ある画家に描かれた油絵。山野を描いた風景画に見えるが、絵具の下には右園死児の文字が何百と記し重ねられていた。
誰も居ないのに足音が聞こえる事や、この油絵が毎回持ち出され捨てられるという怪現象が発生。
政府に通報された際に、その画家は油絵を胃の中に隠蔽しようとして死亡。
特定のナンバーを入れると右園死児という題名の曲が流れることが判明、なお作曲者も歌手も不明。
極めて不快な曲調であり流された回数は少なかったが、設置店舗での事故や事件の原因になったと考えられる。
全ての回収作業が行われたが、分解検証において内壁には、経年劣化以外の原因による腐食や汚損が無数に確認された。
後述の右園死児関連情報開示法案の事例から推測し、田山幸三という大学教授が書いた論文。
他の文字列と結び付いた場合にはその災害誘引能力が消滅あるいは極度に軽減される、という要旨で書かれている。
右園死児を恐れるあまり、その文字列が含まれるものすべてを禁忌扱いし過度に対策していると田山幸三は主張していた。
田山幸三は無惨に死んだ。この調査報告体系は安全である。
新彗星を発見した会社員が星に右園死児と名づけた。
会社員は思想洗浄を受けたが、事情を知らない国際天文学連合が命名を承認。
海外ニュースに右園死児の名が踊る最悪の事態に発展。
命名された52時間後に彗星が観測不能になり、その実害が確認できなかったために政府は海外の説得が出来なくなる。
右園死児彗星の名は永久に天文学の歴史に残った。
命名者の会社員、彗星名を直接口に出して伝えた海外メディア関係者は、現時点で全員死亡。
見掛けは800㎏の巨大な脳髄。前述の教祖が右園死児した際に自然発生。教祖の証言によりこの名称が指定される。
構成組織は人体のそれと同一だが、細胞崩壊も腐敗もせず自然保存されている。
教祖が1m以内に接近すると僅かに発光する。
35回目の実験において教祖が破裂し、全ての血液が瞬間的に蒸発。以後のこの脳髄と実験室は最重要汚染体に指定、本案件に関わる調査は全て禁止。
民家から発見された刀剣。鑑定書には雲次の銘が記されていたが、茎には右園死児の銘が刻まれていた。
驚異度を測定するため、ブラインドマン部隊が実験室での素振りや試し切りをを要請。
最初の一人は六度の素振りを実行した時には血圧が消滅。藁斬りを行うと切断した藁から白煙が上がり、九秒後に発火した。
実験結果報告に興味を持った監督官の山口悠太郎は、更に126回の実験を続けその結果、
刀剣には別個体の右園死児を効果的に破壊する機能があるとし、刀剣を使用するための専用のブラインドマンの製作を計画した。
しかし、実験計画に私的好奇心が多分に含まれると非難が集まり、またブラインドマン部隊を三チーム以上機能不全にした責任を問われ、
山口悠太郎は解任され、刀剣は封印。研究は凍結されている。
廃棄された地下路線の廃棄車両の中で発見された白骨化した遺体。
低俗な記事を書く取材班が、戦前に封鎖された都市下水路に侵入して、道に迷った末に遭遇。
廃棄車両の中で目視した際に、錯乱した一名が遺体を損壊すると、損壊した部位と同じ。胸部前面が消滅し即死。
車両から脱出した取材班が線路を逆走すると、数分後に胸部の無い遺体と遭遇。地面に座すそれをやり過ごすと、さらに数分後同じ現象が起きた。
不注意から遺体を踏み付けた一名が、右足首から先を喪失。失血死した。
発見後に収容。遺体は生きた人間に損壊された場合にのみダメージを記憶し、それ以外の事由による損壊は再出現時に修復されると判明。
遺体の謎の移動原理は、姿を目視されたり、録画されている限り動作しないことも判明した。
素性は不明だが、右園死児的現象をきたすことから整理される。
空港内に自然発生した全長6m程の白骨化した遺体。
オブジェと勘違いした一般人が足指部を損壊すると、対応部位ではなく、全身が瞬時に破裂した。
軍部が出動し空港は閉鎖され、同空間に居た約4000人の一般人は精密検査を受ける事となった。
遺体はその大きさゆえに損壊事故発生の確率は低いが、反動効果が巨大であるため最重要汚染体に認定し収容された。
前述の売春婦が面通しを希望し、証言により、人骨は火麻谷一郎の長男と判明。更なる聞き取りを行っても有意義な情報は得られなかった。
前述の明石松吉が書いた手記。平安時代の姫の民話として話が進むが後半は極度に錯乱した文章が続いている。
ブラインドマン部隊に持たせたところ、血圧その他身体反応にごく軽微な変調が見られたため、右園死児案件として整理される。
前述の明石松吉の書いた手記の話を伺うために、大西真由美が名誉教授の大門昭久との会話を残した磁気テープ。
最初は普通の質疑応答だが、会話が進むたびに、雑音が混じり、何かの笑い声が入り、関係の無い会話が挿入されている。
報告体系には文字に書き起こした文書版を掲載している。
音声データは再生するたびに内容が変動するため、本文書の正確性は保証されない。
大西真由美はすでに死亡した人物と対話している。
サイバー犯罪対策課により、インターネットで無料配布されているソフトがプログラム内部で右園死児と名称指定されていたことが判明
ソフトの開発者を緊急逮捕し、高速思想洗浄を行いプログラムの名称を変更するアップデートファイルを配信させた。
全てのソフトプログラムを修正する事は現実的に不可能であり、本案件の完全対策は断念せざるを得ない。
電子プログラムに右園死児的現象が起こるとして、それがどのようなものかは前例が無いため想定不可能である。
国会において複数の野党議員により右園死児関連情報開示法案が提出。
害の及ぶ範囲が不明である故に、議長判断で議事堂が封鎖されて軍が処理を担当。
その日の出来事は全て封印され記録からも抹消。
関西の都市で、年間火災発生数、焼死人数の数値が異常である事を怪しんだ消防庁の調査により、発覚。
戦後の混乱期に発生した山火事が、右園死児火災として登録処理されていた。
登録名の修正により全国平均値に安定、国家破壊工作と見て改竄犯は捜索されている。
アジア・欧州の三国家が右園死児(UZONOSINICO)と題した文書を共同提出。
文書の内容は二酸化炭素排出削減の国際的協調を推進提議するものであり、
右園死児の概念を公式に認証していない国際社会は、日本の自衛行為を非難糾弾する側に回る危険があるため、慎重な協議を行う必要となった。
日本政府は批准することを徹底して拒否し続けると、日本に圧力をかけていた国際勢力が、その圧力を文書を提出した三国家に向け始めた。
最終的には国際社会は右園死児の最先端情報と技術が我が国の保有するところであると認識。
議定書と文書は抹消され、三国家には制裁が下された。
人的犠牲を伴わせないために兵器研究機構が開発した、右園死児に戦力対抗するAI兵器。
高性能の画像識別システムと司令部からの敵認識条件データの配信により自動戦闘を行う超小型戦車。
右園死児の識別データを試験配信して実験を行おうとしたところ異常が発生した。
自己判断により周囲の研究員に、装填されたゴム弾を連射。砲身で研究員の眼孔部、耳孔部、口腔内を突いて重傷を負わせる。
更に試験場から脱走、緊急停止コードもあらゆる遠隔指示も無視した末に、ブラインドマン部隊に包囲され破壊される。
物体は人間よりもたやすく右園死児化すると軍上層部は判断、ラインドクーガー計画は廃棄された。
右園死児案件を解決した事の感想。神谷修二への賞賛、疑念、心配。別件の調査を行う旨などが書かれた手記。
ページが自然発火した事によりこれ以外の手記は消失、汚染体指定となる。