氷のように冷たく輝いていた月が淡く溶けていき、東の地平線からゆっくりと太陽が姿を現した。
朝日は柔らかく橋を照らし、冷え切った夜の名残を静かに押し流していく。
廃墟へと続く橋のたもと、静寂がその場を支配していた。
薄く残る夜の名残を纏うように立つ一人の男と、彼と向かい合う三人の少女たち。
東の空に滲む茜色が、彼らが抱える緊張をゆっくりと浮かび上がらせ、世界が目を覚ましはじめていた。
アイは無意識のうちにその空を見上げ、眩しげに目を細めた。
その小さな瞳は、これまで生きてきた密林の朝焼けを思い出すかのように茜の光を捉え続けていた。
すぐ傍に立つ叶苗は息を呑み、まだ身体の痛みが癒えぬまま身を固くして日月の背後に踏みとどまっている。
そして、日月。
その鋭い瞳は、正面に佇む男、氷月蓮を射抜くように注がれていた。
まるで彼の名が象徴する夜の残滓を見定めるかのように、静かだが警戒を緩めぬ視線を送り続けている。
対する氷月は柔らかな微笑みを浮かべていた。
その表情は、夜明け前の薄明かりのように穏やかで優しく見える。
朝を迎えた明るさの下では、月の柔らかな光は人の目にどう映るのか。
「仲間にねぇ……その前に確認しておきたいんだけど、その服はどうしたのかしら?」
日月は静かな、しかし厳しい口調で問う。
この場において、囚人服以外の衣服を身に着けているというのは、すなわち既に恩赦Pを手に入れていた危険人物である可能性を示唆する。
その問いに氷月は動じることなく、僅かに眉をひそめながら答えた。
「開始早々、焔の魔女に襲われてね。命からがら逃げ延びたけど、その際に囚人服を失ってしまったんだ」
「焔の魔女って……フレゼア・フランベルジェのこと?」
「ああ、そうだよ」
日月の表情がわずかに動く。
その脳裏に、フレゼアに襲われ火傷を負った記憶が生々しく蘇ったからだ。
この周囲にフレゼアがいたのは他ならぬ彼女が証人である、紛れもない事実だ。
「この服は廃墟にあった民家から拝借させてもらったのさ。疑うなら、恩赦ポイントの履歴を確認してもらって構わない」
氷月の言葉には迷いがなく、明確な証明を伴う説得力があった。
恩赦ポイントの履歴を見れば、少なくとも彼がここで誰も殺害していないことは確認できる。
僅かに納得の息をつき、日月は次なる質問を投げかけた。
「じゃあ、もう一つ。あなたの罪状は何? 具体的に聞かせて頂戴」
首輪に示された『30年』という刑期は、このアビスでは決して重罪ではないものの、社会一般に照らせば凶悪な罪状に分類される。
彼を同行者として受け入れるかどうかの判断に、この確認は欠かせなかった。
その質問に叶苗も呼吸を浅くし、そっとアイの肩を抱き寄せるようにして男の返答を待った。
氷月は微笑みを静かに消し去り、まるで痛みに耐えるようにゆっくり目を閉じ、静かな吐息とともに口を開いた。
「罪状は……殺人罪だよ」
叶苗がわずかに身を震わせ、アイがその気配を敏感に察してびくりと身体を強張らせる。
それでも氷月はゆっくりと顔を上げ、悲痛な色を滲ませる瞳を日月に向けた。
「随分と正直なのね」
「嘘をついたところで、後から発覚したらそれこそ信用を失うだけだろう?」
己の安全性をアピールするべき場で、殺人者であることを告白するのは通常であれば得にはならない。
だが、殺人者など珍しくもないこのアビスにおいてはその意味合いは少し変わる。
アビスにおいては殺人者であることよりも、それを隠そうとする嘘を述べる方が警戒対象となる。
この男は罪状を隠すこと自体が疑惑を生み、後のトラブルを呼ぶことを理解していた。
何より、この場所にいる者は誰もが殺人の咎を背負った罪人であり、他人の殺しを非難できる立場にはないだろう。
「なら、動機は何なのかしら? 理由によっては話が変わってくるでしょう?」
この場における問題は動機だ。
情状酌量の余地を問うわけではないが、危険性だけは見積もっておく必要がある。
「僕が手を下したのは、復讐のためだよ」
「復讐……?」
その言葉に叶苗が目を見開き、はっと顔を上げる。
意識せずに口をついて出た疑問は、明らかな動揺を含んでいた。
氷月は彼女の反応を視界の端で捉えながら、遠い記憶を引きずり出すように言葉を紡いだ。
「家族を酷い目に遭わせた連中がいてね……司法は何の助けにもならなかった。何度も訴えたが、結局誰も動かなかったんだ。だから、僕自身が手を下すしかなかった」
その言葉には明確な苦痛が混じり、叶苗は自らの胸を抉られるような共感を覚えた。
それは、かつて彼女自身が感じた無力感と絶望そのものだったからだ。
氷月は穏やかに微笑んで続ける。
しかし、その笑みには隠しきれない哀しみが宿っているようにも見えた。
「罪を後悔したことはないよ。ただ、結局僕は復讐を遂げたことで、このアビスへ落ちることになったけどね」
叶苗は言葉を失ったまま、氷月の姿を見つめた。
同じような苦しみを背負い、同じような決断を下した人間がいる。
その事実が彼女の孤独をほんの少しだけ和らげる気がした。
氷月は再び真摯な表情を浮かべ、言葉を重ねる。
「無関係な者を襲う気は一切ない。それだけは信じてくれないかな?」
彼の言葉と感情に共感を覚え、叶苗は思わず日月に向き直った。
「……日月さん。私は、この人を信じてもいいと思います」
伺うようなその叶苗の眼差しに、日月は僅かな逡巡の後に深く息を吐く。
氷月の申し出の通り、生き残りを目指すだけならば、集団行動が生存率を高めるのは間違いない。
恩赦のための殺人を目的としているのなら、孤立している人間を狙った方がよっぽどやりやすいだろう。
わざわざ危険を犯して集団を狙って騙す必要性も薄い。
猜疑心は拭えないが、確かに氷月の言葉には矛盾もなければ論理的破綻もない。
ゆっくりと頷いた日月は、冷ややかな声で告げる。
「……分かったわ。あなたの同行を認める。だけど、少しでも怪しい動きを見せたら……容赦はしないから」
その声音には脅しではなく本気を帯びていた。
その言葉に氷月は落ち着いた微笑みで応え、穏やかに手を差し伸べる。
日月はその手を冷淡に無視したが、代わりに叶苗が静かに、その手を握り返した。
「それで、君たちはこれからどこへ向かうつもりなんだい?」
形式的な自己紹介が交わされたあと、氷月が尋ねた。
その問いに、叶苗が少し戸惑いながらも答える。
「北東の廃墟……です。人目につきにくい場所があればと思って……」
その言葉を聞いた途端、氷月の表情がわずかに明るくなる。
「それはちょうどいい。先ほども少し言ったけれど、あの廃墟には以前、一度足を運んだことがあるんだ。
全体の構造や逃げ道もある程度把握している。よければ、僕が案内しよう」
その申し出に、叶苗は一瞬驚き、次いでわずかに表情を和らげる。
この過酷な環境下で、氷月の落ち着いた声色と穏やかな物腰は、思いのほか頼りがいがあった。
ルーサー・キングのように支配と圧で空気をねじ伏せる漆黒の鋼鉄のような男とは対極の存在。
線の細い外見は頼りない印象すら与えるが、その中に芯の通った静かな知性と、周囲を見極める観察眼がある。
まるで透き通る氷のような透明な存在感がある男だった。
「……じゃあ、お願いします」
小さく頷くと、叶苗は隣にいたアイの手を改めて握り締めた。
その手はじんわりと汗ばんでおり、現れた男に対するアイの緊張がまだ完全には解けていないことを語っている。
それでも、叶苗の手を通して伝わる体温に、アイは微かに安堵の色を滲ませた。
「それじゃあ、案内しよう。ついてきてくれ」
氷月が優しく声をかけ、3人を先導するように静かに橋を渡り始めた。
叶苗とアイが連れ立ってその後に続き、日月はその背中を冷静に観察しながら最後に続いた。
橋を渡り切り、朽ちかけた建物が連なる一帯が姿を現すと、氷月はふと足を止め、周囲を見渡す。
まるで古い友人の家に帰ってきたかのように、自然な手つきで視線を流し、状況を確認した。
「この廃墟群は、大まかに分けて東西で構造が違うんだ」
歩みを再開した氷月は背後を振り返らずに口を開いた。まるで、長年の案内人のように落ち着いた声音だった。
「西側には、かつてのビルや店舗跡が多くてね。背が高く遮蔽物にはなるけど、上階に潜まれると視界が利きにくい。
一方で東側には低い民家や崩れた商店が点在していて、地形は複雑だが、瓦礫が多く隠れやすい。身を潜めるには東のほうが向いている。
もう一つ、東側の利点は川が近いということだ。万が一の襲撃時、瓦礫を縫って移動すれば川まで逃げられる。
最悪、対岸まで泳げば追手を撒ける可能性もある。……まあ、水はあくまで一時的な盾だが、何もないよりはずっといい」
氷月の言葉は明快で無駄がない。
彼が一度ここを訪れ、実地で地形を観察していたことは明らかであり、潜伏先の洗い出しだけではなく、いざと言う時の退路まで考慮している。
叶苗は感嘆の吐息を漏らしながら、思わず言葉をこぼす。
「すごいですね……氷月さん。地図を見ただけじゃとても分からないようなことばかりで……」
つい素直な感想が漏れた。
氷月は微笑みながら、まるで当たり前のように肩をすくめて返した。
「冷静でいることは、生き残るための最低条件だからね。僕が生き延びるためでもあるし……それが君たちの助けになるのなら、なおさら嬉しい」
彼の言葉には誇張も押し付けもなく、ただ静かな誠意だけが滲んでいた。
叶苗はその柔らかな言葉に小さく頷いた。
だが、そのやり取りを数歩後ろから見ていた日月は別の感情を抱えていた。
その感情を言葉にはせず、警戒心を滲ませながら沈黙のままその背を追う。
崩れかけた路地を慎重に抜け、氷月の先導で廃墟群の中へと一行は足を踏み入れた。
建材の山がところどころに積もり、剥き出しの鉄骨が地面から突き出ている。風の音に混じって、時折どこかの建物の軋む音が響く。
「このあたり一帯、建物の多くは構造が完全に崩れている。屋根が抜け落ちていたり、床が傾いていたりで、しばらく身を置くには少し危険があるね」
氷月はそう言いながら、足元の瓦礫を枝で突き、地盤の安定を確かめながら進んでいた。
その数歩後方で殿を務める日月は無言のまま、氷月の背を警戒するように見つめている。
その表情からは、警戒心と分析が読み取れた。
その中間に位置する叶苗は、アイを庇うように寄り添わせながら、俯いたまま足を進めていた。
言葉にできない思考が胸の奥を渦巻き、何かを言うべきか否かで迷い続けていた。
やがて、思い切るように、叶苗は小さく口を開いた。
「……氷月さん」
か細く震えた声だった。
その呼びかけに、氷月はすぐに彼女を振り返る。
「何か、気になることでも?」
静かで優しい口調が返ってくる。
その声音に背を押されるように、叶苗は少しだけ顔を上げた。
「さっき……あなた、復讐で人を殺したって言ってましたよね」
「ああ。そうだね」
「……私も、なんです」
その告白に、氷月の瞳がわずかに細められた。
しかし、何も言わず、ただ静かに続きを待つ。
叶苗は、一度小さく呼吸を整えるように息を吸い込み、喉の奥に引っかかるような苦しみを押し出すように、ぽつりぽつりと言葉を重ねていく。
「私……この刑務作業に参加してる、恵波流都って男を探してるんです。
表の名はそうだった。でも裏では『ブラッドストーク』って呼ばれてて……」
言葉が途切れる。
喉が灼けるように熱く、心臓が痛みで軋んでいた。
「……そいつが、私の家族を皆殺しにした。兄も、姉も、父も、母も。全員……あんな、理不尽な形で」
氷月は、一切口を挟まずに耳を傾けていた。
「……警察も、司法も、結局は何もしてくれなかったんです。
だから、私がやったんです。……下っ端を、情報をたどって一人ずつ……。 最後に残ったのが、あいつだけで。
だから、私はこの刑務作業に参加した。ここで、終わらせるために」
その声には怒りも激情もなかった。
ただ、過去に押し潰されてしまいそうな静かな哀しみだけがあった。
そこまで語ったところで、叶苗ははっとしたように氷月から視線を逸らした。
「……すみません。変なこと言って。別に、同情してほしいとか、そういうつもりじゃなくて。
氷月さんが、何か……恵波のことを知っていればと思って……」
その声は自責に満ちていた。
氷月は、ほんの少しだけ眉を下げ、首を横に振る。
「残念ながら……心当たりはないね」
「そう、ですか……」
叶苗は、微かに肩を落とした。
都合のいい展開を期待していたわけではないが、何度経験しても空振りは少し堪える。
「お力になれず、申し訳ない」
氷月の声は静かで、どこか申し訳なさそうに響いた。
そして、一拍置いて、穏やかに続けた。
「けれど……こういう言い方が正しいのか分からないけど。同じように痛みを抱えてる人間がいてくれるっていうのは、少しだけ……救われるような気がするね。変かな?」
その言葉に、叶苗はかすかに目を見開いた。
そして、ほんのわずかに、だが確かに、表情を和らげて頷いた。
「……いえ。私も、そう思います」
そこには、憎しみの奥に沈んでいた人としての心が、わずかに顔を覗かせていた。
■
氷月の語った過去――復讐による殺人。
それはもちろん、最初から最後まで嘘にすぎなかった。
躊躇も逡巡もなく口をついて出たその嘘は、彼にとってただの戦術だった。
目的は、相手の警戒を解き、集団の中に受け入れられること。
サイコパスの本領は、冷徹なまでの計算と、情に訴える嘘をもっともらしく語れる才能にある。
氷月はそれを自覚していたし、使いこなしていた。
首輪に刻まれた『30年』という刑期は偽れない。
ならば、納得できる動機をそれに添えるだけだ、その選択肢として、“復讐”という題材は最適だった。
誰かを守るため、あるいは司法に見放された怒りによる制裁。
そういった語り口は人の良心に訴えやすく、特に道徳的な罪悪感の強いタイプには抜群に効く。
生き残りを目指しているであろう弱者同士の集団ならば、そう言う輩もいるだろうという算段だ。
氷月は最初から叶苗の心情を見抜いていたわけではない。
彼はただ、最大公約数的に同情を買えるシナリオを投じただけだった。
だが、復讐と言う言葉に叶苗が明らかな反応を示した。
それは、意識的というよりも条件反射のような反応だった。
彼女の瞳が揺れたその変化は一瞬だったが、氷月の目は見逃さなかった。
すぐに彼の脳内で軌道修正が行われた。
想定していた“同情の得られる話”から、“相手の感情に寄り添う話”へと、語りの重心が滑らかに移行する。
司法に見捨てられ己が手を汚すしかなかったと、悲しみを帯びた口調で続けながら、
氷月はあたかも自分と似た過去を持つ者へ向けた言葉のように、叶苗に対して丁寧に言葉を選んでいった。
その瞳には、確かに傷を知る者の色が宿っていた。
氷月の良く知る復讐者。エネリットの仮面を氷月は完璧に模倣してみせたのだ。
それは彼にとって、呼吸を整えるのと変わらない、ごく自然な行為だった。
氷月の嘘は、状況に応じて変幻自在に形を変えながら、その場に適した最善の顔を選び取る。
叶苗の反応を読み取ったうえで、彼女の心情に寄り添う言葉を投じる。
共感は連帯感を生み、連帯は信頼へと変わる。
これに対して叶苗が自らの過去を打ち明けてきたのは僥倖だった。
彼の語った過去が真実であるかどうかを確かめる術は、この場にはない。
彼の引き起こした事件はそのセンセーショナルさから当時は国内でそれなりに話題になった。
だが、少年犯罪であったため犯人は少年Aとして匿名報道しかされておらず、その犯人が氷月であると言う事実は刑務官などの一部の関係者しか知られていない。
『少年A』として語られたその残虐な支配と殺人の記録は、一般には決して結びつかない。
何より『開闢の日』と言う全てを塗り替える大事件の以前に起きた事件など、大半は世間からはすでに忘れ去られている。
それ以前に、この場にいる少女たちは、事件が起きた時期にはまだ生まれてもいなかったのだ、氷月の素性を見抜けるはずもない。
真実は、彼自身の中にだけあり、誰にも知られることなく静かに氷の月は浸食していく。
■
瓦礫の山をいくつか越えた先、川からそう遠くない位置に、比較的形を保った一軒の民家が見えてきた。
黒ずんだ外壁は煤け、屋根の瓦はところどころ剥がれ落ちているが、それでも建物全体は傾いておらず、窓枠や外装も比較的無事な様子だ。
「ここにしよう」
氷月が足を止め、静かに指を差す。
「二階が残っている。裏口も健在。崩落のリスクは低く、外敵に襲われても退路の確保が可能だ」
言葉の通り、木造の二階建ては周囲の建物に比べて状態が良く、扉や窓は一部割れてはいるものの、明らかに侵入された形跡はない。
草の伸びた庭を一周しながら氷月は確認を続ける。
「表口は鍵がかかっているけど……あそこの窓から入れそうだ。氷藤さん、少し手を貸してくれるかな?」
「え……あ、はい!」
呼びかけに叶苗が頷き、割れた窓枠の下にしゃがみこむ。
氷月が彼女を軽く支えるように手を添え、叶苗はしなやかに身を翻して窓から内部へと滑り込んだ。
中は想像以上に静かだった。家具はそのまま残され、床はきしむ程度で抜けていない。
空き巣や略奪の跡もなく、人がいなくなってから長い時間が経っていることを感じさせた。
叶苗は息を潜めながら玄関に回り、錆びついた鍵を何度か捻ってようやく開錠音が響く。
「……開きました」
小さく報告する声に、外で待っていた氷月が頷き、日月とアイを促して中へと入っていく。
扉が閉じられると、外の世界から切り離されたような静けさが広がった。
民家の内部は、外観よりも遥かに穏やかだった。
埃にまみれた家具、倒れた椅子、乾いた空気、どれも時間の流れを感じさせるだけで、危険な気配はない。
一行は一階の部屋を手早く点検したあと、リビングらしき空間にひとまず腰を下ろした。
朝を迎えたとはいえ、電気の通っていない民家の内部は薄暗く、空気はひんやりとしていた。
壁に仕切られ、瓦礫の世界から切り離された空間がもたらす安心感に、誰もがほんの少しだけ表情を緩める。
張り詰めていた緊張の糸が、わずかに緩む瞬間だった。
だが、アイだけは、依然として緊張の色を解かず、叶苗の腕にぴたりと身を寄せたまま、じっと氷月を警戒している。
突然現れたオスに対してその小さな肩は硬直し、細い指は叶苗の袖をぎゅっと掴んでいた。
その様子に、氷月は何も言わず、ゆっくりと動きを止めた。
「……大丈夫。怖がらせるつもりはないよ」
低く、柔らかな声。
氷月はアイに敵意がないことを示すように、正面にしゃがみこみ、アイと目を合わせることなく視線をわざと逸らす。
それから、口の中で小さな音を鳴らし始めた。
――チッ、チッ、チッ。
微かな、リズミカルな舌打ちの音。
それはゴリラ社会において敵意がないと示すために使われる非言語的サインだった。
リズムよく鳴らされるその音は、音楽でも言葉でもなく本能に訴えかける原始的な信号である。
「……?」
アイがぴくりと耳を動かし、首をかしげた。
警戒するように、しかし好奇心に負けるように氷月へと目線を向ける。
氷月はその間も一切動かない。
まるで近づいても安全だと伝えるかのように、ただただ、静かに待つ。
そして、アイがおずおずと前へと一歩、また一歩と足を踏み出す。
警戒心が完全に消えきってはいないものの、その小さな歩みは明らかに氷月を安全な存在と認識し始めている証だった。
その変化を、叶苗は驚きながら見つめていた。
やがてアイは氷月の足元まで近づくと、少し迷ったような表情のまま、その場に座り込んだ。
氷月がようやく顔を上げ、優しい声で囁く。
「よく来てくれたね。怯えさせて、ごめんよ」
アイは一瞬迷ったような表情を見せたが、やがてこくりと小さく頷いた。
その小さな仕草が、場の空気をわずかに和らげる。
叶苗は、そんなふたりの様子を優しい目で見守っていた。
自分があれだけ苦労してあやしたアイを氷月はあっさりと懐かせて見せた。
動物は本能で悪人を見抜くなどという幻想を、叶苗はどこかで信じていたのだ。
だが、それはやはり幻想でしかない。
実際にアイの心を動かしたのは、そうした心の清さではなく、動物の飼育に対する知識である。
適切な飼育のための知識は動物ごとに体系化され、正しい知識を持って接すれば動物の信頼を勝ち取るのは人間よりも簡単だ。
氷月の行動はまさにそれだった。
ゴリラに育てられたアイは入獄したばかりの叶苗の耳に入る程にアビス内で知られた存在だ。
彼はその知識を活用して『最適』を選び取っただけである。
「そうだ、氷藤さん」
「はい………?」
何かを思い出したように氷月がふと立ち上がり、リビングの隅から何かを取り出して戻ってきた。
それは、色褪せたが比較的清潔なシャツだった。
「よろしければこれを」
不意に差し出されたシャツに、叶苗は目を瞬かせた。
予想外の申し出に戸惑いながら、彼の顔とシャツとを交互に見つめる。
「さっき家の中を調べた時に偶然見つけてね。たとえ獣人の姿とはいえ、年頃の少女が胸元をあらわにするものではないからね」
その言葉に、叶苗の頬がみるみる紅潮していく。
アイによってボタンをはだけられた彼女の胸元は体毛に覆われており、見えたところで気にしていなかった。
だが、改めて目の前の男にそう指摘され、忘れかけていた羞恥という感情が彼女の中に思い出された。
「あ……ありがとうございます……」
シャツを胸元に抱き寄せるように受け取ると、叶苗は消え入りそうな声で感謝を述べて視線を逸らした。
その様子を見て、氷月は僅かに頷き、言葉もなく静かに扉をそっと開けてその場を離れる。
叶苗が着替える時間と空間を、当たり前のように差し出したのだ。
下心を感じさせる素振りは一切ない。
ただ、必要だと判断したから、それに応じた行動をしたという紳士的な態度だった。
「……よかったですね。氷月さん、いい人みたいで」
シャツを羽織りながら、叶苗はぽつりと呟く。
その声には、素直な感謝と少しばかりの安堵が混じっていた。
アイもすっかり警戒心を解き、氷月に懐いた様子である。
しかし、その和やかな光景を、ただ一人――日月だけが別の角度から見つめていた。
着替えの終りを見計らって別室から戻ってきた氷月がその視線に気づいたのか、ふと振り返り日月と目が合う。
だが、男の顔には相変わらず穏やかな微笑が浮かんでいた。
「道具もないので大したことはできませんが、火傷の応急処置でもしましょうか?」
「結構よ」
日月は即座に遮った。
その声音には、明確な拒絶の意志が滲んでいた。
氷月は微かに肩をすくめ、深く追及することもなく退いた。
まるで、それも予想の範囲内だとでも言いたげに。
(……本当に、人の心を掴むのが上手いわね)
今のところ、彼の言動に怪しい点はない。
それどころか、最も理知的で冷静な判断力を発揮しているのは彼だろう。
けれども、だからこそ警戒すべきだと彼女の経験と直感が告げていた。
廃墟を訪れたことのある氷月が道案内を買って出ているのは流れとしておかしなところはない。
だが、見方を変えれば、入ったばかりの氷月に行動の主導権を握られている状況である。
それが余りにも出来過ぎた流れで気持ちが悪い。
言葉巧みに信頼を集め、穏やかに心の懐へと踏み込んでくるそのやり方。
氷月蓮のそれは、まるで訓練されたカウンセラーのように自然だった。
氷月は、相手が何に怯えているか、何を求めているかを的確に見抜いている。
警戒心の強い相手には距離を詰めず、警戒を解くのに時間をかける。
その姿を目の当たりにすると、日月はどうしても、思い出してしまう。
ステージの上、ライトの中。
無数の歓声と視線を浴びながら、完璧な笑顔を浮かべる『私』。
媚態も、無垢も、怒りも哀しみも、全部が「商品」だった。
観客の心理を読み、台詞を練り、笑顔を計算する。
そうやってファンや周囲の人間の『心を操作する』ことが、自分の存在価値だった。
純粋に光を放つ黄金ではなく、そんな計算尽くのイミテーション・ゴールド。
それが、鑑日月というアイドルの正体だ。
氷月 蓮という男は、あの頃の日月自身にどこか似ている。
優しくて、理知的で、観察に長けていて。
でもその実、他人をどうやって動かすかばかりを考えている目だ。
懐に入ってきて、信頼を集めて、意のままにするタイプ。
違いがあるとすれば、日月は輝くためにそれを使っていた。
でも彼は、何のために使っているのかが見えない。
目的が、動機が、奥底が、何も透けてこない。
だから――怖いのだ。
誰よりも自分が人の心を欺く側だったからこそ、
誰かが心を弄ぶ姿を前にすると、本能的に吐き気がする。
ジャンヌは、光だ。
氷月は、静かな影だ。
私がいるべき場所はどこなのだろう?
誰にも近づけず。
誰も近づかせず。
日月は、また『観察者』に戻っていた。
薄暗い廃墟の中。
風も音も届かぬ、わずかな安息。
その静寂を破るように、不意に機械的な放送が響き始めた。
『――――定時放送の時間だ』
冷淡な看守長の声が響く。
『さて、それでは事前に説明していた通り、これより刑務作業の経過報告を行う』
そして、何の感傷もなく次々と受刑者たちの名を告げ始める。
一つ一つが、誰かの終わりを告げているのに、叶苗の耳には遠い世界の話のように聞こえた。
『……舞古 沙姫、ドン・エルグランド、宮本 麻衣、恵波 流都』
――――恵波 流都。
その名が告げられた瞬間。
まるで時間が止まったかのように、叶苗の思考は凍りついた。
「え……?」
喉の奥から漏れたのは、自分の声とも思えない掠れた疑問だった。
足元がぐらりと揺れ、力が抜けた膝が身体を支えきれず、彼女はその場に崩れ落ちた。
冷たい廃墟の床に膝をつき、両手をついても、感覚がない。
何かを考えようとしても、意識が空白に包まれ、ただ言葉にならない衝撃だけが全身を貫いていた。
「ブラッド……ストークが……?」
震える唇が名前を呼ぶ。
それは、叶苗の人生をかけて追い続けてきた復讐相手――家族を殺した黒幕、自分の心を喰い破った男。
その存在が、自分の手で裁く前に、別の誰かの手で命を絶たれたという報せだった。
それは、確かに喜ぶべきことのはずだった。
憎しみの象徴が消えた。悪が報いを受けた。それ以上の成果はないはずだ。
けれど――。
(終わってしまった……?)
そう思った瞬間、胸の奥を冷たい手が掴んだような、空虚な感覚が広がった。
――――思い出すのは、鉄の匂いだった。
冷たい冬の夜、家の中には血の匂いが満ちていた。
玄関の扉は壊され、父の喉は掻き切られ、母の胸には銃弾がめり込んでいた。
兄は首を吊られ、姉は床に這い蹲ったまま、身体の半分が焦げていた。
その光景を、彼女は見下ろしていた。
泣き叫ぶことも、怒鳴り声を上げることもできず、ただ喉の奥が凍り付いたまま、息を殺して立ち尽くしていた。
「……なんで」
何度、そう呟いたか分からない。
金目的の強盗。そう報道された。
だけど警察は調べなかった。誰も深く追わなかった。
誰も頼れないと思った。
自分がやらなければならないと思った。
だけど、自分は何の力もない小娘でしかなかった。
だから、この復讐を成し遂げるには人生全てを捧げるしかないと思った。
この復讐のために人生全てを捧げてもいいと思った。
その日から、彼女の人生は変わった。
獣人の第六感を頼りにしながら、残された遺産で人を雇ったり、使える物はすべて使った。
そうして、ようやく実行犯を見つけ出して、激情のままその手で裁いた。
一人、また一人と行為を繰り返す。
何度も吐いた。震えた。泣いた。
けれど、躊躇しなかった。
最後の一人を刺し殺した夜、手に残った血がぬるくて、乾かなくて、もう戻れないんだと知った。
そうしてようやくたどり着いたのだ――その裏にいたブラッドストークという存在に。
ブラッドストークさえ殺せばすべてが終わる。
それが、彼女の唯一の救いだった。
だというのに――。
(終わったの? それが……他人の手で?)
あれだけの痛みを抱えて、怒りを燃やして、
すべてを犠牲にして、ようやく手を伸ばせると思ったのに。
目的だった。全てだった。命よりも重かった。
それが今、たった一言の放送で消えた。
誰が殺したのかも分からない。
どんな形だったのかも知らない。
ただ、無感情に“死んだ”という事実だけが突きつけられた。
彼女がこの手で裁くはずだった憎悪の象徴。
誰よりも憎み、誰よりも殺したかった存在。
それが――自分の知らぬところで、唐突に終わってしまった。
呆然とした視線が、焦点の合わないまま宙を漂う。
目的を失った魂が、肉体の中で宙吊りになっているようだった。
息をしているのに、胸が苦しい。心臓の鼓動が、自分のものとは思えない。
(なんで……私じゃなかったの?)
それは勝利ではなかった。
癒しでもなかった。
ただ、喉の奥に鉛のような絶望が沈み込んでいった。
この数年間、自分は何のために呼吸をしていたのか。
怒りを燃料にして、憎しみを道標にして、ようやくここまで辿り着いたというのに。
家族の仇を討つ。それだけが、生きる理由だった。
自分は復讐に残りの人生全てを捧げた。
殺してきた人間たちは。流してきた血は。
心を殺して、生き延びてきた日々は全ての意味をなくした。
何も残らなかった。
何も取り戻せなかった。
ただ、取り返しのつかない命と、擦り切れた心だけが、ここにある。
(私の……全てが、なくなった……)
叫び、怒鳴り、罵倒し、最後にその命を自らの手で終わらせる。
たとえ殺せなくても、何かしらの決着をつけるはずだった。
そうすることでしか、叶苗の『人生』は完結しなかった。
けれど、今、誰かの手によって、簡単に終わらせられてしまった。
まるで、自分の存在そのものを奪われたかのように。
復讐を遂げた先には何も残らないとはよく言うが。
遂げられなかった復讐の先には、果たして何が残るというのか。
そんな叶苗の異変を、誰よりも早く察知したのはアイだった。
不安げに身体を縮めながら、まるで家族の異変を感じ取った幼い獣のように、そっとその身を叶苗へと擦り寄せる。
「アイちゃん……」
掠れた声で名を呼んでも、それに続く言葉は見つからなかった。
叶苗の目からは涙すら流れなかった。
あまりに唐突で、あまりに理不尽で、感情が追いついていない。
ただただ――何もかもが、わからなくなっていた。
生きて、何をすればいいのか。
この先、どこへ向かえばいいのか。
殺意という炎を灯し続けていた灯籠が、何者かによって水に沈められた。
火が消えたあとには、燃え殻だけが、ぽつんと残されている。
叶苗はそんな自分をどうすればいいのか、分からなかった。
ただ、アイの温もりだけが、現実と自分をかろうじてつなぎとめていた。
日月はその様子を黙って見つめていた。
ジャンヌとの尋問で、氷藤叶苗という少女が抱えているものを日月は知っている。
家族を皆殺しにされ、理不尽に人生を奪われ、それでも怒りの炎だけを胸に灯して生きてきた少女。
彼女の抱える痛みは、日月には理解できない。
軽々しく慰めることもできず、同情の言葉などなおさら吐けなかった。
それでも、落ち込んだ『誰か』を元気づけるのがアイドルの役割なのかもしれない。
だが、日月にとってのアイドルとは光り輝くことで周囲を魅了する存在だ。
自身も、『誰か』のためではなく『自分』のために偶像(アイドル)となりその存在を崇拝してきた。
だからこそ、叶苗の沈黙の重さを前に、彼女に対してかける言葉を持たず。
それはまるで、自分は「何者でもない」のだと突きつけられるようでもあった。
そんな日月の沈黙の脇を、氷月蓮が静かに通り過ぎた。
足音を立てぬように気遣うその歩みは、まるで傷つき倒れた子供に近づく医師のように慎重で、優しかった。
崩れたまま動けない叶苗の傍にしゃがみ込むと、氷月はまず何も言わず、同じ高さまで目線を落とした。
言葉をかける前に、まず同じ高さに並ぶこと――それが、彼の最初の手法だった。
しばらくの沈黙。
やがて、氷月は穏やかに口を開く。
「復讐を成し遂げた僕には、君が何を失ったか。正確には分からないだろう。
でも……人生の中心にあったものを奪われた時の感覚なら、分かるつもりだよ」
穏やかで、低く、心に染み入るような声。
その声には、慰めではなく理解があった。
叶苗はぼんやりと顔を上げ、氷月の顔を見つめる。
彼の表情には同じ復讐者としての深い共感が満ちており、彼女の心に静かに染み込んでいく。
「人間の心は、強い目的によって形づくられる。『復讐』のように強烈な意志は、心の奥深くに根を張るんだ。
そして、それが突然引き抜かれると……残るのは空洞だ。痛みすら感じない。ただ、空っぽで、冷たい空間だけがある」
ゆっくりと、氷月は言葉を紡いでいく。
感情ではなく、理性で悲しみを解きほぐすように。
「心理学者のカール・ヤスパースは、これを『限界状況』と呼んだ。人が絶対的に避けられない状況に直面した時、価値観の全てが崩壊してしまうんだ。
君の今の状態は、それに近い。自分の中で定義した『生きる理由』が失われ、心がまだ新しい軸を探せずにいる」
叶苗は微動だにしない。だが、かすかに呼吸が変わる。
無意識に、その言葉に耳を傾けている証拠だった。
「君が間違っていたわけじゃないよ。憎しみに囚われていたわけでもない。
大切な人を奪われて、その痛みを抱えながら、それでも歩いてきた。
その気高さは、失われない。だけど……それだけに依存しすぎると、『それを失った自分』を見失ってしまう」
氷月の言葉は、教えるようでもあり、諭すようでもあった。
「人間の精神には空白を埋めようとする力がある。今は、その空白が痛むかもしれない。けれど……そこには、何か新しい目的を置くことができる。
誰かを守ることでもいい。何かを築くことでもいい。少しでもいいからこう考えてみないかい? 君は『復讐』の代わりに何かを選ぶという選択肢を得たのだと」
それは共感を装いながら、さりげなく『依存先』を誘導する言葉だった。
「……君には、もう君を見つめてくれる存在がいる」
そう言って、氷月は視線をアイへと向ける。
叶苗の腕に寄り添い、子犬のように身を預けている少女。
その小さな温もりが、今も叶苗を現実につなぎ止めている。
「彼女のために生きる。今は、それでもいいじゃないか。
目的は失われたかもしれない。だけど、終わったわけじゃない。
君の物語は、まだ続いてるんだ」
氷月は最後に、ほんの少しだけ声のトーンを落とし、叶苗の心に沈むように囁いた。
「……君に及ばずとも、復讐と言う痛みを、分かち合えるのは僕しかいない。
だから、僕を信じて。君が新しい意味を見つけられるように、僕は力になるよ」
言葉のひとつひとつが、周到に選ばれていた。
丁寧に、繊細に、だが確実に――叶苗の弱った精神を、氷月の存在へと結びつけていく。
日月はその様子を、壁際から静かに見つめていた。
氷月の行動には一切の無理がなく、言葉には強制もなかった。
それなのに、叶苗の呼吸は徐々に落ち着き、目の焦点がかすかに戻りつつある。
――まるで、催眠術のようだった。
(……本当に、人心を掌握するのが上手い男)
その才能に、日月は心の底から感嘆した。
だが同時に、それは氷月という男に対する最大級の警戒信号でもあった。
彼はただの知識人ではない。
人の心の動きに熟達した、冷静な観察者であり、操作手。
他者を選び、導き、操ることに特化した――まさしく、静かなる支配者。
叶苗の肩が震えながらも小さく揺れた。
その震えが嗚咽であると気づいた時、日月は静かに目を伏せた。
【C-7/廃墟東の民家/1日目・朝】
【氷月 蓮】
[状態]:健康
[道具]:Tシャツ、ナイフ3本、フォーク3本、デジタルウォッチ
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.恩赦Pを獲得して、外に出る
1.この集団の信頼を得る。
2.集団の中で殺人を行う。
【鑑 日月】
[状態]:肉体の各所に火傷、深い屈折
[道具]:なし
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.アビスからの出獄を目指す。手段は問わない
0.氷月を警戒。
1.ジャンヌに対する葛藤と嫉妬を抱えつつ、彼女の望み通りに叶苗とアイを保護する。
2.ジャンヌ・ストラスブールには負けたくない。彼女を超えて、自分が真の偶像(アイドル)であることを証明したい。
【アイ】
[状態]:全身にダメージ(中)
[道具]:なし
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.故郷のジャングルに帰りたい。
1.(かなえを傷つけたくない、でもどうすればいいかわからない)
2.(あいつ(ルーサー・キング)は、すごくこわい)
3.(ここはどこだろう?)
4.(れんはきらいじゃない)
【氷藤 叶苗】
[状態]:胴体にダメージ(中)、罪悪感、虚無感、尻尾に捻挫、身体全体に軽い傷や打撲
[道具]:シャツ、鋼鉄製の手甲(ルーサーから与えられた武器)
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.新しい生きる目的を得たい。
1.アイちゃんを助けたい。
※ルーサー・キングから依頼を受けました。
①ルメス=ヘインヴェラート、ネイ・ローマン、ジャンヌ・ストラスブール、恵波流都、エンダ・Y・カクレヤマ。
以上5名とその他の“目ぼしい受刑者”を対象に、最低3名の殺害。
②1人につき15万ユーロの報酬。4名以上の殺害でも成果に応じて追加報酬を与える。協力者を作って折半や譲渡を約束しても構わない。
③遂行の確認は恩赦ポイントの回収履歴、および首輪現物の確認で行う。
④第2回放送直後、B-2の港湾で合流して途中経過や意思の確認を行う。
④依頼達成の際には恩赦後のアイの安全と帰還を保障する。
[共通備考]
※デジタルウォッチには恩赦ポイントの増減履歴を参照する機能があります。
どの受刑者の首輪からポイントを回収したのかを確認することも可能です。
※首輪には装着者を識別する囚人番号と個人名が刻まれています。
※交換リストに「参加者詳細名簿-80P」があります。
最終更新:2025年06月26日 20:42