作成中です・・・
作品
そんな瞬間
810 名前:そんな瞬間[age] 投稿日:02/07/30 00:54 ID:???
バスタブに体をあずけている僕
立ってシャワーを浴びている君
腰のくびれを流れ
君の下向きにとんがった毛から
したたり落ちる水滴
愛とか恋とか守りたいとか
難しいことは分からないけど
こんな瞬間のために人は生きていて
こんな瞬間が大切なもののような気がする
後ろから抱き寄せた
【コメント】
【得点】 0点
温度
818 名前:温度[sage] 投稿日:02/07/30 02:58 ID:???
怒りに震え上昇した体温
そっと浸す 水の中
昨日見た夢の名残を
頭蓋の隅に置いたまま
水の中で自我を手放す
水の冷たさを
浸食していく体温
回遊して入れ替わる
高温と低温
上は温み
下は冷え
入れ替わり
入れ替わり続け
くるくると
翻弄される
僕の体温
水の温度に身を任せ
体を鎮め
心を静め
呼吸すら手放しそうになる
真夏の水浴
一体化した
水と僕
水温と体温
放出された
熱と呼気
水に溶け
水になる
僕と水
体温と水温
境界線も曖昧に
溶ける
【コメント】
【得点】 0点
微生物のスープ
819 名前:微生物のスープ[sage] 投稿日:02/07/30 03:13 ID:???
月のない夜のプール 微生物のスープ
親和する白い体 親和する体操着
俯せに浮いて 薄い耳を漬す
陸上部 沢田素子さん 14歳
恋人の枕に夢の 残滓を貪るかのように
俯せに浮いて 薄い耳を漬す
生徒の唾液や汗や鼻水 様々な分泌物や 血液
最後にちびった糞尿少々 青臭い
夏の残滓 微生物のスープ
ほっぺには ひたひたと 寄せる波
産毛の気泡が 潰れるたび いちいち細かな音
未だ震え 信号を送る 冷たい鼓膜
囁き続ける 微生物のスープ
月のない夜のプール 微生物のスープ
【コメント】
【得点】 0点
山神の水瓶
824 名前:山神の水瓶(1)[sage] 投稿日:02/07/30 09:59 ID:???
季節はずれですいませんが
一番最初は雪だるまでした
仲間と一緒に降ってきたんです
地球はほんの赤ちゃんで
線香花火の先みたいに
じりじりぶつぶつ泣いてました
ここは最高に居心地がいいんで
ずっといようって決めました
いろんなところに行きました
海が一番 地下水二番
産死があって五に霧ね
夜霧 朝霧 夕霧になって
恋人包むのが あたしの趣味
出歯亀じゃねえかって人聞きの悪い
守ってあげてんです出歯亀から
そういやあたしちょっと前まで
スーパーカミオカンデにいました
聞いたことはある?はいな
ニュートリノてえ素粒子が
水中を光速で駆け抜ける
その青い光を見るための施設
地下でうとうとしてたら
連れて行かれちゃいました
ノーベル賞は確実
大統一理論の完成と
科学者たちが竹輪みたいにいきり立つ
無学なあたしにゃちんぷんかんぷん
地下1000メートルの廃坑
直径50センチの光センサーが
一万一千百六十四個
びっしり並んだ円筒形プール
人呼んでメデュウサの膣
あたし達は おばさん て呼んでました
どうだったかって
あんな退屈なところはもうこりごり
825 名前:山神の水瓶(2)[sage] 投稿日:02/07/30 10:01 ID:???
溶けてるものがほとんどない
もちろん生き物も一匹も
循環して浄化を繰り返す
超純水っていうんだそうで
科学者たちは鼻高々
宇宙からの客を迎える客間に
ふさわしい水はこれです
あたし達は身ぐるみ剥がれて
収容所へ押し込まれたようなもの
おばさんに睨まれながらしんとしてろって
耐えられますかあなた
現在も未来もなくなって
昔のことばかり思い出すんですよ
ファシズムの犠牲っていうんですか
こういうの
先だって補修工事がありました
終わって水を満たす時
あたしは今だ!って
一個に気を送れ!集中しろ!
ちょっと振動の向きを揃えただけです
普段はできない振りしてますが
結果はニュースでご存じの通り
六千七百七十九個割れました
一個の目玉が悲鳴をあげて
次に縦横斜め隣りの八個
あとはもうドミノ倒し
そりゃもう壮観でした
調査チームは
最初の1個がどうして割れたのか
結局分からずじまい
一言きいてくれたら
それあたし達がやりましたって
お答えしたんですけど
おばさんに聞くしか
なかったんでしょうな
皆さん恐妻家だから
スーパー神=おかん で
【コメント】
【得点】 0点
体
830 名前:体[ ] 投稿日:02/07/30 13:09 ID:???
熱いシャワー
火照ってた体
のけぞる
白い首
はじける
白い飛沫
一度も
イカセテ
くれない
憎いあいつ
熱い水滴
胸に
腰に
脚に
すべて白い
熱い想い
【コメント】
【得点】 0点
水
836 名前:水[] 投稿日:02/07/30 18:21 ID:H0vlx1IZ
すべての物は 解(ほど)かれて
崩れ落ちるビルよりも あっけなく
地面に 音を叩きつけて
消えてしまうように 見えても
地底で 静かな渦を巻き
姿の見えない竜となり
そっと 大きく
海をめざす
庭を歩いていた雀が
前ぶれもなく 解けて
ただの地面の染みとなって
消えてしまったように 見えても
巨大な竜に
そっと 運ばれて
千切れた波頭のなかから
また青空に はばたく
もしも あなたと話している途中に
私の姿がふいに 解けて
衣服もろとも 滝壷へ落ちるように
虹だけを残して 消えてしまったら
悲しまないで
海へ来て
私たちは
母から 生まれてくるのではない
巨大な竜の
鱗の一枚一枚
【コメント】
【得点】 0点
潮の街
837 名前:潮の街[] 投稿日:02/07/30 18:46 ID:yJBAwrjj
雨に
濡れた
街は
相当
カライ
海の香りがギラギラしている
バイクの後ろに
君を乗っけて
涙みたいな
カラサを
吹き飛ばして
走ろう
身体はずぶ濡れたままでいいから
【コメント】
【得点】 0点
釣りの日
838 名前:「釣りの日」[] 投稿日:02/07/30 21:12 ID:bD1zS1Ru
14歳のある初夏の日
父が突然釣りに行こうと言って
半ば 無理やりに車に乗せられ
一緒に連れて行かれてしまった
私は大きな公園の池の側で、
釣り糸を垂らしながら
その糸の動きを敏感に反応して
水面をすっと広がっていく小さな波紋を
じっと眺めていた
休日だったので
沢山の釣り人たちが
思い思いの服装をして
釣り糸を垂らしていた
午後の昼下りになって
照りつけるような太陽の日差しが
水面の揺らぐ平面に反射して
その光の形状のうつりかわりを
私は 吸い込まれるような瞳で
ぼうっと眺めていた
釣れたような釣れないような
そんな公園での一日を終えると
空は夕日の色に鮮やかに染まっていた
車に戻る途中にふと父が私に呟いた
「水の動きをぼうっと見るだけでも、心が癒されていくもんなんだ」
私は今 思い返せば
釣り自体はあまり好きでは無かったが
水面の波紋の揺らめきを
何時間もぼうっと眺めているのは
案外好きだったのかも知れないと思う
【コメント】
【得点】 0点
最終更新:2006年11月05日 10:43