交錯 ◆1WZThYdb3Q
一人の少女が歩いている。
焦ったような、でもどこか楽しそうな表情を浮かべながら。
焦ったような、でもどこか楽しそうな表情を浮かべながら。
また別の場所で、一人の男も歩いている。
やはり焦っているが、彼の表情はどことなく暗い。
そこに浮かんでいるのは、不安と、心配と、ほんの少しの恐怖。
やはり焦っているが、彼の表情はどことなく暗い。
そこに浮かんでいるのは、不安と、心配と、ほんの少しの恐怖。
――だが、二人は同じ事を考えている。
一方が、もう一方の事を。
ある日突然失踪した、一人の人間の事を。
―そして、信頼していた、「家族」の事を。
● ● ●
茜は、先ほど逃げてきた道を引き返していた。
理由は単純、あの多人数の集団を追いかけるためだ。
細かい人数は数えていないものの、最低でも5人は居ただろう。
あいつらを殺せば、また優勝に一歩近づける。
そう考えると、茜の頬が自然と緩む。
理由は単純、あの多人数の集団を追いかけるためだ。
細かい人数は数えていないものの、最低でも5人は居ただろう。
あいつらを殺せば、また優勝に一歩近づける。
そう考えると、茜の頬が自然と緩む。
では、どうやって追いかけるか。
あの集団と会った所に戻り、それから同じ方向に進めばいい。
方向さえ合っていれば、少なくとも遠ざかる事はないはずだ。
あの集団と会った所に戻り、それから同じ方向に進めばいい。
方向さえ合っていれば、少なくとも遠ざかる事はないはずだ。
もちろん、危険なのは百も承知だ。
さっきだって、一歩間違えば死んでしまったかもしれない。
東が油断したから、東が怪我をしていたから、あの危機から逃げ出せたのだ。
もう一度あんな状況に陥って、助かる保証はない。
さっきだって、一歩間違えば死んでしまったかもしれない。
東が油断したから、東が怪我をしていたから、あの危機から逃げ出せたのだ。
もう一度あんな状況に陥って、助かる保証はない。
でも、茜が逃げるわけにはいかない。
兄は、茜を信じてこの殺し合いに参加させたのだから。
再び三人で笑って過ごすという夢を、茜に託したのだから。
兄は、茜を信じてこの殺し合いに参加させたのだから。
再び三人で笑って過ごすという夢を、茜に託したのだから。
それを裏切るなど、彼女には到底できない。
だから茜は、あの集団の後を追う。
傍目に見れば、彼女の選択は決して利口ではない。
だが彼女にとって、そんなものは関係無い。
あくまで茜が、茜にとっての最良の決断をしただけのことだ。
だから茜は、あの集団の後を追う。
傍目に見れば、彼女の選択は決して利口ではない。
だが彼女にとって、そんなものは関係無い。
あくまで茜が、茜にとっての最良の決断をしただけのことだ。
● ● ●
病院を後にした八神は、凡田たちが来た方向へと歩みを進めていた。
凡田と会った後、茜がどこまで逃げたのかは分からない。
そんなわけで、八神がその方向へと向かったのに理由は無い。
茜の体力ではそんなに遠くまで逃げられないはず、根拠らしい根拠はそれだけだ。
凡田と会った後、茜がどこまで逃げたのかは分からない。
そんなわけで、八神がその方向へと向かったのに理由は無い。
茜の体力ではそんなに遠くまで逃げられないはず、根拠らしい根拠はそれだけだ。
そして彼の心は、相変わらずある事に囚われていた。
茜が殺し合いに乗っている。
それは認めたくない事実だが、目を背けるのは危険だ。
茜が殺し合いに乗っている。
それは認めたくない事実だが、目を背けるのは危険だ。
――でも、何故?
確かにあの人形のような茜なら、言われるがままになっている可能性はある。
何も考えられないまま、ただ従っているというわけだ。
それならまだ、説得できる可能性はある。
確かにあの人形のような茜なら、言われるがままになっている可能性はある。
何も考えられないまま、ただ従っているというわけだ。
それならまだ、説得できる可能性はある。
ただ、はっきり言ってこの線は薄い。
「殺しあえ」と言われてそれに乗る、そんな行動力が今の茜にあるのだろうか。
「殺しあえ」と言われてそれに乗る、そんな行動力が今の茜にあるのだろうか。
となると、やはり進んで乗っている可能性が高い。
そう、限りなく高い。
そう、限りなく高い。
だが、ここで彼の思考はストップする。
これ以上考えることを、彼の心が拒む。
そしてまた、彼の思考は振り出しに戻る。
八神らしくないことではあるが、事実その繰り返しだった。
これ以上考えることを、彼の心が拒む。
そしてまた、彼の思考は振り出しに戻る。
八神らしくないことではあるが、事実その繰り返しだった。
――しかし今度は、「何か」に思考が遮られた。
(…あれは?)
彼の視線の片隅に、一つの人影。
そちらに視線を向けて、八神はようやく気づいた。
パーカーを来た少女が、狂ったような笑みを浮かべながら、こちらへ向かっていることに。
そちらに視線を向けて、八神はようやく気づいた。
パーカーを来た少女が、狂ったような笑みを浮かべながら、こちらへ向かっていることに。
● ● ●
――なんでお兄ちゃんがこんな所に?
茜が八神を見つけた時、最初に思ったのはそれだった。
私を参加させたのはお兄ちゃんなのに、なんでここにいるんだろう?
私を参加させたのはお兄ちゃんなのに、なんでここにいるんだろう?
だが茜は、すぐに思い当たる。
(…そうか、私を励ましに来たんですね。
やっぱりお兄ちゃんは優しいです!)
やっぱりお兄ちゃんは優しいです!)
もちろん、これは勝手な推測にすぎない。
だが茜にとって、それが事実なのかどうかは関係ない。
自分の信じたいものを信じる、彼女はそれで幸せだから。
だが茜にとって、それが事実なのかどうかは関係ない。
自分の信じたいものを信じる、彼女はそれで幸せだから。
「お兄ちゃん!こんな所でどうしたんですか?」
茜は満面の笑みを浮かべて、八神の元へ駆け寄った。
「あ、茜…?」
八神の顔に、驚きの色が浮かぶ。
病院を出て数分しか経っていないのだから、まあ当然だ。
八神自身、こんなに早く見つかるとは思っていなかったのだろう。
病院を出て数分しか経っていないのだから、まあ当然だ。
八神自身、こんなに早く見つかるとは思っていなかったのだろう。
見ると、八神が何か喋ろうとしている。
だが茜は、それより前に口を開く。
だが茜は、それより前に口を開く。
そして茜は口にする。
きっと、兄が待ち望んでいるであろう言葉を。
きっと、兄が喜んでくれるであろう言葉を。
きっと、兄が待ち望んでいるであろう言葉を。
きっと、兄が喜んでくれるであろう言葉を。
「大丈夫です、アカネは立派にやってますよ。
もう、3人も殺しましたから」
もう、3人も殺しましたから」
● ● ●
予想はしていた。
こんな状況で、茜がまともでいられるはずがないと。
こんな状況で、茜がまともでいられるはずがないと。
それでも、やはり八神の視界はグラリと揺れる。
ニコニコと笑っている茜の表情と、放たれた言葉の内容が一致しない。
だからこそ、妙な真実味がある。
今まで考えまいとしてきた事実が、実感として伝わってくるのが分かる。
思わず、顔が歪む。
ニコニコと笑っている茜の表情と、放たれた言葉の内容が一致しない。
だからこそ、妙な真実味がある。
今まで考えまいとしてきた事実が、実感として伝わってくるのが分かる。
思わず、顔が歪む。
だが、茜はお構いなしに話し続ける。
「お兄ちゃん、安心してください。
絶対、優勝してみせますから!」
絶対、優勝してみせますから!」
その言い方に、少し引っかかる。
安心?
俺が?
俺が?
(…やっぱり、何か勘違いしてるのかな)
まあ、不思議な話ではない。
無理矢理この殺し合いと俺を結び付けようとしている、そんなところだろう。
無理矢理この殺し合いと俺を結び付けようとしている、そんなところだろう。
だからこそ、どうやって説得すればいいのか分からない。
こんな状態の茜にはどんな言葉も届かないことを、八神は知っている。
でも、それが茜の説得を放棄する理由にはならない。
届かないと分かっていても、言葉を投げかけずにはいられない。
こんな状態の茜にはどんな言葉も届かないことを、八神は知っている。
でも、それが茜の説得を放棄する理由にはならない。
届かないと分かっていても、言葉を投げかけずにはいられない。
「茜…なんで、こんな殺し合いに乗ったんだ?」
自分でも、ストレートすぎる問いだと思う。
知らず知らずのうちに、動揺していたのかもしれない。
知らず知らずのうちに、動揺していたのかもしれない。
「なんで、って…
お兄ちゃんとお姉ちゃんと、もう一度楽しく過ごすためですよ」
お兄ちゃんとお姉ちゃんと、もう一度楽しく過ごすためですよ」
その言葉で、ようやく合点がいった。
茜は優勝を目指している。
俺とリンと、三人で過ごしていたあの頃に戻るために。
茜は優勝を目指している。
俺とリンと、三人で過ごしていたあの頃に戻るために。
―――無茶だ。
八神の知っている範囲でさえ、白瀬も灰原も参加している。
いくらなんでも、一般人である茜に勝ち目はない。
八神の知っている範囲でさえ、白瀬も灰原も参加している。
いくらなんでも、一般人である茜に勝ち目はない。
「…茜…本気で言ってるのか?」
「何言ってるんですか?茜はいつだって本気ですよ」
「何言ってるんですか?茜はいつだって本気ですよ」
茜の口調は、いつもと変わらない。
だからこそ、怖い。
交渉の場は何度も経験しているはずなのに、口の中が乾き、言葉に詰まる。
だからこそ、怖い。
交渉の場は何度も経験しているはずなのに、口の中が乾き、言葉に詰まる。
「…自信はあるのか?」
「そんなの関係ないです。
お兄ちゃんのために、お姉ちゃんのために、私は優勝しなきゃいけないんです」
「…無茶だよ。
お前はまだ高校生だ。…それにほら、運動は苦手なんだろ?」
「そんなの関係ないです。
お兄ちゃんのために、お姉ちゃんのために、私は優勝しなきゃいけないんです」
「…無茶だよ。
お前はまだ高校生だ。…それにほら、運動は苦手なんだろ?」
何言ってんだ、と自分でも思う。
俺が言いたいのは、そんなことじゃないのに。
俺が言いたいのは、そんなことじゃないのに。
「…お兄ちゃん、どうしたんですか?
そんなに茜のことが心配ですか?」
そんなに茜のことが心配ですか?」
でも茜が信じようとしている事を否定すれば、またあの時のように壊れてしまいそうで、怖い。
だから、必要以上に遠回しな表現になってしまうのだろう。
曖昧な言葉では、茜には届かないと分かっているのに。
だから、必要以上に遠回しな表現になってしまうのだろう。
曖昧な言葉では、茜には届かないと分かっているのに。
「でも、私は大丈夫ですよ」
無邪気に笑っている茜を見ると、無性に辛い。
目の前にいる少女に、どんな言葉をかけていいのか分からない。
目の前にいる少女に、どんな言葉をかけていいのか分からない。
「…じゃ、私はこの辺で行きますね。
お兄ちゃん、待っててくださいね!」
お兄ちゃん、待っててくださいね!」
そう言い残して駆けだした茜を、しばらくの間ぼんやりと眺めていた。
少ししてハッとし、慌てて追いかける。
少ししてハッとし、慌てて追いかける。
追いかけても辛いだけだ。
見なかったことにして、ここを立ち去ってしまえばいい。
見なかったことにして、ここを立ち去ってしまえばいい。
―でも、俺にはできない。
ただの自惚れかもしれない。
でも、茜を救えるのは、きっと俺だけなんだから。
ただの自惚れかもしれない。
でも、茜を救えるのは、きっと俺だけなんだから。
【F-6/路上/一日目/昼】
【八神総八郎@パワプロクンポケット8表】
[状態]:健康
[装備]:コルトガバメント(6/7)、バット
[道具]:なし
[思考]基本:茜とリンを説得する。
1:茜を追う。
2:バトルロワイヤルを止める。
3:白瀬、灰原が殺し合いに乗ったのでは?と疑っている。
[備考]
※走太と真央から、彼らにこれまでであった話を聞きました。
※荻原との話でタイムマシンの存在を確信。
※茜ルートBAD確定後、日本シリーズ前からの参戦。
【八神総八郎@パワプロクンポケット8表】
[状態]:健康
[装備]:コルトガバメント(6/7)、バット
[道具]:なし
[思考]基本:茜とリンを説得する。
1:茜を追う。
2:バトルロワイヤルを止める。
3:白瀬、灰原が殺し合いに乗ったのでは?と疑っている。
[備考]
※走太と真央から、彼らにこれまでであった話を聞きました。
※荻原との話でタイムマシンの存在を確信。
※茜ルートBAD確定後、日本シリーズ前からの参戦。
【高坂 茜@パワプロクンポケット8】
[状態]:幸せ、早く殺したい、右手首打撲
[装備]:機関銃、冬子のスタンガン@パワプロクンポケット8
[道具]:支給品一式、アップテンポ電波、予備弾セット(各種弾薬百発ずつ)
[思考・状況]基本:みんな殺して幸せな家庭を取り戻す。
1:人を殺すために人の居るところへと向かう。
[状態]:幸せ、早く殺したい、右手首打撲
[装備]:機関銃、冬子のスタンガン@パワプロクンポケット8
[道具]:支給品一式、アップテンポ電波、予備弾セット(各種弾薬百発ずつ)
[思考・状況]基本:みんな殺して幸せな家庭を取り戻す。
1:人を殺すために人の居るところへと向かう。
● ● ●
一方、茜を追跡していた灰原も、八神の存在に気づいていた。
この状況では、間違いなく邪魔になるであろう存在。
あの少女が八神に説得されてしまう、それだけは避けたい。
この状況では、間違いなく邪魔になるであろう存在。
あの少女が八神に説得されてしまう、それだけは避けたい。
だが、ここで始末するには危険が大きすぎる。
灰原が持っているのは、刀と銃剣だけ。
戦闘慣れしている八神が銃を持っていれば、苦戦は免れないだろう。
いくら灰原が人間離れしたスピードを持っているとはいえ、何らかの怪我を負ってしまうのは間違いない。
灰原が持っているのは、刀と銃剣だけ。
戦闘慣れしている八神が銃を持っていれば、苦戦は免れないだろう。
いくら灰原が人間離れしたスピードを持っているとはいえ、何らかの怪我を負ってしまうのは間違いない。
そんなことを考えていると、少女が走り出したのが目に入った。
八神が追っているところを見ると、幸いなことに説得されたわけではないようだ。
八神が追っているところを見ると、幸いなことに説得されたわけではないようだ。
さて、ここで灰原は決断を迫られる。
このまま茜を追うか、病院へと向かうか。
一瞬だけ考えた後、灰原は後者を選んだ。
八神と合流した以上、最早あの少女には期待できないだろう。
それなら、自分が動くしかない。そう思っての決断だ。
このまま茜を追うか、病院へと向かうか。
一瞬だけ考えた後、灰原は後者を選んだ。
八神と合流した以上、最早あの少女には期待できないだろう。
それなら、自分が動くしかない。そう思っての決断だ。
一瞬の選択は、時に失策を招く。
彼のこの選択がどちらに転ぶのか分かるのは、まだ先のお話。
彼のこの選択がどちらに転ぶのか分かるのは、まだ先のお話。
【F-6/一日目/昼】
【灰原@パワプロクンポケット8】
[状態]:健康
[装備]:正宗、銃剣
[道具]:支給品一式、ムチ、とぶやつ(エネルギー切れ)、ボールオヤジ、催涙スプレー@現実
[思考]基本:優勝し、亀田の持つ技術をオオガミグループへと持ち帰る。
1:病院の方向へ向かった集団を追う。
2:見敵必殺、ただし相手が複数いる場合など確実に殺せないと判断した時は見逃す。
3:白瀬に指示を与えたい。
4:喋るボール(ボールオヤジ)を持ち帰る。
【灰原@パワプロクンポケット8】
[状態]:健康
[装備]:正宗、銃剣
[道具]:支給品一式、ムチ、とぶやつ(エネルギー切れ)、ボールオヤジ、催涙スプレー@現実
[思考]基本:優勝し、亀田の持つ技術をオオガミグループへと持ち帰る。
1:病院の方向へ向かった集団を追う。
2:見敵必殺、ただし相手が複数いる場合など確実に殺せないと判断した時は見逃す。
3:白瀬に指示を与えたい。
4:喋るボール(ボールオヤジ)を持ち帰る。
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