TRPGとは、テーブルトークRPGの略語です。

 コンピュータRPGは、あらかじめシナリオが定められていて、コンピュータがシナリオに沿って紡ぐ物語を、一人の人間のプレイヤーが遊ぶというものです。正直、RPGと聞くと真っ先に皆さんが思い浮かべるのがコンピュータRPGでしょう。ドラゴンクエストシリーズが、日本においてRPGを一般に普及させたのも今では懐かしく語られるようになってしまいました。
 基本的にコンピュータRPGは、ゲーム機などを対面に置いて一人でプレイします。そして、ストーリー分岐があるゲームにしろ、シナリオ自体はあらかじめプログラミングされているものをなぞるだけです。
 コンピュータRPGの主人公=プレイヤーの分身ですが、その分身がゲーム内で取る行動にプレイヤーはほとんど関与することはできません。ゲーム中の主人公の台詞に対して「おいおい、それ違うだろ。俺だったらこう言うよ」、行動に対して「何でみすみすそんな罠に引っ掛かるかな。少しは疑えよ」などと心の中でツッコミを入れたことはありませんか?
 もちろん、コンピュータRPGの場合は、そうしたものも含めて一つの物語を楽しめるような魅力あるものに仕上げているわけですが、一方でプレイヤーの意とはそぐわない行動に対してストレスを感じるのもまた事実です。

 では、TRPGはどうでしょうか?
 まず、プレイ環境がまったく異なります。参加者はGM(ゲームマスター)とプレイヤーにわかれ、通常プレイヤーは2人以上います。プレイヤーは各自、自分の分身となるPC(プレイヤーキャラクター)を1人用意します。コンピュータRPGでプレイヤーが操作するキャラのようなものです。GMは、プレイヤーと対話しながらゲームの舞台となる世界とそこに登場するいろいろな事件や人物を説明し、決められたルールに従って、PCの行動が実現したか否かを裁定することでゲームを進行させます。コンピュータRPGにおけるコンピュータのようなものです。
 つまり、複数の人間が一つの物語を紡いでいくことになるわけです。もちろん、シナリオの軸は、GMが用意したものです。しかし、あくまでもGMが決めるのはシナリオの大きな柱だけであり、PCが取った行動次第では、PCはもちろん、GMも予想していなかったような展開をたどることも珍しいことではありません。一つのシナリオは、皆の力で一つの物語へと昇華されていくのです。それは、一人のみでは決して生み出せない、考え方の違う他人同士が協力して作り上げることで初めて成し遂げられるわけです。

 一度でもTRPGの魅力を知ってしまうと抜け出せない理由がそこにあります。皆で一つの物語をつくりあげ、その物語を構成する要素の一つに自分がなれるわけですから。
 一つだけ意識してほしいことは、自分のことだけを考えないことです。TRPGは一人でやる娯楽ではなく、複数の人間が協力して一つの物語を作り上げるものです。一緒にプレイする仲間のことを考え、時には自らが進んで行動をし、時には仲間のフォローをし、笑い、悩み、考えて、その果てに物語が完成されていくわけです。皆で協力して一つの物語を作り上げることを心掛ければ、必ず皆さんの心に残る、皆さんだけの物語ができるはずです。
 特に、この幻想演戯の場合は、スペルカードルールを用いた戦闘こそあるものの、たとえ弾幕ごっこで負けても、そこから発生する物語もあるでしょう。敗北=死ではない東方世界ならではの展開のさせ方もいくらでもあります。時に、戦うこと、勝つことだけを考えてしまうかもしれませんが、幻想演戯に関しては、それが目的ではないということを、ここに明記しておきます。

 偉そうなことも書いてしまいました。私としては、皆さんがこの幻想演戯というツールを使って、少しでも楽しむことができたらそれ以上の喜びはありません。
 皆さんが良いTRPGライフを送れることを心より願います。
最終更新:2009年11月26日 00:16