─ここまでのあらすじ─
「全ての魔女を生まれる前に戻す」という願いを以て、まどかは自身の存在と引き換えに因果律を改変し、役目を終えた全ての魔法少女を導く"円環の理"と呼ばれる概念となった。
魔女が消え去った世界で、唯一それ以前の記憶を持つほむらと、それを知らない他の魔法少女達は、世に呪いを振り撒く魔獣と戦っていた……筈だった。
魔法少女達は人の悪夢から生まれる怪物"ナイトメア"と戦いながら、夢とも思えるような平穏な時を過ごしていた。
そんな世界に次第に違和感を覚えたほむらは、マミと共に暮らす魔女・ベベに目を付け殺そうとするものの、それを救おうとするマミやさやかと戦い、記憶を取り戻す。
マミもまた、ベベの正体・百江なぎさとの出会いによって真実を知る。
ここまで起きた事は全て、自分のソウルジェムの中で気付かない内に魔女になりかけていたほむらの力で作られた、偽りの世界での出来事だった。
彼女はキュゥべえ…インキュベーターによってその世界の中にある"マユの塔"に囚われ、ソウルジェムも円環の理を観測するという目的の下、外の世界で干渉遮断フィールドに閉じ込められたまま限界に達していた。
平和な日々や共に戦った記憶も、ナイトメアの存在も、彼女の願望が生んだ偽りのもので、街の姿も本物そっくりに再現された魔女の結界だった。
呼ばれていたマミも杏子も、円環の理となった筈のまどかでさえも、記憶を改竄されていた。
円環の理を支配し、いつか自身が語った魔女の誕生による感情エネルギーの搾取を企むキュゥべえを前に、決して彼等をまどかには触れさせないという一心で呪いを募らせるほむら。
そして、くるみ割りの魔女"Homulilly"の姿へと変わり果ててしまう。
「最後に…お別れを言えなくて…ごめんね…」
物陰から何かを覗き込むまどか。
路地裏を駆けるさやか。
歩道橋の上、立ち上がるマミと、その背後のベベ。
カフェのテーブルで、頭半分が欠けたほむらの向かいに座り、彼女に手をかける杏子。
マユの塔の上空を飛び回る、くるみ割りの魔女の手下(凶報)の大群。
自身の手下(刑の執行)の行列と共に行進するくるみ割りの魔女。その歯が次々に抜け落ち、手下(ネズミの駆除)へと変わる。
公園から巨大なギロチンが出現する。
魔女は腰のリボンを伸ばして道路を掻きむしり、ビルを破壊する。
マミ「あれが、魔女?」
さやか「怖がらないでやって。ああ見えて、一番辛いのはあいつ自身なんだ」
杏子「笑えねえな…」
キュゥべえ「待ってくれ! あれは暁美ほむらなんだ。君達は仲間と戦う気かい?」
まどか「キュゥべえ…」
杏子「へえ…あんた普通に喋れたんだ」
目を見開くだけで、キュゥべえは何も答えない。
マミ「残念だわキュゥべえ。これでもうベベの話を信じるしかないみたいね」
キュゥべえ「まどか。君ならほむらを救える筈だ。君が持っている本当の力に気付きさえすれば…」
さやかがまどかの肩に手をかける。
まどか「…!」
さやか「そいつは放っときなまどか。大丈夫。さっきあたしが教えた通りにやればいい」
まどか「…うん」
ベベ「パ、パパパパパパパパパパ、パルミジャーノ・レッジャーノ!!」
突然走り出したベベの姿が変わり、菓子と一緒にミキサーにかけられてガラスの型に流され、魔法少女・百江なぎさの姿に。
手にしたラッパからシャボン玉が噴き出し、結界の天井にヒビを入れる。
魔女の号令で、一斉に手下(刑の執行)達が突進。
さやか「慌てなさんな。あんたを外に出そうって訳じゃ、ない!」
自らの剣で胸を刺し貫くと、背中から噴き出した血を媒介にして、かつて恋慕を夢見た人魚の魔女が召喚される。
そして剣を指揮棒代わりに、さやかは使い魔の楽団を指揮する。
キュゥべえ「き、君達は一体…」
なぎさ「わたし達は、かつて希望を運び、いつか呪いを振り撒いた者達」
なぎさの周囲を走り回る、お菓子の魔女の手下(チーズの捜索)。
さやか「そして今は、円環に導かれ、この世の因果を外れた者達」
舞台を離れ、飛び立つ人魚の魔女。
スピーカーから現れる大量の薔薇園の魔女の手下(造園)。
人魚の魔女とくるみ割りの魔女が対峙する。
さやか「こうすればあんたの目を盗んで立ち回れると思ったのさ。インキュベーター」
さやかは五線譜の様な光の帯で足場を作りながら空中を駆ける。
そこからジャンプし…。
さやか「まどかだけに狙いを絞って、まんまと引っかかってくれたわね!」
手下(刑の執行)の群れを次々と斬り倒していく。
キュゥべえ「そんな…じゃあ君達もまた、円環の理…」
キュゥべえの映った窓ガラスを割る。
さやか「まあ要するに、鞄持ちみたいなもんですわ。まどかが置いていった記憶と力を、誰かが運んであげなきゃならなかったからね」
くるみ割りの手下(刑の執行)と薔薇園の手下(造園)の行列同士がぶつかり合う。
なぎさ「いざとなったら、わたしかさやかか、どっちか無事な方が、預かっていた本当の記憶をまどかに返す手筈だったのです」
薔薇園の手下(造園)の頭上を跳んで渡る、くるみ割りの手下(ネズミの駆除)。
なぎさは顔だけをお菓子の魔女のそれに変え、向かってくる手下(ネズミの駆除)の群れを手にしたケーキドームに閉じ込め、丸呑みにする。
さやか「ほむら1人を迎えに行くのに、3人がかりなんてね」
更になぎさは口から大きなシャボン玉を大量に吹き出し、天井のヒビの入った部分に打ち込む。
さやか「随分と手間かけさせてくれたもんだけど…」
くるみ割りの魔女が背中から伸ばした触手を、人魚の魔女は全て斬り刻む。
さやか「まあ…あいつの為なら、仕方ないか。ここまで頑張ってきた奴には、それなりのご褒美があってもいいもんね!」
手下(凶報)の群れを切り伏せる。
まどかの眼前のビル街に積み重なった無数の家具。
まどか「さやかちゃん…」
心配するまどかの背後から、空中ブランコにぶら下がったマミがやって来る。
まどか「!?」
まどかをキャッチ。
マミ「鹿目さん!」
空中で彼女を離し…。
マミ「私達も行くわよ!」
まどか「は…はい!」
まどかが伸ばした手を掴むマミ。
ピンクと黄色のリボンが二重螺旋の様に絡み合い、空中に伸びる。
まどか「!!」
着地したまどかは弓を構え、天井の割れ目めがけて矢を放つ。
更に広がる亀裂。
ほむら「やめて…もうやめて…! 私は、この世界で死ななきゃならないの!!」
拮抗し合うくるみ割り・人魚両魔女。
偽街の子供達がくるみ割りの魔女の手を伝って走り、使い魔同士の乱戦の場に飛び降りる。
子供達が走った所の薔薇園の手下(造園)が吹き飛ばされる。
それを見ていたなぎさの元にまどかが駆けつけ、抱きかかえて走り去る。
追いかける子供達に、委員長の手下が襲いかかる。
まどかとなぎさは薔薇園の手下(警戒)を連れて影の手下に乗り、魔女同士の戦いの場へと向かう。
工場のパイプの上を突っ走るさやか。
子供が投げた編み棒でパイプが爆発し、足場の上で子供と切り結ぶ。
さやか「だーかーら! 1人で背負い込もうと、するなってーの!」
突っ込んできた別の子供に吹っ飛ばされ、くるみ割りの手下(凶報・ブロッケン級)に丸呑みにされる。
しかし、何者かの斬撃を受け破裂する。
杏子「ちいっ! 訳分かんねえ事に巻き込みやがって…!」
助けたのは杏子だった。
街灯の上で、落ちてきたさやかを受け止める。
さやか「おっと…サンキュ…?」
杏子「胸糞悪くなる夢を見たんだ…あんたが死んじまう夢を」
水底へと落下していくさやかのイメージ。
杏子「でも、本当はそっちが現実で、今、こうして2人で戦ってるのが夢だって…そういう事なのか? さやか」
くるみ割りの手下(咀嚼)の群れが、クルミを一斉に吐き出す。
さやか「……夢って言う程、悲しいものじゃないよ、これ」
薔薇園の手下(造園)が、手から光弾を放つ。
マミのマスケット銃が手下(咀嚼)を撃ち抜く。
さやか「何の未練もないつもりでいたけれど…」
杏子の手を握る。
さやか「それでも…結局…こんな役目を引き受けて戻って来ちゃったなんて…やっぱりあたし、心残りだったんだろうね…」
薔薇園の手下(警戒)が、くるみ割りの手下(凶報・ブロッケン級)を体当たりで倒す。
シャボン玉を飛ばしながら空を駆けるなぎさ。
まどかの足元で、時折顔を覗かせる暗闇の手下。
くるみ割りの手下(刑の執行)達が一斉に投げた槍は、人魚の魔女には当たらない。
さやか「あんたを、置き去りにしちゃった事が…」
なぎさ「なぎさは、もう一度チーズが食べたかっただけなのです」
会話に割り込むなぎさの後に、落書きの手下もついて来る。
さやか「…おいこら! 空気読めっての!」
街頭から飛び降りるさやか。
涙の滴が杏子の槍に落ちる。
杏子「…」
手下(刑の執行)の群れの中に降り立ち、それを切り伏せるさやか。
杏子もそれに追いつく。
杏子「バッカ野郎!」
背中合わせから2手に分かれ、杏子がピンチに陥ってもすぐにさやかが加勢。
手下(刑の執行・ブロッケン級)が出現。
くるみ割りの魔女が、無数の触手を伸ばす。
杏子のそれと同じ槍を手にした人魚の魔女。
手下(刑の執行・ブロッケン級)の1人はビルを破壊し、他の個体はなぎさを捕まえようとするも、かわされる。
お菓子の使い魔(チーズの看護)と一緒に空中ブランコで空を渡るマミ。
どこからともなく現れた、パフェの様な列車砲。
マミが砲身の先に着地。
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
砲弾が一撃で手下(刑の執行・ブロッケン級)を殲滅。
人魚の魔女の槍が天井を突き破る。
五線譜の足場を駆けるまどか。
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「やめて…まどか…」
まどかの放った矢が、くるみ割りの魔女の背後の天井に大穴を空ける。
かけらが雨霰の様に結界に降り注ぐ。
既に手下は倒された。
疲れたなぎさはマミにもたれて休んでいる。
破れた天井から、観測レンズを通してこの世界の様子を監視するキュゥべえ達。
なぎさ「…見えた!」
なぎさの顔が元の人の顔に戻る。
なぎさ「インキュベーターの封印なのです!」
さやか「…あれを壊せば、あんたは自由になれるんだ、ほむら!」
魔女の元を目指して、まどかは細い氷の道をひた走る。
さやか「インキュベーターの干渉を受けないまま、外の世界で、本当のまどかに会える!!」
空間に浮かぶ白い窓。
ほむら「…」
窓に映るのは、雨振る荒廃した見滝原市。
その中で、穢れたソウルジェムを持ったまま倒れているほむら。
倒れたまどかを抱きかかえる三つ編みメガネのほむら。
倒れていたほむらが、拳銃を手に立ち上がる。
再び窓の外。魔法少女姿のほむらが、三つ編みのほむらに拳銃を向ける。
まどか「ダメだよ、ほむらちゃん…独りぼっちにならないでって、言ったじゃない」
窓が開く。
ほむら「まどか…」
まどかが窓から手を差し延べる。
まどか「何があっても、ほむらちゃんはほむらちゃんだよ。わたしは絶対に見捨てたりしない。だから、諦めないで!」
荒廃した見滝原市。まどかが三つ編みメガネのほむらの顔に手を当て、ほむらは涙ながらに握り返す。
窓の外で、三つ編みのほむらもまどかの手に縋り付いて泣く。
魔法少女姿のほむらも、引鉄を引けない。
三つ編みメガネのほむらの涙が、まどかの顔にこぼれる。
ほむら「ごめんなさい…私、いくじなしだった…もう一度あなたと会いたいって…」
2人はくるみ割りの魔女の頭の上に。
ほむら「その気持ちを裏切る位なら…そうだ、私はどんな罪だって背負える…どんな姿になり果てたとしても!!」
ほむらの全身を取り巻いていた呪いが消えて元の姿に戻っていく。
ほむら「きっと平気だわ…あなたが傍にいてくれさえすれば…」
まどか「さあ、ほむらちゃん。一緒に…」
2人が弓を合わせる。
ほむら「ええ…!」
魔女の頭の彼岸花が木に変わり、桜の花が咲き乱れる。
舞い散る桜の中で、2人は巨大な弓を構える。
円環の理の紋章が現れ、桃色の眩い光が魔女の頭上から周囲を照らす。
まどか「ほむらちゃん、怖くない?」
ほむら「ううん、大丈夫…もう私は、躊躇ったりしない…」
2人の放った巨大な光の矢が遮断フィールドを突き抜け、月を射抜き、空に魔法陣が広がる。
そして無数の光の矢が降り注ぎ、観測装置周辺に群がるキュゥべえ達を殲滅していく。
キュゥべえ達「「「「「「「「「「訳が分からないよ…」」」」」」」」」」
ソウルジェムの世界は消滅し、そこには荒野が広がっていた…。
マミはベッドに横たわるほむらの胸の上にソウルジェムを置き、上空の月を見上げる。
ハコの手下や鳥カゴの手下に救出された恭介・仁美・中沢・和子・鹿目一家。
振り返るマミの向こうで、遠くを眺める杏子。
杏子「行っちまったのか? さやかも、あんたのベベも…」
歩み寄るマミ。
沈黙の後…。
マミ「いいえ…」
杏子「?」
空の一部が明るくなる。
マミ「…今ようやく、彼女を連れていくところよ」
光は一段と明るさを増す。
杏子「あれが、鹿目まどか…」
マミ「ええ……いつか私達を導く、円環の理…」
円形の模様が広がり、その中央の無限空間から花の道が地上へと伸びる。
象に引かれたカボチャの馬車に先導され、まどかが"アルティメットまどか"の姿で現れる。
まどか「そうだった…わたしは、ほむらちゃんの為に……こんな大事な事忘れてたなんて…」
さやか「ま、余計な邪魔が入ったからね」
馬車からさやかが答える。
さやか「ちょっとした、回り道になっちゃったかな」
その隣でシャボン玉を吹くなぎさ。
なぎさ「やれやれなのです」
目覚めるほむら。
その瞳に映る馬車、マミと杏子、そしてまどか。
まどか「待たせちゃって、ごめんね……今日までずっと頑張ってきたんだよね…」
ほむら「まどか…」
まどか「さあ、行こう…これからはずっと一緒だよ…」
ほむら「ええ、そうね…」
顔を背ける。
ほむら「この時を…待ってた…!」
口元に、歪んだ笑みを浮かべるほむら。
まどかがソウルジェムに手をかけようとした瞬間、その手を掴む。
まどか「…!? ほむらちゃん?」
ほむら「やっと……捕まえた…!」
ソウルジェムが一瞬光り、そこから不気味な色の感情エネルギーが溢れ出す。
杏子「お、おい!!」
マミ「な、何よこれ! 暁美さん!?」
なぎさ「ソウルジェムが、呪いよりもおぞましい色に…!」
さやか「何なのあれ!? 欲望? 執念? いや違う…暁美ほむら!! あんた一体…!」
ほむら「…」
エネルギーが更に広がる。
ほむら「理解出来ないのも当然よ…ええ…誰に分かる筈もない…」
マミ「…!」
耐えるマミ・杏子・なぎさ・さやか。
ほむら「この想いは、私だけのモノ…まどかの為だけのモノ…」
ソウルジェムが砕け、周囲の空間が歪み、ひび割れる。
まどか「ほむらちゃん…ダメ…わたしが裂けちゃう!!」
アルティメットまどかと人間のまどかの2つに分かれる。
ほむら「言った筈よ。まどか…もう二度と…あなたを離さない…!」
人間のまどかを引き寄せる。
エネルギーが周囲を塗り潰していく。
マミ「!」
杏子「!」
なぎさ「あっ!」
さやか「!」
そして地上も、地球も、宇宙も、銀河系も、因果律さえも侵食する。
闇の中を漂う糸巻き。
ほむらは口からソウルジェムを吐き、噛み砕く。
その破片が糸巻きと合わさり、紫と黒の結晶体として再構成され、彼女の掌の上に収まる。
キュゥべえ「…世界が書き換えられていく…この宇宙に、新しい概念が誕生したというのか?」
ほむら「そう言えば、あなたは覚えていなかったわね? 私にとっては2度目の光景だけれど…」
キュゥべえ「何が起きているんだ? 暁美ほむら、君は何に干渉してるんだ? 何を改竄してしまったんだ!?」
ほむら「…ふっ」
キュゥべえ「信じられない。呪いに染まったソウルジェムが、消え去る筈の君の魂が…何故…」
ほむら「思い出したのよ。今日まで何度も繰り返して、傷付き苦しんできた全てが、まどかを想っての事だった。だからこそ、今はもう痛みさえ愛おしい…私のソウルジェムを濁らせたのは、最早呪いでさえなかった」
キュゥべえ「それじゃあ、一体…」
ほむら「…あなたには理解出来る筈もないわね。インキュベーター」
手が泡となって消える。
ほむら「これこそが、人間の感情の極み。希望よりも熱く、絶望よりも深いモノ…"愛"よ」
結晶体を飲み込む。
トカゲを象った紋章が浮かび上がる。
キュゥべえ「君は一体、何者なんだ!? 魔法少女でも魔女でもなく、一体どこに辿り着こうとしてるんだ!?」
美しくも妖艶な、黒いドレス姿へと変わるほむら。
ほむら「そうね…確かに今の私は、魔女ですらない」
背中から翼が生え、漆黒の羽根が舞い散る。
ほむら「あの神にも等しく聖なる者を貶めて、蝕んでしまったんだもの。そんな真似が出来る存在は、もう"悪魔"とでも呼ぶしかないんじゃないかしら」
キュゥべえ「…これではっきりした。君達人類の感情は、利用するには危険すぎる。こんな途方もない結末は、僕達では制御し切れない」
ほむら「あら、そう?」
逃げようとするキュゥべえを左手で掴み…。
キュゥべえ「わっ!」
ほむら「でもね。私達の世界に湧いた呪いを処理するのは…これからも、あなた達の存在が必要なの」
手から離して指で摘み…。
ほむら「協力してもらうわよ?」
右人差し指で頭をくすぐる。
ほむら「…インキュベーター」
今や、ほむらの奴隷に等しい存在にされたキュゥべえ。
彼女の力で生み出された新しい宇宙。
街の空中に漂う蓄音機。やがて火花が飛び散り、弾け飛ぶ。
まどかへの愛を以て円環の理に叛逆し、あまつさえそれを引き裂き、奪った者…悪魔となったほむら。
彼女によって、再び世界の因果律は書き換えられた──。
最終更新:2020年03月03日 11:30