作品
海岸へ走る猫
ウインドウにはショッキングピンクの斑点が不規則に浮かんでいる
視線を動かしても、そのまま移動していく
車の前に広がる灰色に濁ったスープ。
奇妙な形にこわばってしまっている指を一本づつ折り曲げる
力をこめて握り締めると
目の前の世界が見知った風景に戻る
歯を食いしばりすぎて、奥歯がまた少し砕けた。
曲が終わった。
癇に障るオブジェのようなDJが かたかたと流れてくる
運転からそれた気を正面に戻した。
この街には猫が多い
海が近い
猫は不思議と海岸に向かって道を横切っていく
黒い猫、茶色い猫、まだらな猫が
踊るように道を横断し、運の悪いやつが轢かれていく
ぶちまけられた中身に、朱色のゴムひもが見えた
くずれた豆腐。
2度、3度と轢かれるうちに、黒っぽい煎餅に変わる
ひかびかになった毛皮。
猫は海に惹かれるのだろう
人も同じだ。
神経になぜシナプスがいるかといえば、
生き物も、生き物のシステムも、情報そのものを直に受け取ると
オーバーフローしてしまうという話がある。
あえて、受け渡しというクッションをはさみこみ、
情報を曖昧に薄め、あるいは受け取りやすい形に作り変えるという操作を
無数の箇所で行っている。
システムの安全性確保のために精度を落とし、
システムの変異性を確保するために、思いがけない事が起こる要素を保持し続ける。
つまり、自己変化することのないシステムは結果として恒常的な生存が期待できない。
猫が、道路の脇からこちらを見ている。
視界にまたピンクの斑点が浮かび始めた。
濡れそぼった猫の群れが、浅黄色の海を泳いでいくのが見える。
221-222 名前:「海岸へ走る猫」 投稿日:2005/04/10(日) 20:17:08 ID:IAIjwVMa
【コメント】
237 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM 投稿日:2005/04/12(火) 11:23:53 ID:WoAUkFfY
>>221 「海岸へ走る猫」
抑制の効いた文体で直叙される奇妙な描写。
これは意外と絵画的な作品なのかもしれない。
風景を眺める語り手に訪れる追想。彼と視線を伴にする読者。
この作品の核であろう「神経の話」は特に意味を説明されないが、
語り手の内観に同化した読者には、説明を介さない曖昧かつ豊かな理解が与えられる。
冒頭3連と目の前を横切る猫の行列のそれぞれが、
より深層への踏み込みのイニシエーションになっている。
最終連、不可触領域への最後のエントランスが浅黄色の海へ逃げていく。
言葉を選ぶセンスがいい。何度も読み返したくなる魅惑的な作品。
239 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM 投稿日:2005/04/12(火) 11:35:10 ID:WoAUkFfY
「海岸へ走る猫」は文句を付ける部分もないし3点。
240 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/12(火) 15:28:57 ID:hKuVC8tH
>>221-222 「海岸へ走る猫」
1/2と2/2の最終連3行は完璧。特にラストが不思議なポエジーを誘う。
問題はだ、2/2の考察部分だな。「情報そのもの」はカントの言う「物自体」
のこと、そこから情報が感性を通して選択的に選び取られて、悟性で統合されて
人間の認識が成立する。感性・悟性で加工された像は能動的につくられた像であるから
して、人間は永久に「物自体」に触れることはできない、というのがカント以来の
これまでの哲学の常識なんだ。そうなんだけれど、詩というのは、ことばを使って
「物自体」に限りなく接近する、哲学をものとも思わない無謀な営為ということになる。
宗教もアプローチは異なっても、同じ志向性をもつものと言えるんじゃないか。
ほんで、詩のリクツの部分なんだけれども。やれオーバーフローだ、やれシステム
の安全性確保だ、片腹痛いわ。ワシは「情報そのもの」ようするに「物自体」を捕らえる
ことができれば、発狂してもいい、と常日頃から思っとるんじゃ。作者のおぬしは、そこん
とこ、どー考えておるんかい。――と、ついつい頑固親父口調になってしまった。
241 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/12(火) 15:44:46 ID:hKuVC8tH
>>221-222 「海岸へ走る猫」
作者のおぬしの代弁(想像)
猫が目指す「海」がMUJINAさん、あなたの言う「物自体」なのでしょう。猫も
人間もそれに激しく惹かれるのです。でも、たいていの猫はそこにたどり着けないで
グシャリと無残に車に轢かれてしまうのです。MUJINAさん、あなたも、車に轢かれない
よう気をつけてくださいね。横断歩道を渡るときには、左右をよく見て渡りましょう。
248 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/13(水) 23:25:03 ID:9jZiJlaE
【2点】
>221-222 海岸へ走る猫…海で泳ぐ猫のイメージがいまでも残影として頭から離れない。
777 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:2005/04/12(火) 01:25:19 ID:TETQl2H4
>221 :「海岸へ走る猫」1/2:2005/04/10(日) 20:17:08 ID:IAIjwVMa
なんで猫なの? 猫が海水浴するって、話は聞いたことが無い。江ノ島には
のら猫がいっぱい居るそうだけど……
793 名前:ゼッケン ◆DgT0G2eW4I [sage] 投稿日:2005/04/14(木) 11:43:39 ID:9dKz8FtQ
>221-222 :「海岸へ走る猫」
シナプスによる情報伝達の遅延がなければ、猫をひかずにすんだかも、という話でしょうか。
「システムの安全性確保のために精度を落とし、
システムの変異性を確保するために、思いがけない事が起こる要素を保持し続ける」
結果として猫ひいた、と。
じつはちょっとよく分かんなかった。「猫は海に惹かれるのだろう」なんで?
「人も同じだ」だからなんで?
でも、最終行のイメージは秀逸。すげー。この猫たちだけでシリーズものを展開できそう。
808 名前:リーフレイン [sage] 投稿日:2005/04/16(土) 21:30:01 ID:z9iI8QYa
>園川さん、チャンプおめでとうございます。ぶっちぎりでしたね。。
「猫は海へ。。」書きました。評と加点ありがとうございました。
地味な詩だったんですが、とても誉めてもらえて、とても嬉しかったです。
(繰り返し読み直していたりして。。w)
>MUJINAさん、発狂は小心で小市民なあたしには正直とても困ります。。
所謂「現実」以外の部分というのは幅が大きく広がりすぎて、虚実とりまぜた
(そもそも虚実の判断がないわけですから)状態になる気がします。それこそ溺れてしまいます。
ただ、言語化する事、特に詩を書くという事は、焦点を絞る作業に似ていると感じています。
つまり「現実」から少し逸脱した幻想(ーあるいは実相の片鱗である可能性)
を言語によって記号化(認知)する。
逸脱こそ生命に許された可能性であり、記号化はその逸脱を意識野の認識に引っ張り込む祝福
と言えるんじゃないかと。。詩はそのさい、論理を必要としないが故に、とりわけ自由度が高いです。
(まあ、小心者のおっかさんですから、臆病な事しか考えないですねえ。)
加点と評、ありがとうございました。
>ななほしさん ありがとうございます。
猫は海は泳がないですね、普通は。。一匹も泳がないとは言いませんが。
>ゼッケンさん
2週間に一回通る道があるんですが、そこは実に猫の轢死体が多いんです。
毎回フレッシュなそれが転がっています。海の近くです。猫密度の多い地域だろうとも
思うんですが、あの道の反対側には、きっと猫をとりみださせる何かがあるんだろうと・・・。
へへへ、園川氏が「神経」書いていたのは気がついていましたよう。
【得点】 5点(準チャンプ作品)
- 園川 ◆nWfXpQxHHM:3点
- MUJINA ◆iXws.WGCLY:2点
虚無
無いものがどんなモノか 言うだけ無駄なんだが
虚無ってのは 単なる無とは違うのは
わかる?
この世の中に動くものがいなければ
ずっとずっと平穏な 世界なっているはず
朝日がのほると
熱が大地を 巨大なヒーターに変える
絶え間なく上昇する 空気
風が吹き
雨となって 大地を削る
覆うもののない 大地は見る見るうちに
痩せて 海を浅く埋めていく
海と大地 朝日もいつも変わらぬ
同じモノ
やがて漆黒が 陽光(ひかり)の余韻を
ひたひたと追いやると
大地に冷気がせまり 玉の露が結ぶ
露を集める 一葉もない
いまだ金色のつきも無く
地に落ちた霧が 大地を黒っぽく濡らしても
まっ暗やみ
動くものも無く つまらないと想うもの無い
なぎの夜 風が止まる
時間が止まったようだが 比べるものも
一刻前の記憶も残らない 雲の上には
遠く星のしじま
宇宙の法則は破綻なく 力を及ぼして
感じ取られる 認められる
こともない
なんの意味も無い とある空間の
話なのだが
もちろん私が見てきたなんてコトは無い
それどころかなぜ こんな話をしているか
まったく わからない
オヤ……
訝しげな目をしているね
なにか?
疑っているのかい?
223-225 名前: 虚無 投稿日:2005/04/11(月) 00:41:40 ID:p+Ym8F10
【コメント】
237 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM 投稿日:2005/04/12(火) 11:23:53 ID:WoAUkFfY
>>223-225 虚無
下手なのだろうか、計算なのだろうか。
文章としても詩としても意味が分らなかった。
777 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:2005/04/12(火) 01:25:19 ID:TETQl2H4
>223 : 虚無 始:2005/04/11(月) 00:41:40 ID:p+Ym8F10
神経うたがうと……駄洒落?
785 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [sage] 投稿日:2005/04/13(水) 11:23:58 ID:1YfK0ynR
>223 虚無
題との関連がわかんないんだけど、
ただ、大地と水があるだけの星が目の前に浮かんだ。(水があるっていう条件は希少らしいが)
虚無っていうと浮かぶのはブラックホールだったりします。。。
794 名前:ゼッケン ◆DgT0G2eW4I [sage] 投稿日:2005/04/14(木) 11:45:12 ID:9dKz8FtQ
>223-225 : 虚無
ほんと、なにゆえこのような話を。いやいや、こういう話を聞くのは好きですけどね。
作者さん、自己完結しちゃったからな。虚無とは観察者の排除。
かと思いきや、最後はこっちの視線を意識してますよと知らせて着地。
片道じゃない往復の、うん、けっこういい旅行させてもらった気がする。
「それどころかなぜ こんな話をしているか
まったく わからない 」
の部分は作者さんの照れかな? これはいらないんじゃないでしょうか。
【得点】 0点
痛覚神経
パクッと食いつく
鼻の下と上唇の間に
何か鋭利な物が貫通したのを
僕は確かに感じるんだ
この水よりも遥に冷い何かを
魚には痛覚神経がないという
心地よく泳いでいてふと目の前に餌が現われた時
魚達は何を躊躇するだろう
釣り上げられた魚はまだ何が起こったかわからない
地面に置かれた魚
周りを見る事を許されたその片側の目で
初めて空を見るのだ
無限に続くようで
しかしどこかに限りがあるような
あの空を見るのだ
息絶えてなお開いたままの目は一体何を見続けているのだろうか
僕は気付く
このままでは外へ連れ出されてしまう
血が吹き出ようともこの糸を断ち切らなければならない
僕はまだ空を見たくない
痛みを感じない僕はきっと
死ぬ事さえわからない
死ぬ事さえ気づけない
226 名前:痛覚神経 投稿日:2005/04/11(月) 17:53:14 ID:8CJw2XYM
【コメント】
237 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM 投稿日:2005/04/12(火) 11:23:53 ID:WoAUkFfY
>>226 痛覚神経
永遠の胎児。それ以外の評言は不要なほど完結した詩世界。
平易さが切実さを伝える。どうすればもっと伝わるのか、それを考えれなければ。
239 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM 投稿日:2005/04/12(火) 11:35:10 ID:WoAUkFfY
その他にいいと思った作品として、>>192 失語>>199 音 >>205-207 選択 >>226 痛覚神経 を挙げておきます。
245 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/13(水) 12:05:00 ID:fQh3W+LY
>>226 痛覚神経
うまいっ!(唾が飛んでしまった) 魚を僕になぞらえた一人称の語りと、カメラを引かせた
三人称の語りの切り替えが巧み。カメラワークの妙がスムースな詩の流れを作っている。
この詩の功績は「発見」にある。魚には痛覚神経がない、という「発見」と、釣り上げられ
地面に置かれた魚は片側の目で空を見る、という「発見」。特に後者の「発見」は
言われてみれば当たり前なんだけれど、ちょっと気がつかない。この「発見」で、詩の
半分はできた。そこに自分の死というテーマを重ねれば一丁あがり。
詩は日常生活の観察から生まれる、ということをまさに実証したような作品。
特に、詩を書けない、という人は、この作者さんの手法をよく参考にするとよいだろう。
ところで、内容だが、恥ずかしいことに、最初の一読でうっかりこの詩をスルーして
しまった。ほとんど何も印象に残らなかったのだ。ところが、二読三読するうちに
この詩の深さがじわじわと水がしみだすように実感されるようになった。最終連、
ちょっと怖いんじゃない。淡々と書いているから、よけいコワサが伝わってくる。
「痛みを感じない僕」というのも、自己の未熟さを冷静に観察したからこそ、できる
表現と言える。
246 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w 投稿日:2005/04/13(水) 21:14:42 ID:1YfK0ynR
>>226 「はじまりのうた」 1点
短いながらも、少しコミカルかつ真面目な詩情がありました。
246 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w 投稿日:2005/04/13(水) 21:14:42 ID:1YfK0ynR
あと、加点したかったんだけども、格差もつけたかったんで落としてしまったのは、
「青のイマージュ」(後半の推敲待ち)
「痛覚神経」 (これはよくできているんだけど、なんとなく青っぽさが気になった)
「催眠」 (やっぱし、判んなかったとこが。)
でした。
248 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/13(水) 23:25:03 ID:9jZiJlaE
【3点】
>226 痛覚神経……コンパクトにうまくまとまっている。ラストの死生観がいい。
「お前はすでに死んでいる」ってか。
777 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:2005/04/12(火) 01:25:19 ID:TETQl2H4
>226 :痛覚神経:2005/04/11(月) 17:53:14 ID:8CJw2XYM
すごい! 天井から釣り針、……ここは地獄じゃ。という魚の話があったが……
文章が鋭い切れ味!!
786 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [sage] 投稿日:2005/04/13(水) 13:01:32 ID:1YfK0ynR
>226 痛感神経
お魚って本当に痛くないの???それはあまり羨ましくないかもしんない。
794 名前:ゼッケン ◆DgT0G2eW4I [sage] 投稿日:2005/04/14(木) 11:45:12 ID:9dKz8FtQ
>226 :痛覚神経
空を知らないであろう魚が空を見ることを恐れるんだろうか。と書いて、
私も命が終わるときに見たことのないものを見せられるかと思うと、こわくなってきた。
痛みを伴わない死はかえって死そのものを感じるんじゃないかと思うんです。
それがどういう感覚かはいま想像する体力ないんですけど。
人生にいちどきり発動される感覚というものがあったら、ていうもしものコーナーになっちゃったな、この感想。
798 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:2005/04/15(金) 11:48:20 ID:vWpKpql+
2点 >>226 :痛覚神経:2005/04/11(月) 17:53:14 ID:8CJw2XYM
読んでいて、ちょと、魚の気持ちになってしまう。痛みを伝ええる宣教師かなぁ?
815 名前:soft ◆soft/e/9Do [sage] 投稿日:2005/04/17(日) 19:08:06 ID:Tn0budI9
痛覚神経書きました。
ななほしさんの採点が認められて本当に良かったw
んで詩に関してですが、結構色々な解釈ができるように書いたつもりなので
あえて大意は書きません。
ちなみに魚は痛みを感じないというのは釣り(2chで、ではなく)をしている人なら
聞いたことある人も多いんじゃないかな。
自分が知ったのも釣りしてる時に隣にいた爺さんから聞いたものだし。
んで検索してみると賛否両論あるようですが今の所、痛みは感じず、でいいみたいです。
でもはっきりとしたソースは出てこなかった。もしかしたら噂話のレベルかもしれない。
【得点】 5点(準チャンプ作品)
- MUJINA ◆iXws.WGCLY:3点
- ななほし ◆lYiSp4aok.:2点
交☆感日記
(テストテスト:pm9:15 現在地球の人口6,512,668,917)
24時間の間元気だったか?
元気ならば 俺はひとまず安心だ
昨日の話だが
俺のことをよく知りたいと言っても語ることなど僅かだ
だが如何に話すべきかと試行錯誤する時間の価値こそが皆無で
ならば取り敢えず今朝のことから順を追って話そうかと思う
今朝は早めに起床したので2年間変わらずの髪形をいじってみる
気分で7・3にしてみると 俺の親父が鏡台の中に居た
緩い苦笑を浮かべる (0.6秒)
普段気付かぬ事に不意に気付く瞬間もあるという話だ
錆びた自転車で郊外の白い住宅地を抜け仕事に往く
幾人もの人間が身近で生活を営んでいるらしい
(だが俺は彼らが本当に居住しているかに確証は持てない
見たことが無いから)
ただ、大量の糞尿が如何に処理されるのかが気がかりだ (0.3秒)
常時存在する現状を突如疑問に感じることもあるという話
仕事の話は つまらない のでしない
夕食のメニューの仔細などを話したら おまえは喜ぶのかもしれないが
何を食べたか よりもおまえと話すために急いだことの記憶が勝る
「時間が惜しい
時間は惜しかったのだ!」
今おまえの言葉が
水に溶けて全身に行き渡るまでの時間さえ惜しい
俺の血管が激しく波打つ
永遠に重ならぬ空の下で生きるおまえとは
一日に交わすこの何分かのテレパシィだけが
4次元の楔を砕く 心臓は月の出ない砂漠のように灼熱を帯びる
だが 何て「孤独」だ!
20億光年離れた此処から おまえの姿を見つけるのには
20億光年と少しかかるという
全く癪に障る話だ
ところで癪とは身体の一体 どの部分だ
随分話したので頭痛がする
(そしてpm9:45 地球の人口は6,512,674,090に膨れ上がった)
今日はこのまま寝てしまいそうだ
互いの星がまた 自転を済ませた後で話そう
白む東天を見て 俺は理解した
俺の棲む島にもうすぐ
放射冷却の朝が
また 来るのだ
おやすみ
24時間後も元気で居てくれ
227-228 名前:交☆感日記 投稿日:2005/04/11(月) 21:52:14 ID:osN1jJKT
【コメント】
238 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM 投稿日:2005/04/12(火) 11:24:16 ID:WoAUkFfY
>>227 交☆感日記
読みやすく、上手いとは思うが、何を読ませたいのかが分らなかった。
言葉やエピソードを追っていくのは楽しいが、
肝心な所にスルリと逃げられてしまったという印象。
考えなくても読める文章に、考えなければ分らない毒を忍ばせたのか?
僕は考える事が嫌いなので分らないまま置いておく。楽しくはあった。
243 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/13(水) 01:22:44 ID:Ifqd3f7e
>>227-228 交☆感日記
全体的に好センスを感じる。題のつけ方がそうだし、数字が心地よいアクセントと
なっている。パロディあり、軽いウィットあり、洒落た台詞ありで、飽きさせなかった。
単身赴任で愛する女性と離れ離れになった悲哀を明るく描いている。あえて「誤読」
すれば、いくら愛する関係にあるといっても、人間どうしの精神的な距離は惑星間ほど
離れている、というどうしようもない他者との隙間を読んでみたりする。
「神経」→「交感神経」→「交換日記」→「交感日記」という連想だろう。ややお題
から遠いのが難点。
248 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/13(水) 23:25:03 ID:9jZiJlaE
【2点】
>227-228 交☆感日記…強いインパクトはないものの、随所に小技が光ってる。
効果と有効で合わせ技一本勝ち!
778 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:2005/04/12(火) 01:34:49 ID:TETQl2H4
>227 :交☆感日記 1/2:2005/04/11(月) 21:52:14 ID:osN1jJKT
なにか不思議な……ちょっとわからないかなぁ……
786 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [sage] 投稿日:2005/04/13(水) 13:01:32 ID:1YfK0ynR
>227 -228 交☆感日記
SFちっくでいいねえ。この二人が今後どうなるのか知りたいです。
791 名前:ゼッケン ◆DgT0G2eW4I [sage] 投稿日:2005/04/14(木) 05:13:40 ID:KKxjl5L7
>227-228 :交☆感日記
一日に「何分かのテレパシィ」を持っているぶん、谷川俊太郎のくしゃみとは違って具体的に「孤独」です。
「20億光年離れた此処から おまえの姿を見つけるのには
20億光年と少しかかるという
全く癪に障る話だ」
この部分なんか距離の描写としてはもう私なぞには越えられそうにない。
すごい作品だった。ありがとうございました。
810 名前:ヒゲルド ◆tuIUmOeA.. [sage] 投稿日:2005/04/16(土) 22:58:00 ID:eZ9kOSa8
こんばんは
今回は「交☆感日記」という作品を投稿させてもらいました。
素敵なコメントと点数を下さった審査員の方々、ありがとうございます。
(審査員の労力にはいつも頭が下がる思いです)
余談ではありますが、谷川俊太郎の「20億光年の孤独」の「20億光年」とは当時考えられて
いた宇宙の大きさであり、それが現在に至っては137億光年(うろおぼえ)という大きさまで
に訂正されているのでありまして、何だか当時は意味のあった数字も時代と共に無力化していく
のは寂しいことですね。
正直園川さんの作品には「カナワネー」と思いました
チャンプおめでとうございます。
【得点】 2点
僕は一人。水平線で
君は僕の左手首が醜い理由を聞いてきた
人に聞かれた場合はいつも犬に噛まれたと言う
酷い傷痕は犬に噛まれた痕に見えなくも無く大体の人は納得する
だが君は納得した様子なく首を傾げて悲しげに微笑んだ
僕は君のリアクションにとまどって
どれだけ大きい犬でどれだけ長く赤い舌で
どれだけ尖った歯でどれだけ恐ろしかったか
身振り手振りをまじえて事細かに話している内に
この左手首の醜い傷痕は本当に大きな犬の噛み痕に思えてきて
もしかしたら左手は食い千切られていたかもしれない
犬に噛まれたのが左手で良かったと思うべきなのだ
右手を食い千切られていたら生きていられない
と怖くなって額から汗が滲んで息が荒くなったいた
話が終わると君はもう一度笑って溜息をついて
僕の手首を摩って傷痕にキスをした
僕は反射的に君を突き飛ばしてそのままセックスをした
何度も何度も求めて君は起きる事をやめてしまった
じゃあ僕は行くね。
君のリップをつけて君の脱ぎ散らかした下着をつけて
僕はブラジャーのワイヤーが痛い事を知ったのだ
耳たぶを揉んで膿をしごきだすとピアス穴から透明な汁が流れて
髪を指でとかすと乾いた透明な汁がフケのように紺の制服を汚した
「野良猫を見ると情が移るから触ってはいけない
拾って帰る事は困難なのだから目さえ合わしてはいけない」
君の美学は真っ当に歪んでだから透明な汁は乾いていくのさ
それでも野良猫はそれなりに幸せそうにゴロゴロと鳴いて
僕は鼻水を垂らした野良猫の喉を撫で目やにを拭き取り冷たく濡れた鼻をつまんだ
野良猫の足を持って小豆そっくりのぷっちりと皮のはった肉球にキスをすると
野良猫は目をぱちくりさせて平らな腹を長く伸ばした
君は僕の傷痕にキスをした
僕は君のどこにキスをすれば良かったんだろう
目が痒いのは花粉のせいで昨日までは何とも無かったのに傷痕も痒くて
新しい今日!に目を細めて花粉が舞う宙に根性無しの桜は散って
僕は傷痕を音を立てて掻き毟って地団駄を踏んで地面に希望を与える
君の世界に花粉は舞っていますか
取り残された君にも明日が来るし僕と同じように明日が来るし
鼻水を垂らす猫にも花粉を撒き散らす花にも
間違い無く遅刻する事無くタップを踊るように星を空に踏み散らかして
水平線が端から端まで夜をぐいっと押し流して
229-230 名前:「僕は一人。水平線で」 投稿日:2005/04/11(月) 23:46:04 ID:6wTCQmGV
【コメント】
238 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM 投稿日:2005/04/12(火) 11:24:16 ID:WoAUkFfY
>>229 「僕は一人。水平線で」
大変自閉的な作品。作者の内面から詩が自立していないので、
作者に説明してもらわないと何が起こっているのか理解できない。
出てくる女をあまりに都合良く扱いすぎる。
778 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:2005/04/12(火) 01:34:49 ID:TETQl2H4
>229 :「僕は一人。水平線で」 1/2:2005/04/11(月) 23:46:04 ID:6wTCQmGV
前半と後半のつながりがいま一つ……かなぁ?
786 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [sage] 投稿日:2005/04/13(水) 13:01:32 ID:1YfK0ynR
>229 僕は一人、水平線で
左手の傷に誰よりも拘っているのが僕だというのがよく伝わってきた。
791 名前:ゼッケン ◆DgT0G2eW4I [sage] 投稿日:2005/04/14(木) 05:13:40 ID:KKxjl5L7
>229-230 :「僕は一人。水平線で」
「君の美学は真っ当に歪んでだから透明な汁は乾いていくのさ」が分かんなくて、振り落とされてしまい、
読み手としての反射神経がやっぱにぶいんだろうな、なんてうじうじもしたくなる。というぐらい、
この作品を読みきりたいと思わせるなにかがあるような気がする。最終行、
「水平線が端から端まで夜をぐいっと押し流して」
で終わるところなんか、そそられちゃうんだけど。
分からないところは作品に文句を言いたいけど、この作品に関しては自分に文句をいいたい。なぜかは知らん。
【得点】 0点
幽霊が覚えてる
焼酎を入れた グラスの重さを覚えてる
あいつの 臍の窪みを覚えてる
掴んだ岩の ざらつきを覚えてる
花崗岩の結晶が 指の皮を削る
ざらつきを
山を
透けた右手は
覚えてる
手首の先
毛細管から吸い上げられた 神経が
掌の生えてた辺りで
燃えて
ほうっ と消えて
煙の管が たなびいて
遠く山まで たなびいて
怖いよ
あいつがそう言った
どこが?
知るか
俺には これしかないからさ
もう これしかないからさ
頂上へ伸びる 垂直の地平線が
剥き出しの白を投げ
ざわめく 一条の亀裂を
見上げたこと
右手は覚えてる
乱れた息と
指の軋みと
背中に貼りつく重力が
青い 大気の巨魁を越えて
死に様を呼んだこと
右手は覚えてる
汗滲む 右手は覚えてる
三角ナイフの稜線で
雲に巻かれた
石礫の
束の間沸いた
陽光に
震える銀蝿 宿らす
今を
透けた右手は覚えてる
231-232 名前:幽霊が覚えてる 投稿日:2005/04/11(月) 23:49:54 ID:8IwuuiX/
【コメント】
238 名前:園川 ◆nWfXpQxHHM 投稿日:2005/04/12(火) 11:24:16 ID:WoAUkFfY
>>231 幽霊が覚えてる
着想は良かったと思う。でも描写がさっぱり理解できなかった。
なにかあるんだろうなとは思うし、その世界に入って行きたい気はするのに残念。
最後から2連目はぎりぎり理解できる範囲の省略。ここは良かったと思う。
245 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/13(水) 12:05:00 ID:fQh3W+LY
>>231-232 幽霊が覚えている
全編、たしかに詩の言葉になっている。
登山は実体験かそれとも何かを喩しているのか?
「透けた右手は覚えている」ということは、右手だけが死んで「右手の幽霊」
になっている、ということだ。この非現実的な奇想がポエジーの発信源となっていて
この詩を支えている。オリジナリティーは十分備えている。
246 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w 投稿日:2005/04/13(水) 21:14:42 ID:1YfK0ynR
>>231-232 「幽霊が覚えてる」 2点
伝わってくる感情の真摯さという点で1番だったです。
硬質な表現を駆使した、山の情景もいい。
感想のほうで、誰か友人を亡くしたかもと書いてしまったけど、誤読です。。すみません。
248 名前:MUJINA ◆iXws.WGCLY 投稿日:2005/04/13(水) 23:25:03 ID:9jZiJlaE
【1点】
>231-232 幽霊が覚えている…喪失感が悲しく漂ってます。
778 名前:ななほし ◆lYiSp4aok. [] 投稿日:2005/04/12(火) 01:34:49 ID:TETQl2H4
>231 :幽霊が覚えてる 1/2:2005/04/11(月) 23:49:54 ID:8IwuuiX/
なぜだろう? 言葉が流れ込んでこない……なにを表そうとしてるのか??
786 名前:葉土 ◆Rain/1Ex.w [sage] 投稿日:2005/04/13(水) 13:01:32 ID:1YfK0ynR
>231 幽霊が覚えてる
この詩は、本当に胸に響いた。山へ登る人なんだと思う。そして、今はない右手の先にある
思い出の山を書き連ねている。(もしかして、そこで亡くした友がいたのかもしれない)
全編を通じて、哀しみと、怒りと、自然への畏怖のような感情が張り詰めていて、敬虔な想いに打たれた。
詩は虚構ではあるのだけれど、あえてここにあるものを本当にあったことだと感じたい。
仮に虚構であったとしても、それに匹敵する何かを持っている作者なのだ。。。
791 名前:ゼッケン ◆DgT0G2eW4I [sage] 投稿日:2005/04/14(木) 05:13:40 ID:KKxjl5L7
>231-232 :幽霊が覚えてる
幻肢というものでしょうか。ちょっと違うかな。
それとも雪崩に巻き込まれて、いま、右手を失くしたのかな。
そうすると、これはえらい状況です。遭難中。
私はハイキングにもいかない人間なので、山ってこわいなあと。
811 名前:清掃局の者 ◆6P3vWUZtcI [sage] 投稿日:2005/04/16(土) 23:03:06 ID:d1VPZnBJ
「幽霊が覚えてる」を書いた掃除屋です。
評価人の皆さん有難うございました。
前回は「DRIVE OVER」を書きました。
遅ればせながら、評価有難うございました。
拙い俺の作品なんかでも真剣に読んで貰えるので、とても励みになります。
園川さん、チャンプおめでとうございます。
あんな練り上げられたものを短期間で書くなんて恐ろしいです、、
今回の俺の作品のモチーフは、ロッククライミングでした。
読んだ人が全員分かるように書こうとしたのですが、
読み返してみると自分でも理解できない所ばかりです、、
締め切り間際に苦し紛れで仕上げてしまいました。
すみません。
それから前作では、強烈な赤と語り手の思考の気持悪さを書こうとしました。
両作共に俺の技量が足りず、思いが上手く書ききれなかったです。
下手ですみません、、
力を付けようと奮闘中です。また締め切りに間に合えば投稿するつもりです。
皆さんよろしくお願いします。
【得点】 3点
- 葉土 ◆Rain/1Ex.w:2点
- MUJINA ◆iXws.WGCLY:1点
最終更新:2006年11月08日 00:09