キングに頼まれ、外の様子を見に行ったハヤトとセレナの願いはあっけなく崩れ去った。
昇り行く太陽の光を受け、ハヤトの前に現れたのは、手負いの少女二人組だった。
朝の光が熱を持ち照り付け、ハヤトの身体にじわりと汗を生む。
同時に潮風が彼の体から出た汗を冷やし、嫌な寒気をもたらした。
「あなたたちは、誰?」
ボロボロの少女二人は困惑しながらもーー紗奈はりんかを守るように立ち、目の前に現れたハヤトとセレナを警戒する。
「りんかはここにいて。あなた達には絶対近づけさせはしない」
「紗奈ちゃん、私は……」
「りんかのためなの」
後ろのりんかを振り向く紗奈は、唇を引き結んだ。
シャイニング・コネクト・スタイルに変身する準備はできていた。
「ハヤトさん……」
隣のセレナが、心配そうにハヤトを覗き込む。
ハヤトは焦燥感に駆られながら思案する。
二人の少女ーーそのひとり、紗奈が敵意を持った目でハヤトを睨みつけてくる。
手負いとはいえ、この場を切り抜けるには戦いも辞さない覚悟をハヤトはひりひりと感じた。
ハヤトにはキングに頼まれた事がある。
『ドン・エルグランドを殺した相手の調査』
『港湾に近づく二人組の確認』
これが彼の役目。
セレナを守るために、自分が通した仁義。
『港湾に来たのが二人組の少女だったら、自分の元に案内する』
これが、キングのハヤトへのちょっとした『野暮用』だった。
目の前。少女二人。片方は遠目からでも重傷を負っているとわかる。
キングの元へ連れていくにはあまりにも危険すぎる。
ハヤトは考える。
(キングに嘘をついて、この子たちを逃がそう)
そう思った。
少女たちなど来なかったことにして、このまま自分たちもキングの元から去ればいい。
ーーだが、あのキングに嘘が通用するか?
今ここで逃したとしても、キングはまた別の方法でこの子達を追うのではないか。
ましてやこの傷だらけでボロボロの身体だ。
キングに会わなくてもこの子達はーー
「お兄さん。何か、抱えていませんか?」
思案していたハヤトは顔を上げる。
二人組の少女ーーりんかだった。
特にひどい傷を負っているりんかは自分を守るように立つ紗奈を制止し、よろよろとハヤトとセレナの前に歩を進める。
ハヤトは言う。
「何も抱えてなんかいない。おまえたちは早くーー」
「どうか、話して」
死にかけていても、言葉は力強かった。
ふいに、りんかの身体から光が放たれ、みるみるうちに『シャイニング・ホープ・スタイル』に変化する。
背と髪が伸び、囚人服ではないヒーローの格好をしたりんか。
身体は手負いでもその身は煌めき、言いようもない力強さがあった。
「私だったら、力になれるかもしれない」
変身したりんかは言った。
ハヤトとセレナは、変身したりんかの姿を呆然と見ていた。
同時に、絶望に囚われていた心の中でかすかに暖かい希望の火が灯るのを感じた。
ルーサーに筋を通さなければいけない。
手負の彼女達を巻き込みたくない。特に満身創痍で変身したりんかには。
この子達を逃さなければ。
ハヤトは乾いた口を開く。
「……本当に、いいんだな?」
ほんのわずかな希望が、彼の言葉を引き出した。
この子達はボロボロだ。
特に今変身した子は死んでいてもおかしくない重傷を負っている。
だが、この子達なら。
もしかしたら、ルーサーに。
「ーー後悔、しないんだな」
ここまで来たら自棄だ。
行けるところまで行ってしまおう。
「セレナ。この子達にすべてを話していいか?」
「……ハヤトさんのやる事なら、ついていきます」
セレナとハヤトは話すために、りんかたちを座れる場所へ導いた。
一方で。
煌びやかな変身姿のりんかと、意を決して彼女に全てを話し始めるセレナとハヤトを、紗奈は暗い気持ちで見つめていた。
◆
残っていた治療キットを使い、それぞれ一食分の食糧を渡した時、りんかと紗奈はひどくハヤトに感謝した。
元々彼女たちがこのエリアに来たのも、敵を避けて体力と気力を回復させるためだったからだ。
ハヤト達に会う前のりんかは特に、根性と超力だけでやっと立てている状態だった。
治療キットの残りを使い切っても彼女の傷は癒え切らなかったが、それでも軽く動ける状態にまではなった。
りんかは変身を解き、紗奈と共にハヤトとセレナの話を聞いていた。
ルーサー・キング。牧師とも呼ばれている。
『キングス・デイ』の首領。欧州の裏社会の頂点。
紗奈もりんかも、かつて拉致され虐げられていた際に彼の話は耳に聞いていた。
「ーー話してくれて、ありがとう」
りんかは微笑みハヤトに言った。紗奈が心配そうにりんかを見つめている。
「牧師は危険な男だ。キットじゃ回復しきれなかったが、仮にあんた達が万全だったとしても勝てる確率は低い」
ハヤトが言う。
「オレは『キングの目的の相手二人に治療キットを使うな』とは言われてはいない。咎められても、オレの責任だ。ーー逃げるなら、今のうちだぞ」
「そうだねーー」
りんかは目を閉じ、少しの間思案すると顔を上げ、ハヤトとセレナをまっすぐ見る。
「りんか、やめてーー」
紗奈はその次に出るりんかの言葉を制止しようとした。
だが、間に合わなかった。
りんかは言った。
「ハヤトさん、セレナさん。私一人で牧師に会いに行く」
「?!正気か!?……」
「大丈夫」
動揺するハヤトにりんかは冷静に返す。
「相手はあの牧師だぞ!!戦わなかったとしても無事で済むはずがない!!何よりもーー俺が嫌だ!あんたが背負わなくていい責任を背負うなんてーー」
「牧師がどんなに強くても」
りんかは、強い覚悟を持った目でハヤトを見た。
「あなた達が辛い目に遭ってるなら、私はあいつに立ち向かわなければいけない」
セレナは倒れそうなハヤトに寄り添いながらりんかに問う。
「……いいんですね?」
「つらそうな顔をしてるあなたたちを、放って置けないから」
「ありがとう、……ごめんなさい」
セレナは、悲しそうな笑みを浮かべた。
「待ってよ」
唐突に、絞り出すような懇願するような声がその場を刺す。
「ーー!?」
みな一斉にそちらを向く。
「やめてって言ったでしょーー」
言葉の主は、紗奈だった。
「もうボロボロのりんかなんて、見たくないよッッ!!」
紗奈は、慟哭混じりに叫んだ。
他の三人は困惑した顔で紗奈を見た。
「紗奈ちゃん……」
「わたしは、いやだからね」
その目から、ぼろぼろと大粒の涙がこぼれ落ちる。
「どうして、りんかは自分を痛めつけてまで関係ない人をたすけるの……っ、……いつも、いつも、そればっかり……ほかのひとなんて、どうでもいいから……わたしには、りんかしか、……りんかしか……」
やがて言葉は嗚咽に変わり、言葉は言葉でなくなった。
「りんかが行くなら……わたしも、連れて行ってよ……っっ、いっしょに戦うから、悪いやつらをやっつけるから……っ」
辛そうに紗奈を見ていたりんかは、彼女をそっと抱きしめた。
「紗奈ちゃん、ごめんね……紗奈ちゃん……私、紗奈ちゃんのこと、全然考えてなかった……」
優しくしたかった抱きしめる腕が無意識に強くなっていた。
りんかの目からも涙が落ちる。
ハヤトはそれを苦しい心持ちで見ていた。
自分がこの子達を見つけなかったら。
こんな事に無理やり巻き込まなかったら。
悲しませるようなことはなかったかもしれないのに。
せっかく生まれた希望の灯火が、罪悪感で消えてゆく。
そんな時、抱き合うりんかたちにセレナが歩み寄り、
ぽふっ、と、りんかとセレナをさらに抱きしめた。
「えっ」
驚くハヤト。
みな、セレナに意識が向く。
「えっ」
泣くのをやめ、呆然とするりんかと紗奈。
身を寄せ合ったままの二人にセレナは目線を合わせる。
そしてにぃーっと笑いかけ、もふもふの両手の平を差し出す。
「りんかちゃん、紗奈ちゃん。私の手、触ります?」
「この状況で?!」
「まぁまぁ。けっこうモフモフしてるんですよ」
差し出されるセレナの両手。
それを困惑見るりんかと紗奈。
ふと、りんかは、セレナのモフモフの手を見ながら妙にウズウズしている紗奈に気づく。
「……紗奈ちゃん」
りんかに呼びかけられた紗奈はぴくりと身体を震わせるが、りんかがこっそり紗奈に耳打ちする。
「先に触ってもいいよ」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
紗奈は涙を拭い、おそるおそるセレナの右手のひらに触れ、ふわふわの感触を確かめる。
「わっ……」
つい言葉が漏れた。もう少し手を撫でてみる。ふわふわしている。
セレナの手をまんざらでもなく撫で続ける紗奈の隣で、
「あの、セレナさん……私もモフっていいかな?」
「いいですよ」
照れ気味なりんかの前に、空いている方のセレナの手が差し出される。
ゆっくりと、りんかは優しくセレナの毛に覆われた手に触れ、手のひらの肉球をそっと押す。
ふわふわしている。
毛皮に覆われた手をモフりながら、思わずりんかがへにゃりと笑う。
「なんかいいね……」
「えへへ」
照れるセレナ。
一方、取り残されたハヤトは居心地の悪さを感じていたが、そんなハヤトにセレナが声をかける。
「ハヤトさんもいいですよ」
そう言われ、ハヤトは少し思案し、
「でも両手は埋まってるだろ……」
「頭と首のもふもふは残ってます!」
「そ、そうか……」
ハヤトも参戦し、ためらいがちにセレナの頭と首を優しくモフる。
日が照り、潮風が吹き付ける中、3人はセレナのふわふわの毛皮を堪能していた。
りんかと紗奈の涙は、いつのまにか乾いていた。
◆
「まず、俺が先に牧師と会って話す」
治療キットで傷を癒やし、恩赦ptで購入した食糧を2人に食べさせた後、改めてハヤトはそう告げた。
ハヤトが続ける。
「港湾の管理棟にルーサー・キングーー『牧師』がいる。オレとセレナが先に中に入って牧師と話すから、りんかと紗奈は外で待っていて欲しい。危なくなったら合図を出すがーー本当に、いいんだな?」
「わかった。……紗奈ちゃんも、それでいいね?」
「りんかが戦うなら、私も戦うよ」
りんかも紗奈も、覚悟を持ってハヤトの話に頷いた。
りんかと同じく、紗奈も変身して戦えるということをハヤトとセレナは共有していた。
「ハヤトさん。牧師に会う時は、私もついていきます」
セレナが言う。
「ダメだ。セレナの身に何かあったらじゃ遅い」
「私も、りんかさんたちみたいに、ハヤトさんの助けになりたいんです」
ハヤトとセレナはもはや一連托生だった。
ハヤトがセレナを気にかけると同時に、セレナもまた、ハヤトの力になりたいのだ。
「……いつも、ごめんな」
「役に立ちます。ーー必ず」
セレナの献身に、ハヤトはいつも救われていた。
ハヤトは一呼吸置き、
「オレがおまえたちに言ったこと、これからやることも、全部俺の独断だ。オレが牧師相手にヤバくなった時、お前たちは責任を負わず逃げ出しても構わない」
「……そんなことはしないよ」
りんかが微笑む。
「言っておくけど」
紗奈が口を開く。
「食糧をくれて、りんかを治してくれたのはすごく感謝してる。でも、私はあくまでりんかが大事。あなた達じゃなくて、りんかのために戦うから」
「それで、大丈夫だ」
「りんかに危険が及ぶような事をしたら、承知しないからね」
「紗奈ちゃん……ありがとう」
りんかの言葉に紗奈は目を逸らす。
「……りんかのためよ」
「話が無事に終わればあんた達は出なくていい。だが、俺に何かあったらーー外に向けて合図はする。これでいいな?」
ハヤトの言葉に、りんかと紗奈、セレナ共にーー無言で頷いた。
◆
『牧師』ーールーサー・キングは、管理棟の窓からハヤトたち4人の様子を伺っていた。
葉巻を吸い、ゆったりと紫煙をくゆらせる。
今吸っている葉巻もだいぶ火が回り、炭くずの部分が多くなった。
次を出そうと葉巻の入った缶を確認するが、
「……次で最後か」
調子に乗って吸いすぎたらしい。
まぁこんなクソみたいな刑務作業では、ストレスが溜まり吸わずにいられないのも当たり前だ。
ギャルから頂戴した煙草は、安物だが味は悪くない。
刑務が終わるまであれで我慢するか。
この刑務作業の最中、キングは次々と読みを外した。
一度相対したドンの死。
利用できそうだったディビットと王子の逃走を許したこと。
港湾に来るのは叶苗とアイと思っていたが、それも違った。
葉月りんかと交尾紗奈。
娑婆にいた頃、名前と姿だけは見聞きしていた存在。
ハヤト=ミナセは自分にとって使えない駒だろう、というのは読めていた。
キングの考えでは、少女二人を逃しーーハヤトもまたセレナを連れてさっさと逃げてしまうだろう。
そう考えていた。
だが、ハヤトはこれからここに来る。
自分に戦いを挑むつもりで。
苛立ちはあった。
だが、それ以上に楽しさが勝った。
キング自身が幼い頃に捨てた、善性と青臭さをあの男は持っていた。
それが妙にキングをそわそわさせ、苛立たせ、この先に妙な期待をしてしまう。
何も持たないはずのあの男は、次に何をしてくれるんだろうか、と。
外にいる4人組が、次第にこちらに近づいてくる。
キングは窓から己の両拳に目を落とし、鋼鉄をグローブ状に手を覆い、開いては閉じてを繰り返してみる。
かつて若いころ、ドブ底から這いあがろうと懸命に生きていた頃を思い出していた。
葉月りんか。交尾紗奈。
りんかの変身姿は知っていたが、紗奈も変身できるのは予想外だった。
それでもキングは動じない。
相手にとって不足はない。
「ハハッ」
大きな手で顔を覆い、笑う。
「老体に鞭打つ羽目になるとはなァ……」
その声に、悲壮感も苛立ちもなかった。
自分もそろそろ腹を括る時か、とキングは思う。
キングの座っている場所から少しずつ細い線と波のような鋼鉄が生まれ、管理棟の床や壁、天井へと広がっていく。
やがて鋼鉄の網は建物の内部全体を覆い、管理棟を鋼鉄の館へ変えた。
「ーーさて」
これで準備は完了した。
キングは己の纏うスーツを整え、この後の来客を待つ。
◆
【B-2/港湾(管理棟)/一日目・午前】
【ルーサー・キング】
[状態]:健康、苛立ちと楽しさ、臨戦態勢
[道具]:漆黒のスーツ、私物の葉巻×1(あと一本)、タバコ(1箱)
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.勝つのは、俺だ。
1.生き残る。手段は選ばない。
2.使える者は利用する。邪魔者もこの機に始末したい。
3.ドン・エルグランドを殺ったのは誰だ?
※彼の組織『キングス・デイ』はジャンヌが対立していた『欧州の巨大犯罪組織』の母体です。
多数の下部組織を擁することで欧州各地に根を張っています。
※ルメス=ヘインヴェラート、ネイ・ローマン、ジャンヌ・ストラスブール、エンダ・Y・カクレヤマは出来れば排除したいと考えています。
※他の受刑者にも相手次第で何かしらの取引を持ちかけるかもしれません。
※沙姫の事を下部組織から聞いていました
※ギャル・ギュネス・ギョローレンが購入した物資を譲渡されました(好きな衣服、煙草一箱、食料)
◆
「紗奈ちゃん」
「なによ」
管理棟へと向かっている最中、先導していたハヤトが、ふいに紗奈に呼びかけた。
ぶっきらぼうに返事する紗奈に、ハヤトは続ける。
「何かあったら、オレたちを頼れよ」
「言っておくけど私、あなたたちより強いから」
「それでも、だ」
「……好きにしたら」
歩いている間に、小さい建物が見えてくる。
どうやらあれが管理棟らしい。
ハヤトがここに止まり、3人に振り向く。
「二人はここで待っていてくれ」
りんかが心配げな表情で、ハヤトとセレナを見つめる。
「……気をつけてね」
「そのつもりだ」
「紗奈ちゃんも、りんかさんのことよろしくね」
別れ際、セレナが紗奈と目線を合わせ、対面する。
「……あなた達こそ、りんかを辛い目に遭わせないでよ」
「仲間になったんだから、そのつもりですよ」
紗奈は微笑むセレナを睨む。
食糧をもらい、毛皮は堪能させてもらったが、紗奈は彼女が苦手だった。
「紗奈ちゃんは、りんかさんの事をずっと護ってきたんですね」
「……そう。だから、あなた達なんて本当はどうでもいいの」
りんかは困っている人を助ける正義の味方だ。
けれど自分は違う。
りんかを護れれば、自分はそれでいい。
紗奈は目を細めてセレナの目を見る。
澄んだ優しい色の瞳。
「紗奈ちゃん」
セレナが口を開く。
「紗奈ちゃんが、りんかさんにとってのヒーローであるように。ーーぜんぶ終わった後、わたし達はあなたにとってのヒーローになれてるといいな」
「…………」
紗奈は、何も言わなかった。
「りんかさん!」
ふいに、セレナがりんかに向き直る。
「セレナちゃん……!?」
突然呼ばれ驚くりんかに、
「ついてきてくれて……ありがとうっ!!」
晴れやかな笑みで、セレナは言った。
りんかと紗奈は、ハヤトとセレナを見送った。
管理棟へと歩んでいく2人の背がだんだん遠のいていく。
それを見送りながらりんかと紗奈は変身し、臨戦体制になる。
変身した後、寄り添い、そっと、だけど確かに手を握る。
管理棟を見ながら、しばらくそうしていた。
「紗奈ちゃん。巻き込んじゃってごめんね」
「いいの。りんかがいれば」
「……絶対、全員で生き残ろうね」
りんかが言う。
紗奈はりんかの肩によりかかり、こくりと頷いた。
(ヒーロー、か……)
紗奈はセレナの言っていたことを思い出す。
りんかの手を握る力が、ほんの少しだけ強くなった。
◆
ドアの前。
さっきまで絶望していたのが、今は妙に元気が湧いてくる。
あの牧師に会おうとしていてもだ。
なぜか希望が心を照らす。
精神的なものだけではなかった。
実際オレ自身の肉体も、妙に力がみなぎっていた。
「セレナ……」
セレナもまた、オレと同じようだった。
りんかと紗奈と出会ったことがオレたちに何かいいものを齎したのか?
どちらかの超力の影響でこうなっているのか?
だが、今はそれはどうでもよかった。
オレたちは管理棟のドアの前に立つ。
恐怖を感じないわけではなかった。
だが、それ以上に手を差し伸べてくれたりんかたちに、仁義を通したかった。
「ハヤトさん」
オレがドアノブに手をかけた時だった。
「勝ちましょう。牧師に」
「ーーあぁ」
セレナとお互い頷き合い、オレはゆっくりとドアを開けた。
◆
わたしが勇気を持てたのは、あなたが希望をくれたから。
ほんの少し芽生えた希望を、失いたくない。
りんかさん。紗奈ちゃん。ーーハヤトさん。
どうか、勝って。
◆
【セレナ・ラグルス】
[状態]:背中と太腿に刺し傷(治療キットによりほぼ完治)、ほんの少しの希望(りんかのエターナル・ホープの影響)
[道具]:流れ星のアクササリー、タオル、フレゼアの首輪(P取得済み)
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本:死ぬのも殺されるのも嫌。刑期は我慢。
1.ハヤトに同行する。どこまでも、ついていく。
2.生きて帰れたら、ハヤトと友人になる。
※ハヤトに与えられている刑務作業での役割について、ある程度理解しました。
※流れ星のアクセサリーには、高周波音と共に音楽を流す機能があります。
獣人や、小さい子供には高周波音が聴こえるかもしれません。
他にも製作者が付けた変な機能があるかもしれません。
※流れ星のアクセサリーには他人の超力を吸収して保存する機能があるようです。
吸収条件や吸収した後の用途は不明です。
現在のところ、下記のキャラクターの超力が保存されています。
『フレゼア・フランベルジェ』
※りんかの『エターナル・ホープ』の影響で、肉体と精神にバフ(小)がかかっています。
【B-2/港湾(管理棟)/一日目・午前】
【ハヤト=ミナセ】
[状態]:多大な精神的疲弊、疲労(小)、全身に軽い火傷、ほんの少しの希望(りんかのエターナル・ホープの影響)
[道具]:「システムA」機能付きの枷
[恩赦P]:10pt(-食料10pt×2)
[方針]
基本:生存を最優先に、看守側の指示に従う?
0.りんかと紗奈に筋を通し、ルーサーと対峙する。
1.セレナと共に行く。自分の納得を貫きたい。
2.『アイアン』のリーダーにはオトシマエをつける?
※放送を待たず、会場内の死体の位置情報がリアルタイムでデジタルウォッチに入ります。
積極的に刑務作業を行う「ジョーカー」の役割ではなく、会場内での死体の状態を確認する「ハイエナ」の役割です。
※自身が付けていた枷の「システムA」を起動する権利があります。
起動時間は10分間です。
※りんかの『エターナル・ホープ』の影響で、肉体と精神にバフ(小)がかかっています。
【葉月 りんか】
[状態]:食糧と水をもらい乾きを回復、疲労(中)、腹部に打撲痕と背中に刺し傷(治療キットにより中程度まで回復)、ダメージ回復中、紗奈に対する信頼、ルクレツィアに対する怒りと嫌悪
[道具]:なし
[方針]
基本.可能な限り受刑者を救う。
0.ハヤトとセレナを気に掛けつつも、戦いの覚悟。
1.紗奈のような子や、救いを必要とする者を探したい。
2.この刑務の真相も見極めたい。
3.ソフィアさん…
4.ジャンヌさんそっくりの人には警戒しなきゃ
※羽間美火と面識がありました。
※超力が進化し、新たな能力を得ました。
現状確認出来る力は『身体能力強化』、『回復能力』、『毒への完全耐性』です。その他にも力を得たかもしれません。
【交尾 紗奈】
[状態]:食糧と水で乾きを回復、気疲れ(中)、目が腫れている、強い決意、りんかへの依存、ヒーローへの迷い、ルクレツィアに対する恐怖と嫌悪
[道具]:手錠×2、手錠の鍵×2
[方針]
基本.りんかを支える。りんかを信じたい。
0.りんかのために戦う。でも、それだけでいいのかな……
1.新たに得た力でりんかを守りたい
2.バケモノ女(ルクレツィア)とは二度と会いたく無い
3.青髪の氷女(ジルドレイ)には注意する。
※手錠×2とその鍵を密かに持ち込んでいます。
※葉月りんかの超力、 『希望は永遠に不滅(エターナル・ホープ)』の効果で肉体面、精神面に大幅な強化を受けています。
※葉月りんかの過去を知りました。
※新たな超力『繋いで結ぶ希望の光(シャイニング・コネクト・スタイル)』を会得しました。
現在、紗奈の判明してる技は光のリボンを用いた拘束です。
紗奈へ向ける加害性が強いほど拘束力が増し、拘束された箇所は超力が封じられるデバフを受けます。
紗奈との距離が離れるほど拘束力は下がります。
変身時の肉体年齢は17歳で身長は167cmです。
※『支配と性愛の代償(クィルズ・オブ・ヴィクティム)』の超力は使用不能となりました。
最終更新:2025年06月26日 20:41