そもそも彼は、元の世界へ無事に帰ることにも固執している。もっとも運営は彼が優勝しても元の世界へ帰す気などないのだが……エクスキューショナーは自分が道化であることを知らぬまま、望みを叶えるために殺し合いに励む。
ついでに女子供まで殺せるので、趣味まで満たせてお得……だと思っていたが、なかなか性癖の対象を見付けられない。
レオンハートという強豪参加者の一人を殺し、優勝には近付いたがこの結果にはあまり満足していない。
特に最期、自分を馬鹿にするように笑ったのが納得いかない。
特に最期、自分を馬鹿にするように笑ったのが納得いかない。
これが女子供なら泣き喚いたり、恐怖で凍てついてただろうに。クソみたいなキチガイに当たってしまって気分は最悪だ。
それに与えられた傷も大きく、疲労も凄まじい。まだ殺し合いが始まって数時間だというのに、ここまで傷を受けたことにイラつく。
白いロングコートの銀髪の男には軽くあしらわれ、自分を馬鹿にしてきたキチガイ獣からは大ダメージを受けて。
趣味の殺戮は楽しめず、強敵ばかりと出会ってしまう。
趣味の殺戮は楽しめず、強敵ばかりと出会ってしまう。
こんなもの、エクスキューショナーからしたら不幸としか言いようがない。ゆえにさっさと女子供を殺して、この不満をどうにかしたい。
エクスキューショナーは優勝を目指してるし、自身が生存することを考えるならT.A.Sは無視するべき存在である。
しかしエクスキューショナーには、どうしても許せない理由があった。
(あのロングコートの男も、こいつも俺を虚仮にしてやがる。ふざけやがって!)
一度、支給品を漁る手を止めて処刑刀でレオンハートの笑い顔を潰す。
怒りは収まっていたのだが、やはりこの面はどうしても気になるし。ムカつくものは破壊した方がスカッとする
怒りは収まっていたのだが、やはりこの面はどうしても気になるし。ムカつくものは破壊した方がスカッとする
(女子供を殺す時ほどじゃないが、多少はスッキリしたぜ)
無惨にも破壊されたレオンハートの死体を見て、逆に笑い返してやる。
どうしてあいつが最期、馬鹿にしてきたのはわからないが……所詮は俺に殺されただけのヤツだ、と。俺の方が上だと、誇示するように。
どうしてあいつが最期、馬鹿にしてきたのはわからないが……所詮は俺に殺されただけのヤツだ、と。俺の方が上だと、誇示するように。
それだけでも多少は気が晴れ、再びレオンハートの支給品を漁る。もうあのムカつく笑い顔は、脳裏を過ぎらない。
(治療キット!コレだ!)
緑色のゲージが付いた、注射のようなものを取り出す。説明書には『治療キット』と書いてあった
その名の通り、一度きりだがHPや疲労を回復させるアイテムである。多少の傷ならばこれで塞ぐことも出来る。この世界は、仮想現実であるゆえに多少の傷ならば治療も簡単、というわけだ。
レオンハートは途中まで戦いをかなり優位に進めていた。だがエクスキューショナーの一転攻勢により、殺された。
ゆえに治療キットを使うタイミングがなく、そのまま残っていた。
エクスキューショナーにもまだ運が残されていた、というわけだ。
ゆえに治療キットを使うタイミングがなく、そのまま残っていた。
エクスキューショナーにもまだ運が残されていた、というわけだ。
治療キットの発見を喜ぶと、エクスキューショナーは自分の腕に突き刺した。
使い方は、注射と変わらない。しかし、痛みは伴わない。
使い方は、注射と変わらない。しかし、痛みは伴わない。
自然と体がリラックスして疲労が多少はマシになり、全身に付けられた切り傷も多少だが塞がった。まもりのゆびわによる治療効果もあり、殺戮を楽しめる程度には回復する。
とはいえ、万全の状態とはいかない。当たり前だが、あれだけ傷を受けたのだ。アイテムで回復出来ると言っても、治療キット1回では限度がある。まもりのゆびわは、継続的に発動されるがその代わりに回復速度が遅い。
だが治療キットは重ねがけ可能だ。使えば使うほど、負傷は回復する。
ならば話は簡単。
ならば話は簡単。
(これはいいアイテムだ!無力な女子供を殺し尽くして、奪い取ってやる!!)
女子供を殺すくらい、何の手間にもならない。どれだけの参加者が回復キットを持ってるかわからないが、女子供を殺戮するついでに集めることを、頭に叩き込む。
このアイテムを大量に集められたら、殺し合いは一気に楽になるだろう。
このアイテムを大量に集められたら、殺し合いは一気に楽になるだろう。
(あのロングコートの男を追いつつ、女子供が居たら切り刻む!俺を虚仮にしたロングコートの男はムカつくが、今は何よりも女子供を殺したい!)
T.A.Sに苛立ちを募らせつつも、最優先は女子供だ。無力な奴らを一方的に殺戮し、この満たされぬ欲を満たしたい!
ここは殺し合い。どれだけ参加者を殺戮しても法に問われず、エクスキューショナーの衝動をぶつけるには打って付けだ。
始まって以降ずっと女子供と出会えてないが、そろそろ巡り会えても良いはずだろう。
始まって以降ずっと女子供と出会えてないが、そろそろ巡り会えても良いはずだろう。
(殺す!殺す!殺してやる!ここからが俺のステージだ!!)
クソみたいなステージはさっさと抜け出し、一方的に殺戮を楽しめるステージへ突き進みたい……と心から願いつつ。
回復を終えたエクスキューショナーは、再び立ち上がる。
回復を終えたエクスキューショナーは、再び立ち上がる。
(……)
そのままここを去ろうと思ったが……今、ここに肉があることを思い出す。
まあ好みの女子供じゃないし、そもそも人間ですらない。獣人というリアルには存在しない種族だが、ストレスの捌け口にはちょうどいい。
まあ好みの女子供じゃないし、そもそも人間ですらない。獣人というリアルには存在しない種族だが、ストレスの捌け口にはちょうどいい。
獣人を殺した感覚としては、そこまで気持ちいいものじゃなかったが……一方的に破壊するのなら、話が違ってくるかもしれない。
事実として、頭を叩き割っただけでも多少はスッキリしたのだから。
(壊す!壊す!俺を虚仮にしやがったこいつを、ミンチになるまで叩き潰す!!)
ゆえにエクスキューショナーは処刑刀で、レオンハートの死体を叩き潰す。何度も、何度も。ただひたすら愚直に、ミンチになるまでそれを繰り返す。
(コレだ!何も出来ない奴を一方的に嬲り、グチャグチャに破壊する!これはもうセックス以上の快楽だッ!!)
黙する死者は何も言い返せず、勝者のみが一方的な蹂躙を許される。
(気持ちよかった!この調子で、どんどん殺してやる!!)
レオンハートがただの肉塊(ミンチ)と化した後、エクスキューショナーは手を止める。
こいつはもう楽しめない。だから、次の相手を。
贅沢を言うならやはり、女子供がいい。あの柔らかい肉を切断するのが、エクスキューショナーにとって何よりの楽しみである。
こいつはもう楽しめない。だから、次の相手を。
贅沢を言うならやはり、女子供がいい。あの柔らかい肉を切断するのが、エクスキューショナーにとって何よりの楽しみである。
獣人を破壊するのも楽しかったが、やはり肉が女子供より硬かった。女子供の肉がどれほど極上か、再認識する。
まあそれでも、楽しめたから文句は言わない。
まあそれでも、楽しめたから文句は言わない。
レオンハート自体のことは嫌いだし、大量の傷を付けられたことはムカつくが……破壊活動だけは、本当に楽しかったのだから。
(肉は硬かったが、ムカつく奴を破壊するのは気持ちいい!この快感をいつか、あのロングコートの男でも味わいたい!)
女子供を殺戮するのとは、また違う気持ち良さ。ムカつく相手を破壊して楽しむという、実に単純な欲望。
人間、誰しもが嫌いな相手はいる。ムカつくことはある。それでも良心があるから、殺そうとまでは思わない。
法があるから、暴力を振るう者も少ない。
人間、誰しもが嫌いな相手はいる。ムカつくことはある。それでも良心があるから、殺そうとまでは思わない。
法があるから、暴力を振るう者も少ない。
だがエクスキューショナーにそんな良心はなく、ここには法も存在しない。
ゆえに彼は狂気を孕んだ欲望に突き動かされ、次なる破壊対象を探すのだ。
ゆえに彼は狂気を孕んだ欲望に突き動かされ、次なる破壊対象を探すのだ。
T.A.Sはエクスキューショナーにとってムカつく相手であり、あの風格漂う雰囲気だけでも腹が立つ。だが、だからこそ。彼を破壊した時は、この獣人をミンチにした時以上の快感を得られることだろう
ゆえにT.A.Sを追う。
最優先は女子供だが、居場所が特定出来るわけじゃないし。それならば、行き先がわかる相手を追った方が確実というもの。
最優先は女子供だが、居場所が特定出来るわけじゃないし。それならば、行き先がわかる相手を追った方が確実というもの。
女子供が見つからなくとも、最悪T.A.Sだけは殺すことが出来る。
(さあ、次の標的だ!早く、早く、さっさと次の獲物を寄越せ!殺させろ!!)
【G-2/一日目/早朝】
※ミンチのようになったレオンハートの死体が放置されてます
【エクスキューショナー】
[状態]:疲労(中)、全身に切り傷(中)、激しい殺意と憎悪(極大)
[装備]:『CAST IN THE NAME OF GOD, YE NOT GUILTY.』@創造武具 まもりのゆびわ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]基本方針:皆殺しにして恩赦を得る
1:参加者、特に女子供を惨殺したい
2:T.A.Sを追う。殺した後、ミンチのように破壊する
3:マキシムは放置して、他の者を殺させる
4:治療キットを集める
[状態]:疲労(中)、全身に切り傷(中)、激しい殺意と憎悪(極大)
[装備]:『CAST IN THE NAME OF GOD, YE NOT GUILTY.』@創造武具 まもりのゆびわ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]基本方針:皆殺しにして恩赦を得る
1:参加者、特に女子供を惨殺したい
2:T.A.Sを追う。殺した後、ミンチのように破壊する
3:マキシムは放置して、他の者を殺させる
4:治療キットを集める
【治療キット】
緑色のゲージが付いた注射のような形状をしたアイテム。注射のように刺すことで、一度きりだがHPや疲労を回復させる。多少の傷ならばこれで塞ぐことも出来る
緑色のゲージが付いた注射のような形状をしたアイテム。注射のように刺すことで、一度きりだがHPや疲労を回復させる。多少の傷ならばこれで塞ぐことも出来る
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029:抱きしめるから、恐れないで | 投下順 | 031:シンパシー |
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