァの体が分解され、コアメダルを模した巨大なモニュメント『メダルの器』に変化する。
スクラップ、マンション、車──『メダルの器』はあらゆる物をセルメダルに変えて、吸い込み、大量の屑ヤミーを生み出し始めた。
宙に浮かび、それを見つめる恐竜グリード。
恐竜グリード「よき終末を……」
日本中を屑ヤミーが埋め尽くしていく。
逃げ惑う人々。
駆けつける映司、アンク、比奈。
映司「あれが『メダルの器』の、暴走……!?」
アンク「笑うしかないな。しかもおまけ付きだ」
比奈「これ…… どうやって戦うの……!?」
映司「方法はひとつ、とにかく倒す! 行こう、アンク!」
アンク「ああ!!」
オーズ・プトティラコンボに変身した映司と怪人態に変化したアンクが、人々を襲う屑ヤミーの群れを薙ぎ払っていく。
鴻上ファウンデーション本社ビル・会長室では、『Happy birthday to you』をBGMに流しながら、鴻上が趣味のケーキ作りに没頭していた。
『メダルの器』にビルが壊され、会長室の中がボロボロに荒れても、鴻上は全く動じない。
倒しても倒しても、屑ヤミーは一向に減らない。
オーズ「こんな奴らより、早くあれを何とかしなきゃ!」
アンク「屑が邪魔すぎなんだよ!!」
アンクにまとわりつく屑ヤミーが、何者かの銃撃で吹き飛ばされる。
ダブルバースが駆けつけたのだ!
プロトバース「よう、アンコ! 遅れて悪い!」
バース「ここは俺たちに任せろ!」
オーズ「ありがとうございます!! ──アンク!!」
頷くアンク。
バース「絶対戻れよ!」
オーズ「はい!!」
オーズとアンクがそれぞれの翼を開き、『メダルの器』を目指して飛び立つ──!!
比奈(映司くん…… アンク……!!)
『メダルの器』に迫るオーズとアンクを、恐竜グリードが迎え撃つ。
オーズ、アンク、恐竜グリードは壮絶な空中戦の末に町はずれの空き地へ落下。
恐竜グリード「この終末のすばらしさを見て、まだ邪魔するのですか?」
一方、屑ヤミーと戦うダブルバースの下には、鴻上の秘書・里中エリカが救援に駆けつけた。
エリカ「お疲れ様です!」
プロトバース「里中ちゃん! こんな状況で、よく来たな?」
エリカ「ビジネスですから!」
手にした銃・バースバスターで冷静に屑ヤミーを撃ち抜くエリカ。
バース「さすが俺の上司だ!」
恐竜グリードの攻撃で、アンクの変身が解ける。
一方、オーズはメダガブリューを取り出して恐竜グリードに斬りかかるが……。
オーズ「あっ!?」
メダガブリューを片手で止められ、驚愕するオーズ。そしてアンク。
恐竜グリード「メダル、いただきます」
恐竜グリードがオーズの腹に手を突き刺し、恐竜系コアメダルを抜き取ろうとする。
オーズの腹から噴き出すのは、赤い血ではなく、セルメダル──。
オーズ「ぐうぅ……!!」
氷の属性を持つ恐竜系コアメダルの力で、オーズと恐竜グリードの足が凍り付いてゆく。
恐竜グリード「何を……!?」
オーズ「今、俺の中には、あなたを絶対に倒せるだけの力がある!!」
オーズの腹から大量のセルメダルが溢れ、メダガブリューに吸い込まれる!
アンク「映司…… お前、これのためにセルメダルを……!?」
映司は前回、鴻上との取引で大量のセルメダルを手に入れていたのだった。
恐竜グリード「馬鹿な…… 君もただでは……!!」
オーズ「おおぉぉぉぉ────っっ!! セイヤァァァ────ッッ!!!!」
全てのセルメダルを使った乾坤一擲の一撃が、恐竜グリードに炸裂!!
大爆発を起こす恐竜グリード。
しかし、その直後、『メダルの器』から放たれた光線を浴びて、恐竜グリードが再生を遂げる。
力を使い果たした映司は変身が解け、満身創痍に。
恐竜グリード「残念でしたな…… いい作戦でしたが。しかし、あれだけの力を使えば、君はもう……」
映司「……ウオォォォァァァァァァッッ!!!!」
雄叫びを上げて再び変身しようとする映司。
アンクが意を決して火炎弾を放ち、それを制する。
アンク「映司ィ!! よせ! ──これ使え!!」
アンクが投げたのは、自分を構成する鳥系コアメダルの残り3枚。
その中には、ヒビが入ったタカメダルも含まれていた。
アンクが分離したことで、比奈の兄がその場に倒れ込む。
映司「アンク…… どうして……!?」
その時、映司がタカメダルのヒビを見つける。映司は全てを悟った。
映司「……わかってる。お前が、やれって言うなら…… お前が、本当にやりたいことなんだよな……!!」
オーズドライバーの左の挿入口にコンドルメダルをセット。
続いてクジャクメダルを中央の挿入口に。
映司「アンク…… 行くよ」
最後に、ヒビの入ったタカメダルを右の挿入口にセットする。
映司「変身!」
アンク「タカ! クジャク! コンドル!」
『♪ター・ジャー・ドルー!』
炎の力を宿す鳥系コンボ形態・タジャドルコンボ。
今、映司とアンクはひとつになった。
映司とアンク、二人分の想いと力を乗せたオーズの攻撃が恐竜グリードを追い詰める。
炎の鉄拳を受け、後ずさる恐竜グリード。
恐竜グリードは空へ逃げ、『メダルの器』に飛び込んだ。
オーズ「ぬっ!!」
オーズは体から7枚の恐竜系コアメダルを取り出し、左腕に装備した盾・タジャスピナーにセット。
オースキャナーにコアメダルを読み込ませながら、恐竜グリードを追って飛び立つ!
『プテラ! トリケラ! ティラノ! プテラ! トリケラ! ティラノ!』『ギガスキャン!!』
『メダルの器』の中で、オーズと恐竜グリードの最後の戦いが続く。
恐竜グリードが連続発射する衝撃波がオーズに命中する前に、それを何かが受け止める。
背中に紅の翼を生やした、アンク──。
映司「アンク……!」
アンクの右腕に炎が灯り、タジャスピナーに光が集まる。
オーズ「おおぉぉぉぉ────っっ!! セイヤァァァ────ッッ!!!!」
同時に放たれた二つの炎が、闇を焼き尽くす──!!
地上では、ダブルバースとエリカが屑ヤミーを一掃していた。
崩れゆく『メダルの器』を見つめる三人。
オーズの攻撃で恐竜グリードの腹に開いたブラックホールに、『メダルの器』の中にあったコアメダルが吸い込まれていく。
それは恐竜グリード自身をも巻き込んでいた。
恐竜グリード「ああ…… 私の終末を…… 私が完成してしまう……」
恐竜グリードは無数のセルメダルに分解されて消滅。映司が持っていた恐竜系コアメダルも吸い込まれていった。
そして、アンクのメダルも──。
オーズ「アンク──ッ!!」
ヒビの入ったタカメダルが、完全に二つに割れる──。
『メダルの器』が爆発。
比奈がその場所に向かって駆け出す。
変身が解け、気絶しながら落下する映司。
右手だけになったアンクが映司の頬を叩き、胸ぐらを掴む。
アンク「映司! 目ェ覚ませ!! 死ぬぞ!?」
映司「アンク…… ああ、いいよ。もう無理だ。お前こそ……」
アンク「フン! 俺はいい。欲しかったモンは手に入った」
映司「それって『命』だろ? 死んだら……」
アンク「そうだ。お前たちといる間に、ただのメダルの塊が死ぬとこまで来た。こんな面白い…… 満足できることがあるか?」
地表が近づく。
アンク「お前を選んだのは、俺にとって得だった。間違いなくな」
アンクが映司から離れていく。
映司「おい…… どこ行くんだよ!」
映司がアンクに手を伸ばす。
アンク「お前が掴む腕は、もう俺じゃないってことだ」
アンクが消える。
映司の手の中には、割れたタカメダルの破片が握られていた。
映司「アンク──ッ!!」
目に涙を溜めた映司の絶叫──。
現場に駆け付けた比奈がアンクを見つける。
だが、アンクは一瞬だけ微笑むと、すぐに消えてしまった。
もうひとつのタカメダルの破片が、砂の上に刺さる。
比奈「アンク…… ありがとう」
タカメダルの破片を拾い、握りしめる比奈。
落ちていく映司。そこに飛行用バースCLAWs・カッターウイングを装備したバースが駆け付ける。
バース「火野! 掴まれ、早く!!」
映司「後藤さん!!」
バース「もう何でも独りでしょい込むのはやめろ!! 俺たちがいる。俺たちの手を掴め!!」
地上では比奈、知世子、伊達、エリカが映司を待ち構えていた。
比奈「映司くん!!」
知世子「大丈夫だから、ドーンと来なさい!!」
伊達「誰にも頼らないってのは、強いことじゃねーぞ!?」
エリカ「火野さん! ここですから!!」
「火野さん!」「映司くん!」「火野ーっ!!」「頑張ってーっ!!」
四人を見つめる映司。
映司(俺が欲しかった力…… どこまでも届く俺の腕…… それって……)
映司がバースの手を取る。
映司「こうすれば、手に入ったんだ」
映司がバースと共に地上に降り立つ。かけがえのない仲間たちが、笑顔でそれを迎えた。
映司、手の中のタカメダルの破片を見つめる。
映司(でも、お前の手を掴んだのも、絶対間違いじゃなかった。絶対……)
映司と比奈が空を見上げる。
映司「……アンク」
欲望のメダルを巡る戦いは終わり、人々は日常に帰っていった。
比奈は兄に見送られながら、専門学校に通っている。
後藤は刑事、伊達は医者として復職し、今もどこかで活躍中。
相変わらず、いつも通りの鴻上と知世子。
そして映司は、割れたタカメダルと「明日のパンツ」を片手に、また放浪の旅に出ていた。
だが、映司は気づいていない。自分の傍らに、幽体になっても存在し続ける赤い腕の姿に……。
映司「いつか…… もう一度……」
アンクとの再会を信じて、映司はまっすぐに歩き続ける──。
最終更新:2021年03月18日 19:19