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  • オリロワVRC @ ウィキ
  • VRCのバトロワに参加するのじゃ! 狂気の狸狩り編

オリロワVRC @ ウィキ

VRCのバトロワに参加するのじゃ! 狂気の狸狩り編

最終更新:2023年01月17日 03:42

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VRCのバトロワに参加するのじゃ! 狂気の狸狩り編


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


案件があるんだが、VRChatでバトルロワイアルをするワールドがもうすぐ公開されるんだそうだ!
ネットでも注目が集まり始めているし、ここでお互い更に宣伝効果を期待してお前に最初の出場者の一人として参加してほしいんだが……

なに? 機械音痴だから不安だと?
今までのVR機器を使った配信とそう変わらんだろうから気にすんな!
詳しくはわからないんだが、アバターを抜かれる心配とかも無いらしいから問題なくいつもの姿で出られるぞ!

それに、最近視聴者も減り始めてるじゃねえか?
収入少なくて大丈夫なのか?
なんか主食がドングリで、虫とか草とかも食べてるって? 流石に辛いんじゃないか?
え? タヌキだからそういうのも美味しく食べてるって?
キャラ付けも大事だけどもっと現代人らしいオフを過ごせよ。

まあこれはあまり考えたくないし余程のことでもなければ無いと思うんだが、最低ラインを割ったら解約も有り得るからな?
ここで一気に視聴者を増やすチャンスだと思ったら出ない選択肢はないだろ?

まあ、よろしく頼むわ!
………………


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


『解約…………それだけはだめなのじゃ。
 解約したらこの"ワシ"はどうなるのじゃ……!?』

『"つばき"でないワシは一体何なのじゃ!!??』


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


視聴者さえずっと掴んでいれば、ずっと"つばき"でいられる……

でも、それがずっと続けられる保証って……?

…………

優勝者はアバターの肉体で現実に戻ることもできる……

この"かしの葉 つばき"の姿で……


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

    ~~~~~~~~

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


はっ……!?
どうやらしばらく気を失っていたようじゃの……。
死んだふりをするのはタヌキじゃから仕方ないのじゃが、気まで失のうてしまうとは情けないのじゃ……。

なんだか嫌な夢を見たような気がするのじゃが、よう思い出せんの……。
まあ夢は夢じゃ。現実でも真実でもないしそこまで気にしても仕方ないのじゃ。

うん。ワシはかしの葉つばきじゃ。タヌキの"ぶいちゅーばー"をやっておる。
事務所の他の配信者たちは人間が配信で別人や動物の皮を被っているだけなのじゃが、ワシは違うのじゃ。
配信ではタヌキっぽい姿の方がウケるからという事務所の判断でこのタヌキ耳の姿になっておるだけで、配信外では完全に人間に化けたタヌキなのじゃ。
戸籍上の名前とかもあるのじゃが、それは世を忍ぶ仮の名前じゃ。

さて、ここはいったいどこなのじゃ?
……さっきから少し目に入っておったが、どこかで見たような男の顔の写真が壁にあるのじゃ。
野?先?……? 中国の漢字はよくわからんのじゃ。
スピーカーのボタンがあるのぅ。ポチッとな。

『ヌゥン!ヘッ!ヘッ!
 ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛
 ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!
 ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!!!
 フ ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ン!!!!』


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

    ~~~~~~~~

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


私はVRChatの深淵に巣食う痴漢。その名も"痴漢さん"。
VRCで目を付けたユーザーに痴漢をかけるのが日課にして生きがい。
短期間BANされたりしたこともあるけど、痴漢が許されるように相手をよく見たり、
そしてヘイトを集めすぎないように人柄も良く見える振る舞いを心がけてきた。
全ては愛のある痴漢により、スリルと興奮に満足するため。

VRChatは慣れてしまえば本当に良いところで、痴漢したくなる外見のアバターも多く、
わざわざリアルからこんな別世界に来る人々の性質は愛のある痴漢のターゲットとして向いている場合が多くて目星をつけるのも楽。

今日も痴漢のターゲットを探すために、そして痴漢のスキルを磨くためにバトルロワイヤルのワールドに参加しようと思ったんだ。
でも……それがどうしてこんなことになってしまったのか。

人が死んだ事実が心を潰してくる。なぜあの時、私は動けなかったんだ。
本当なら私が一番に動くべきだった。
私の痴漢のテクニックさえあれば、気づかれずゲームマスターに近づき無力化もできていたかもしれないのに。
状況に心が呑まれてしまっていた。自分の情けなさを思い起こして心が沈んでいく。

召喚された地点のすぐ近くにあったソファに腰かけ、俯いてしまう。
ソファは私の重く沈む心を、深く沈んで受け止める……。

何度もあの光景を頭の中で再生した。
そのうちになんだか想像力がついてきて、私があの場面で主催者を取り押さえる妄想が頭の中で始まってきた。
……何考えてるんだ私。過ぎ去った過去にこだわって、しかも自分にとっていい内容で。

それじゃあだめだ。
過去は変えられない。変えるのはこれからの未来だ。
どうすればいいかまだわからないけれど、とにかく私の痴漢の技を活かして事態をより良い方向に、そして解決に導きたい。

重い心を引きずりながら、少しでも気持ちをあげようと動く。
ソファはふかふかだ。体幹の力を使って跳ねる。跳ねる。跳ねる。気分があがって遊ぶ時みたいにあえて行動する。
無理して少しでも心を満足させて、そして立ち上がる。

よし。周りの状況を確認だ。
ここはなにかの建物の中。シックなBGMが流れている。
まず目に入るのは、"中文梗博物館"の文字。
広さから見ても、ここは何かの博物館のエントランスのようだ。

少し動いてみる。気配を消す癖が付いてるから、なんとなく壁沿いに行きたくなる。
壁を触る。硬く冷たく、ざらつく感触。
ん? VRなのに?
そうか、フルダイブって言ってたな……。

壁際の植木鉢の葉を触る。葉が柔らかく手を撫ぜる。サワサワと揺れることによる微風もわかる。
これはすごすぎる。フルダイブってこういうことなんだ。
ソファのふかふかさのフィードバックだって、完全にVRであれを再現できてたのは凄い事。

私だってより痴漢を楽しむためにVRCの接触判定から触覚をフィードバックするデバイスを着てたけど、感覚のリアルさが明らかに違う。
平和な状況だったら、きっと色々触って楽しんでるだけで満足していくらでも過ごせる。
主催者はなんでこの技術を平和利用しようと思わなかったのか……虚しさが心に降ってくる。
痴漢として相手の人肌の感触をVRで味わえたらなんて、こちらはずっと思っていたことなのに。

おっと……?
聞き耳を立てると、BGMに紛れてはいるが外の方から確かに誰かの足音が聞こえる。
私は普段から足音を小さくしているから、相手からは気づかれていないだろう。
よし、とりあえず隠れて様子を窺おう。痴漢のサガだ。

…………
入ってきたのは長い黒髪に、厚手の和装をした少女のアバター。
ユーザー名は"輝月"。
周りを見回して様子を把握している。かなり落ち着いている。
すでに方針を決めているのか、あるいはもしやこういう状況に慣れているのか。

アバターの中身は若い成人女性のようだと窺える。
何故わかるかって?
痴漢として人間の動きを観察し続けた私には、アバターの立ち振る舞いだけでも動かす人物が男が女かなど簡単に判断できる。
……あまりにアバターに没入してる場合はすこし難しくなるけどね。

どうするか……。
相手がオドオドしている女性アバターの男性とかなら、忍び寄って優しい痴漢で心を落ち着かせて話すようなパターンもある。
でも基本的に、女性ユーザーの場合って痴漢行為はどんな状況でも嫌がることが多い。
相手が痴漢を受け入れる余裕があるとか、密かに求めているという情報をリサーチできない限りは私は女性に痴漢することはほぼない。

とはいっても歩き方や立ち振る舞いの特徴は一般女性のそれだ。
明らかに一般人の動きじゃないと思うようなユーザーもVRCには稀にいるけど、そういう感じでは全くない。
それなら……少なくとも今すぐには危険ではないと思う。
この状況で組んで動ける相手がいるのは嬉しいと思うし、それは相手も同じじゃないかと思う。

よし、できるだけ警戒させない形で、様子を伺っていたことを悟られないように姿を表そう。

「あら?」

姿を表した私に、相手のユーザー"輝月"が反応する。

「ああ、失礼。怪しいものじゃない。
 君と同じこのワールドの参加者だよ」
「ふーん……そのユーザ名で怪しくないと名乗るのね? "痴漢さん"」

うっ、痛いところ突かれた。でもまあ慣れっこさ。

「まあこれは私のことを表す名刺みたいなものさ。勿論誰にも痴漢するわけじゃない」
「そうね。噂には聞いてるもの」
「あれ、私のことご存知でした?」

私は彼女のことは知らない。
でもまあ、一方的に知ってるパターンはあるかもしれない。

「VRCの名物ユーザーにして都市伝説、痴漢さん。
 リアルでも痴漢して逮捕を繰り返してるって噂は本当かしら?」

輝月は物知りげに微笑んで話す。いやいや。

「それは誤解。何だか噂話に尾鰭が付いてるようだけど。
 だって私は愛のある痴漢しかしない!」

んまあ、リアルで逮捕歴があるのは本当だけどね。
あれは……色々な行き違いで起きちゃった事故。

「というか、それを知りながら私を嫌がらないの? 痴漢プレイを喜ぶような人間ではなさそうだけど」

割と女性ユーザーからは批判的な目で見られがちということは理解している。
私のリアル性別が女だと、誰かが漏らしてからはそれが広まって少しましになったりしたが。

「別に私が対象にならなきゃどうだっていいわ。
 それに好きなことたくさんやりたい気持ち、わからないわけじゃないわ」

あっ、結構寛容なお方。とても助かる。
VRCで真面目な話をしようとして上手く行かなかった経験あるし……。

「ああ、理解してもらえて助かる」
「いえ痴漢趣味の良さは理解しないわ」
「冷静なツッコミありがとう……」

ちょっと和ませてくれるのが本当に助かる。

「こんな……殺し合いの状況でも普通に話せる人がいてよかったよ」
「そうね。貴方も変態の割に冷静で助かるわ。いえ変態だからこそなのかしら?」
「そうなのかな……? そうなのかも」

うーん。私はある程度理性ある痴漢だとは思ってる。
その日常を壊されたら感情的に怒るというよりは、理性を持って怒る感じになるのか。

「そういう君も一般人のように見えるけど、冷製で助かるよ」
「そうね……私はね、恐怖心とかないわけじゃないんだけどね。
 こういう非日常的な事態の場合はそれは心の隅に行っちゃって、好奇心のほうが勝っちゃう性格なのよ」

周りを見回していく輝月。

「貴方も感じたでしょう、このVRの世界を全身の感覚で味わうという初体験の素晴らしさ。
 殺し合いがおまけに付いてくるのは困るけれど」
「あ、ああ。たしかにそう思う面もある」
「私がこの建物を見つけて真っ先に入ったのもそう。
 この全身の感覚で、昔一度来たこの博物館のワールドを体験してみたかったからなのよ」

輝月のことをちょっと底知れないと思う。
こんな状況でも自身の満足を求めようとするのか。
完全な一般人という印象は崩れたかも。

「え? 君はこの場所を知ってるというの?」
「ええ。私ワールド巡りも結構してるし、一時期このワールド話題になったもの。行ったことあるわ。
 このワールドでは他のワールドを取り込んだような施設があるのかもしれないわね」

なるほど……わたしも過去に痴漢に利用したワールドがあったりしたら、地形を把握して痴漢の技を最大限に活かせたりするかも。

「ここは中文梗(こう)博物館、つまり中国ネットミーム博物館ってワールド。
 中国のネット文化で流行ったものを展示しているVR博物館ね」

得意気にワールドについて解説する輝月。
VR博物館……こんな状況じゃなかったらそこそこ面白いのかもしれない。

「私はこれから中に行こうと思うけど、貴方はこれからどうするつもり?」
「ああ、ちょうど方針を決めかねていて、相談したり一緒に動く相手が欲しいと思っていた。
 もし良ければ一緒に中に行かないかな?」
「いいわよ。一人より二人のほうが話せるのもそうだし、楽しいわ。
 入口はこっちだったはずよ」

痴漢だからって嫌がったりしない相手でやっぱり本当に助かる。
展示の入口から先へ進んでいく。
輝月は丁寧な雰囲気の女性的な喋り方をしている。中身が女性でこういう喋り方をするタイプはかなり珍しいと思う。
恵まれた家に生まれて育ちが良くて、それでいてネットの世界に触れようとも自分の話し方が染み付いてるのか、自信や拘りがあるのか。
あるいはアバターの高貴な和装のイメージに寄せている感じか。こっちの方が可能性としては高そうだ。
まあ普段の話し方とあえて変えてパーソナルを悟られないようにするやり方もなくはないし、初対面でわざわざ突っ込むことでもないな。

入ると、まずは複数の人物の顔をかたどった大きなプレートが見えた。
その後ろに行くと、梗起という文字があり、展示が始まるようだ。

「このあたりの展示は中国のネット初期のミームみたいね。私も良く分からないわ。
 本当のワールドなら展示解説をお願いしたりも出来るみたいだけどね」

輝月はスタスタと歩いていくので、後を追っていく。
展示について話すこともないので、他のことを話す。

「あの、もしかしたら博物館の中に他のユーザーもいたりするんじゃないか?」
「そうね……バラバラに初期位置は決まるようだし、いるかもしれないわね」
「君は他のユーザーに会ったらどうしようと思う?」
「そうね、見つけたら遠くから見て余程危険を感じでもしない限り、話したいと思うの。
 こういう状況で何かを見過ごすような選択肢を私は取りたくないのよ。動けるときは動くの」

なるほど、今までの話を聞いても行動ありきなタイプなんだなあ。
でもそれだと、少し心配もあるな。

「相手が錯乱していたり、もしも既に殺し合いに乗ることを決めて襲ってきたらどうする?」
「たぶん問題ないわ。私のスキル、一応戦闘に使えるから身は守れるし。貴方の方こそ大丈夫?」

「ふっ。痴漢の修行をずっと続けてきた私の力を見くびるなよ。
 痴漢技は戦いにも応用できる。無論相手を傷つけることはない愛の技だ!」
「あら、頼もしいわね。それなら戦うことになったら貴方の方に前に出てもらおうかしら。
 是非その痴漢の技を見てみたいわ」
「そう見せつけるようなものじゃないが……その時が来たら戦うさ」

多分皮肉じゃなく、本心で見たいって言ってるみたい。
女性でこんな相手初めてだ。面白い人だしいい人かも?
歩いているうちに次の展示スペースに進む。

「お、ドナルドの写真が展示してある。中国にもいるんだ」
「ここはミーム博物館だから、日本のニコニコ動画から中国に伝搬したミームということで展示されてるのね。
 私が小学生の頃だったかしら、一時期ドナルドをネタにした動画が流行ったのよ」
「なるほど。そこらへんの文化はそこまで詳しくないからなあ」

少し先には、立ち並んだロッカーの間にベンチ。
そしてその上には……タンクトップの外国人の男と、ボンテージ姿の男?
博物館らしくない珍妙な展示だ。、

「あ、ロッカー編のいかりやビオランテとVAN様だわ。昔は動画結構見たわねえ。
 前来たときはここでフレンドとポーズとって記念撮影したのよ。懐かしいわね」

輝月が思い出しながら語る。
ちょっとついていけない……でも動画のミームを展示するって考えるとこんな感じになるのかな?
先に進むとまた見慣れたものがあった。

「おおっ、一本満足バーだ。いいよなぁこれ。満足。満足」

私は痴漢を狙う際の行動食として愛用している。
毎食とは行かないけど、一本でも本当に結構満足できるぞ。
その後の痴漢にも満足できれば、その日は最高の一日。

「CMがネットでよくネタにされてたわね」
「面白いCMだったね、あれ。
 学校でバカな男子がダンスを真似て踊ってたりした記憶があるな」

実は私も踊ってたけどね。

「満、満、満足!一本満足!」

輝月が自然と手拍子を始め歌い出した。

「はっ!」

ああっ、何か体が反応しちゃう。肩が動くぅ。

「満、満、満足!一本満足!」
「はっ!
 チョコなのにヘルシー! 僕、満足!」
「満、満、満足!一本満足!」
「バー」

輝月がとても楽しそうに私の方を見てる。
私もとても満足……いやいやこんな殺し合いに巻き込まれた状況で満足してどうする。
展示を見るのもそこそこに先に進む。
通路沿いの脇にテレビ番組のセットみたいな部屋がある。
中国のオーディション番組とかかな?
まあ進もう。次の展示スペースが見えてきた。ん?

『……ヌゥン!ヘッ!ヘッ!
 ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛
 ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!
 ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!
 フ ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ン!!』

先の方から小さいけれど、なにかの声らしきものが聞こえてきた。

「あっ! 何だこの音? 人の叫び声か? いやもしかして喘ぎ声?」
「あっ、目力先ぱ…………いえ、なんでもないわ」

輝月は言葉に詰まり、それを誤魔化すように先に進んでいく。私も後を追う。

「うん。これは展示の解説ボタンを押すと流れる音声なのよ。先の方に誰かいるに違いないわ」
「なるほど、話の通じる相手ならいいけど」

天井からぶら下がった、鉛筆の頭を持ったサメの模型が目を引く。その脇を進んでいく。

「そこの奥にある展示のボタンを押したときに流れる音声だったはずね」

輝月が変な形にくり抜かれた壁の先にある人物の写真を指差す。
周りに人影は見当たらない。
一応気をつけながら、そちらに私が前になり近づいていく。
写真の前までたどり着いたが、やはり人はいない。

「どっかで見たような男の顔写真だな。ネットで時々見る気がする。野……なんとか先輩?
 野獣先輩とかいうのを昔クラスのバカ共が話してるの聞いたことあるけど、こいつが?」
「あら、知らないの? その通りで、これは野獣先輩って呼ばれてる男性の顔よ。
 そうねぇ。本名は田所浩二、水泳部の後輩に睡眠薬を盛って昏睡レイプした人間の屑よ」

「え? そんな悪党まで顔写真がミームになってるのか?」
「……それ、痴漢魔として有名なあなたが言えたこと?」
「私は相手を昏睡させてまで欲望を満たす悪党ではない!
 それは本当に愛のある痴漢にはならないじゃないか!」
「愛ね……確か野獣先輩にもあったような……ふふふっ」

輝月は写真を見ながら可笑しそうに笑っている。知識の無さを笑ってくるとは失礼なやつだ。

『ヌゥン!ヌゥン!ヌゥッ!ヌッ!ヌッ!ヌッ!』
「……何やってんの?」
「ああ、ボタンを連打したらどんな感じになるのか気になっただけよっ……ふふっ。
 重なって多重再生されたりしたら面白いのだけどそうはならないようね……」

笑いながらボタンを連打したり残念がったりする姿は結構可愛いかもしれない。
いやそうじゃなくて。

「そんなことより、ここにいないならもっと先に進んでるはずじゃないの?」
「そうね、少し急いで先を目指しましょう」

その先の通路を抜けると、部屋を再現したようなセットがあった。
スナック菓子や飲み物で散らかったテーブルの周りに、男性3人のパネルがある。

「あ、ケツ兄貴だわ。これも昔見たわね」

中国語の解説音声が流れてるけど、輝月はこれも知ってるのか。
私はセットの中に紛れてユーザーがいないか目で探してみる。
輝月も一緒に探しながら解説する。

「確か台湾の教育ビデオがゲイビデオっぽいってネタにされたのよ。
 日本の動画サイトにも輸入されて字幕もつけられたわ。
 兄貴やめて! 快感ビンビン症……ふふふっ」

輝月は思い出して思わず笑っているみたい。
ゲイビデオをネタにして笑うのは私はちょっと……。
でもこれは個人の好みの問題だし、そのままにしておこう。

暗い中をネオンが光って、LCDにニコニコ動画のコメントのように文字が流れる通路を越える。
その先は二次元コーナーだ。アニメや漫画っぽい展示がたくさん並んでいる。
初音ミクやスパイファミリーとか私でもわかるものもあるな。
なんか壁の展示画像に輝月に似たキャラがいた気がする。アバターのモデルにしたのかな。
周りに目を配りながら、何故か置いてあるロードローラーの実物など大物の展示は裏も回って確認しながら進んでいく。

部屋の奥から続く通路の先は……あっ、実物大くらいのガンダムだ。これは知ってる。
シャアとかのキャラの画像も展示してるし、ガンダムのコーナーなのかな。
その先にもどんどん進んでいこうとしたとき……輝月が待ってと声をかけてきた。

「よく見てみなさいよ、この展示」

少し戻って同じ方を見ると……ビル街の路地でうつ伏せに倒れた赤い服の男の展示だ。右手には銃を持っている。
私は特に怪しくないかと思ってすぐに流してしまったけど、輝月は何かに気がついたらしい。
隣に立つと小声で話してきた。

「ほら、そこの倒れた団長をよく見て」

団長……倒れた男の上に"かしの葉 つばき"のプレートが浮いている。
これも含めて展示だと自然に思ってしまっていたが、確かに言われると怪しい。

「まるで私達と同じネームプレートらしきものが浮いてるね」
「ええ。本来の展示だとあんなものないはず。十中八九、私達と同じ参加者でしょうね」

輝月が倒れた男に向かって呼び掛ける。

「もしもし、そこのオルガのアバターの人。
 こっちは取って食ったりとかするつもりはないわ。安心しなさい」

男は少しも動く気配はない。

「しらばっくれるつもりなのかな?」
「あのね、どう見ても展示じゃないってバレてるわよ。
 このまま埒が明かないのなら、隣の痴漢魔がこれからベタベタ触りに行くわ」
「あのなぁ……」

輝月の方を睨む。
しかしすぐに男の方から声が聞こえてきた。

「そ、それはやめろなのじゃ!」

のじゃ?
謎な語尾に思考が止まる。

「あら、ちゃんと話せるのね。良かったわ。
 それならもう少し落ち着いて私達と話しましょうよ」
「本当に話すつもりかの? 狸汁にして食ったりしないのじゃ?」
「狸汁って……そんなことしないわ。
 あの説明だけ聞いてホイホイすぐ殺し合いを始めちゃうような人は余程の低能か狂人だと思わない?」

輝月が落ち着いて会話を続けている。
いやよくこんな頓珍漢なやつと普通に会話できるな。
私も一応割って話しかける。

「あ、ああ。私達だって殺すのも殺されるのも嫌だし、とりあえず色々考えるために落ち着いて話そうということなんだけど」
「じゃがの、そんなこと言うて人間どもは食うもんがなくなったらタヌキのワシを食おうとするんじゃろ?
 同胞の肉を食うよりも抵抗感とか感じないんじゃろう?」

いややっぱりおかしすぎる。
輝月と顔を見合わせ、小声で話す。

「なんだあいつ。言ってることがめちゃくちゃすぎない?
 まさか本当にタヌキが人間に化けてるとかいうやつなの?」
「そんなわけ無いでしょう。貴方意外と妖怪とか信じる方なのね?」
「いやまあ、VRと現実を繋げられるとかあんなこと見せられたあとだし」
「まあ、それはそうね。でもあれはそういうのじゃないはずよ。だって私あの名前知ってるもの」
「あ、そうなの」

自信ありげに微笑む輝月を見て、私は少し彼女に任せることにする。
痴漢の私が入ってもこじれる可能性があるし。
輝月が再び男の方に呼び掛ける。

「貴方"かしの葉つばき"本人なのかしら?
 それなら知ってるわ。コラボ配信とかで他のVtuberの配信に出ていたのを昔見たのよ」
「なに? ワシを知っとるのか。
 そんなにバレバレじゃったか?」

素直に感心して疑問に思う声が聞こえる。語るに落ちるのが早すぎるな。

「ええ。偶然オルガのアバターを選ぶとも思えないし、今その姿になってるのは支給品なんかの力でしょう。
 貴方こんな非常事態でもキャラ付けにこだわるのね。状況が理解できてないの?」

男が起き上がってこちらを向く。
あ、よく見ると私達と同じ首輪もつけてる。

「理解しておるわい。ワシはこのゲームに参加してファンの人間どもを楽しませたかったのに、
 なんでかゲームが殺し合いとかになって困っとるのじゃ。そこまで馬鹿ではないのじゃ。
 お主らが思い切り追いかけてくるから身の危険を感じてここに隠れたのじゃ」

ああ配信者として参加してたのね。何となく彼女の経緯がわかってきた。
隠れる理由もまあわかる。足音とか、私はいつも小さくする癖が付いてるけど輝月は普通に立ててたし。

「それにキャラ付けとは何じゃ、ワシはいつものワシのままなのじゃ」

おいおい……と思っていると。
ドロンッ。変な音とともに何でか男が煙に包まれる。
すこしずつ晴れると……輝月と比べて少し身軽そうな和服を着た、獣耳の少女になってる。
右手にはデイパック……どうやら右手の銃はデイパックを擬態させたものだったらしい。

「姿を変えたのは支給品なぞの力ではない。ワシが持つ変化の力じゃ。
 まあ今回はゲームなのでそのまま持ち込めぬから、スキルとして認めさせて貰うておるのじゃがな」

自分の力をなんでもないように解説……この子自分から色々喋るなあ。
危機感がないのか、情報を隠す会話に慣れてないのか。

「あら、見慣れたVtuberのつばきの姿ね。
 それがアバターの本来の姿ってこと?」
「何を言っとるのじゃ?
 ワシの本来の姿はタヌキじゃぞ」
「あ……そうだったわね。
 まあ貴方がつばきだということは、はっきりわかったわ。ありがとう」

キャラ付けに対してはもう突っ込まないの……?
うーん。輝月はなんか適応力高すぎ。
そして、つばきは少し考える素振りをしてから後ろに身を引く。

「じゃが待つのじゃ。お主はワシのことを知っとるようじゃが、ワシはお主らのこと全然知らんのじゃ。
 じゃからすぐに信用するつもりもないのじゃ!」
「あら。私達だってお互い完全に信用してるわけじゃないけど、とりあえず今は殺し合いをするつもりはないということで一緒に動いてるのよ。
 貴方だってビビって逃げてるってことは少なくとも私達を殺すつもりはないんでしょ?」

輝月が的を得た発言でつばきを説得にかかる。
しかしつばきはまだ納得してなさそう。

「ワシは力はそう強うないし、虫や鼠ならまだしもいきなり人間を殺す気概もないわい。
 殺すつもりがないんじゃのうて、殺せないんじゃ」
「それならもう、とりあえず一緒に行動してもいいんじゃないかしら?」
「確かに一緒に動くものがいるのは悪うないと思う。しかしそうとは言ってもワシはタヌキでお主らは人間じゃぞ?
 狸汁にされる恐ろしさはどうしようもないじゃろうて」

つばきが諦観した感じで言う。

「なに、支給された食料が少ないならそれまでにこの事態が解決する努力をすればいいじゃない。
 どういう方針になるにしても、何人かで組んでいたほうが色々早く進むわ」
「うーむ……まあそれもそうじゃのう」
「よしよし、決まりね。じゃあ一緒に行きましょ、つばきさん」

輝月が手招きすると、つばきがゆっくりした足取りでコッチに歩いてくる。

『なんか静かですね~。街の中にはギャラルホルンも居ないし、本部とはえらい違いだ』

あれ?展示音声が流れだした。
ふと見ると輝月が展示解説のボタンを押している。

「うん。やっぱり秀逸なミームって流行が過ぎても時々聞きたくなるのよね。
 止まるんじゃねえぞ…………勝ち取りたい!」
「勝ち取りたい……? おお、それワシ知っとるのじゃ!
 ワシのふぁんがその曲に乗せて、ごっつくなったワシがこちらに走ってくる動画を作っとったのじゃ!」

大げさに腕を振り足を動かし、走るように足踏みするつばき。しかも顔は真顔で。

「止まらないつばきってことね! 私も止まらないわよ」

輝月も同じような動きをし始める。おいおい……。

まあちょっと空気は和んだ。
私もそれを見て、面白くて笑いが漏れちゃう。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


私達は隣の展示スペースに移った。いい感じに落ち浮いて話せそうな作りのスペース。
かぐや様は告らせたいというアニメの学校の生徒会室が再現されているらしい。
手前側のソファに私と輝月が座り、テーブルを挟んだ反対につばきを座らせる。
さすがにこの状態のつばきを連れて行くと面倒そうなので、展示見学は中断してしばらく話すことになったわけ。

「それにしてもなぜワシがあの男に化けとるのがバレたのじゃ?」
「そうね。あの場所はもともとオルガが倒れてるのだけど、解説板のボタンを押せばオルガは消えるわ。
 そしたら観覧客が同じ場所に倒れてポーズを取って記念撮影できるギミックね。
 だからオルガを消した状態で自分がオルガに化ければ、違和感なく展示に溶け込める。
 あの急いで逃げる状況で、よく考えたじゃないの。すごいわね」
「そうじゃ。ワシとしても完璧な作戦じゃったと思うたのにのう」

不思議そうな顔をするつばき。というかこりゃバカっぽい顔にも見える。

「あのな……アバターの上にネームプレートが出るのを忘れたのか?」
「姿だけ変えてもそれでバレバレだったわ」
「なにっ! 確かにお主達の上に名前のような物が浮いとるとは思っておったが、それはワシの頭の上にも見えとるのじゃ?」

輝月が呆れたような表情になる。もちろん私も。

「あのねぇ、見えるも何もそれがVRCってものじゃない。
 よっぽどの初心者か間抜けなのかしら?」
「おう、ワシは事務所のアカウントで今日初めてぶいあーるしーに入ったばっかりじゃ!
 じゃからな、なにぶん勝手がわからんものでのぅ」
「あちゃ、もっと心配になってきたあ……」

New Userランクでアバターのアップロードが出来るくらいにはプレイ経験あるのかと思ったが、どうも完全初心者だったらしい。
こりゃ絶対放っておけないぞ。
……初めてのVRCでこんなことになるなんて可哀想過ぎる。

「それなら、もしかしたらこうすれば良いのじゃ……?」

つばきは頭の上のネームプレートのある辺りを探ろうと、手を上に伸ばして振り回す。
もちろん触れることはできないはず……?
ん? ネームプレートがモザイクがかった。

「あら? ネームプレートの名前が"痴漢さん"になってるわね」
「おお! 触った感触は無かったのじゃが、何かを変化させたという感覚だけあるのじゃ。
 どうやら上手くいってるようじゃの」
「なるほど、それも姿を変えるスキルの一部ってことか。
 ……いや私に成りすまそうとするな!」
「待て、こりゃただ試しに目の前のお主のを真似ただけじゃて」

いやね、私になりすまして悪質な痴漢行為や迷惑行為を働いたユーザー……いたんだよ。
あのときは話が拗れそうになって大変だった。
私に恨みがあるような人はいないと思うけど、私になりすませば色々許されると思うような奴はいるんだよなあ。
一方輝月はというとこれを見て興味が増しているようだ。

「なるほどね。人を騙すのがお好きなのね?
 でも口調も変えられないと意味ないんじゃないかしら?」
「おう、人を騙すのは化け狸の本分じゃからの。
 さっきは酷いところ見せてしもうたが、最初から騙して話すつもりでもう少し落ち着いておれば口ぶりもしっかり変えられるのじゃ」
「すごいじゃないの。こういう不特定多数が巻き込まれるサバイバルで、あなたの能力すごい強いと思うわよ。
 よく使い方を考えていきましょうよ」
「褒められても嬉しくないのじゃ!
 これは化け狸としての基本の力でしかないのじゃ」

そう言いながらも嬉しそうにしているつばき。
あ、なんか尻尾もパタパタ振ってる。本当に分かりやすいやつだな。
まあ騙すときは変化して尻尾も消えるから問題ないのか。
ん? 尻尾を振るのってたしかVR用コントローラーに指の操作で、決められたアバターの動きをさせる操作を選択入力すればいいんだよな。
これって今のフルダイブの場合ってどうなってるんだ?

「あの、気になったんだけどその尻尾ってどう動かしてるの?」
「ん? ああ自然と動いておったのじゃ。
 しっかり意識しなければ尻尾を制御するのは難しいのぅ。
 息や瞬きをするみたいに勝手に動いてしまうのじゃ。タヌキじゃし仕方なかろう」

いやよくわからない。感情で勝手に尻尾が動くって本当に人間か疑わしく思えるんだけど、人間だよね?
まあこれ以上問い詰めたらもっと頓珍漢な答えが返ってきそうだしやめよう。
話題を変えるかな。

「さて、大事なことなんだが。
 この先どう動くかの方針について話したいと思うのだけど」

二人が少し真剣な顔になる。
私の考えを話そう……と、その前につばきが割り込んでくる。

「おう! それならワシから提案があるのじゃ。
 これも大事じゃからよく聞くのじゃ」

おかしい奴だとは思ったけど意外と考えてるんだ。自分以外にも先を考えてる人がいて少し嬉しいな。
それなら聞き捨てる訳にはいかないし、話の先を促そう。

「あのな。ワシは長年生きてきた化け狸じゃ。もちろんこれからも長生きするつもりじゃ。
 こんなところで死にとうない。命が勿体ないのじゃ。じゃからワシはこう考えた」

つばきが身振りをして量を示しながら話を続ける。

「この殺し合いに参加しとる人間は数十人ほどじゃろ?
 全員が普通に生きたとする残りの命の長さを合わせても、ワシが生きられる残りの命の方が長いと思うのじゃ。
 もしも一人だけ優勝して生き残るとしたら、このワシが生き残るのが最も理にかなっておると思うのじゃ」

テーブルに前のめりに身を出してくるつばき。

「お主ら、ワシのために戦ってくれんかのぅ。どうかわかってくれんかのぅ」

ヒュッと神速で両手が伸びる。
つばきの乳首を一瞬撫ぜ、同時に服をはだけさせる。
反撃を許さない一瞬の手つき。

「うひゃっ! 何するんじゃお主!」
「ごめん。君にそれ以上喋らせたくなくなっちゃった。
 これは場の雰囲気を悪くしないための愛の痴漢。本当にごめん」

つばきは身長の割にふくよかな胸を、はだけた服をたくし上げて隠していく。

「あらあら、面白いじゃない。もっと言わせるだけ言わせとけばいいのに」
「そうじゃ! これがどれだけ正しいかワシの生き様をよく話せばわかるのじゃ!」
「言っとくけどね、それでわかったとかいう人間絶っっ対いないから!
 君が化け狸とかそういうこと何も関係なく!」

輝月は面白がってるが、私は真剣な話をしようとしたのにまるでバカにされたみたいで腹が立った。
……いやいやこんなのに腹を立てるより、私が本当に怒りを抱いてるのはゲームマスターの方だ。

「私はな、あの最初の時にゲームマスターを止められなかったことを後悔している。
 でも、今からでも殺し合いを止めるために出来ることはあるはず」

二人(主につばき)の方を見ながら話し掛ける。

「私はこの先、殺し合いを止めさせるために動きたいと思う。
 痴漢の名にかけて、私の痴漢の技でこの事態を解決に導いてみせる!」

ガタッ。
おっと、気分が乗って立ち上がってポーズ取っちゃった。
でも二人とも私の気迫によってちゃんと聞いてくれてるようだ。

「凄いわね。でも、どうすれば解決できると思うのかしら?」
「殺し合いに乗ってしまったユーザーを見つけたら、私は愛の痴漢で戦って止めてみせる。
 そしてゲームマスターの言っていた、逆らいたければ首輪を外すのが必要ということ……怪しさはあるが論理的には正しい。
 その方法を探っていく必要もこれからあるだろうと思う。
 そしてこのワールドにいるだろうゲームマスターを探し出し説き伏せ、皆でこのワールドから生きて帰還したいと思っている!」

輝月はそれをしっかり聞いて、納得するように答える。

「なるほどね。対主催の方針ってことね。
 あなたみたいな人が目指すなら信頼できるし、私も一緒に協力させてもらいたいわ。
 私も生きて帰りたいし、一人の力だけでそれができるとは思ってないわ」
「……ありがとう。輝月」

良かった……変なとこもあるけど、本当に落ち浮いて話せる良い人だ。
そして、つばきの方へ輝月が問いかける。

「つばき、貴方はどうするの?」
「うっ……わこうたわこうた、ワシはワシのためだけじゃなくお主らや他の生きて帰りたい者どものためにも動く。
 そしてお主らも少しワシのために動いてもらう。それは最後に皆生きて帰るため。そういうことでええんじゃろ」
「……ありがとう、二人とも」

輝月が決め手になったのか、つばきも納得してくれた。
三人でゲームマスターに対抗して生き残る方針に纏まって、本当に良かった。
お、つばきが話してるうちに乱れた服を直し終えたようだ。

「まったく、少しなら良いがあまりに破廉恥なことをすると配信ちゃんねるの権限を止められてしまうのじゃ。
 それはまずいのじゃ。リアルタイム配信じゃないから編集で対応はできそうじゃがの」
「え? このワールドって動画配信されてるのかしら?」
「ん? 少なくともワシのぴーしーでは録画の設定はしてあるはずじゃぞ。
 フルダイブなんかになってしもうたから、ちゃんと動いてくれとるか確認はできんのじゃが」

なんかすごい大事なことを聞いた。
もしかしたら……動画から外の人が何が起きてるか気がつくかも。
でも、ちょっと足りないんだ。

「そんな、なんでリアルタイム配信にしてないのさ!
 リアルタイム配信だったら異変に気付いた視聴者が通報して、色んな人が動いて事態を解決してくれるかもしれないのに……!」

私が少し問い詰めるとつばきはばつが悪そうに答える。

「待て待て、仕方ないことなのじゃ。ぶいあーるに没入したらチャットに反応するのが難しくなるのじゃ。
 それではリアルタイム配信する意味が大きく失せてしまうじゃろ」

う、そうだな。珍しく筋の通った反論だ。

「他にも常に全体の状況の分からない対戦ゲームをライブ配信しちゃったら、
 そのライブを見て情報を抜いてくるメタ戦術を使ってくる人が出る可能性もあるわね」
「それにの、ぶいあーるしーは皆身体の動きも声も、写してはいけない物もそのまま流れるでの、放送事故の危険もあるからリアルタイムは難しいのじゃ」
「そうね。痴漢さんもそういう放送事故を起こす側のユーザーねぇ」
「あ、ごめん……」

私は痴漢を配信に乗らないように細心の注意を払うけれど、私の名を騙る迷惑ユーザーはそうじゃないと思う。
風評被害ではあるけど、元は自分のせいだ。

「でもこんな実際の殺し合い、録画されてても一般公開はできないんじゃないかしら?」
「確かにそうじゃな。動画化してもっとりすなーを楽しませたいと思うておったのじゃが……」

ああ、この人も普通に痴漢をしたいとだけ思ってた私みたいに固有の苦労があるんだなあ……とちょっとだけ同情した。

「そうね。でも別ルートで配信されてる可能性はあるかもしれないわね」
「どういうことじゃ?」
「権力を持った金持ちが一般市民たちを集めてデスゲームをさせて、その様子を見て愉悦する。
 ありがちなパターンだと思わない?」
「ああ。確かに。そんな映画を昔見た気がする」

映画館に痴漢しに行ったときにちょうど放映されていた映画だ。

「だからって何か変わるわけじゃないけど、
 主催者側がかなりの権力者という可能性は考えましょう」
「そうじゃ! 実はの、ワシがここに参加することになったのは事務所からの話なのじゃ。
 事務所にちゃんとした話を持ってこれるような奴はいるのかもしれないのぅ」
「なんだって! それちゃんと聞かせて!」

え、こんな頓珍漢な人物がまさか主催者との繋がりがあるかもしれないなんて。
これはちゃんと聞かなきゃ。

「いや、ワシもようわからんのじゃ。
 事務所の者から参加してほしいと言われたのは確かなのじゃが、
 その裏に誰がいるかなぞ気にしてなかったのじゃ」
「仕方ないわね、末端の配信者ならそういうこともありそうだわ」
「そうか、ほとんど手がかりは無しだなあ」

仕方ないことさ。僅かでも考察できただけ良いとしよう。

「そういえばお主らのすきるや武具は何じゃ?
 ワシは変化の力がすきるじゃから戦うことはあわり期待して欲しくないのじゃ。すまんのぅ」

あ、確かに一方的に聞いただけでこちらは説明してなかった。

「私のスキルは"満足(サティスファクション)"。
 痴漢によるスリル、そして魂が満足を欲するほど私は強くなる!」

首を傾げるつばき。

「痴漢を追い求めるほど強くなるじゃと?
 わざわざそんなスキルを作るとは。痴漢さんの何の通り、頭のおかしいやつじゃのぅ」

いや君にだけは言われたくない。
一応自分が異常者の自覚はあるけどさあ。

「輝月の方はどんな能力なのじゃ?」
「私のスキルは"破月"。手で刀のようにものを切ることができる力よ」
「おお! 分かりやすくて頼もしいのじゃ!」
「お前たちなあ……」

くうっ。反応が違いすぎる。負けた。
しかし痴漢をスキルにできる人間なんて私しかいないだろう。オンリーワンだ。
その点じゃ負けてないし、自分自身で自分のスキルが好きなのが大事なんだと私は思う。

「つばき、貴方も最低限くらい身を守れたほうがいいわよ」
「タヌキの姿ですばしこく逃げるくらいは出来るのじゃ。虫くらい小さいのに化けるのは無理じゃがの」
「へえ。私達をただ置いて逃げるつもりなの?」
「うっ。そ、そんなことないのじゃ。
 実はの、さっきお主らから逃げるときこの背負い袋の中を見てみたら武器らしきものがあったのじゃ。
 しかし使い方がわからんのじゃ。お主ら、何が心当たりはないのじゃ?」

つばきがデイパックに手を入れて何かを取り出す。
しばらく探ったあと出てきたのは、何だあれ?
(ー)のような形をした機械。

「見たことあるわ。ちょっと貸してご覧なさい?」

輝月がつばきから機械を受け取り、手に持つ。



「これはね……こう使うのよ」



「やめなさい」



瞬間的に手が出た。機械を取り落とす輝月。
輝月がつばきの方にその機械をを向けたからだ。

「あら?狙いはちゃんと逸らすつもりだったわよ」
「そういう問題じゃない」
「厳しいのね。もうちょっと遊び心を持ちなさいよ」

諦めた輝月が、部屋の隅の観葉植物に向けて機械から光を放つ。
数瞬で観葉植物の葉に着弾した。
ポンと言う音とともに光球は吸収され、熱で観葉植物の葉が萎びる。

「あら、予想してたほど威力はないわね。
 確かもう少しトリガーを握ってから撃つ強力なチャージショットもあるのだけど」
「やっぱりちゃんとした銃じゃない。遊びでも人に向けるな。
 命を天秤にかけた脅しと、君は同じことをしているんだ」

静かに怒る。基本痴漢が関わらないと私のテンションって上がらないからこういうときは冷静。

「そんなに重いこと言わないで欲しいわね。
 もっとひどい状況いくらでもあるでしょう?
 こういうときに出来ることやっとかないと、後でできなくて後悔するわ」

それは一応間違いじゃないけど……私だって痴漢を自制してるんだから、もっと弁えた行動をしてほしい。そういうことだったんだけど。

「なるほど。猟銃みたいなのと全く違う姿じゃし、撃ち出す弾もまるで違うのじゃな。
 これを向けられても咄嗟に避けようと反応できんかもしれんのじゃ」

武器を恐れながらも関心するつばき。

「ええ、だから身体で覚えたほうが良いかと思ったのよ」
「確かにそうかもしれんのじゃ……」
「そんなわけ無いでしょ君ら!」

つばきのせいで調子が狂う。ああ何か怒る気が失せていく……。
そうか……私も少しくらい満足を求めてみるかなあ。

「それにしても、私を止めるときには痴漢はしないのね。
 あの神速の手付き、ちょっと体験してみたくもあったのだけれど……」
「いや、銃を落とそうとする方に意識がいっただけ。
 ああ……でも本当なら身体を触って銃を持てないようにするくらい感じさせるのが痴漢としてはベストかぁ。
 まだこういう殺し合いの状況に精神が慣れていないということなのかぁ」

私は決意を新たにする。

「痴漢の修行の道は果てしないなあ、いずれはやってみせる!」

そう言いながら立ち上がって、ごくごく自然につばきの後ろに回り込んでみる。
ソファに横たわる無防備な尻尾。
そっと手を伸ばして伸ばして……もふっ。

「うひゃっ! 今度は何じゃ!」
「あっ、ちゃんと感覚あるんだ……いやすごいなこれ」

尻尾のモフモフ感を手でしっかり味わう。
これって何がすごいか? VRCでは尾のあるアバターの尾に密かに触ったりしてもまず気がついてもらえなかった。
触っていることを仄めかした上でなら感覚があるというVR感覚に目覚めた猛者もいたけど。
今回は完全に気づかれないように尾を触ったにも関わらず、この娘は明らかにそれを感じて嫌がった。
ここまでの感覚へのフィードバックを用意できるって、すごい技術じゃないかこの世界。
この技術を平和利用してくれればもっと痴漢のパターンも広がるのに。
とか考えてたらつばきが私の手を押しのけ、尻尾を脚の間に隠した。

「まあ君も、もう少し危機感を鍛えたほうがいいのは確かかもしれないな」
「お主なあ、タヌキの尻尾は敏感なんじゃ。人間に例えると耳や唇と同じようなもんじゃ。
 心を許した相手以外に触られるのは嫌なんじゃ。
 今度から下手に触ったら完全にやばい者じゃと認定してやるでの」

いやその感覚をあるものとして自然に受け入れてる君はもっとやばい。
でもこうなるとタヌキ耳とかの感覚はどうなのかとか、もっと色々試したくなる。

「あの……そしたらその耳とかの感覚はどうなってるんだい?
 人間の耳があるあたりはどうなってるんだ?
 ちょっとでいいから触らせてくれ!」

つばきは耳を前に曲げ小さくし、更に手でガードする。

「なんじゃなんじゃ!? ワシへのアブローチのつもりか?
 あのな、タヌキの発情期は早春頃で1ヶ月も続かないのじゃ!
 最近は人間に化けてることが多いからそちらの身体に影響されとることもあるかもしれんが、
 やはりそれ以外の時期にアブローチされるのは気持ち悪いのじゃ」

それでも見つめ続けると……目を逸らし始めて。

ドロンッ!

あれ? あ、なんかタヌキになってる。
輝月も少しそれを見て感心している。

「これでどうじゃ? アブローチする気なくなったじゃろ?
 インターネットでワシの春画を見ることがあるのじゃが、ほとんどは耳と尾のある人間の姿で描かれておる」
「あら、タヌキなのに意外と自分のこと調べてるのね」
「いちおう配信者じゃから、ファンの反応は調べなければならん。
 まあ機械音痴じゃから事務所の他の面々の助けを借りたりもしておるのじゃが、努力はしておるのじゃ」
「え? 自分のエッチな絵とか他の人と一緒に見てるの? 恥ずかしくないの?」
「人間の体は仮初の姿じゃ。じゃからどういう描かれ方をしてもワシが有名になって嬉しいと思うだけじゃ。
 まあ人間のモラルの問題もあるから、ワシ自身が人前で脱ぐことはないがの」

タヌキ姿のつばきはまあキャラクターとして、普通に可愛い。
完全な現実のタヌキじゃなく少しアニメ調にデフォルメされた感じで、顔も表情がわかるし人間時の面影もある。
頭の上には服の柄と同じ椿の花が載っていてチャームポイントになっている。

「まあ、タヌキ姿のワシの春画も稀に見かけるのじゃが多くはないのじゃ。
 おそらくそういう絵を書く奴は同類の化け狸なのではないかと疑っておる……話が逸れたの」
「いえ、それはケモナーとかそういう性癖を持つ人間の仕業でしょ。
 動物を可愛いと思う感情がそのまま性癖に結びついてる人間もいるわ」
「そんなの嫌じゃあ、もっとこの世にワシの他にも化け狸がいると信じたいんじゃあ」

いや自分が化け狸なのはやっぱり前提なのかよ。
それはそれとして、目をうるうるさせながらソファをバンバン叩くタヌキのつばきは可愛い。

「でも、確かにこの人は人間を対象とした痴漢魔だしタヌキの姿でいれば多分大丈夫かもしれないわね」
「ああ、私は愛のある痴漢しかしないからな。
 人間と動物に愛情が湧くとしても、私の場合それは性愛にまでならないさ」

うーん……でも私も見た目がタヌキでも中身が人間だと思うと、痴漢の対象に見えるような気もしてきた。
感覚がどうなってるかの疑問はもっと増したし。
動物の姿の時とか、どんな感覚になってるのか想像も付きやしない。

「それにワシは添い遂げる相手は同じ化け狸と決めておる。残念ながら今まで逢うたことはないのじゃが」

尻尾が縮み耳も垂れるつばき。人間のときと同じで感情もわかりやすいな。

「一応化け狸がいないって証明はできないし、探し続けるのもいいと思うわよ。
 できればその経過も配信したりすればいいわ。きっと面白いでしょうね」

いや逢えるわけないでしょ。逢えたとしてもそりゃ詐欺師でしょ、
と突っ込みたくなるがもうきりがない。
輝月、君は適応してるのか悪乗りしてるのか。

「そういえばタヌキの姿になって首の太さもかなり変わったと思うけど、首輪が付いたままだ」
「ありゃ? 本当じゃ。不思議と首にじジャストフィットしとるのじゃ」

そう、タヌキのつばきにもまるで犬の首輪のように首輪がしっかりついている。

「もしかしたらアバターの首の判定に応じて首輪の大きさも変わるのかもしれないわ。
 そう簡単に外させてはくれないようね」
「なるほど。でもアバター変更ではどうにもならないということはわかったのは収穫だね」

とりあえず今話すことはそろそろないかな。私は次の行動を提案する。

「ねえ、他にも武器になるような物があるんじゃないか?
 しばらく他の自分の支給品や自分のスキルの使い方の確認でもしよう。
 情報交換は私はしたいけど、まあ任意でできるとこまでかな。
 つばきちゃんはまだ周りを信用しきってないみたいだし」
「そうね。現状を把握するのは大事だわ」

あれ? つばきはたぬきの姿でどう所持品確認するんだろう?
私と輝月はそっちを見つめる。

「心配しなくとも良いぞ。タヌキの小さいお手々でも、ちょっと背負い袋を開いたり物を持ったりはできるのじゃぞ」

各々持ち物を確認し始めた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

    ~~~~~~~~

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



つばき……役を演じることにのめり込みすぎている。
虚像を作って皆を騙して浮かれさせる一方、自分も虚像に覆い尽くされて騙されている。
今まで私がVRCで痴漢した中にもアバターに感覚が寄り過ぎてるような人もいたけど、比べても度がすぎている。
平和な世ならそういう生き方もあってもいいのかもしれない……でもこんな命の危機のある場でもこうなっているのは流石にまずいとは思う。

輝月……好奇心が強くノリも良くて話し好き。普通に良いユーザーに見える。
でも彼女の好奇心で今やりたいことを優先した行動には、後先考えない危うさもあるように見えて。
他人を煽ったり傷つけたり、不意にしてしまわないか心配になる。
そうだとしたら彼女が回りに危険を及ぼしたり、あるいは及ぼされそうになる前に私が止めなきゃいけない。

いつか二人が暴走しそうになったときは、私の愛を持った痴漢で止めてそして説得する。
まだ修行中の私にそこまでできるのかわからないけれど、見過ごすことはできない。

本当は単独で動いてもっと他の参加者の気配を探って、このリアルな触覚を手に痴漢を楽しみたいなあ……けどそういう状況ではないのは確か。
私のスキルとしても、きっとそういう極限状況で満足を追い求めたほうが絶対に強くなるとは思うけど。
ああ何でこんな人たちと最初に会ってしまったんだろう。
過去に痴漢プレイで仲良くなれたユーザーでもいたら、話が早くて助かるんだけど。
いやそれはそれで殺し合いに巻き込まれてるわけだから良くないな。
とにかく、痴漢の神様がいるなら恨ませてもらいたい。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

    ~~~~~~~~

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


小学生の頃からオンラインゲームとかネットのSNSとか、よく参加して遊んでた。
最初はね、普通に新しいことを見つけたり自分が強くなったり発言力が高まったりすることが楽しかった。
でも成長するにつれて、そういうのに関わる人間関係を見るのも面白くなっていったわ。

人々が関わるところではどこでも些細な争いの種をよく見つける。現実の学校でもそうだったし、ネットの世界でもそう。
そういう時、私はそこに関わらずにいられない。状況を理解するや否や、好奇心のまま面白そうと思った方向に向かってく。
その結果いい感じに纏まることもあるけど、もっと荒れることのほうが多い。
まあ私が関わったことの結果がどうなるか見れれば、好奇心は満たせるしそれが良いことになるとか悪いことになるとか関係ないわ。
子供の頃は私も馬鹿だったから私にヘイトが向いて色々酷い目にもあったけど、やっぱり好奇心は抑えられないから段々そうはならない方法を学んでいった。

これは最近の話だけど、ネットの諍いで対立がどんどん大きくなる事件を私はリアルタイムで観測してたの。
炎上していくにつれて、当事者の個人情報とか行動とかは陰湿な人たちがどんどん暴いてくれる。
でも実際に危害を加えようとすると迷惑電話したり家に落書きしたりとかその程度。
いや実際に身体にまで危害加えようとする人はいないの? 面白くないわ。

そうしてだんだん風化する感じで落ち着いてきて、面白くなくなってきた。でも私はそのことについてまだまだ心残りがあったの。
もしもこの人が死んだら世論にどんな影響あるんだろう、あの人はどう思うんだろうとかそんな風に気になることが毎日毎日考えるうちにいっぱいになっちゃった。

最初は精神病みたいな人をネットで見つけて、いい感じに扇動して動かし殺させようといろいろ試してたわ。
でも常人の考えが及ばない人って、私にも完全には行動が読めないのね。それはそれで面白いんだけど、当初の目的は達成されない。
そうしてるうちに、ある時ふともう自分で行動するしかないって思っちゃったの。発想の転換よ。
ちゃんと計画立てて動ける私なら、きっと完遂できるって思った。

このワールドに参加したいと思ってたのは殺人計画立て始める前からだったし、まあせっかくだからと初回に入ろうとしたわけよ。
好奇心を満たす刺激はありそうだったし、殺害計画を後回しにする程度には興味あったもの。

そして今の状況は……まだ完全に状況を理解できてないけど、とりあえず今しかできないことが沢山ありそうだしこれからが楽しみだわ。
どうせなら生きて帰ってこの事件の後の世間の反応とか見たいけど、殺し合いに乗るような危険な人物に上手く対応できるかしら。
私が私自身の好奇心を自身に危険が及ばないようどこまで抑えられるかも大事ね。
面白そうだからって、後のこと考えず衝動的に動いちゃうことどうしてもあるから。
こんなリアルタイムで色々な行動が取れる状況にいるなら、なおさら抑えられないと思う。自分で自分が怖いわ。
そうして最後は後悔するのかもしれないけど……いえ、考えるのはよしましょう。

それよりも楽しいこと考えましょう。
私ね、好奇心を満たしながら永遠に生き続けたいって願望があるのよ。
この世界はたった一つの人生で楽しむには大きすぎるもの。
もし優勝できて本当になんでも願いが叶うなら、きっと不老不死とかを願うでしょうね。
私のアバター、不老不死っぽい見た目でしょ? このアバターの姿で現実に戻るのも良いかもしれないわ。

殺そうと思ってた当事者の方、このワールドに入ってたりしないかしら。
そうしたら勝手に死んでくれても良いのだけど、出来れば私直々に殺して死ぬ前の言葉とか聞きたいわ。
リアルで実際に殺すつもりだったけど、こういう状況なら殺しても罪に問われないかもしれないしより良いのよ。

そして今の二人もとても面白いわ。かしの葉つばき、こんな精神異常者だったとはね。
もっと早く知ってみたかったし、そうしたら配信でコメントを投げて色々誘導したりできたのに。
そして痴漢さんと名乗るこの女、こいつもこいつで狂っているわ。
犯罪自体を生き甲斐にするような異常者に実際遭遇するなんて……。
でも私、精神病みたいな変わった人を分析したり話したりするのは慣れてるのよ。
どちらも色々吹き込んだらどんな行動を取り始めるか予想がつかなくて本当に良いわ。
変化能力も痴漢も、使い所によっては他者に及ぼす影響はとても大きくなりそうだもの。
まあ、今は普通に一緒にいるだけで可笑しくて楽しいからもう少しこの茶番に付き合っていましょう。


【G-7・中文梗博物館/一日目/深夜】
【痴漢さん】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[装備]:
[思考・状況]
基本:殺し合いの平和的解決を望む。痴漢を第一に優先したいけど少し自制しよう。
1:痴漢の技で殺し合いを止めてみせる。
2:痴漢の技で皆の心を助けたい。
3:とりあえず3人で行動。動物のタヌキに痴漢ってどうすればいいんだ?

[備考]
※輝月、かしの葉つばきとある程度情報交換しました。


【輝月】
[状態]:健康
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[装備]:
[思考・状況]
基本:一応生存優先、できれば優勝。
1:この病んでいて面白い人達に何を吹き込むか考えましょう。
2:気になることがあったら基本的には積極的に行動しましょう。

[備考]
※痴漢さん、かしの葉つばきとある程度情報交換しました。


【かしの葉 つばき】
[状態]:健康、タヌキの姿に変化中
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、プラスマガン(タイプ25)
[装備]:
[思考・状況]
基本:こんなところで死にたくはないのじゃ。
裏:"素の自分"が存在しないことによる、"つばき"でなくなることへの潜在的恐怖
1:とりあえずは輝月と痴漢さんと一緒に行動するのじゃ。

[備考]
※タヌキの姿になってるのは彼女のスキルの力ですが、彼女はタヌキの姿こそ元の姿と思ってます。
※デイパックもタヌキの状態で背負えるくらいに変化させて小さくなってます。
※普段からタヌキの姿で過ごす場合のイメージトレーニングをしているので、尾のある四足歩行アバターでも行動に支障はありません。
※痴漢さん、輝月とある程度情報交換しました。


所持品紹介
プラスマガン(タイプ25)
某HAL○のコヴナン○が使うプラズマピストルの、もどき。(ー)のような形をしている。手で持つ側の反対には電気のようにプラズマが発生しており、そこから弾を発射する。
セミオートで連射は効くが弾速は遅く発射後でも反応して回避可能。威力も軽い火傷程度。
一方数秒トリガーを握ってから開放するチャージショットは強力で、弾速も倍ほど速くなる。
服は加熱して燃えたり、装甲も熱伝導で火傷したりする可能性がある。防御が少ないと体表の体液が沸騰、爆裂し部位を失う可能性もある。
弾切れはないが、一定時間連射後やチャージショット発射後は冷却のため5秒ほど使用不能となる。

施設紹介
中文梗博物館(Chinese memes museum)
VRChatで公開されているワールド。
中国で流行ったネットミームがたくさん展示されている博物館。日本と共通のミームも多いので、ヘビーなネットユーザーならかなり楽しめる。
展示の中に入って記念撮影ができたり、ボタンで解説音声が流れたりなど単純に博物館としての出来が非常に良い。
本来外観の設定はないが今回は現代的博物館的な建物がしっかり立っていて、建物の入口からワールドの入り口である博物館エントランスへ入れる。


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004:真面目な奴ほどfeel so bad 投下順 006:カタハネ
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