地上のどの流派にも属さない、
浮遊大陸アライアスの剣術。
硝子の剣の使用を大前提としており、それ以外の剣を使った場合は当然だが戦力が落ちる。
金属として非常に脆い
石英鋼を用いた硝子の剣は、鉄も容易く断ち切る程の切れ味を誇るが、反面素材の脆さをそのまま受け継いでいるため、攻撃力にのみ凄まじく特化している。それ故に敵の武器との打ち合いや鍔迫り合いを避ける傾向にあり、体捌きによる回避、敵の攻撃に剣を合流させて受け流す技術、そして攻撃した際の衝撃で硝子の剣を折らない技量を磨く事に重きを置く。
また、石英鋼の魔力を吸収、貯蓄するという性質を最大限生かすため、飛来物の切り払いも必須技能とされる。
身に着けるまでが非常に長く、練習を始めてすぐの頃は硝子の剣がボキボキ折れる。
基礎練習中に剣を折る事が無くなったら、刃を落とした剣を使って師と対人戦の練習をし、ここでもまたボキボキ折れる。
対人戦の練習でも剣を折らなくなったら、師の監督の元獰猛な野生動物の狩りに出て、さらにここでもボキボキ折れる。
こうして山のように折れた硝子の剣を積み上げ、実戦で運用できるようになるまで身に着ける時間は平均で約15年と言われる。
アライアスでは、そうして折れた硝子の剣を再び打ち直すのも鍛冶屋の大事な仕事。あまりにも打ち直しの仕事が多いため、これを専門にする鍛冶屋すらいる。
アライアスでは非常にメジャーな流派であり、アライアスで剣術と言えばこの流派を意味する。
開祖の名も正確な流派名も伝わっていないこの流派だが、いつからかその代で一番の使い手を“剣帝”と呼ぶようになった。
この剣術では、どれほどの技術を修めたかの指標としていくつかの位階が存在する。
それらは「剛」「迅」の二種類に分類され、それぞれ「剛:何を斬れるか」「迅:どこまで素早く剣を扱えるか」を意味する。
位階一覧
剛剣… 低位←「藁断」「立木」「岩斬」「斬鉄」「瀑布」「地裂」「不斬」 →高位
迅剣… 低位←「飛礫」「止水」「落葉」「飛燕」「絶影」「天絶」「無拍子」→高位
これらは「□の△」のように表現され、例えば剛剣を立木まで修めたのならば「剛の立木」と表す。
なお、この剣術の習得難易度は非常に高く、剛の立木や迅の止水に至るのにも長い修行を要する。ましてや剛の瀑布、迅の無影といった高位の位階に達しているものは、アライアス全体で見ても両手で数えられるほどしかいない。
主な使用者
アレフ:地味にアライアスでもトップクラスの剣士。12年という短期間で流派剣術を修め、自分の能力に合うようアレンジしている。少し天狗になっていたことがあったが、地上に来てからは己の未熟さを知り、さらなる精進を目ざす。なお、本人は知らないが「剣帝の息子は剣帝か」とアライアスの剣士たちに将来を期待されている。
シン :アレフの師であり、かつては地上に武者修行に行ったりしていた。昔は
宝晶剣の担い手候補として最後まで残り、結果として担い手の座は譲ったものの、剣帝と呼ばれるようになる。
最終更新:2015年10月27日 05:04