ラハと理の魔法生 -the 2ndstory-

※シリーズの重大なネタバレを含みます。未プレイの方は注意
序章
魔法界一のエリート学校と呼ばれる「理のエクレール魔法学院」に、臨時留学する事になったB級魔法生シエスタ。
しかし彼女には欠点があり、「悲しみの感情」を抱くと、正常に魔法が撃てなくなるのだ。
シエスタの様に魔法医を志す者にとってそれは致命的な欠点で、いざという時に感情のせいで治療の魔法を失敗することなど、あってはならない世界だからだ。
しかし彼女には欠点があり、「悲しみの感情」を抱くと、正常に魔法が撃てなくなるのだ。
シエスタの様に魔法医を志す者にとってそれは致命的な欠点で、いざという時に感情のせいで治療の魔法を失敗することなど、あってはならない世界だからだ。
光のルクシエメール魔法学院長であるルクシエは、留学の間にその弱点を克服する様に命じる。
そして留学中、心を支える存在として、ペットを連れていくことを提案。
シエスタが持たされたのは、「ラハ」という名の一匹のネズミだった。
そして留学中、心を支える存在として、ペットを連れていくことを提案。
シエスタが持たされたのは、「ラハ」という名の一匹のネズミだった。
彼女は想いを馳せる。
ラハといえば一年三ヶ月前、この学院にいた転入生の名前だ。かつては彼にときめいた事もあったが、記憶を取り戻してからは故郷に帰ってしまったらしい…。
ラハといえば一年三ヶ月前、この学院にいた転入生の名前だ。かつては彼にときめいた事もあったが、記憶を取り戻してからは故郷に帰ってしまったらしい…。
目を覚ますとシエスタは列車に揺られていた。
これから向かうのが、留学先の「理のエクレール魔法学院」だった。
彼女は隣に居たはずのネズミのラハが居なくなっている事に気付き、前方車両へと向かう。
これから向かうのが、留学先の「理のエクレール魔法学院」だった。
彼女は隣に居たはずのネズミのラハが居なくなっている事に気付き、前方車両へと向かう。
誰もいない車両に足を踏み入れた時、突如、列車が揺れ、魔物が出現する。
途中、助けに来たラハのおかげでどうにか魔物を退けることが出来たが、ホッとしたのも束の間、黒いローブを身に纏った何者かが目の前に現れる。
咄嗟にシエスタの前に出るラハ。と、その時……。
途中、助けに来たラハのおかげでどうにか魔物を退けることが出来たが、ホッとしたのも束の間、黒いローブを身に纏った何者かが目の前に現れる。
咄嗟にシエスタの前に出るラハ。と、その時……。
「下がっておるのじゃ、Miss.シエスタ」
聞き覚えのある声。
黒いローブの男が、魔法で吹き飛ばされる。
前方車両より姿を現したのは、ルクシエメール魔法学院の講師・ジャッラだった。
ジャッラの猛攻に遭い、黒ローブの男はどこかへと姿を消す。
黒いローブの男が、魔法で吹き飛ばされる。
前方車両より姿を現したのは、ルクシエメール魔法学院の講師・ジャッラだった。
ジャッラの猛攻に遭い、黒ローブの男はどこかへと姿を消す。
シエスタとラハは安堵し、ジャッラに駆け寄る。
彼もこれからエクレール魔法学院の臨時講師として学院に向かう途中だったのだ。
彼もこれからエクレール魔法学院の臨時講師として学院に向かう途中だったのだ。
二人と一匹が駅に降り立つと、オリアネスという名の風紀委員の女子魔法生が迎えに来ていた。
ジャッラは移動魔法で先に向かうと、オリアネスはシエスタに対して急に素っ気ない態度をとり始める。
そんな態度をまったく気にせず質問責めのシエスタに、オリアネスは苛立ちを隠せない。
ジャッラは移動魔法で先に向かうと、オリアネスはシエスタに対して急に素っ気ない態度をとり始める。
そんな態度をまったく気にせず質問責めのシエスタに、オリアネスは苛立ちを隠せない。
学院前に到着した時、オリアネスは魔獣ティアマトを召喚する。
「これから留学試験を始める。使い魔と共に勝ってみせよ」
シエスタと、その使い魔と認識されてしまったラハは、予期せぬ試験を受ける事に呆然となった。
第一章 知の園
どうにかティアマトに勝利し、学院への留学を許されたシエスタを迎えたのは、エクレール魔法学院の治癒魔法講師エクスリス=マリアヴェールという女性だった。
彼女はシエスタを学校の各施設へと案内する。
学内の購買でアルバイトをしているB級魔法生ユキノや、図書室で図書委員を務めるA級魔法生ウィリアム、学院講師のクィンスキーらを紹介される。
最後に紹介されたのは、学院長エレン=エクレールだった。静かに佇んでいる学院長に疑問を感じるシエスタ。エレンは「喋れぬ病」を患っており、喋ることが出来ないのだとエクスリスから教えられる。
学内の購買でアルバイトをしているB級魔法生ユキノや、図書室で図書委員を務めるA級魔法生ウィリアム、学院講師のクィンスキーらを紹介される。
最後に紹介されたのは、学院長エレン=エクレールだった。静かに佇んでいる学院長に疑問を感じるシエスタ。エレンは「喋れぬ病」を患っており、喋ることが出来ないのだとエクスリスから教えられる。
院長に別れを告げた時、時刻は消灯時間を迎えようとしていた。
寮の自室へと移動魔法で帰るシエスタを見送ったエクスリスは、誰もいなくなった廊下で一人、憎々しげな表情を向ける。
(この学院に教え子を寄越した事を後悔するといいわラクリス)
(貴女の教え子は絶対に魔法医にはなれない。壊れて、ゴミの様に、散りゆくのよ……)
寮の自室へと移動魔法で帰るシエスタを見送ったエクスリスは、誰もいなくなった廊下で一人、憎々しげな表情を向ける。
(この学院に教え子を寄越した事を後悔するといいわラクリス)
(貴女の教え子は絶対に魔法医にはなれない。壊れて、ゴミの様に、散りゆくのよ……)
翌朝。
朝食の席でシエスタは、幼なじみのヴィッツと再会。
だがヴィッツは同級生ステファンと口論になり、朝食の場は険悪なムードと化してしまう。
授業の前に図書館に向かうとシエスタとラハ。
図書委員長ウィリアムから、風紀委員オリアネスがこの学院では「理の魔女」と恐れられていて、校則を破った者は消されるという噂を聞く。
朝食の席でシエスタは、幼なじみのヴィッツと再会。
だがヴィッツは同級生ステファンと口論になり、朝食の場は険悪なムードと化してしまう。
授業の前に図書館に向かうとシエスタとラハ。
図書委員長ウィリアムから、風紀委員オリアネスがこの学院では「理の魔女」と恐れられていて、校則を破った者は消されるという噂を聞く。
エクレール学院での初授業は魔法史。
講師を務めるのは副院長のザックバーンという男だった。
午後の授業を終えたあと、隣の教室に向かうと、誰かがノートが置き忘れていた。シエスタはそれを拾い、食堂に向かおうとした時、風紀委員達から呼び止められる。
用も無く他教室に入ることは校則違反であり、ノートを持ち去ったことで盗っ人呼ばわりされてしまうシエスタ。彼女は弁明するも、違反を犯した罰として、どこかの洞窟に飛ばされてしまう。
講師を務めるのは副院長のザックバーンという男だった。
午後の授業を終えたあと、隣の教室に向かうと、誰かがノートが置き忘れていた。シエスタはそれを拾い、食堂に向かおうとした時、風紀委員達から呼び止められる。
用も無く他教室に入ることは校則違反であり、ノートを持ち去ったことで盗っ人呼ばわりされてしまうシエスタ。彼女は弁明するも、違反を犯した罰として、どこかの洞窟に飛ばされてしまう。
そこはドミナルトの洞窟と呼ばれる、かつてB級試験会場として使われていた洞窟だった。
だがシエスタのポケットにはラハを忍ばせており、二人で力を合わせて洞窟から脱出することに成功する。
だがシエスタのポケットにはラハを忍ばせており、二人で力を合わせて洞窟から脱出することに成功する。
洞窟の奥にあったクリスタルから元の学院に戻ると、そこは学院の外庭だった。
そこでは講師や風紀委員たちが沢山集まっており、皆で上を見上げながら何やら騒いでいた。
その視線の先を追って、思わず悲鳴を上げるシエスタ。
時計台に力無く吊り下げられているステファンの姿。
エクスリスは諦めた様に呟く。
そこでは講師や風紀委員たちが沢山集まっており、皆で上を見上げながら何やら騒いでいた。
その視線の先を追って、思わず悲鳴を上げるシエスタ。
時計台に力無く吊り下げられているステファンの姿。
エクスリスは諦めた様に呟く。
「死の魔法です。もう手の施し様がありません…」
第二章 消えた妖精
一夜明けて、ステファンが死亡したことで、学院内には静かな空気が漂っていた。
かけられていた「死の魔法」とは精神を殺す魔法であり、禁術である。
シエスタは、魔法医になりたい夢をエクスリスに打ち明け、事件解決のために少しでも自分にやれる事は無いかと考える。
かけられていた「死の魔法」とは精神を殺す魔法であり、禁術である。
シエスタは、魔法医になりたい夢をエクスリスに打ち明け、事件解決のために少しでも自分にやれる事は無いかと考える。
その日も変わらず授業が行われる様で、クィンスキーによる戦闘魔法の授業が始まった。
事件の調査のために魔法教会が来ている様子は無く、事件は間違いなく学院内で隠蔽されている。
講師に対して不信感を抱くヴィッツは、授業をボイコットしてしまう。
事件の調査のために魔法教会が来ている様子は無く、事件は間違いなく学院内で隠蔽されている。
講師に対して不信感を抱くヴィッツは、授業をボイコットしてしまう。
休憩中、シエスタはヴィッツから図書館の地下書庫へと案内する。
そして彼は、以前この学院で自分を助けた「バーバラ」という名の妖精が行方不明となっていることを打ち明ける。そのために授業をサボって調べ回っていること、この地下書庫の本の一冊に、バーバラの羽根が挟まっていたことも。
学院に信頼できる者がいないヴィッツは、シエスタに協力して欲しいと頭を下げる。だがシエスタは簡単には頷けなかった。
そして彼は、以前この学院で自分を助けた「バーバラ」という名の妖精が行方不明となっていることを打ち明ける。そのために授業をサボって調べ回っていること、この地下書庫の本の一冊に、バーバラの羽根が挟まっていたことも。
学院に信頼できる者がいないヴィッツは、シエスタに協力して欲しいと頭を下げる。だがシエスタは簡単には頷けなかった。
午後の授業中、ユキノからヴィッツを助けてあげてと声をかけられるシエスタ。ユキノはヴィッツにフラれた経験があり、だから自分には相談出来なかったのだと話す。
シエスタは仮病を使って授業を抜け出し、ヴィッツが待つであろう地下書庫へと向かう。
シエスタは仮病を使って授業を抜け出し、ヴィッツが待つであろう地下書庫へと向かう。
だが地下書庫に彼の姿は無く、図書委員長ウィリアムに話を聞いても、彼が出て行った様子は無いという。
しかし居なくなる前、「闇で染めれば浮かび上がる」という言葉を残していたらしい。
シエスタは生活魔法講師レフトライトに、闇で視界を染める魔法「ラクレシオ」を教わると、地下書庫でそれを詠唱してみた。
闇に染まる視界の中、地下書庫の壁の一ヶ所を不思議な影が渦巻いていた。
しかし居なくなる前、「闇で染めれば浮かび上がる」という言葉を残していたらしい。
シエスタは生活魔法講師レフトライトに、闇で視界を染める魔法「ラクレシオ」を教わると、地下書庫でそれを詠唱してみた。
闇に染まる視界の中、地下書庫の壁の一ヶ所を不思議な影が渦巻いていた。
シエスタが影に触れた途端、広い書庫へと転移する。
そこは「闇幻の書架」と呼ばれる、悪魔が築いたとされる不思議な書庫だった。
そこは「闇幻の書架」と呼ばれる、悪魔が築いたとされる不思議な書庫だった。
最深部でヴィッツの姿を見つけるが、ダンタリアという魔物と対峙中だった。そしてその奥には倒れているバーバラの姿が見え隠れする。
シエスタとラハ、そしてヴィッツは魔物を退け、バーバラに駆け寄る。
妖精も、死の魔法の犠牲になっていた。
シエスタとラハ、そしてヴィッツは魔物を退け、バーバラに駆け寄る。
妖精も、死の魔法の犠牲になっていた。
図書館から出た途端、風紀委員達に取り囲まれる二人。
授業を抜け出した事がバレたのだ。
校則違反の処罰としてオリアネスがシエスタとヴィッツをどこかの場所へと転移させようとした時、「待ってください!」という声が飛んだ。
現れたのはエクスリスだった。
教育とは恐怖を与えて二度と違反を犯さないためにあるものだと考えを述べるオリアネスを、そんなものは教育とは認めないと怒るエクスリス。
二人は互いに魔法をぶつけ合うが、倒れたのはオリアネスの方だった。
風紀委員達は逃げる様に移動魔法で消えて行く。
助けられたシエスタとヴィッツはエクスリスに駆け寄るが、
「魔法医を志す者が、仮病を使うなどあってはならない」と叱られ、二人で反省文を書かされる事となった。
授業を抜け出した事がバレたのだ。
校則違反の処罰としてオリアネスがシエスタとヴィッツをどこかの場所へと転移させようとした時、「待ってください!」という声が飛んだ。
現れたのはエクスリスだった。
教育とは恐怖を与えて二度と違反を犯さないためにあるものだと考えを述べるオリアネスを、そんなものは教育とは認めないと怒るエクスリス。
二人は互いに魔法をぶつけ合うが、倒れたのはオリアネスの方だった。
風紀委員達は逃げる様に移動魔法で消えて行く。
助けられたシエスタとヴィッツはエクスリスに駆け寄るが、
「魔法医を志す者が、仮病を使うなどあってはならない」と叱られ、二人で反省文を書かされる事となった。
だがエクスリスがシエスタを救った思惑は別の所にあった様だった。
(邪魔はさせないわ)
(邪魔はさせないわ)
第三章 恋する魔法生
妖精バーバラの死は講師達の間でも騒がれていた。
エレン院長に報告するエクスリス。
闇幻の書架は悪魔が取り憑いた本を封印するために七年前に作られた場所だったが、一年前、何者かが封印を解放し、あの場所にバーバラの死体を隠したのだ。
エレン院長に報告するエクスリス。
闇幻の書架は悪魔が取り憑いた本を封印するために七年前に作られた場所だったが、一年前、何者かが封印を解放し、あの場所にバーバラの死体を隠したのだ。
今日の授業はレフトライトの生活魔法。
空を飛ぶ魔法・バルバートの実習だった。
シエスタがバルバートを詠唱しようとした時、彼女は何者かに「悲しみの感情を与える魔法」をかけられてしまう。
そのまま詠唱を続けたため、シエスタの魔法が暴走。凄まじい勢いで空高くへと舞い上がってしまう。
懐から飛び出たラハは必死にシエスタを落ち着かせようとするが、その時、列車で遭遇した黒ローブの男が出現する。
空を飛ぶ魔法・バルバートの実習だった。
シエスタがバルバートを詠唱しようとした時、彼女は何者かに「悲しみの感情を与える魔法」をかけられてしまう。
そのまま詠唱を続けたため、シエスタの魔法が暴走。凄まじい勢いで空高くへと舞い上がってしまう。
懐から飛び出たラハは必死にシエスタを落ち着かせようとするが、その時、列車で遭遇した黒ローブの男が出現する。
黒ローブの男は、死の魔法と思われる魔法の詠唱を始める。
ラハは慌てて炎魔法で応戦しようとするが、黒ローブは炎のバリアを張っており、炎攻撃がまるで通用しない。
その時、シエスタの邪援魔法ブレイカブルが飛んだ。
彼女の魔法で黒ローブの男のバリアが解除され、その隙にラハの炎魔法が次々と放たれる。
黒ローブの男は慌てて移動魔法で消えていく。
シエスタはラハを守らなければという想いが芽生えたおかげで、弱点を克服することが出来たという。暴走したバルバートの魔法も少しずつ抑えられ、二人はゆっくりと地上に降りてゆく。
ラハは慌てて炎魔法で応戦しようとするが、黒ローブは炎のバリアを張っており、炎攻撃がまるで通用しない。
その時、シエスタの邪援魔法ブレイカブルが飛んだ。
彼女の魔法で黒ローブの男のバリアが解除され、その隙にラハの炎魔法が次々と放たれる。
黒ローブの男は慌てて移動魔法で消えていく。
シエスタはラハを守らなければという想いが芽生えたおかげで、弱点を克服することが出来たという。暴走したバルバートの魔法も少しずつ抑えられ、二人はゆっくりと地上に降りてゆく。
午後の授業は休みだが、C級魔法生のルルゥという男の子から、近日行われる「B級魔法生試験」に向けてアドバイスが欲しいと頼まれていたシエスタ。
ルルゥの片想い中の女子がB級魔法生らしく、肩を並べたいらしい。
二人は図書委員のウィリアムに相談すると、B級模擬試験を受けさせてもらえるという。
ルルゥの片想い中の女子がB級魔法生らしく、肩を並べたいらしい。
二人は図書委員のウィリアムに相談すると、B級模擬試験を受けさせてもらえるという。
ルルゥの模擬試験はシエスタとラハにリードされ、無事終了。
別れ際、彼はシエスタに感謝を告げるとともに、好きだと告白する。
彼が片想いしていた女の子とはシエスタの事だったのだ。
別れ際、彼はシエスタに感謝を告げるとともに、好きだと告白する。
彼が片想いしていた女の子とはシエスタの事だったのだ。
彼の真摯な告白を受ける事にしたシエスタは上機嫌。
夕食の後、シエスタ自身もA級魔法生になるため試験の担当エクスリスの部屋へと向かう。
だがその途中、中庭で黒ローブの男が、一人の魔法生に「死の魔法」をかける姿を目の当たりにしてしまう。
夕食の後、シエスタ自身もA級魔法生になるため試験の担当エクスリスの部屋へと向かう。
だがその途中、中庭で黒ローブの男が、一人の魔法生に「死の魔法」をかける姿を目の当たりにしてしまう。
黒ローブは目的を終えると移動魔法で逃げる。
シエスタは倒れた魔法生の元へと駆け寄った。
倒れていたのはルルゥだった。
シエスタは悲鳴を上げ、その場に失神する。
シエスタは倒れた魔法生の元へと駆け寄った。
倒れていたのはルルゥだった。
シエスタは悲鳴を上げ、その場に失神する。
医務室に運ばれたシエスタが目を覚ますと、彼女は記憶を失っていた…。
第4章 再会
翌朝。風紀委員長のオリアネスの部屋にラハが訪れる。
シエスタが記憶を失ったという報告を聞くが、オリアネスは自分に出来る事は何も無いという。
彼女が魔法で記憶を消されたのでなければ、過去に強く思い入れのある人に出会えば記憶を取り戻せるかも知れないと助言すると、ラハは床に「変系薬」「作る」と書いてみせる。
変系薬を作ることがシエスタの記憶を取り戻すきっかけになるのかも知れない。
「私に作れというのか? 主に似て図々しい使い魔だな」
とは言え学院が休日であったため、暇を持て余したオリアネスは渋々立ち上がり、部屋を出た。
シエスタが記憶を失ったという報告を聞くが、オリアネスは自分に出来る事は何も無いという。
彼女が魔法で記憶を消されたのでなければ、過去に強く思い入れのある人に出会えば記憶を取り戻せるかも知れないと助言すると、ラハは床に「変系薬」「作る」と書いてみせる。
変系薬を作ることがシエスタの記憶を取り戻すきっかけになるのかも知れない。
「私に作れというのか? 主に似て図々しい使い魔だな」
とは言え学院が休日であったため、暇を持て余したオリアネスは渋々立ち上がり、部屋を出た。
変系薬を作るには、いくつかの材料が必要だった。
その内の一つが医務室にある事を知り、オリアネスは渋々、学院魔法医であるエクスリスに声をかける。
エクスリスは「調合次第で猛毒にもなり得る薬なので渡せない」と断る。
諦めて移動魔法で去って行くオリアネスだったが、ラハだけはその場に残った。
その時、医務室に光のルクシエメール魔法学院より、治癒魔法士のラクリスが訪ねてくる。
彼女は記憶を失ったシエスタの様子を見に来たのだ。
記憶を失ったままの彼女の様子を見て、肩を落とすラクリスに、エクスリスは高らかに笑う。
その内の一つが医務室にある事を知り、オリアネスは渋々、学院魔法医であるエクスリスに声をかける。
エクスリスは「調合次第で猛毒にもなり得る薬なので渡せない」と断る。
諦めて移動魔法で去って行くオリアネスだったが、ラハだけはその場に残った。
その時、医務室に光のルクシエメール魔法学院より、治癒魔法士のラクリスが訪ねてくる。
彼女は記憶を失ったシエスタの様子を見に来たのだ。
記憶を失ったままの彼女の様子を見て、肩を落とすラクリスに、エクスリスは高らかに笑う。
「よくも私の前に顔を出せたものね、ラクリス」
ラクリスは、エクスリスが受けた魔法医試験の面接で、自分を落とした相手だったのだ。
憎々しげに復讐を訴えかけるエクスリスに対して、ベッドの上にいたシエスタが、優しさに満ちたこの医務室を見れば分かる。エクスリスは本当は優しい人間だと指摘する。
彼女の言葉に戸惑うエクスリスに、ラクリスは優しく微笑む。
自分は面接で貴方を落とす様な事はしていない。面接で言ったエクスリスの言葉にむしろ納得させられたからだと話すラクリス。
実はあの直後、魔法医試験に受かったはずだったエクスリスが、断りの連絡を入れてきたという話があったらしい。
そんな事はしていないと驚くエクスリスに、何者かがこの学院に彼女を引き入れるために、そんな事をしたのではないかとラクリスは推測する。
エクスリスの、ラクリスに対する恨みももう完全に消え去っていた。
憎々しげに復讐を訴えかけるエクスリスに対して、ベッドの上にいたシエスタが、優しさに満ちたこの医務室を見れば分かる。エクスリスは本当は優しい人間だと指摘する。
彼女の言葉に戸惑うエクスリスに、ラクリスは優しく微笑む。
自分は面接で貴方を落とす様な事はしていない。面接で言ったエクスリスの言葉にむしろ納得させられたからだと話すラクリス。
実はあの直後、魔法医試験に受かったはずだったエクスリスが、断りの連絡を入れてきたという話があったらしい。
そんな事はしていないと驚くエクスリスに、何者かがこの学院に彼女を引き入れるために、そんな事をしたのではないかとラクリスは推測する。
エクスリスの、ラクリスに対する恨みももう完全に消え去っていた。
オリアネスの部屋を訪れたエクスリスは、調合に必要な材料を彼女に渡す。
「どうか、シエスタさんを助けてください」
「どうか、シエスタさんを助けてください」
最後は調合した薬に対して、光魔法と闇魔法を同時に、同等の威力でかけなければならないらしい。
オリアネスは闇魔法を撃てるが、同等の威力の光魔法を撃つためには、彼女と同じぐらいの力を持った講師または魔法生が必要だった。
オリアネスは闇魔法を撃てるが、同等の威力の光魔法を撃つためには、彼女と同じぐらいの力を持った講師または魔法生が必要だった。
彼女は図書委員長ウィリアムに声をかける。
魔法を使うのは構わないが、引き換えに風紀委員長の座を要求するウィリアム。
自分が風紀委員になれば今よりも楽しい魔法生活を約束すると邪悪に微笑んだ。
オリアネスは断るが、調合した薬の瓶は彼の手に握られていた。
「断るという事は、この瓶が砕けるという事です」
調合材料はもう無い。薬を取り寄せても一ヶ月はかかり、シエスタの留学生活は終わってしまっている。
ウィリアムが瓶を落とす直前に、オリアネスは時間停止の魔法を詠唱し、瓶の破壊は免れた。
魔法を使うのは構わないが、引き換えに風紀委員長の座を要求するウィリアム。
自分が風紀委員になれば今よりも楽しい魔法生活を約束すると邪悪に微笑んだ。
オリアネスは断るが、調合した薬の瓶は彼の手に握られていた。
「断るという事は、この瓶が砕けるという事です」
調合材料はもう無い。薬を取り寄せても一ヶ月はかかり、シエスタの留学生活は終わってしまっている。
ウィリアムが瓶を落とす直前に、オリアネスは時間停止の魔法を詠唱し、瓶の破壊は免れた。
負けを認めたウィリアムは、変系薬の完成に協力。
ラハは、シエスタの居る医務室に駆け付けると、完成した変系薬を飲み干した。
ラハは、シエスタの居る医務室に駆け付けると、完成した変系薬を飲み干した。
「ラハ……君……?」
シエスタが、人間の姿になったラハの顔を見て呆然とする。
「また会えたね」
一年三ヶ月前に見たラハの顔、聞いたラハの声。
そのおかげでシエスタの記憶は、完全に戻った様だった。
シエスタが、人間の姿になったラハの顔を見て呆然とする。
「また会えたね」
一年三ヶ月前に見たラハの顔、聞いたラハの声。
そのおかげでシエスタの記憶は、完全に戻った様だった。
ルクシエメール魔法学院に転入した時も、変系薬を使ってネズミから人間の姿になっていた事を打ち明けるラハ。
そしてネズミの姿であったおかげで、死の魔法に対抗出来る方法を見つけたという。
そしてネズミの姿であったおかげで、死の魔法に対抗出来る方法を見つけたという。
それはかつて図書館で見た、赤いヘイトヘクスの杖の話。
治癒の魔法が攻撃の魔法に変わる「逆転魔法の杖」と呼ばれているが、それを、シエスタがバルバートの暴走で空に舞い上がった時、現れた黒ローブが手に持っていたというのだ。
おそらく死の魔法に失敗した時のために持っていたものだと推測していたラハ。
だとすると。
「そのヘイトヘクスの杖で死の魔法を詠唱すれば、生き返りの魔法に変わる!?」
治癒の魔法が攻撃の魔法に変わる「逆転魔法の杖」と呼ばれているが、それを、シエスタがバルバートの暴走で空に舞い上がった時、現れた黒ローブが手に持っていたというのだ。
おそらく死の魔法に失敗した時のために持っていたものだと推測していたラハ。
だとすると。
「そのヘイトヘクスの杖で死の魔法を詠唱すれば、生き返りの魔法に変わる!?」
期待で歓喜するシエスタ。その一方で黒ローブの男は、新たな凶行に走ろうとしていた。
第五章 A級魔法生試験
A級魔法生試験が間近に迫った日、今度はジャッラの使い魔であるノルマンが死の魔法で殺害される。
「もう隠してはおけない、すべて魔法教会に話すべきだ」と言うエクスリスに対し、静かに否定する学院長エレン。
副院長のザックバーンやクィンスキーらも院長の意向に従う様だった。
それを見たジャッラが怒りで声を荒げるが、
「気持ちは分かるが、騒ぎを大きくしてこれから試験を受ける魔法生達を不安にさせたくない」
というザックバーンの言葉で、言葉に詰まってしまう。
エクスリスも渋々、院長の意向に従う他なかった。
「もう隠してはおけない、すべて魔法教会に話すべきだ」と言うエクスリスに対し、静かに否定する学院長エレン。
副院長のザックバーンやクィンスキーらも院長の意向に従う様だった。
それを見たジャッラが怒りで声を荒げるが、
「気持ちは分かるが、騒ぎを大きくしてこれから試験を受ける魔法生達を不安にさせたくない」
というザックバーンの言葉で、言葉に詰まってしまう。
エクスリスも渋々、院長の意向に従う他なかった。
A級試験は三人一組で、計二組がチームとなって塔を攻略し、最上階にあるクリスタルに一番最初に触れた者が合格という事だった。
同時に触れた場合は同着合格。同じチームの者でも先に触れてしまえば一人でA級称号を勝ち取る事も可能というルールだ。
同時に触れた場合は同着合格。同じチームの者でも先に触れてしまえば一人でA級称号を勝ち取る事も可能というルールだ。
シエスタ、ラハ、ヴィッツが組となり、塔を進んでゆく。
数々の魔物を撃破し、最上階に辿り着いた時、対抗するユキノ達の組も同じタイミングで最上階に辿り着いていた。
六人でクリスタルに触れようという提案をユキノは断り、戦闘での勝負を挑む。
数々の魔物を撃破し、最上階に辿り着いた時、対抗するユキノ達の組も同じタイミングで最上階に辿り着いていた。
六人でクリスタルに触れようという提案をユキノは断り、戦闘での勝負を挑む。
長い戦いの末、勝利したのは、シエスタの組だった。
ユキノは自分達を倒したシエスタにおめでとうと声をかける。
一緒に合格したかったと呟くシエスタに、
「でも、私達三人までA級になってしまったら、ステファンが寂しがるから」
と微笑むユキノ。「また購買でね」
ユキノは自分達を倒したシエスタにおめでとうと声をかける。
一緒に合格したかったと呟くシエスタに、
「でも、私達三人までA級になってしまったら、ステファンが寂しがるから」
と微笑むユキノ。「また購買でね」
A級称号を手に入れたシエスタ、ラハ、ヴィッツの三人。
そしてエクスリスの誘いで、シエスタは死の魔法を解決するまで、エクレール魔法学院に残る事を決心するのだった。
そしてエクスリスの誘いで、シエスタは死の魔法を解決するまで、エクレール魔法学院に残る事を決心するのだった。
最終章 理の魔法学院
シエスタが学院に来る前日、オリアネスの想い人であるB級魔法生ジルも死の魔法で殺害されていた。
早朝、オリアネスの部屋を訪ねたシエスタは、死の魔法を解く手掛かりを見つけたことを話し、お互い大切な人を救うために協力し合おうと願う。
学院の中に死の魔法を使う黒ローブの人間がいる。二人は、動いている事をその者に悟られない様、秘かに行動を開始した。
早朝、オリアネスの部屋を訪ねたシエスタは、死の魔法を解く手掛かりを見つけたことを話し、お互い大切な人を救うために協力し合おうと願う。
学院の中に死の魔法を使う黒ローブの人間がいる。二人は、動いている事をその者に悟られない様、秘かに行動を開始した。
その日の授業が終わり、医務室にいるエクスリスに話を聞きに行くシエスタとヴィッツ。
そこで、死の魔法とは治癒魔法の一種であることを聞く。
つまり自在に扱えるのは治癒魔法士のため、戦闘魔法のクィンスキーらには扱えないという事だ。
死の魔法の使用条件にはもう一つあり、使えるのは一日に一度だけ。誰かに使ってしまうと、その日はもう使えなくなるという事だ。
そこで、死の魔法とは治癒魔法の一種であることを聞く。
つまり自在に扱えるのは治癒魔法士のため、戦闘魔法のクィンスキーらには扱えないという事だ。
死の魔法の使用条件にはもう一つあり、使えるのは一日に一度だけ。誰かに使ってしまうと、その日はもう使えなくなるという事だ。
その時、オリアネスがラハと共に医務室にやって来る。
誰が死の魔法を使ったのか、そして何故魔法生が狙われているのかが全て分かったらしい。
彼女は真実を話し始める。
誰が死の魔法を使ったのか、そして何故魔法生が狙われているのかが全て分かったらしい。
彼女は真実を話し始める。
喋れぬ病にかかっていたエレン院長の正体は、何者かの「使い魔」だった。
ラハの様に心の中でしか会話出来ない使い魔であったため、喋れぬ病という事にして人間のフリをしていたのだ。
ラハの様に心の中でしか会話出来ない使い魔であったため、喋れぬ病という事にして人間のフリをしていたのだ。
理のエクレール魔法学院に所属する講師・魔法生たちには全員にある共通点があり、彼らはその「理」に沿って殺人を実行していたという。それは名前の頭文字。現在エクレール学院に居る者たちはすべてA〜Zまでのイニシャルが揃っていたのだ。
Jで始まるジルは、同じJで始まる講師ジャッラが学院に来る事になったため、重複を防ぐべく殺された。
Sで始まるシエスタが列車で狙われた理由は、学院に居るステファンと重複するため。
だが殺害に失敗したので、ステファンの方に狙いを変えた。
ルルゥが殺害されたのは、ラハの名前が彼と同じRから始まるため。殺害された妖精のバーバラや、ジャッラの使い魔のノルマンもこの状況に一致していた。
Sで始まるシエスタが列車で狙われた理由は、学院に居るステファンと重複するため。
だが殺害に失敗したので、ステファンの方に狙いを変えた。
ルルゥが殺害されたのは、ラハの名前が彼と同じRから始まるため。殺害された妖精のバーバラや、ジャッラの使い魔のノルマンもこの状況に一致していた。
黒ローブの男にその日の死の魔法を使わせたうえで、正体を暴くための罠を張るというオリアネス。
それはTから始まる魔法生が転入してくると嘘をつき、シエスタに留学試験を行った時に召喚したティアマトを目立つ場所に立たせておくことだった。
狙い通りの行動をとる黒ローブの男を、シエスタ、ラハ、ヴィッツ、オリアネス、エクスリスの5人が取り囲む。
それはTから始まる魔法生が転入してくると嘘をつき、シエスタに留学試験を行った時に召喚したティアマトを目立つ場所に立たせておくことだった。
狙い通りの行動をとる黒ローブの男を、シエスタ、ラハ、ヴィッツ、オリアネス、エクスリスの5人が取り囲む。
現れた黒ローブの男は、エクレール学院の副院長ザックバーンだった。
追い詰められたザックバーンは、移動魔法でどこかへと転移していく。
そこは時の止まった空間、バルディリウスの牢獄という場所だった。
これまで死の魔法をかけられた人々もその場所で安置されているという。
そこは時の止まった空間、バルディリウスの牢獄という場所だった。
これまで死の魔法をかけられた人々もその場所で安置されているという。
5人はエクスリスの魔法で牢獄に転移。
最奥の部屋には、これまで死の魔法を受けた者達が倒れており、その前にザックバーンと、その使い魔のエレンが立っていた。
最奥の部屋には、これまで死の魔法を受けた者達が倒れており、その前にザックバーンと、その使い魔のエレンが立っていた。
最後の戦いが始まる……。
エピローグ
死の事件が解決してから半年が経過。
学院はエクスリスが院長、オリアネスが副院長となっていた。
死の魔法を受けた人々も元の生活に戻り、それぞれ平穏な日常を送っている。
そして事件解決に貢献し、弱点を克服してみせたシエスタには、ルクシエ院長からS級魔法士の称号授与を検討されていた。
学院はエクスリスが院長、オリアネスが副院長となっていた。
死の魔法を受けた人々も元の生活に戻り、それぞれ平穏な日常を送っている。
そして事件解決に貢献し、弱点を克服してみせたシエスタには、ルクシエ院長からS級魔法士の称号授与を検討されていた。
一方、魔法教会の廊下。
その事を何者かに伝えようとしているのはレーシィという女だった。
ザックバーンが闇の魔法士アークギルドが遺した逆転魔法の杖「ヘイトヘクスの杖」を隠し持っている事は調べがついていたらしい。それらは闇の魔法士の遺産と呼ばれており、そのすべてを見つけることが彼女の目的の様だった。
その事を何者かに伝えようとしているのはレーシィという女だった。
ザックバーンが闇の魔法士アークギルドが遺した逆転魔法の杖「ヘイトヘクスの杖」を隠し持っている事は調べがついていたらしい。それらは闇の魔法士の遺産と呼ばれており、そのすべてを見つけることが彼女の目的の様だった。
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