ヴァールズ帝国

守りの要とされている戦神ヴァンダーラが守護し、信仰されていた国。
ギールシクリヒト大陸に存在していて、当時世界でも有数の大国であり、
「大陸の守り手」として君臨していた国であった。

その名に恥じぬ軍事力を持ち、特に防衛力が高く「無敵守備国」と呼ばれるほど、難攻不落であった。
ギールシクリヒト大陸のいくつかの国と安全保障同盟を結んでおり、条件、見返りをもらう代わりに、有事の際には援軍を送り守っていた。

そんなヴァールズであったが、第三次魔族侵攻の際、戦神ヴァンダーラがペラシオン神族に倒され、
守護が消えたことにより、誇っていた防衛力が大幅に低下した。
いきなりのことで、なぜ戦神ヴァンダーラの守護が消えてしまったのか分からないまま、
突然、夥しい魔族と魔物の軍勢が現れたことにより、防衛の準備をする暇もなく、あっという間に呑み込まれてヴァールズは完全に滅亡した。

第三次魔族侵攻で最初に狙われた国というのが、歴史学者の間では有力な説である。
そのため、「大陸の守り手」という人類にとって強力な味方になりえる相手であったこともあり、今後自分たちにとっての障害にならないよう魔族は手加減をすることなく、破壊し尽くしたとされている。

「無敵守備国」が最初に、なすすべも無く呑み込まれたことで、「ヴァールズが勝てないのなら、自分たちに勝てるはずがない」と、周りの国に思わせ、その後の魔族の侵略が楽になったとも言われている。

一説によるとグリルグゥルデン帝国の建国者は、元々ヴァールズ出身だったとも言われている。
そのため、グリルグゥルデン帝国において、ヴァールズ帝国の一部の歴史や史料が残されており、グリルグゥルデン神話にも少し登場している。


以下、グリルグゥルデン帝国にて保管された。
「ヴァールズの最期」という書物に記載されたものである。


魔族に味方していたペラシオン神族により、【絶望の星石】が守りの要であった戦神ヴァンダーラを狙い致命傷を負わせた。
最初に強い者や戦において要となる者を不意打ちで倒しておき、楽に世界を支配するというペラシオン神族の戦略であった。

「ソルアリス様……愛おしい我が民よ……すま…な……い………」そう呟いて戦神ヴァンダーラは死んでしまう。

戦神ヴァンダーラが守護していた地上にある大国ヴァールズの王宮ではーー
「陛下、大変です!ヴァンダーラ様の守護が消えてしまいましたっ!!」

「なに!?何故だ!!」

「分かりません…ですが、神官の呼びかけにも応答がないようなのです。」

「まことか。このままでは、我が国は無防備ぞ……この状況で攻められでもしたらまずいな……。」

あり得ない状況に皆が騒いでいたその時、ものすごい地響きをあげながら地平線の彼方から砂埃が迫ってきていた。

ヴァールズの人々はそれに気づき、城壁の上にのぼり何事かと様子を見にいく者や、
気づいてはいたが、平和ボケしていて大丈夫だろうと普段通りに行動する者もいた。

城壁の上にのぼった人々はすぐさま絶望に陥ることとなった。
「なんだあれは!?」
「ま、魔物と魔族だっ!!」
「な、な、なんて数だ!!や、やばい、逃げろ---!」
「うわあああああああああああ」

地平線のさらに奥の奥までびっしり埋めつくすほどの、魔物と魔族がヴァールズに突然押し寄せてきたのである。

戦神ヴァンダーラの守護が消えたヴァールズは、なすすべもなく、抵抗する余地もなく、
あっけなく城壁は破られ、街に夥しい魔族と魔物が侵入し、民は虐殺され犯され、王宮は崩壊して王族は皆死んでしまった。
死を逃れた国民は、這々の体で大陸内にある他の国々に逃げ込んだ。
ここに、「大陸の守り手」であった、大国ヴァールズは滅亡したのである。


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