良いRNGと悪いRNG
1. RNGを採用する設計上の意図
RNGを採用する場合、単なる「運ゲー」にするためではなく、以下の
メカニクス的・心理的効果を狙って導入されます。
- 多様性とリプレイ性の確保
- 手順の固定化を防ぎ、常に新鮮な状況を作る。
- 「情報の地平線」の制御
- プレイヤーが先を読みすぎる(分析麻痺)のを防ぎ、適度な不確実性でドラマを生む。
- スキルの平準化
- 実力差があるプレイヤー間でも、番狂わせの可能性を残す。
- リスク管理スキルのテスト
- 期待値を計算し、最悪の事態に備える能力を評価する。
2. 入力ランダム性 vs 出力ランダム性
この2つの最大の違いは、「プレイヤーの意思決定(判断)」の前後どちらで発生するかにあります。
| RNGの種類 |
発生タイミング |
役割 |
例 |
ユーザーの印象 |
① 入力ランダム性 (Input Randomness) |
プレイヤーが行動を 選択する「前」 |
「与えられた状況(配られた手札や地形) に対して、どう最適解を出すか」 という戦略的思考の出発点になる |
ローグライクのマップ生成、 カードゲームのドロー、 テトリスの次ブロック |
プレイヤーは状況を見てから対策を練れるため、 「公平で理不尽さが少ない」と感じやすい |
② 出力ランダム性 (Output Randomness) |
プレイヤーが行動を 選択した「後」 |
「行動が成功するかどうか」という 不確実性による緊張感 ギャンブル性を生む |
攻撃の命中判定、 クリティカル、 ガチャ、宝箱の中身 |
完璧な作戦を立てても運で失敗するため、 「理不尽でストレスが溜まる」原因になりやすい |
例えば、
ターン制ストラテジーゲームの『XCOM』では、「90%で外れる」といった
命中率の存在やランダムで発生する
クリティカルといった「運要素」が戦略を阻害するため、ユーザーに理不尽なストレスを与えます。
「出力のランダム性」は緊張感やギャンブル性を生むため、常に悪いわけではありませんが、
RNGの2つの違いの特性を理解したうえで
ゲームデザインを行う必要があります。
3. 実装・調整のベストプラクティス
ランダム性がもたらす「不快感」を抑え、「面白さ」に変換するための設計手法です。
- A. 数値の「嘘」と補正(ユーザー心理への配慮)
- 人間は確率を直感的に正しく理解できないため、内部数値を調整します。
- 疑似ランダム:『テトリス』の7種1セット(7-Bag)方式のように、特定の要素が長く出ない現象を避ける
- 確率の底上げ: 90%の命中率を内部的に99%として扱う(期待値の収束を早める)
- ピティタイマー(天井):一定回数不幸が続いたら、次は必ず成功させる
- B. 出力を入力へ変換する「リスク管理」
- 出力ランダム性で失敗した際、それを「次のターンの厳しい入力(状況)」として提示することで、失敗をゲームプレイの一部に組み込みます。
- 例えば「外れたら死ぬ」ではなく「外れても別の手段で耐えられる」設計にします。具体的にはテトリスでは "Hold" によって出力ランダムをユーザーでリスク軽減することが可能です。
- C. ポジティブ限定の出力ランダム性
- 「能動的な行動」ではランダムによる成功・失敗の判定は行わず、本来損害を受けるべきだったところでランダムな判定を行います。
- 例えば『Into the Breach』では、自ユニットの攻撃や相手の攻撃は100%命中します。ですが、街が破壊される損害では、稀に「敵の攻撃が外れる」といった幸運だけが発生する設計となっています。
優れたゲームデザインとは、単に運を排除することではありません。
「運(
RNG)によって発生した問題を、プレイヤーが自分のスキルで解決している」という感覚(エージェンシー)に維持させるように変換するかが重要です。
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最終更新:2026年05月28日 09:13