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作品





ぐるんぐるん



プラットホームがある
プラットホームが ずっと ある

トロッコはプラットホームに沿って走り続けている
右手を見る
柵の向こうには灰色のどんよりした雲と海が交じり合っている
両足をトロッコの前に投げ出し身体を沈め フッと息を吐く

トロッコが止まった
宙を見つめたままの俺に影が被さる
駅員だ
昨日も居やがった 一昨日も その前も ずっと

「着きましたよ」
「どこにだよ」
苦りきった顔で駅員は「今日も下車なさいませんで?」
「降りて いいことがあるかい?」
「乗ったままで いいことがありますか?」

俺は目を瞑った
小さく「さあ?」と答えたことに 後で気がついた
駅員が去ると トロッコはカタンと進み始めた
線路は プラットホームに沿って 左に曲がっている
明日も あの駅員に 出会うだろう
明日も あの場所に 止まるだろう

兎に角 今日は すっ飛ばした
生暖かい風が頬を撫でていく
どうなんだろうね 俺は どこに行くんだろうね まったく
どうにも胸糞が悪いものだが
どうにも落ち着いちゃいられないが
なに
眠れば
いいさ
明日まで


425-426 名前:ぐるんぐるん 投稿日:2005/05/14(土) 21:37:02 ID:H8gPtWh5


【コメント】

445 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 00:56:43 ID:vp+2FgX3
>>425-426 円形の線路に駅がひとつだけあって、そこをトロッコでぐーるぐ
 ーる廻って、一日一回駅員と会話して…というコントのような設定を思い浮か
べて、ニヤニヤしてました。他愛ないけど、なんかいいな。

104 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 08:45:33 ID:RIYv7zyd
>425 ぐるんぐるん
にいさん、にいさん、トイレと食事はどうしてんのよ。
と突っ込みをいれたくなりましたが、この永久運動みたいな世界はいいなあ。。



【得点】 1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





誕生日



蛍光灯が騒ぐ夜
遠目に並ぶ煙突の蝋燭
レールにはさまれた孤島

今日は僕の誕生日です

足音だけが語る人生
近くに並ぶ閉じられた人生
孤島をつなぐ橋はレールにはさまれる

今日は僕の誕生日です

孤島を離れる列車に
詰め込まれる蝋燭達
レールに乗って次の孤島へ

今日は僕の誕生日ですよ


427 名前:誕生日 投稿日:2005/05/14(土) 22:00:04 ID:Fn4h/QqM


【コメント】

445 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 00:56:43 ID:vp+2FgX3
>>427 煙突と孤島をバースデーケーキに見立てたアイディアは買いたい。と
なると気になるのが、レールと橋は何を意味するんだろう、てこと。「今日は
僕の誕生日です」の繰り返しは心地いいけど、この詩はもっと深いとこまで行
けそうな気がするよ。

104 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 08:45:33 ID:RIYv7zyd
>427 誕生日
詩はよくわかんなかったんだけども、今日は僕の誕生日です ていうリフレインがよかった。



【得点】 1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





待ち合わせ



駅前広場のからくり時計が12時を打った。
7つの音色の鐘がハンマーで叩かれる。
7人のカラクリ人形の兵隊が、楽器を鳴らしながら行進する。

待ち合わせ場所。
携帯画面に夢中になっていた男女がひと時、からくり時計に心を奪われ、
互いに顔を見合わせ、恥ずかしげな苦笑を交わした。

「今日はいい日になるかもしれない。」
僕は携帯の音を切った。
改札口からまた、人があふれ出した。彼女もあの中にいるだろう。


428 名前:待ち合わせ 投稿日:2005/05/14(土) 22:26:56 ID:aVAh0Wni


【コメント】

445 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 00:56:43 ID:vp+2FgX3
>>428 これは手慣れてるね。必要最小限のことばで、過不足ない情景描写。
何のメッセージ性もなくても、これはいい詩だと思います。人が生きてる、っ
てことだよね。難をいうなら、3連めの「今日はいい日に…」の1行は安易だと
思う。

83 名前:シオン ◆poetsyov/2  [sage] 投稿日:2005/05/18(水) 20:13:46 ID:V2nFBX4C
【本スレ428 待ち合わせ】
これって、ありふれた日常の1コマですよね。
こういう所を切り取って詩にできる作者は、
心に余裕のある人なんだろうなぁと思われます。
読んでいる私も、和みました。

104 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 08:45:33 ID:RIYv7zyd
>428 待ち合わせ
短い。

109 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 11:09:19 ID:RIYv7zyd
>>106
いや、なんつか、つまり、「待ち合せ」書いたのあたしなんですよ。(予想してた人多いみたいですが)
今回ぼやっとしてまして、蓋を開けたらチャンプになってたんで、あこれはしまった
って、咄嗟に延長願い書いてしまったってのが本音でして。
実際あれは質素な朝ごはんみたいな作品でして。。だからむごくないですよーー。
(針の上の天使でども疲れきってしまってて、次がうまく出てこなかったんですよね。。。)
やれやれ。。。すいません。。



【得点】 3点(準チャンプ作品)
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:2点
  • シオン ◆poetsyov/2:1点





「灯台のある岬をめぐる」駅にて



陸続きに密生する森には絶えず湿ったカーテンがかかっていて、それが
灯台の守りをするぼくらとの境界線だった。上から下へ、あるいは奈落
へ、数字のように降り注ぐカーテン。けしてぼくらの踏めない森。

灯台は、海から陸を護るように、長い直線となって両翼を突き出してい
る。必然的に、海を走る特急列車は、そのカーヴでおおきく減速し、や
がて「灯台のある岬をめぐる」駅に停車する。深夜のあまりに静かな到
着なので、岬にいるぼくらは誰も気付かない。

ときおり密生する森をぬけて、野生馬が小さな平地を訪れる。ながいタ
テガミと水をはじく皮膚を持った、背の低い瑞の馬たちだ。馬たちは思
い出したように駈け足を繰りかえし、みじかい生え草をたべる。馬たち
は茸もたべる。馬も夢をみたいらしい。

灯台の重たい扉をたたく音。深夜に、遠慮がちに。特急列車の旅人たち
だ。そしてぼくらは列車の到着を知る。水のカーテンをくぐり抜けてき
た旅人たちは、犬のように全身ぬれて、それでも地面の感触をいちいち
確かめて、当直の陽気なアサギとかたい握手をする。

水のカーテンは重たくかかって、湿った薄暗い朝だ。ぼくとアサギの息
子ソルは、隣でひどいイビキをかいているアサギに毛布をそっとかけて、
夢のなかで出会った旅人たちと再会する。


ソルとはじめて会ったのは、もう8年前になる。灯台守りの交替要員とし
て、特急列車に乗ってやって来たアサギの、太い毛むくじゃらの腕にし
っかりとつかまった、オムツのとれない幼児だった。セントラル駅に補
給の無線をうつ、アサギの野太い声を思い出す。

「セーフフード3人分、サハリン産のラム酒ひと樽、それと…オムツ!!」

大陸に続く森の散策はあまりに危険で、灯台まわりの小さな平地と「灯
台のある岬をめぐる」駅、それがソルの世界のすべてだ。母親は特急列
車から降りずに、そのまま南下していったという。水のカーテンに濡れ
て、木の根っこをかじりながら、ソルは岬に腰かけて、プラットホーム
だけの駅に下りて、よく南をながめている。ソルは馬を撫でる。ソルは
よく笑う。

旅人たちは重たいカーテンをものともせず、馬をながめたり、四つ葉の
草を探している。旅人たちの北からの世間話は、いつも南へ流れていっ
て、還ってくることはない。ぼくたちはよく笑う。

やがて特急列車から降りる旅人たちに混ざって、灯台守りの交替要員が
北から到着するだろう。そしてぼくはアサギともソルとも別れて、南回
りの特急列車に乗るだろう。いつまでも灯台周辺に重たくかかる、水の
カーテンとも別れて、久しぶりにあおぐ強い陽射しと海風に、目をほそ
めて。


429-430 名前:「灯台のある岬をめぐる」駅にて 投稿日:2005/05/14(土) 22:44:54 ID:HQ95BtH3


【コメント】

445 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 00:56:43 ID:vp+2FgX3
>>429-430 一転して、ことばを尽くして作り込んだ世界。頻出する水のカー
テンが、はじめは密林に掛ってるのに、最後は岬全体に掛ってるんだよね。こ
とばの平板さも気になるところで、やや読みにくい。

104 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 08:45:33 ID:RIYv7zyd
>429 「灯台のある岬をめぐる」駅にて
海上鉄道のシリーズではなかろうか。コレ好き。。もう小説ですね。

221 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e.  [ ] 投稿日:2005/05/21(土) 02:24:17 ID:lr8FiUgD
みなさん、乙でした。ぼくは皆さんのご想像どおり、『「灯台のある岬をめぐ
る」駅にて』を書きました。『駅』ってお題だから、マリーノ超特急書かなき
ゃしょうがないじゃないよ、ぼくとしては。評いただいた方、ありがとうござ
いました。



【得点】 1点
  • 葉土 ◆Rain/1Ex.w:1点





車窓



-りんご-

ごとりん ごとりん ごとりんこ

リンゴの季節には甘い香りでいっぱいの貨物列車が駅舎を過ぎる
リンゴたちは木箱の中でミツバチの夢を見る

リンゴ農園の娘は時折枝葉の間から丘を過ぎる列車を見上げる
そのたびに娘の胸は芳しい誇りで満たされる
太陽の色をしたリンゴの美しさを愛おしく思い
この土地の雨風が育てた歳月を晴れがましく思う

僕は車窓から農園を眺めている
初秋のたおやかな情景の中にぽつりぽつりと人影が見える
希望の片々が黄金となって降り注ぐような季節
列車は黄昏空から差し込む一筋の光となって進む


-ニュース-

屋根より高い水平線
海がつららのような白波を立てている

列車が岬をぐるりと回り込む間にNHKのニュースは一巡する

列車は駅で停まるたびに高校生を吸い上げ
車内は僕よりも質量のある未来で満ちる

彼らの無辺大の欲望が
ひんやりとしたふとももが
揃い、交差し、ステップを踏む

哲学者の語るラテン語のごとく
彼らの秩序正しい世界を物語る言葉

電車が揺れるたびに
彼らのカバンやアクセサリーからこぼれ出す希望の片々

今の僕は彼らと等しい言葉を持たず
カバンには無機質な言葉だけが詰まっている

終着駅に停まり吐き出される未来
ホームに足を踏み出した瞬間
薄墨色の冬がまっすぐに僕を貫く

次のニュースです、と
アナウンサーが宣告する


-タンポポ-

帰り道の途中の線路脇で摘んできたタンポポを
おばあちゃんの写真の前にちょこん並べる

タンポポ、アブラナ、未来のにおい
残雪が屋根から雨どいを伝って流れ落ちる
山からは真っ白な煙がたなびいている

山間を行く列車が二度警笛を鳴らす
汽車の警笛はおばあちゃんにとっておじいちゃんの声そのものだった
玄関に入ってくるおじいちゃんの幻だった 

おばあちゃん

おばあちゃんの庭桜が咲いたよ
ジョンのお墓に咲いたハルジオンと隣り合って春風に揺れているよ

  -あらあら
  -せっかくの制服が汚れちゃうわよ

ぬるま湯のような陽だまり
特別な午後
いつまでもそうであってほしい

でも
夕暮れはすぐにやってきて
眉月が銀鱗のように輝きだし
ぬくもりは紺碧の暗がりに沈み溶けていくのだ

  -風邪をひくわよ
  -早く窓を閉めなさい

帰らぬ人の呼び声が今日も山にこだまする


431-433 名前:車窓 投稿日:2005/05/14(土) 22:48:44 ID:kWzieReX


【コメント】

446 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 01:26:17 ID:vp+2FgX3
>>431-433 オムニバス形式だけど、どの詩も、出だしはサイコーにいいんで
す。比喩もかなりキマってる。ところが、どの詩も在り来たりの描写や感情に
流されて尻すぼみになってます。惜しいよなあ。どの詩も、それぞれのいい味
わいがあるのに。

104 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 08:45:33 ID:RIYv7zyd
>431 車窓
3つの詩。それぞれ単独でも可。懐かしい、美しい情景が少し郷愁をもって描き出されていて読後感がgood。
冒頭のごとりん がいい。この言語感覚をもっと反映させてみてほしい。



【得点】 1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





プラットホームにて



電車の入ってくる
風を受けて
レールに身を
投げそうになる感情

押さえ付ける右手の爪が痛い

この感情を共有できない人に
死について語る口はない

足が震える


434 名前:プラットホームにて 投稿日:2005/05/14(土) 23:39:21 ID:OHjxPuS+


【コメント】

446 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 01:26:17 ID:vp+2FgX3
>>434 新大久保駅での酔っ払い転落事故の後しばらく、ぼくは「5秒で人を担
いで助けられるか」のシミュレーションを列車が来るたびにしていました。10
回に8回は列車に轢かれてて、なんか後味悪かったなあ…。

104 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 08:45:33 ID:RIYv7zyd
>434 プラットホームにて
ずっと前になるんだけど、気が付いたら7階の窓から身を乗り出していたことがあって、
そういう感じかなって思って読んでました。
短いんだけど、圧迫感があってこあかったです。



【得点】 0点







いつもの平坦な音がする
「白線の内側まで お下がりください」

自棄だった
手に持った安酒がうるさくし出した
「おい跳ねるな。跳ねるなって」
つかの間、
「プアアアアアアアアアアアアアン」

真っ黒になって 世界が無くなった
鳥打ち帽に必死に手をやる 狂い出す五感。
隣りでは子が駆け出したその黄色の点字を 必死で追う
目では見えなくなっていた
サイアミラール サイアミラール 聞き慣れた声
ぐにゃりと曲がる黄色の点字を必死で追うとまた声がする
「キャハハハ。負けないようにより大きなコエ出す人初めて」

迷走神経に頼って擦過傷を追うと
目まい ふらつきだけがしそうになるのを乗り越え
身体中が内臓いや細胞ごともっていかれそうな
後頭骨だけ過去の座標に残してきたような

気づくと立ち尽くしてた

「サナ サナ サナトーリウム サナトーリウムぅ」
白線が消えていた


435,438 名前:駅 投稿日:2005/05/14(土) 23:56:11 ID:C0+xzwmI


【コメント】

446 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 01:26:17 ID:vp+2FgX3
>>435>>438 ことばの海で溺れてもがいてるね。面白さはあります。が、情
報がどうにも少なくて、詩の登場人物に対して「大勢の人前で、いったい何や
ってんの?」ていう印象が、抜けきれなかったです。

105 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 08:56:10 ID:RIYv7zyd
>435 駅
統合失調症の幻覚症状のような詩。



【得点】 0点





乳色の鞠も 鳴りだした



こだまのような喉の奥から コンクリートの風が吹き
巨大な言葉が走り出す


十人乗りのシートのパズルに
スプリングコートをはめこんだ あなた
ほころび落ちる髪のむこうで
瓦の茶色い模様が流れ
土手のたんぽぽの色が流れ
子供のまるい帽子が流れ
あなたが
遠い夕陽に飛びこんで
その アルミニウムの瞳が翳る

僕は 言葉の格子に揺られながら
光に怯えたあなたの眼に 触れる

ああ
一篇の詩がむすぶ
あなたの虹彩の かすかな震えと
僕のひび割れた指先
それだけだった
それだけのことに気付かずに
詩を書く意味にも気付かずに
僕は今まで 何に触れようとした?



やがて
宵闇の尾はしなり
あなたの血に染まる 水晶体の波を浴びて
鬼の角が 街灯から伸びはじめる
僕は車窓から
僕とあなたの 煙のような微笑を見る
言葉が みなひとの沈黙をあつめ
乳色の鞠も 鳴り出した
僕とあなたを分かちだした 切符の縁をなぞりながら
僕は駅へと
たったひとりで降りてゆく


436-437 名前:乳色の鞠も 鳴りだした 投稿日:2005/05/14(土) 23:57:05 ID:8VFUj3SI


【コメント】

446 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e. 投稿日:2005/05/17(火) 01:26:17 ID:vp+2FgX3
>>436-437 満月の夜か…。ことば運びの上手さ、描写の確かさが、耽美に走
るのを、くいとどめています。この情景を一気に、言葉に詩に昇華させようと
する気概は買うけど、やや乱暴な気はするなあ。

105 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage] 投稿日:2005/05/19(木) 08:56:10 ID:RIYv7zyd
>436 乳色の鞠も 鳴り出した
ごめん、これはお手上げです。。うまく入れない。



【得点】 0点




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最終更新:2006年10月31日 23:37