「令呪を使ってみるか?その前におれがてめェを殺してやる」
朝焼けの差し込む礼拝堂は、朗らかな陽気が満ちていた。
太陽が上り、降り注ぐ日光に包まれながら新たな日を迎える。それはこの母なる大地に立ち住まう人間にとってはこれ以上なく始まりを想起させるものだ。
一日が始まり、仕事が始まり、学校が始まる。
人間の社会というものは、朝を起点に循環を始めるもの。
既に早朝を超えて太陽がさんざめくこの都市もまた、人々は運行を始め商売を始め授業を始め、生活をまた始め出す。
それこそは何処までも何時も通りの、パラディウム・シティの日常があった。
そんな外部の様子が平常そのものであるからこそ、この礼拝堂の内部に流れる空気は奇異に過ぎた。
まず、教会を満たしているのは冷気だった。暖かい陽光が満たす街中と隔絶した、肌の孔と言う孔に突き刺さるように広がる寒気と、二つの声。
呻吟と哄笑。
礼拝堂の最奥、信徒が祈り傅く十字架の前にて。
高低の異なる二つの声を響かせて、動くものがあった。
そこにいるのは一組の男女。男は豪奢な装いをした大男であり、人ひとり居ない伽藍堂の礼拝堂に響き渡る哄笑の主である。桃色をした外装は、様々な人種が集うパラディウム・シティに於いても、街中を練り歩いて馴染まないような奇抜な装いであった。
女こそは、か細く喉から漏れた呻きを零す主である。身に纏う衣装は市井の学生が身に纏う制服であり、顔立ちは平凡。人より抜きん出て長身かつ派手な男と比べると、此方は身長も装いもありふれた女学生のものだ。
男女は、知り合いではなかった。学生と教師の間柄でもなく、親子関係を持っているのでもなく、礼拝に来た信者でもなかった。
彼らは、主従である。
主となるのが少女であり、従僕に当たるが大男だった。
と、言うのであれば。
もしも主従という言葉通りの上下関係がこの男女の間で発生するというのなら。
なぜ、少女は男に掴みあげられているというのか。首根っこを掴まれ、締まった気道から呻く少女と中空に主人の体躯を持ち上げ口角を上げる男の関係が、主従であるというのか。
従僕──────サーヴァントである大男、ライダーは怒りに駆られていた。
サーヴァントから見た、このマスターは、ただの少女、一介の市民という印象を超えない。
だからこそ、初手で行ったマスターの令呪に、対応したのだ。
聖杯獲得を目的としたこのサーヴァントにとって、それは許しがたいこと。なぜ、こんな『人間(ゴミ)』によって己の願望を害されなければならないのか?そんな怒りをこのサーヴァントは抱いていたのである。
「まァ、このおれを引いてしまった不運を恨めよ。てめェがおれの現界における要石である以上、途中離脱なんぞ認めねェよ!フッフッフッフッ!」
「──────れよ」
声が。少女の喉から、漏れる。
「黙れよ、クソ野郎が………………!」
「黙るのはてめェだ、クソガキ」
しかし、その声は更に力を込めたサーヴァントによってかき消される。
「あァ、認めてやるよその無鉄砲さは………………後先考えねェでやりたい放題吹きやがるその言い草を見てるとな、思い出すんだよ。おれに舐めたマネをしたあの野郎をな………………!!」
サーヴァント………………ライダー、『ドンキホーテ・ドフラミンゴ』は青筋をこめかみに浮き出させると同時に、ウィキッドを地面に落とした。余りにも、彼女を見下している。その脳裏に映るのは、彼の敗北の記憶に他ならない。最早少女に対して目を向けていない。
「だがまあ、その憎まれ口もそこまでだ。結局、てめェがどれだけほざこうがおれに令呪の一つも使えねェようじゃあ、な。話にならねェよ」
嗤っている。ドフラミンゴは、くつくつと。結局、この段に至るまで、この少女は令呪を用いなかった。もう己に反逆することも無いだろう。口でこそ達者だが、恐怖を教えこまれて反抗できまい。それでも、恐怖に駆られて令呪を行使する危険性もある。戦法こそ縮まれど、彼女には要石以外の役割を期待してはいない。
故に、安全策として、彼女の腕を切り落とさんと腕を上げて──────、
「………………は、」
その時に、目が合った。
その目は、その表情は。
死んでいる。醒めている。諦めている………………狂っている。
「こんな、ことなら」
その目は、まるで。
「死ね。死んじまえ、おまえら、全員──────!」
発光する。恐怖と狂気が綯い交ぜになったそれを見て、ドフラミンゴは。
「………………止めだ」
「は?」
『水口茉莉絵』というマスターの評価を上げるに、至った。
「てめェのそのツラ………………おれはてっきり麦わらのそれに近い、と思ってはいたが………………如何やらおれの間違いらしい」
その目は、まるで嘗ての、トラファルガー・ローの目であった。
「おい、お前」
ドフラミンゴが、茉莉絵を見下ろす。
「聖杯に、何を望む」
「………………あ?」
「てめェはおれと共に聖杯戦争に臨んで貰う。これは絶対だ。ただ、てめェの答え次第で、おれも態度を改めてやるよ」
「だから、聞かせろ。てめェの願いを」
「はッ、決まってんだろうが」
そう言って、茉莉絵は……『ウィキッド』は、哄笑する。
「私は、私をこんなにした世界に仕返しをしてやるんだよ、そして、ブッ壊れた世界の上で嗤ってやるんだよ」
「………………フフフッ!フフ、フッフッフッフッフッフッ!!」
ウィキッドは嗤っていた。ドフラミンゴも嗤っていた。
「──────てめェに、出来るとでも?」
「元から私は死んだようなもんだ、今更、失うものなんてないんだ………………やってやるよ」
「──────、答えは、決まったかね」
礼拝堂の陰からぬっ、と姿を現したのは、言峰綺麗。
こうなることを予見でもしていたのかと、二人は思う。
「ああ、決めたよ」
言いながら、立ち上がるウィキッド。
「私は、聖杯戦争に出てやるよ。そして──────、」
まるで、家族でも見る目をしているこいつ(ライダー)共々。
「何もかも、ブッ壊してやる」
【クラス】
ライダー
ライダー
【真名】
ドンキホーテ・ドフラミンゴ@ONE PIECE
ドンキホーテ・ドフラミンゴ@ONE PIECE
【ステータス】
筋力:B 耐久:A++ 敏捷:B 魔力:C 幸運:D 宝具:EX
筋力:B 耐久:A++ 敏捷:B 魔力:C 幸運:D 宝具:EX
【属性】
秩序・悪
秩序・悪
【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
単独行動:B
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
マスターを失っても2日は現界可能。
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
マスターを失っても2日は現界可能。
【保有スキル】
カリスマ(偽):B
ドレスローザの偽の王として君臨した逸話が昇華されたスキル。
団体戦において、自軍の能力を向上させることができる。
ドレスローザの偽の王として君臨した逸話が昇華されたスキル。
団体戦において、自軍の能力を向上させることができる。
覇王色の覇気:A
生前より持っている千人に一人が持つ覇気である。大抵のNPCを人睨みすることで失神させることができる。
生前より持っている千人に一人が持つ覇気である。大抵のNPCを人睨みすることで失神させることができる。
武装色の覇気:B
自然系能力者を実体として捉えることが出来るほか、皮膚を硬化させ、肉弾戦に用いることも可能。
自然系能力者を実体として捉えることが出来るほか、皮膚を硬化させ、肉弾戦に用いることも可能。
騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせる。
海賊として船を駆った逸話が昇華したスキル。
また、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせる。
海賊として船を駆った逸話が昇華したスキル。
また、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。
【宝具】
『イトイトの実』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ: 50~100 最大捕捉:──
超人系悪魔の実の一つ。糸を操ることが出来る。ライダーはこれを“覚醒”の段階にまで引き上げており、周囲の物質をも糸に変えて支配することができる。
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ: 50~100 最大捕捉:──
超人系悪魔の実の一つ。糸を操ることが出来る。ライダーはこれを“覚醒”の段階にまで引き上げており、周囲の物質をも糸に変えて支配することができる。
『愛すべき我が家族(ディア・マイ・ファミリー)』
ランク:B++ 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大補足:-
生前、ライダーが率いた"ドンキホーテ・ファミリー"の幹部格が再現されており、中でも"ダイヤ、クラブ、スペード"の肩書を持つ者、及び"相棒”と称すヴェルゴは強力でサーヴァント級の力を持つ。彼らを再現する際には魔力の消費が凄まじく悪く、魔術の素養が全くないマスターの場合、実体化の際に魔力切れで死に至る場合もあるので、良く考慮して使用せねばならない。なお、ウィキッドの場合は同時に出せてニ・三体。令呪一画のブーストがあって始めて全員を召喚出来る。
なお、”ハート”を冠する幹部であったコラソン、及びベビー5は召喚不可能とする。
ランク:B++ 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大補足:-
生前、ライダーが率いた"ドンキホーテ・ファミリー"の幹部格が再現されており、中でも"ダイヤ、クラブ、スペード"の肩書を持つ者、及び"相棒”と称すヴェルゴは強力でサーヴァント級の力を持つ。彼らを再現する際には魔力の消費が凄まじく悪く、魔術の素養が全くないマスターの場合、実体化の際に魔力切れで死に至る場合もあるので、良く考慮して使用せねばならない。なお、ウィキッドの場合は同時に出せてニ・三体。令呪一画のブーストがあって始めて全員を召喚出来る。
なお、”ハート”を冠する幹部であったコラソン、及びベビー5は召喚不可能とする。
『鳥カゴ』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:100~1000 最大捕捉:10000人
ライダーが生前用いていた常套手段。嘗ての大国、ドレスローザを絶望に叩き落とした逸話が昇華したもの。強硬な糸の檻を形成し封じ込める。
なお、この檻は“縮める”ことも可能であり、鳥カゴの中にいる総ての人命を抹殺できる。
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:100~1000 最大捕捉:10000人
ライダーが生前用いていた常套手段。嘗ての大国、ドレスローザを絶望に叩き落とした逸話が昇華したもの。強硬な糸の檻を形成し封じ込める。
なお、この檻は“縮める”ことも可能であり、鳥カゴの中にいる総ての人命を抹殺できる。
『宥恕の凶弾(グッバイ・スイートハート)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
実の父親と弟を手にかけた拳銃。ライダーを蝕む呪い。
ライダーが過去現在一度でも深い信頼を向けた相手のみに効果を発揮し、仮に命中したならば標的の耐久ステータスや各種防御スキルの存在を無視して殺害が可能。
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
実の父親と弟を手にかけた拳銃。ライダーを蝕む呪い。
ライダーが過去現在一度でも深い信頼を向けた相手のみに効果を発揮し、仮に命中したならば標的の耐久ステータスや各種防御スキルの存在を無視して殺害が可能。
【weapon】
イトイトの実の能力による糸と自身の肉体
イトイトの実の能力による糸と自身の肉体
【人物背景】
実の弟に世界を滅ぼす怪物と定められたもの。
破滅を望む偽王。
実の弟に世界を滅ぼす怪物と定められたもの。
破滅を望む偽王。
【サーヴァントとしての願い】
聖杯獲得。使い道は得てから考える。
聖杯獲得。使い道は得てから考える。
【方針】
皆殺し。利用できるものは総て利用する。
皆殺し。利用できるものは総て利用する。
【マスター】
ウィキッド/水口茉莉絵
ウィキッド/水口茉莉絵
【出典】
Caligula Overdose
Caligula Overdose
【性別】
女
女
【能力・技能】
なし。今回の聖杯戦争に於いて楽士ウィキッドとしての能力は失われている。
なし。今回の聖杯戦争に於いて楽士ウィキッドとしての能力は失われている。
【weapon】
なし
なし
【人物背景】
楽士ウィキッド。
人の絆を嘲笑う、けれどそれを何よりも欲する少女。
本編開始前より参戦。
楽士ウィキッド。
人の絆を嘲笑う、けれどそれを何よりも欲する少女。
本編開始前より参戦。
【マスターとしての願い】
傷ついた肉体を治す/世界の破滅
傷ついた肉体を治す/世界の破滅
【方針】
皆殺し。聖杯獲得。
利用できるものは何でも利用する。
その傍らに愉悦出来ればなお良し。
ライダーについても気に食わないので最後には絶望させて壊す。
皆殺し。聖杯獲得。
利用できるものは何でも利用する。
その傍らに愉悦出来ればなお良し。
ライダーについても気に食わないので最後には絶望させて壊す。
【ロール】
B-4 総合教育施設「アカデミー」の生徒。
B-4 総合教育施設「アカデミー」の生徒。
【把握媒体】
ウィキッドはゲーム、Caligula Overdoseと小説“カリギュラ EPISODE水口茉莉絵~彼女の見た世界~”を読むことで把握できる。
ドフラミンゴは漫画、ONE PIECE66巻~80巻までの把握が必須。
ドフラミンゴは漫画、ONE PIECE66巻~80巻までの把握が必須。