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作品





Di/stance



先に子どもたちの声が消えた。流氷のひしめく冷たい海に放り出された私たち
は互いに励ましあったが同時に互いに無力であることを思い知らされるのだっ
た。この冷たい氷の海のなかでは。
脱出を試みようと身をよじらせるたびに流氷は体躯にふかく突き刺さり私たち
の自由と体温をじわじわと奪っていった。互いの名を呼び合う声。私の名前を
父を母を呼ぶ声。先に子どもたちの声が消えた。目蓋を閉じてこらえる。
子どもたちの次に彼女の声が消えた。次いでひとりまたひとりと氷の海は静謐
を取り戻していく。私の名前を呼ぶ者はどこにもいない。凍える紫色の唇を開
いて誰かの名前を叫ぼうとするがもうすでに声にならない。遠のく意識のなか
でひとりまたひとり私の名前を呼ぶ声がふたたびきこえてくる。

夕食後に突然なった電話は子どもたちの保育園の同級生の死を伝えるものだっ
た。「ぱんだぐみのりおちゃんが今朝がたなくなりました」インフルエンザが
彼女の命を奪っていった。まだ三歳だった。
電話を受け取った妻にまとわりつくようにして息子が走り回っている。まだ
「ぱぱ」も「まま」もうまく言えなくて微熱が下がらなくて昨日今日と保育園
を休ませた。
息子は駆けよってきて鼻汁を垂らしたまま顔を近づける。ぼくは息子を抱き上
げて息子はけたけた笑っている。そういえばこの子が死ぬかもしれないなんて
考えてもいなかった。

ネパールは世界の最貧国のひとつである。下痢や風邪が原因で信じられないく
らいの人々が簡単に死んでいく。そのほとんどは子どもたちである。
老人は少ない。老人になる前にみんな死んでしまうから。
ボランティアでネパールを訪れた我々の眼前で実際に起った出来事である。乗
合バスがひとりの若者を轢いた。バスの後方で若者がまだ動いてるのを確認し
た運転手はバスをまっすぐバックさせ若者をもういちど轢きなおした。
ネパールのような国では人の命より医療費のほうが遥かに高い。バスの運転手
は高額な医療費の賠償を払うよりも殺人者となることを自ら選んだ。
われわれのなかには医療の専門家もいた。その眼前で起った出来事である。

「しあわせ ってね さむくないこと。それからおなかがすいてないこと。」
きょうも愛を知らずに子どもがどこかで死んでいく。物乞いをするために腕や
脚をへし折られる。不治の病で保護器にはいったままレスピレーターが回って
いる。泥水をすすりながら糞便にまみれてぐったりと母の腕に抱かれる。振り
上げられた拳に頭と腹をおさえるがそれでも容赦なく体罰はいつまでも続く。
生きたまま丁重に肝臓腎臓角膜を取り出され残りは豚のエサにされる。小ギレ
イな服を着たのも束の間すべて脱がされてあらゆる穴にペニスを突っ込まれる。
「しあわせ ってね さむくないこと。おなかがすいてないこと。それから
  だれかがそばにいること。」
ぼくは君たちのことを思い続けよう。顔も名前も知らない会ったこともない君
たちのことを。ぼくは君たちのことを思い続けることしかできないけれども。


   今は。


510-512 名前:Di/stance [sage] 投稿日:05/02/09(水) 00:45:52 ID:QhvJhb/y


【コメント】

537 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:58:09 ID:0kRGZv08
>>510-512 Di/stance
力強いなぁと思います。しかし、詩と呼ぶにはためらいを覚えます。
(add.)というのがかっこいいです。ですが、付け加えられたその「今は。」は、どうだろう……。
ひとひとりの、力の無さを書いていた気がしていたのに、"今は"ということは、
ではいつか、"思い続ける"ことの他の何かが、できると考えているということかな。
いつかできることは、今だってできること。でも、とんでもなく難しくて、
やっぱりできないんですよね。だけど願うことだけ、思い続けることだけならできて。
この作品を書く人は、そういう人なのではないかとわたしは考えるものですから、
だから"今は"というのが、矛盾をするような一言だというふうに思えて、
そこが一番に、ひっかかってしまうところでした。

523 名前:Canopus ◆DYj1h.j3e.  [sage] 投稿日:05/02/13(日) 22:43:08 ID:MSpCywst
皆さん、お疲れさまでした。今回はぼくも投稿。『di/stance』を書きました。
まあ、いわゆる「書かずにはいられなかった」というヤツです。
今回は残念ながら0点でしたが、出来にはまあまあ満足。ただ、推敲が足らん
かな、という部分は多々あり、そこがマズかったのかなあ、と。
もう少し練り直してみようかなあ、と思います。





frozen



吐く息は白く 喉が凍てつく
いつかの願いは凍りついて
降る雪は白く 道が凍てつく
密かな思いも雪に埋もれ

痛い 痛い 素肌に突き刺さる感情の無い吹雪
痛い 痛い 心に突き刺さった行き場の無い恋心

春が来れば 少しは楽になる 独りでも凍えはしない
冬が無ければ きっと楽になる 温もりを求めずにすむ

枯れ葉を踏み 微笑みはこわばる 明日もきっと
全てを照らす太陽を見上げる 明日はきっと

痛い 痛い 素肌に舞い落ちる感情の無い桜吹雪
痛い 痛い 凍りついたままの行き場の無い恋心
身動きのとれない恋心


513 名前:frozen [sage] 投稿日:05/02/09(水) 01:45:15 ID:NttXe3Ut


【コメント】

537 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:58:09 ID:0kRGZv08
>>513 frozen
どうしてそんなに、痛い冷たいばっかりなのか。わたしにはピンと来ませんでした。
恋をして、その時、魂魄の芯の部分には、あたたかいもの熱いものも、あるのではないかなぁと。





四行詩 ・冬



睫毛の先から夜は凍り
セーターの下の胸は薄い
ペディキュアはつけたまま眠る
誰も訪ねては、来ない


514 名前:四行詩 ・冬 [487の盗作] 投稿日:05/02/09(水) 17:19:47 ID:OHODXRaU


【コメント】

537 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:58:09 ID:0kRGZv08
>>514 四行詩 ・冬
確かに、>487「冬の家」を読んだ人が書かれたのでしょうね。別にそのことは、いいかなぁと思います。
問題は、リライトとしても、独立した作品としても、いまひとつだなぁ(とわたしが思う)ということです。
一行目は説明のようで、「冬の家」のほうでもわたしは感心をしなかった二行目。
わざわざ落として眠る人がいるのかというほうが疑問のペディキュアの三行目。
書いてしまわないほうが良い気がした四行目。
再考の余地が、随分とあるのではないかと、わたしは思いました。





お母さんといっしょ



ちょっとだけのぞいた外が
あんまりまぶしかったので慌てて両目を押さえたら
爪が少しささって瞼が痛かったです
今はお前もそんな色なんだよと笑いながらお母さんが舐めてくれました

まぶしい色は痛い色
僕たちがおんなじ白い色なのなら誰もお互い見つめあえませんね
だから僕たちもお母さんとはなれて
みんなひとりで生きていくのですか

もう少し僕たちはここにいられます

ずいぶん痩せてきたお母さんは遠い目をして
お前たちには本当は
お父さんもあるんだよと言いました

大きくなったお前たちに出会ったら
きっとお父さんは怒るだろう
自分のテリトリーを荒らすなと
息子だとは知らないで威嚇の声をあげるだろう

お前たちは若いのだから
少しだけ、取っ組み合って、それから
すごすご逃げてあげなさいね
お父さんが自分の老いを悲しまないように

もう少し僕たちはここにいられます
今はまだやさしいお母さんが唸り声で僕たちを追い払うまで
お父さんの思い出話を聞きながら
まだ見ぬ春の森の夢を見ながら


515 名前:お母さんといっしょ [sage] 投稿日:05/02/09(水) 17:38:39 ID:s/Vtpd3z


【コメント】

537 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:58:09 ID:0kRGZv08
>>515 お母さんといっしょ
冬……という感じがしませんでした。そして、あまり、やさしい感じがしなくて、
わたしは評価できないなぁと思います。
(あと、わけがわからん感想ですが、韓流の感じがしました。口調がそう思わせるのかしら。)

548 名前:猛禽 [sage] 投稿日:05/02/13(日) 16:45:16 ID:Qyj2swGq
脇様
>>515「お母さんといっしょ」を書いた猛禽と申します。
評価もできないものにまで、コメントを書いていただいて申し訳なく思っております。
お伺いしたいことがあって、審査が終わる今まで待っておりました。
「やさしい感じがしない」とあなたがお言葉を下さったこの文は、決してやさしさを
書いたつもりではなく、生まれた年の冬の間だけ、母親といられるこぐまが、あんまり
ものはわからないけど、自分がひとりで生きなければならない動物なのは何だかわかって、
それでも、もう少しだけ、この冬だけはひとといっしょにいられる、という寂しい幸福感を
書いたんですけど(それは、今独りでいる自分が、かつて親に守られていたことの
あたたかさをつくづく感じていることと重なっています)

「韓流」の感じがする、とお書きになられていたので、、以前からたびたび耳にするこの言葉を
検索して確かめたのですが、「韓国大衆文化の流行現象」とありました。
「口調のせい」とおっしゃっていますが、わたしの使っている言葉は両親から習い覚えた
ものであり、ずっとおとなになるにつれて育っていったものであり、そして
これでも責任を持って今現在も使い続けているものです。自身にないものは書けませんから、
書くものはすなわち私自身に他ならず、わたくしにとっては、わたくし自身が「韓流」
であると言われたと同じことです。
そしてその意味が、ここ一両日いろいろ本屋さんなどで調べたのですが、わかりません。
お前の書いたもの(即ちお前)は韓流の感じだ、という意味をもう少し、
真意を読み取る力の欠如したわたくしにもわかるように教えていただけないでしょうか?
わたくしは、韓国大衆文化の流行現象だ、と言われて、どう受け止めればいいのですか?

これを読んで、ほかのかたが無粋さを不快にお感じになられるのは承知しております。
つつしんでお詫び申し上げます。

552 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/13(日) 20:05:28 ID:e6AHWIy1
猛禽さん、こんにちは。
まずはわたしの発言で、不快さを感じてしまったとのことで、
そのことを申し訳無く思っています、とお伝えしたいと思います。

"韓流"という言葉ですが、これは、作中の主人公の姿が、
ペ・ヨンジュンさんに見えた、というようなことが真意です。
お母さんにたいして、敬語で話をするところなども、韓国(のドラマ)をわたしは思い出したので、
そのような発言になりました。今このままの表現で、書けば良かったなぁと反省をしています。
そして、猛禽さんは、今回のこのわたしの発言は、不快ではないでしょうか?
これでも不快であるとお感じであれば、わたしは、すべて撤回をします。

わかってもらえたらいいなぁと切に願うのは、何の悪意も他意もないということです。
"お前の書いたもの(即ちお前)は"…というふうに、猛禽さんは仰っていますが、
わたしは"お前"という言葉で、誰にも語りかけることはしません。
また、わたしは詩の批評に限らず、どんな場合でも、どなたかの存在についての発言はしません。
それは、特別な肯定も、否定も、です。そんな高い場所には、わたしはいないからです。
また、否定に関していえば、そんな心はわたしには微塵もありません。もしもわたしのなかに、
そういった心を見つけたならば、わたしは、恥ずかしさに、立っていられないでしょう。
詩を書く意味も意義もなく、ただ、沈黙に戻ります。

553 名前:& ◆AkLpDEqeQc  [sage] 投稿日:05/02/13(日) 20:07:16 ID:e6AHWIy1
わたしは、猛禽さんの作品を読んで、実はすぐさま、そこから立ち去りたくなりました。
わたしの発言はこうでした。
 > 冬……という感じがしませんでした。そして、あまり、やさしい感じがしなくて、
 > わたしは評価できないなぁと思います。
 > (あと、わけがわからん感想ですが、韓流の感じがしました。口調がそう思わせるのかしら。)
わたしは、実際、このように書いてすぐに、逃げるように立ち去っています。そのことを、
自分自身では、よくわかるんです。

これは実は、猛禽さんの作品に、わたしがとても反応をしているからです。
"この冬だけはひとといっしょにいられる、という寂しい幸福感"と、自ら解説していらっしゃいますが、
それが、"生きていくことの厳しさ"というものを、際立たせています。そう感じます。
そして、ごく個人的な話で恐縮なのですが、今の脇は、"生きることの厳しさ"を感じさせるものの前に、
立っているのが、ちょっとつらい。今は見たくない、という心の状態なのでした。
"やさしい感じがしない"という、わたしの発言は、つまり、*わたしに*やさしくない、ということでした。

猛禽さんご本人から、そんなふうに仰って頂く前から、
今回のわたしの寸評のなかの、あの三行が、実はわたくしの傷です。
真意を伝えようとする気持ちを、見失ったままで、逃げるように立ち去ってしまったことを、
自分では知っていました。
そのことを、反省をしています。また、"やさしい感じがしな"かったのは、あなたの作品ではなく、
他ならぬ自分の件の発言であったのだと、今は感じています。
ごめんなさい。お詫びします。
また、誠実に、面と向かって、真意をお尋ね下さったことに、感謝します。

554 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/13(日) 20:08:56 ID:e6AHWIy1
>553 は脇の発言です。何度もすみません。(Firefoxでの投稿は、やめようかなぁ。)

556 名前:猛禽 [sage] 投稿日:05/02/13(日) 23:59:51 ID:DZigBqVI
へっへっへっへっ(あまりの恥ずかしさにこのように登場するしかない)
脇さま
わたくしが引っかかっていたのは、実に「わけのわからん感想ですが○○の感じ」
の部分だったのです。
「韓流」を検索して、冬ソナに代表されるとかKPOPとか韓国映画とか、だばだばと
出てくるものを頼りにかたっぱしから読んでいったのですが、読んでもさっぱり
わからなくなるばかりで、脳みそが溶けそうになりました(わたくしは屁よんじゅんも、
冬のソナタの筋も知りませんでしたから)。KPOPの歌詞の中に似た歌詞があるのかと
思って探したのですが、それも見つかりませんでした。
「お前は」という書き方をしたのは、わたしの中で「説明はできんがお前のかいたものは
韓流である」という神の声のようなものがとどまっていて、「韓流って一体なになになに」
と、どうしても知りたい気持ちがとまらなくなったたもので、決して見下ろされたとか、
感じたものではありません。
また、わたくしはあなたのことばに不愉快な思いをしたとかではなく、ただ、
「言われていることがわからないどういうことなの教えて教えて自分で訳がわからない感想と
言ってて○○だってどういうことじゃあわたしに通じなくてもいいと思って書いてるんかい
そんな無責任なこと言っていいんかい」……すみませんすみません。
ゼッケンさま
わたくしの頭の中には、「自分と作品を同一視すること」などについての深い思考もなく、しかも
「矜持」も読めませんでした。でも、いまマジメに読み返しています。
梁山泊のみなさまご迷惑をかけたこと、お詫びの言葉もございません。
でもひとつだけ言わせてほしい
こぐまは母親に話してたわけじゃないから、母親に敬語を使ってたんぢゃないやい
  (脇さま  怒っちゃだめですよ)
最後にリーフレインさま
自首しておきます
わたくしはこの年まで、熊はてっきり保護色だと思い込んでおりました。
だから、「今お前もそんな色なんだよ」などと書いたのです。
熊は、冬には雪のいろになると思っておりました(最強のバカ

お邪魔いたしました
できれば、なかったことにして下さい。もう北極に篭りたいです。

515 名前:ゼッケン ◆DgT0G2eW4I  [sage] 投稿日:05/02/13(日) 20:15:32 ID:eXypetr3
時間があるので、無駄口たたきます。
本スレ548の猛禽さんのレスを読んでなのですが(典型的な横槍ですが)、
「書くものはすなわち私自身に他ならず」というこの部分が非常に気になった。
ちょっと言わせてくださいね。

私の書いた言葉が詩になるのはそうでしょう。しかし、
私の書いた詩が私と完全に一致する(私自身に他ならず)とはあまりに巨大な矜持であり、
また、過剰な信頼ではないでしょうか。
言葉は音か文字です。したがって、言語を使用する際には必ず他者の想像力に頼ります。
私を知らない他人に私自身を押し付けようとしても、その想像力は私を裏切ることでしょう。
相手だって神さまじゃないんだから。
つまり、読者にとって詩人の実際など知ったことではないという言わずもがなのことです。

さらに私の書いた詩が私以外のものを含まないかというと、
私と他人の境界がはっきり引ける人間がいれば、
純度100パーセントの少なくとも私の一部は再構成できるかもしれない。
でも言葉を使う人間には不可能。言葉そのものが他者との共感によってしか流通しないのだから。
言葉を知ってしまったときから、私の中には言葉を使う他人がすんでいるのではないでしょうか。
つづく。

516 名前:ゼッケン ◆DgT0G2eW4I  [sage] 投稿日:05/02/13(日) 20:16:51 ID:eXypetr3
つづき。
もう息切れしたので言いたいこと言うと、猛禽さん、もちつけ。
作品に愛着をもつことと、自分と作品を同一視することは似て非なることだと思います。
「詩」を「私」から解放しない限り、その詩は私という檻から出られず、
他人と共有するには至らないんじゃないですかね。すなわち、発表する理由がないんじゃないですかね。
あるいは自分が詩から自由でないと自由に詩も書けないということかもしれない。
だから
「わたくしにとっては、わたくし自身が「韓流」であると言われたと同じこと」
という論法は、日記ではなく詩を書いたという自覚のある人間は用いてはならないと思う。
わざと作品の中に使うのはありだろうけど。作品に毒を入れたいときだってあるから。

これはわたくしことゼッケンにとっては、揚げ足取りの類ではなく、
私にとっても切実な問題であったのでつい長々と書いてしまいました。
つまらない詩を書く人間はつまらない人間なのか? 明確に否と答えたい。
未熟ながら詩に魅入られつつある人間の最後の防衛線がここにあります。

いちいち断るけど、上の最後の二行は猛禽さんやその他の方々の為ではなく、私個人のためにのみ書いてます。

518 名前:リーフレイン [sage ] 投稿日:05/02/13(日) 20:54:13 ID:NhDNS4tz
 >猛禽さん
私あれね、猫だとばっかし思って読んでましたよ。。。
背景描写をあえて抜いているんだと思ったんですが、そのせいで、
妙に詩が表面的な感じに読めてしまいました。
(それによって、人でも熊でも、猫でもいいように読めるっていう
騙し絵的な要素が入ってるんですが、色のない絵みたいな感じ)

519 名前:& ◆AkLpDEqeQc  [sage] 投稿日:05/02/13(日) 20:59:00 ID:e6AHWIy1
>516 ゼッケンさん
わたしの今回のあの三行の寸評は、自分が見ても、あまり感心をしてません。
あれを読んで、(ああ、嫌だな)と思ってしまった方が、
いらっしゃったというのは、わたしにとっては不思議ではないことでした。
ゼッケンさんの発言も、共感をしますが、わたしは、猛禽さんの反応も、少し共感しています。
なんとなく、わたしのためにも書いてくださったような気がして、一言申し上げました。


【得点】 1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点





二月



二月ってのは寒いな
窓の外も部屋の中も
空気がしんと張り詰めてはひとを脅かす
ぼくは貧乏ゆすりに気付いては止めるのを繰り返している

熊はまだ寝ているだろう
鮭は海でそれを待つだろう
街ではひとが行き交っている
その表情には迷いと眠気が見い出される

遅い朝と早すぎる夕闇は黙って暮らしている双子みたいだ
それに挟まれている曇り空や朝刊、草むらたちの
何だか全てが厳かになるのを不思議に思いながら
ひとは手をこすり合わせ空を見上げる

冬は待っているのだ
だから冬のなかでみなも凍えながら待っている
母親の強さと大きさで
夕食の匂いを背におかえりといって、微笑をまとうそのときを 

ひとだけが忙しく動き回り
静かで厳かになったものをつっついている
夕暮れの強情な迷子のよう
じきに泣き出して楽になるのだろう

そして力強い手の平のような春がやってくる



516 名前:二月 [] 投稿日:05/02/09(水) 22:39:22 ID:sJOFS/fI


【コメント】

538 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:59:22 ID:0kRGZv08
>>516 二月
良いなぁと思いました。
読者を導いて、流れにのせ、納得させる力がある。
ただし、最初の二連は、頭の先で書いている感じが、少ししました。

542 名前:ななほし# [] 投稿日:05/02/12(土) 00:56:08 ID:r49iD7ES
1点 >>516 :二月 :05/02/09 22:39:22 ID:sJOFS/fI
  熊やしゃけで、スケールが広がったかなぁ、冬、母のぬくもりなら、父の厳しさ
といくのは尋常過ぎたのかなぁ???

546 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w  [sage ] 投稿日:05/02/12(土) 21:43:29 ID:KPv0B+J8
>>516 : 二月   1点
すっきりと素直に読めました。

530 名前:GON [] 投稿日:05/02/15(火) 23:49:10 ID:DMpfV+hC
おつ、おひさです。
二月書きましたGONです。またぼちぼち参加していくので
よろしくお願いします


【得点】 4点(準チャンプ作品)
  • 脇 ◆eBWUIXUMPI:1点
  • ななほし ◆lYiSp4aok.:1点
  • Canopus ◆DYj1h.j3e.:1点
  • 葉土 ◆Rain/1Ex.w:1点





長い冬



最後に春の夢を見たのは
いつだったろうか
もう忘れてしまったのに
無意味な希望は僕に
毎朝窓の外を覗かせる

昨日と変わらぬ
刺さるような吹雪
もう落胆もしない
本当は気づいているから

じきに大洋も氷りつくだろう
家の薪も尽きるだろう
それでもこの長い冬の
終わりが来ることはないのだ

太陽は申し訳なさそうに
弱々しい陽光をくれるのだが
それすらもまるで冷気のようで
全てを少しずつ
削りとっていく

ああもうこの命は
僕を支えきれずに
ちぎれてしまいそうだ



皆が虚しい抵抗をやめ
最後の命が終るとき
それがわれわれに訪れた
本当の冬なのだろうか

それともそれは
未だ誰も見たことのない
この世ではじめての
永く静かな季節だろうか



517-518 名前:長い冬 [sage] 投稿日:05/02/09(水) 22:45:41 ID:vMdJDmCG


【コメント】

538 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:59:22 ID:0kRGZv08
>>517-518 長い冬
状況の説明が続いて、その後で、すぐ結論が来てしまう。
流れに心地よく乗り、いつか無心になって、酔わせてもらいたいけれども、
そういうものになるには、この場所の、その先の話ではないかなぁと。
この先の場所に、詩が待っているのではないかなぁ。
とわたしは思う、です。

542 名前:ななほし# [] 投稿日:05/02/12(土) 00:56:08 ID:r49iD7ES
1点 >>518 :長い冬 2/2:05/02/09 22:46:20 ID:vMdJDmCG
  戦争にねらいを絞って書いているのだろうか?? 視点を持っているのを感じる。





長い冬



長い冬がやってくるよ
とても とても
長い 長あい
ああ 長い冬がやってくる


鉄と終わりの花火があがった
東から西から
ポンポンポンポン
それを見た男の子はワーワー騒いで
泣いたり 喜んだり
女の子は何も言わなかったよ

何も言えなかったよ


それから雲がやってきた
大きな雲だ
世界は一つの雲の下

急に何かの宗教に勝手に入って
神様 神様
って言ってる人がいる
神様はもう僕達の事なんか見えやしないよ

窓の外は時折うるさくなり
また望みの消え去った静寂が戻るの繰り返し


ああ 南の島にも雪が降った


僕はあの子に会いにいこうと
真っ白な大地を
トボトボトボトボ
倒れた雪だるまが
あちこちに転がってた


兵隊さんの銃は杖代わり
まだ弾は出るだろうか


もう夜だか昼だかわからない
もうここはどこだかわからない
海は凍って
行こうと思えば海外旅行もできるなあ
でもあの子は海の向こうには無いだろうな


ゴーゴーゴーゴー
まだ何とかできると 色を奪われた極楽鳥が
僕の頭の上を飛んでった

僕はあの子の目ん玉さえ見つけられず
機械的な音を放ちながら飛んでいく極楽鳥を眺めてた


長い冬がやってきたよ
とても とても
長い 長あい

次の春はいつだろうか

ああ 長い冬がやってきた


519-522 名前:長い冬 [sage] 投稿日:05/02/09(水) 23:14:15 ID:CczNReAA


【コメント】

538 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:59:22 ID:0kRGZv08
>>519-522 長い冬
普段のしゃべり言葉をそのまま使っているような気がします。
そして、感傷的になっている作者の心を、見ている気がします。
もっと醒めて、もっと見つめて、そしてもっと遠い目で、書ける題材ではないでしょうか。





風の冬が解けて



雪の降らない夜に
くじらの夢を見た
会うことのない海は
いつかも寂しかっただろう

雪の積もらない夜に
アスファルトの黒さを知った
響くことのない足音は
いつかも寂しかっただろう

眠りという名の兎が急いでやってくる頃
夢という名の小鹿が誰かを忘れる頃
暖炉がネクタイをする前に
きっと春が来てしまったのだろう

雪の降った夜には
サンタクロースの夢を見た
会うことのない優しさは
いつかも温かかったのだろう

雪の積もった夜には
にんげんの赤さを知った
続くことのない幸せは
いつかも温かかったのだろう

― 澄み切った空気は 寒さ以外を運ぶ


524 名前:風の冬が解けて [sage] 投稿日:05/02/09(水) 23:59:02 ID:q7/gPtKq


【コメント】

538 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:59:22 ID:0kRGZv08
>>524 風の冬が解けて
"いつかも~"の繰り返しが、なかなか心地よかったのですが、
どうにも、鮮烈さには欠けるのかなと思います。ばらけている気がします。
気がきいているフレーズよりも、一貫した物語、旋律を、
見せてもらいたい、というふうに思いました。
題名と、最終行が、全体を意味不明に、している気がしましたが、どうでしょうか。





鉄が夢を見ていた



黄土色に枯れた草が残る大地に
粉雪が舞い散っている。
身体の芯まで突き刺してくるような 
風に乗って。
茫漠なる、荒涼なる、立ち枯れの木々が
点々と転がる大地に、
粉雪が舞い散っている。

花が咲かない、緑が消えた。
生けるものの気配が 地表から消えうせ、
躍動する生命が 無機質な結晶へ変化し、 
硬く落ちていく。
心がかたくなにこわばり、
言葉が口を出ることもなしに、凍りつく。
静寂と鎮魂。

春を待つ。
ただ、内側深くに燃える何かをじっと抑え込みながら、
息を殺して 待つ。

溶鉱炉を開け、斜めに傾けた炉の出口から、
どうっと鉄が流れ出す。
噴出する熱、飛沫する鉄、
焼け爛れる肉塊、熱く濡れた子宮。
阿鼻叫喚のうめきとともに、歓喜の叫びが発せられる。


夢を見るのだ。
待ち続ける冬の中で、


525 名前:「鉄が夢を見ていた」 [sage  チコク?] 投稿日:05/02/10(木) 09:34:06 ID:IMq9/qFm


【コメント】

538 名前:脇 ◆eBWUIXUMPI  [sage] 投稿日:05/02/11(金) 10:59:22 ID:0kRGZv08
審査対象外 >>525「鉄が夢を見ていた」
固さを感じます。情景を思い浮かべることができるのならば、それでも構わないと思いますが、
そうではない、ということですね。漢字に、頼りすぎていると思います。
"茫漠なる、荒涼なる、立ち枯れの木々"、"躍動する生命が 無機質な結晶へ変化し"
こういう書き方は、きっと作者の心のなかでは、嘘の無い、ぴったりな言葉なのかもしれない
のですが、読者……というかわたくしには、それほど、伝わらないものなのですよね。

541 名前:ななほし ◆lYiSp4aok.  [] 投稿日:05/02/12(土) 00:47:32 ID:r49iD7ES
2点 >>525 :「鉄が夢を見ていた」:05/02/10 09:34:06 ID:IMq9/qFm
  なぜ? 鉄なのだろうか? なぜ? 溶鉱炉なのか? いま・現在・Now
  ……タマこもっているしかなぁ??  いま一つ完成していないかも……



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最終更新:2006年12月02日 23:24