今の自分にできること ◆iCiFbtU8SE
「――っはあ! はぁ、はぁ……」
ピエロから逃れるためという名目で越後に川へと突き落とされ溺れかけたヘルガだったが、なんとか自力で陸に上がることに成功していた。
川から上がったばかりでびしょ濡れの体を引き摺るようにしながら、彼女は川から少し離れた草むらの影へと移動するとそこに横たわった。
乱れた息を整えながらヘルガは周囲の状況を確認する。
一応流されているときから陸の様子を伺い人のいない場所を狙って上がったので、周りに人影は一切ない。
もし人が来ても、伸びきった草がヘルガの姿をすっぽりと隠している。余程近くに来られない限りは見つかる心配も無いだろう。
改めてそれを確認すると、彼女は少しだけ警戒を解いて目を閉じた。
川から上がったばかりでびしょ濡れの体を引き摺るようにしながら、彼女は川から少し離れた草むらの影へと移動するとそこに横たわった。
乱れた息を整えながらヘルガは周囲の状況を確認する。
一応流されているときから陸の様子を伺い人のいない場所を狙って上がったので、周りに人影は一切ない。
もし人が来ても、伸びきった草がヘルガの姿をすっぽりと隠している。余程近くに来られない限りは見つかる心配も無いだろう。
改めてそれを確認すると、彼女は少しだけ警戒を解いて目を閉じた。
(まずは体力の回復だ。その後にどこかでこの服も乾かさねば……)
濡れたままの服なぞ着ていては寒さで行動力が鈍るどころか風邪をひく恐れもある。
だが外で火など焚いては煙が昇り自分の場所を知らせることになる。しかも先ほどわけのわからないピエロに襲われたばかりだ。あのピエロが追ってきていないとも限らない。
ひとまずはどこか建物の中に移動しなければならない。その中で着替えか何か物を乾かす道具でも見つかれば御の字だ。
見つからなくても物を干して乾かすまでの間隠れることもできる。
だが外で火など焚いては煙が昇り自分の場所を知らせることになる。しかも先ほどわけのわからないピエロに襲われたばかりだ。あのピエロが追ってきていないとも限らない。
ひとまずはどこか建物の中に移動しなければならない。その中で着替えか何か物を乾かす道具でも見つかれば御の字だ。
見つからなくても物を干して乾かすまでの間隠れることもできる。
しばらくして息もだいぶ整い体力も回復してきたところでヘルガは顔を上げた。周囲への警戒を再開し、人の気配がないのを確認して起き上がる。
来ていた上着を脱いで少し水を絞ってデイパックの中へと詰め込む。水を吸い込んだ服というのは結構重いものだ。着たまま移動もできるがあまりしたくはない。
次に両手を使い髪から丁寧に水を絞っていく。
来ていた上着を脱いで少し水を絞ってデイパックの中へと詰め込む。水を吸い込んだ服というのは結構重いものだ。着たまま移動もできるがあまりしたくはない。
次に両手を使い髪から丁寧に水を絞っていく。
(こういう時はやはり邪魔だな……)
髪も服と同じで水が吸い込んだままだと重いし、何より顔や体に張り付いて鬱陶しいうえに視界まで奪う。
しかもヘルガの髪は腰まで届くほど長い。人一倍その鬱陶しさは増すことだろう。
しかもヘルガの髪は腰まで届くほど長い。人一倍その鬱陶しさは増すことだろう。
(だが今そんなことを言っても仕方がない。それよりも――)
髪から水気を取りながら建物を探すべく遠くを見渡し始める。
すると都合のいいことに少し離れたところに建物が見えた
すると都合のいいことに少し離れたところに建物が見えた
(あれは……大きいな。何かの施設か?)
しばらく考え込んだヘルガはおもむろにデイパックの中から地図を取り出した。
重要そうな施設はご丁寧に地図に場所と名前が書かれているのを思い出したからだ。
地図とコンパスを使い、先ほどの場所と今いる地形から自分のいる地点を割り出す。川の近くということもあり、あまり時間をかけることなく自分がG-4の地点にいるのだと確認できた。
となればあそこに見える施設というのも大体検討がつく。
重要そうな施設はご丁寧に地図に場所と名前が書かれているのを思い出したからだ。
地図とコンパスを使い、先ほどの場所と今いる地形から自分のいる地点を割り出す。川の近くということもあり、あまり時間をかけることなく自分がG-4の地点にいるのだと確認できた。
となればあそこに見える施設というのも大体検討がつく。
(野球場か。つくづく野球に縁があるものだ)
野球と自分に何か因果めいたものを感じてヘルガは苦笑する。そして先ほどの越後のことを思い出す。
会ったばかりの自分を助けるために命を捨てた馬鹿を。
会ったばかりの自分を助けるために命を捨てた馬鹿を。
(もし奴が生きているなら、あそこに行くだろうか)
別にヘルガは越後が生きていて野球場に行けば再会できるとは考えていない。十中八九、越後はあのピエロに殺されているだろう。
だが少しだけ、もしもの可能性を考えてしまった。越後が生きていて野球場に訪れるという可能性を。
その考えにまたも苦笑を漏らしながら、彼女は野球場へと歩を進めていった。
だが少しだけ、もしもの可能性を考えてしまった。越後が生きていて野球場に訪れるという可能性を。
その考えにまたも苦笑を漏らしながら、彼女は野球場へと歩を進めていった。
* * *
一方野球場の中には既に先客がいた。
(野球場か。懐かしいな)
先客――埼川珠子は思い出に浸りつつスタンドから球場内に降り立とうとしたが、着地の際にグラリ視界が歪むとバランスを崩して体が傾いた。
転びこそしなかったものの、胸を抑えながら苦しそうに喘ぐその姿は健康であるとは決して言えないものだった。
転びこそしなかったものの、胸を抑えながら苦しそうに喘ぐその姿は健康であるとは決して言えないものだった。
(やはり傷が塞がるまでは無理はできないか)
壁に寄りかかりつつも自分の服を切り裂いて作った包帯の巻いてある胸を見やる。
咄嗟に攻撃を急所から外し、且つ綺麗に胸を貫かれたのが救いだった。肺や心臓といった内臓器官に異常はないらしく比較的軽傷で済んだほうだ。
だが、いくらなんでも最低限の止血くらいしかできない状況では動きに支障が出るというものだ。
現に包帯には早くも血が滲み始めている。先の立ち眩みも血が足りなくなってきた証拠だ。あまり激しく動くことはできそうにない。
地図で野球場を見つけてからここを目的地にしたはいいが。これなら途中の学校で身を潜めて体力の回復を待ったほうが良かったかも知れないと珠子は後悔し始めた。
しばらく貧血が収まるまでその場いようと座り込む。そこでふとバッターボックスが目に入った。
思い出すのは――年の割には落ち着きがなくて、馬鹿で、それでいて野球に対してはひたすら真面目な男。
咄嗟に攻撃を急所から外し、且つ綺麗に胸を貫かれたのが救いだった。肺や心臓といった内臓器官に異常はないらしく比較的軽傷で済んだほうだ。
だが、いくらなんでも最低限の止血くらいしかできない状況では動きに支障が出るというものだ。
現に包帯には早くも血が滲み始めている。先の立ち眩みも血が足りなくなってきた証拠だ。あまり激しく動くことはできそうにない。
地図で野球場を見つけてからここを目的地にしたはいいが。これなら途中の学校で身を潜めて体力の回復を待ったほうが良かったかも知れないと珠子は後悔し始めた。
しばらく貧血が収まるまでその場いようと座り込む。そこでふとバッターボックスが目に入った。
思い出すのは――年の割には落ち着きがなくて、馬鹿で、それでいて野球に対してはひたすら真面目な男。
(あいつは今も野球を続けているのだろうか)
彼女が最後に男の活躍を見たのは日本一決定戦。因縁の対決と世間でも言われた小杉との試合だ。
2アウトランナー満塁サヨナラの場面。あの男は見事に小杉を打ち崩して逆転サヨナラホームランを叩き出した。
万年2軍止まりのお荷物選手と呼ばれたあいつが、まるで別人にでもなったかのように活躍し始めスランプに陥っていたとはいえあの小杉を打ち崩したのだ。
その姿は私に一筋の勇気を与えてくれた。
2アウトランナー満塁サヨナラの場面。あの男は見事に小杉を打ち崩して逆転サヨナラホームランを叩き出した。
万年2軍止まりのお荷物選手と呼ばれたあいつが、まるで別人にでもなったかのように活躍し始めスランプに陥っていたとはいえあの小杉を打ち崩したのだ。
その姿は私に一筋の勇気を与えてくれた。
(帰らなければな。あの男の元へ、必ず)
いつの間にか閉じていた目を開き、生き残る決意を新たに歩き出そうとした矢先であった。
「動くなそこの女。不用意に動けばその胸に新たに傷をつけることになるぞ」
珠子はビクりと声のしたほうを見る。そこには銃を構えた金髪の女――ヘルガが立っていた。
「一つ尋ねる。お前はこのゲームに乗っているか?」
膠着状態がしばらく続き、先に口を開いたのはヘルガだった。珠子はその問いに対してただ首を横に振る。
それを見てヘルガはゆっくりと銃口を降ろした。
それを見てヘルガはゆっくりと銃口を降ろした。
「そうか。ならばもう一つ聞きたいことがある」
ヘルガはモデルガンを捨てて敵意の無いことをアピールしつつ、言葉を続けた。
「私に協力してくれないだろうか。このゲームに生き残るために」
* *
ヘルガの協力の申し出を珠子は受け、二人は選手の控え室でお互いが詳しい自分の状況を話しあうことにした。
「まずは自己紹介させてもらおう。私の名はヘルガだ」
名乗りながらヘルガは珠子と向かい合う形でベンチへと座る。
「埼川珠子だ。一応占い師をしている」
珠子は名乗りながら右手を差し出し握手を求める。ヘルガは少し戸惑いながらもその手を取り握手を交わした
握手を終えると珠子は自分が亀田と話をするため仲間を集めるために動いていること、そしてゲームが始まってからのことを話し始める。
対してヘルガは珠子の話している間、どう自分の状況を説明しようか少し悩んでいた。
ヘルガは未だ自分の方針というものを決めていない。ならばなぜ珠子と同盟を結ぼうとしているか。単純な話、どちらのスタンスを選ぶにしろ協力しておくほうが無難だと判断したからだ。
何せヘルガの支給品はモデルガンとらっきょう一瓶。武器と呼べる(かどうかも怪しいが)ものはモデルガンだけの現状では方針を決めていたとしても協力するしかない。
だからここは珠子とと同盟を結んでおこう思った。信頼を得られれば武器も得られる。
ただそれを正直に話せるわけもなく、珠子の話しが終わるまでの間どう説明するか考えねばならなかった。
握手を終えると珠子は自分が亀田と話をするため仲間を集めるために動いていること、そしてゲームが始まってからのことを話し始める。
対してヘルガは珠子の話している間、どう自分の状況を説明しようか少し悩んでいた。
ヘルガは未だ自分の方針というものを決めていない。ならばなぜ珠子と同盟を結ぼうとしているか。単純な話、どちらのスタンスを選ぶにしろ協力しておくほうが無難だと判断したからだ。
何せヘルガの支給品はモデルガンとらっきょう一瓶。武器と呼べる(かどうかも怪しいが)ものはモデルガンだけの現状では方針を決めていたとしても協力するしかない。
だからここは珠子とと同盟を結んでおこう思った。信頼を得られれば武器も得られる。
ただそれを正直に話せるわけもなく、珠子の話しが終わるまでの間どう説明するか考えねばならなかった。
「とまぁそんな感じでここで休んでいたわけだが……どうかしたか?」
「いや、なんでもない」
「いや、なんでもない」
珠子の話が終わりヘルガが状況を説明する番になる。
ヘルガは考えた結果、自分のスタンスだけを省き残りは全て正直に話すことにした。
越後との出会いから川へと逃げるはめになったことを多少省きながら珠子に話す。
それを全て聞き終えた珠子は、仲間と別れてしまったヘルガになんと言っていいかわからずに「大変だったな」としか言えなかった。
そんな珠子の様子を見て、ヘルガのほうは逆に申し訳なくなってしまう。
ヘルガは考えた結果、自分のスタンスだけを省き残りは全て正直に話すことにした。
越後との出会いから川へと逃げるはめになったことを多少省きながら珠子に話す。
それを全て聞き終えた珠子は、仲間と別れてしまったヘルガになんと言っていいかわからずに「大変だったな」としか言えなかった。
そんな珠子の様子を見て、ヘルガのほうは逆に申し訳なくなってしまう。
「気にするな。その男とはたった数十分程度の付き合いだ」
気にしていないと言えば嘘になる。越後の命がけの行動はヘルガの心に強く焼きついたのも事実だ。
だがそれでも付き合いの浅い男に対して涙を流したりするほど、ヘルガは甘くも無ければお人よしでもなかった。
だがそれでも付き合いの浅い男に対して涙を流したりするほど、ヘルガは甘くも無ければお人よしでもなかった。
「……ハックション!」
くしゃみと同時にヘルガは寒気を覚える。そしてここには服を乾かすために来たということに気づいた。
「川を泳いできたのだろう、せめて上着は脱いだらどうだ」
珠子の言葉を受け、頷きながらヘルガは上着を脱いで自分の横のベンチに掛ける。
選手の控え室ということからかタオルも常備されており、ヘルガは服の変わりにそれを羽織ることにした。
珠子もタオルをナイフで裂くと包帯の換えとして胸に巻き始める。
選手の控え室ということからかタオルも常備されており、ヘルガは服の変わりにそれを羽織ることにした。
珠子もタオルをナイフで裂くと包帯の換えとして胸に巻き始める。
「そうだ。一ついいか」
「んっ、なんだ?」
「んっ、なんだ?」
ナイフを扱う珠子の姿を見て思い出したようにヘルガは言った。
「さっきも言ったがこいつは飾りでな。そのナイフを護身用として貰いたい、構わないか?」
武器の不足しているヘルガにとってナイフだけでも十分ありがたい戦力だ。故になんとしても珠子から譲ってほしかった。
珠子は少しだけ悩んだが、割とあっさりとナイフを手渡した。
珠子は少しだけ悩んだが、割とあっさりとナイフを手渡した。
「自分で頼んでおいてなんだが、いいのか?」
「ああ、仲間としての信頼の証とでも思ってくれ」
「ああ、仲間としての信頼の証とでも思ってくれ」
ニコリと笑う珠子を見ながら、少しだけ越後のことを思い出す。
あいつといい、ここには容易に他人を信用しすぎる者が多いような気がする。
だがヘルガにとって今はありがたいことなのも確かだった。ヘルガは「すまない」と一言礼を言いながらそれをデイパックへとしまった。
あいつといい、ここには容易に他人を信用しすぎる者が多いような気がする。
だがヘルガにとって今はありがたいことなのも確かだった。ヘルガは「すまない」と一言礼を言いながらそれをデイパックへとしまった。
「そう言えば、ヘルガはここに来る前なにをしていたんだ」
その後、互いにベンチに座り向かい合うと雑談をして時間を潰すことにした。
どうせ珠子は怪我の影響で、ヘルガは服が乾くまでは動けないのだ。こうして親交を深めるのも悪くないと思い珠子は話題を振ったのだが――ヘルガにとってはあまり振られたくない話題だった。
どうせ珠子は怪我の影響で、ヘルガは服が乾くまでは動けないのだ。こうして親交を深めるのも悪くないと思い珠子は話題を振ったのだが――ヘルガにとってはあまり振られたくない話題だった。
「んぁっ、ああそうだな……。軍人だ」
ある島で人間を管理してとある怪しい薬の原料となる草の開発に協力していたなどと言えるはずもなく、少しどもりながらヘルガは無難な答えを返した。
あまり深く聞かれても困る思い、すぐに珠子へと質問を返す。
あまり深く聞かれても困る思い、すぐに珠子へと質問を返す。
「そっちはどうだ。占い師と言っていたが」
「占いタマちゃんと呼ばれていた。少しは有名だと思っていたが、知らなかったか?」
「占いタマちゃんと呼ばれていた。少しは有名だと思っていたが、知らなかったか?」
しあわせ島にいることが多かったヘルガにとってはそういう話題も疎い。首を横に振り知らないことをアピールする。
「そうか……。まぁ今は閉業しているし無理もないか」
「閉業? 何かあったのか?」
「い、いや別になにもない。ちょっとした一身上の都合でな」
「閉業? 何かあったのか?」
「い、いや別になにもない。ちょっとした一身上の都合でな」
ヘルガの質問に今度は珠子がうろたえる番だった。まさか忍者のことまで説明するわけにもいかないので曖昧に誤魔化す。
互いにそんなことを繰り返していては話題が続かないのも必然だった。
互いにそんなことを繰り返していては話題が続かないのも必然だった。
「……動けるようになったらどうする?」
ここに来る前のことで会話が盛り上がらないことを察した珠子は話題を逸らすために今後の方針について訊くことにした。
「何時までもここに留まるわけにもいくまい。動くべきだと私は思う」
仲間を集めるというあら積極的に動いたほうがいい。殺し合いに乗っている者も少なくないことはヘルガも珠子自身もよく理解している。
そういった者よりも先に人を見つけるためにも動けるようになったら動いたほうがいいとヘルガは判断した。
そういった者よりも先に人を見つけるためにも動けるようになったら動いたほうがいいとヘルガは判断した。
「そうだな。私も賛成だ」
珠子もその意見に異論はない。頷きながら賛成の意をヘルガに伝える。その時、不意に眠気を覚えた珠子は少し欠伸を漏らした。
「眠いのか?」
「ああ。多分、怪我のせいだ」
「ああ。多分、怪我のせいだ」
胸の刺し傷は予想外に珠子の体力を奪っていたようだ。気だるさと眠気がじわじわと広がっていくのを珠子は感じていた。
「寝ておけ。体力を回復してもらわないとこちらが困る」
「……すまない、そうさせてもらう」
「……すまない、そうさせてもらう」
少しだけ珠子は無防備に寝てしまっても大丈夫かと思ったが、迷った末にヘルガを信用して眠りにつくことにした。
確かに寝ている間は無防備ではあるが、殺気に気づかないで安穏と寝ていられるほど平和ボケした自覚も無い。
これでも里の忍者に襲われながら生活してきたのだ。いざとなれば体が勝手に覚醒する。それが珠子の考えだった。
確かに寝ている間は無防備ではあるが、殺気に気づかないで安穏と寝ていられるほど平和ボケした自覚も無い。
これでも里の忍者に襲われながら生活してきたのだ。いざとなれば体が勝手に覚醒する。それが珠子の考えだった。
「では、何かあったら起こしてくれ」
本当に何かあったら起こしてもらう必要など無いのだが、一応建前でそう言って珠子は眠りについた。
* * *
「……無防備な」
彼女――埼川珠子の寝息を聞いたとき初めにそう思った。人殺しが実際に行われている会場だというのにその自覚が全くないのだろうか。
越後並みに馬鹿なのか、それともどうしようもないくらいにお人好しなのか、それとも……。
越後並みに馬鹿なのか、それともどうしようもないくらいにお人好しなのか、それとも……。
「案外こういう状況下に慣れているのかもな」
私と出会う前の話しでもそれなりに腕が立つということは予想できた。
ならばこの一見愚かとも言える行動も彼女にとっては問題は無いのだろう。多分この女は例え私が寝込みを襲って首をナイフで掻き切ろうとしてもやり返すくらいはしてくるはずだ。
あくまで予想だが、そのくらいの実力はあると思っておいていだろう。それが頼もしく思う反面、同時に敵対した際は恐ろしいだろうと感じさせた。
ならばこの一見愚かとも言える行動も彼女にとっては問題は無いのだろう。多分この女は例え私が寝込みを襲って首をナイフで掻き切ろうとしてもやり返すくらいはしてくるはずだ。
あくまで予想だが、そのくらいの実力はあると思っておいていだろう。それが頼もしく思う反面、同時に敵対した際は恐ろしいだろうと感じさせた。
(さて、今後の方針を決めねばな)
勿論それは珠子との行動を指すのではなく私自身の方針。参加者に立ち塞がるか亀田に立ち向かうかをだ。
今の状況だけ見るなら打倒亀田を目指すほうが楽だろう。なぜならまだ一人で動けるほどの武器も無い上に埼川珠子という強力な(まだ実際強さを確認していないが)仲間ができたのだ。
しかし私と彼女だけでは今度はこの首輪の問題が出てくる。これを外す者が居ない限り、まともに亀田と対峙することはほぼ不可能と言ってもいい。
だがもし解体できる人間が居なかったとしたら、居たとしても殺し合いをしている者に見つかり命を落としていたら? そうなったら八方塞がりとなってしまう。
だからと言ってそうなってはどうすることもできない。私には動けるようになったらすぐに行動してしらみつぶしに参加者を探すしか方法がないのだ。
あと懸念すべき問題としては――私たちが亀田を倒してしまうかも知れないということだ。
それだけは避けなくてはいけない。亀田という悪は世界に必要なのだ。その悪を育てるために亀田に立ち向かうというのに逆に倒しては意味がない。
あまりにも亀田に対抗する戦力が強大になるならばその時は私も身の振り方を改めて考える必要があるだろう。
今の状況だけ見るなら打倒亀田を目指すほうが楽だろう。なぜならまだ一人で動けるほどの武器も無い上に埼川珠子という強力な(まだ実際強さを確認していないが)仲間ができたのだ。
しかし私と彼女だけでは今度はこの首輪の問題が出てくる。これを外す者が居ない限り、まともに亀田と対峙することはほぼ不可能と言ってもいい。
だがもし解体できる人間が居なかったとしたら、居たとしても殺し合いをしている者に見つかり命を落としていたら? そうなったら八方塞がりとなってしまう。
だからと言ってそうなってはどうすることもできない。私には動けるようになったらすぐに行動してしらみつぶしに参加者を探すしか方法がないのだ。
あと懸念すべき問題としては――私たちが亀田を倒してしまうかも知れないということだ。
それだけは避けなくてはいけない。亀田という悪は世界に必要なのだ。その悪を育てるために亀田に立ち向かうというのに逆に倒しては意味がない。
あまりにも亀田に対抗する戦力が強大になるならばその時は私も身の振り方を改めて考える必要があるだろう。
(……こんなところか)
大体の方針が決まると、私はなんとなくベンチに寝そべり天井を見上げる。
このまま自分も寝てしまおうともチラと考えたがこの状況下で見張りもなく寝ることがどれだけ危険なことかわかっている。
それに自分から珠子に寝ることを進めた手前だ。居眠りするわけにもいかない。
天井から窓の方へと視線を移す。空は少しづつ白みがかってきており、もうじき夜が明けることを知らせている。
普段は清々しいと思う朝だったが今の状況ではそんな暢気な感想を言えるわけもなく、私はただ黙って窓の外を見ていることにした。
このまま自分も寝てしまおうともチラと考えたがこの状況下で見張りもなく寝ることがどれだけ危険なことかわかっている。
それに自分から珠子に寝ることを進めた手前だ。居眠りするわけにもいかない。
天井から窓の方へと視線を移す。空は少しづつ白みがかってきており、もうじき夜が明けることを知らせている。
普段は清々しいと思う朝だったが今の状況ではそんな暢気な感想を言えるわけもなく、私はただ黙って窓の外を見ていることにした。
【G-3/1日目/黎明】
【埼川珠子@パワプロクンポケット5】
[状態]:背中から胸への刺し傷(治療済み)、疲労(中) 、睡眠中
[装備]:日本刀
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:亀田と話しをするために戦力を集める
1:今は眠り体力を回復する
2:起きたらヘルガと共に仲間を集めにいく
3:いざとなれば人殺しもやむを得ない
【埼川珠子@パワプロクンポケット5】
[状態]:背中から胸への刺し傷(治療済み)、疲労(中) 、睡眠中
[装備]:日本刀
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本:亀田と話しをするために戦力を集める
1:今は眠り体力を回復する
2:起きたらヘルガと共に仲間を集めにいく
3:いざとなれば人殺しもやむを得ない
【G-3/1日目/黎明】
【ヘルガ@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:健康、少し寒い
[装備]:モデルガン、ナイフ、下着の上からタオル
[道具]:ラッキョウ一瓶、支給品一式
[思考・状況]
基本:亀田という悪を育てるために亀田に立ち向かう
1:服が乾くのと珠子の体力が回復するのを待つ
2:動けるようになったら珠子と共に仲間を集める
3:あまりにも亀田に対抗する戦力が大きくなってきた場合はそれを削る
【ヘルガ@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:健康、少し寒い
[装備]:モデルガン、ナイフ、下着の上からタオル
[道具]:ラッキョウ一瓶、支給品一式
[思考・状況]
基本:亀田という悪を育てるために亀田に立ち向かう
1:服が乾くのと珠子の体力が回復するのを待つ
2:動けるようになったら珠子と共に仲間を集める
3:あまりにも亀田に対抗する戦力が大きくなってきた場合はそれを削る
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| 013:くのいち GO! GO! GO! | 埼川珠子 | 054:朝の来ない夜に抱かれて |
| 010:勇気VS意地(後編) | ヘルガ | 054:朝の来ない夜に抱かれて |