激突!仮面ライダーゼクロスVSテッカマンエビル(後編) ◆40jGqg6Boc
「くっ……やはり、ボルテッカにも制限が掛っているようだな……」
地に降り立ったエビルが少し、苦しそうな様子を浮かべながら、呟く。
この殺し合いに呼ばれた異能者達の中でも、恐らく上位に位置するテッカマン。
主催者側が何らかの制限を加えている事は予想出来ていた。
その事は、既に螺旋王が開催した殺し合いでも経験している。
故にエビルは自分に掛けられた制限を確かめるためにも、PSYボルテッカを撃った。
Dボゥイことテッカマンブレードとの決着の前には、是非とも自分の今の力を知っておきたかったから。
結果は案の定、あまり良いものとは言えない。
威力の低下は勿論の事だが、何より湧き上がる疲労感、空腹感が酷い。
これは必要以上には使わない方が良いだろう。
この殺し合いに呼ばれた異能者達の中でも、恐らく上位に位置するテッカマン。
主催者側が何らかの制限を加えている事は予想出来ていた。
その事は、既に螺旋王が開催した殺し合いでも経験している。
故にエビルは自分に掛けられた制限を確かめるためにも、PSYボルテッカを撃った。
Dボゥイことテッカマンブレードとの決着の前には、是非とも自分の今の力を知っておきたかったから。
結果は案の定、あまり良いものとは言えない。
威力の低下は勿論の事だが、何より湧き上がる疲労感、空腹感が酷い。
これは必要以上には使わない方が良いだろう。
そしてエビルは視線を動かす。
普通のボルテッカとは違い、威力の調節が行えるPSYボルテッカですらもかなりの疲労がある。
だが、それでもボルテッカである事に変わりはない。
エビルの眼の前には、瞬く間に形成された、中規模程度のクレーターが広がっている。
ZXの姿は其処にない。
きっとボルテッカの餌食になったのだろう。
手こずりはしたが、やはり自分達テッカマンに敵う存在など居ない。
倒せたのならば、もう此処には用はない。
荷物を手に取り、エビルはこの場を後にするために、テックセットを解除しようとする。
普通のボルテッカとは違い、威力の調節が行えるPSYボルテッカですらもかなりの疲労がある。
だが、それでもボルテッカである事に変わりはない。
エビルの眼の前には、瞬く間に形成された、中規模程度のクレーターが広がっている。
ZXの姿は其処にない。
きっとボルテッカの餌食になったのだろう。
手こずりはしたが、やはり自分達テッカマンに敵う存在など居ない。
倒せたのならば、もう此処には用はない。
荷物を手に取り、エビルはこの場を後にするために、テックセットを解除しようとする。
「……何処へ行く、テッカマンエビルッ! 俺は……俺は未だ負けていないッ!!」
そんな時、エビルの歩みを阻む声が周囲に響く。
生きていたか――軽く舌うちをし、エビルは急いで振り返るがやはり誰も居ない。
左右へ、そしてふいにある方向へ視線を伸ばした先に映るものは、未だ顕在なZXの姿。
両脚からは赤い火花を散らし、先程のエビルのようにZXは宙へ浮いていた。
咄嗟に空へ跳躍することで難を逃れていたのだろう。
だが、全くの無傷でもない。
所々に、PSYボルテッカの余波により生じた、生々しい傷跡が目につく。
しかし、ZXは最早己の負傷など眼中にないかのように、動きを見せる。
対してエビルも過敏に対応してみせる。
生きていたか――軽く舌うちをし、エビルは急いで振り返るがやはり誰も居ない。
左右へ、そしてふいにある方向へ視線を伸ばした先に映るものは、未だ顕在なZXの姿。
両脚からは赤い火花を散らし、先程のエビルのようにZXは宙へ浮いていた。
咄嗟に空へ跳躍することで難を逃れていたのだろう。
だが、全くの無傷でもない。
所々に、PSYボルテッカの余波により生じた、生々しい傷跡が目につく。
しかし、ZXは最早己の負傷など眼中にないかのように、動きを見せる。
対してエビルも過敏に対応してみせる。
「死に損ないが……さっさと死ねッ!!」
勢いを乗せるための、助走に必要な距離はない。
PSYボルテッカも、時間的にも体力的にも今すぐには撃てそうにない。
テックランサーも手放しているため、それによる投擲も有効ではなさそうだ。
よって、エビルは選択する。
こちらからZXを迎え撃つために、一種の突撃手段であるクラッシュイントルードの構えを取った。
エネルギー粒子を纏い、対象に向かって体当たりを仕掛ける技の、溜めの動作を取る。
一方、エビルに対してZXは――先程、変身を行った時のように両腕を右斜め上へ突き出す。
PSYボルテッカも、時間的にも体力的にも今すぐには撃てそうにない。
テックランサーも手放しているため、それによる投擲も有効ではなさそうだ。
よって、エビルは選択する。
こちらからZXを迎え撃つために、一種の突撃手段であるクラッシュイントルードの構えを取った。
エネルギー粒子を纏い、対象に向かって体当たりを仕掛ける技の、溜めの動作を取る。
一方、エビルに対してZXは――先程、変身を行った時のように両腕を右斜め上へ突き出す。
「ゼクロス――――!!」
ZXが己の名前を叫ぶ。
同時にZXの身体が真紅の色に染まってゆく。
赤い、暖かさすらも覚えるような真赤の体躯で、ZXは宙を駆ける。。
交差させた両手を左右斜め上へ開き、エビルに向かって、ZXは弾丸のように身を飛ばす。
慣れ親しんだ、数多くの相手を破った、自分と同じように磨かれていった技。
言わば己の片割れとも言える程の、自慢の技だ。
右脚を勢いよく、貫くように前方へ伸ばす。
しかし、エビルの方が一手早い。
同時にZXの身体が真紅の色に染まってゆく。
赤い、暖かさすらも覚えるような真赤の体躯で、ZXは宙を駆ける。。
交差させた両手を左右斜め上へ開き、エビルに向かって、ZXは弾丸のように身を飛ばす。
慣れ親しんだ、数多くの相手を破った、自分と同じように磨かれていった技。
言わば己の片割れとも言える程の、自慢の技だ。
右脚を勢いよく、貫くように前方へ伸ばす。
しかし、エビルの方が一手早い。
「クラッシュイントルゥゥゥドオオオオオオオオーーー!!」
ZXに劣らない程の気迫と光を纏い、咆哮を上げるエビル。
クラッシュイントルードが巻き起こす閃光に、ZXは真正面から立ち向かう。
伸ばしきった右脚に全力の力を込めて、落下の勢いを利用して一本の軌跡を描く。
それは倒すべき敵、エビルに対しての一撃を生みだすための動作。
必殺の蹴りに己の全てを叩き込む。
そう、仲間達から受け継いだ魂を燃やして――ZXは叫ぶ。
クラッシュイントルードが巻き起こす閃光に、ZXは真正面から立ち向かう。
伸ばしきった右脚に全力の力を込めて、落下の勢いを利用して一本の軌跡を描く。
それは倒すべき敵、エビルに対しての一撃を生みだすための動作。
必殺の蹴りに己の全てを叩き込む。
そう、仲間達から受け継いだ魂を燃やして――ZXは叫ぶ。
「キイイイイイイイイイイイイイイックーーー!!」
ZXキック――ZXの渾身の跳び蹴りがエビルと激突する。
咄嗟に両腕を前方に翳し、ZXキックを受け止める形でエビルとZXの力が拮抗する。
次々と生まれでていくものは膨大な火花と、互いが発する唸り声、そして耳を劈くような摩擦音。
負けるわけにいかない――取り巻く環境は違えども、二人が抱える思いは根本的には同じものだ。
その想いの強さも互いに負けてはいない。
天秤では測り切れない二人の意思が互いの意味を賭けて、喰い潰すようにぶつかり合う。
そして終わりが見えないと思われた激突に、転機が唐突に訪れ出した。
咄嗟に両腕を前方に翳し、ZXキックを受け止める形でエビルとZXの力が拮抗する。
次々と生まれでていくものは膨大な火花と、互いが発する唸り声、そして耳を劈くような摩擦音。
負けるわけにいかない――取り巻く環境は違えども、二人が抱える思いは根本的には同じものだ。
その想いの強さも互いに負けてはいない。
天秤では測り切れない二人の意思が互いの意味を賭けて、喰い潰すようにぶつかり合う。
そして終わりが見えないと思われた激突に、転機が唐突に訪れ出した。
「本当に、良くやってくれる……だが、俺には及ばないッ!」
エビルのクラッシュイントルードの光が、更なる閃光を放つ。
同時に、徐々にエビルがZXを上方へ押し上げていくのが確かに見て取れる。
PSYボルテッカ一発分の疲労といえども、テッカマンの体力は常人の比ではない。
まだまだ余力は残っており、エビルはクラッシュイントルードに己の力を注ぎ込む。
両腕に響く、ZXキックの衝撃を力任せに押し返す。
手ごたえは十分過ぎる程に、己の感覚に伝わる。
最早、勝利は目前――しかし、エビルははっきりと視覚する。
同時に、徐々にエビルがZXを上方へ押し上げていくのが確かに見て取れる。
PSYボルテッカ一発分の疲労といえども、テッカマンの体力は常人の比ではない。
まだまだ余力は残っており、エビルはクラッシュイントルードに己の力を注ぎ込む。
両腕に響く、ZXキックの衝撃を力任せに押し返す。
手ごたえは十分過ぎる程に、己の感覚に伝わる。
最早、勝利は目前――しかし、エビルははっきりと視覚する。
「まだだ、まだだ、まだだ…………こんなものじゃない! 俺が背負ったものはあああああああ――こんなところで、放り出せない!
放り出せるわけがないッ!!」
放り出せるわけがないッ!!」
エビルの視界に映ったものはZXが被る赤い仮面。
碧色の複眼からは何か大きな意思を感じさせる。
諦めなど微塵にも感じない、まるで岩のように固く打ち立てられた決意。
――最期の足掻きか。
エビルは仮面の下でそんな考えを抱くが、思わず眼を見開く。
今も自分の両腕に突き刺さるように存在しているZXの右脚。
それが起こした変化に――只、驚きを見せながら。
碧色の複眼からは何か大きな意思を感じさせる。
諦めなど微塵にも感じない、まるで岩のように固く打ち立てられた決意。
――最期の足掻きか。
エビルは仮面の下でそんな考えを抱くが、思わず眼を見開く。
今も自分の両腕に突き刺さるように存在しているZXの右脚。
それが起こした変化に――只、驚きを見せながら。
「光れ! ヤツよりも強く! そして貫け! ヤツよりも速く――貫け、俺のゼクロスキックよおおおおおおおおおおおッ!!」
光る。
ZXの右足が光る。
真紅の輝きがより強く光る。
ZXの言葉に対し、更なる閃光を以って光る。
一時的に、大首領の力とシンクロする事で得た力が光る。
そして全てが逆転する。
今までエビルがZXの身体を押し上げていた状況が。
更に輝きを増した、ZXキックにより再び均衡状態に戻され――否。
逆にエビルの方が押し戻され始めた。
ZXの右足が光る。
真紅の輝きがより強く光る。
ZXの言葉に対し、更なる閃光を以って光る。
一時的に、大首領の力とシンクロする事で得た力が光る。
そして全てが逆転する。
今までエビルがZXの身体を押し上げていた状況が。
更に輝きを増した、ZXキックにより再び均衡状態に戻され――否。
逆にエビルの方が押し戻され始めた。
「くっ! ゼクロオオオオオオス! キサマアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
ZXキックの勢いにより、エビルの身体にぶつかる風の揺れはまるで暴風のそれにも等しい。
下を見ずとも真っ直ぐ、下へ落ちていっている事がわかる。
このままでは自分を待つものは、何処までも広がる赤黒い大地。
幾らテッカマンといえども、この衝撃で激突すれば只では済まない。
エビルが抱くものは我慢出来ない怒りのみ。
ZXキックから抜け出そうにも、両腕に走る衝撃が邪魔をしてくる。
あまりにも腹立たしい。
思わず叫んだエビルにZXが応える。
下を見ずとも真っ直ぐ、下へ落ちていっている事がわかる。
このままでは自分を待つものは、何処までも広がる赤黒い大地。
幾らテッカマンといえども、この衝撃で激突すれば只では済まない。
エビルが抱くものは我慢出来ない怒りのみ。
ZXキックから抜け出そうにも、両腕に走る衝撃が邪魔をしてくる。
あまりにも腹立たしい。
思わず叫んだエビルにZXが応える。
「そうだ、俺はゼクロス……だが、覚えておけ! 俺は、俺は――!」
嫌に鼓動が落ち着く。
ZXは不思議と安らぎのような感情を覚える。
漸くエビルを倒せる事に対してだろうか。
きっとそれもあるだろう。
だが、それよりももう一度胸を張れると思ったから。
もう一度、この誇り高き名をその口で叫べる。
そう考えると、言いようのない嬉しさが広がった。
昔の自分ではない、今の自分を示すその名前をZXは叫ぶ。
ZXは不思議と安らぎのような感情を覚える。
漸くエビルを倒せる事に対してだろうか。
きっとそれもあるだろう。
だが、それよりももう一度胸を張れると思ったから。
もう一度、この誇り高き名をその口で叫べる。
そう考えると、言いようのない嬉しさが広がった。
昔の自分ではない、今の自分を示すその名前をZXは叫ぶ。
「俺は仮面ライダーゼクロス!! 仮面ライダーという名を刻みつけろ、永遠にッ!!」
最早、ZXを阻むものはない。
更に勢いを増した速度で、エビルを追い詰める。
一方のエビルは全くの無言。
既に言葉を返す気力もないのか。
いや、そうではない。
ほんの数秒でしかない時間を経て、エビルの身体が動く。
更に勢いを増した速度で、エビルを追い詰める。
一方のエビルは全くの無言。
既に言葉を返す気力もないのか。
いや、そうではない。
ほんの数秒でしかない時間を経て、エビルの身体が動く。
「……そうか、だったら俺は……俺はあああああああああああああああああああ!!」
エビルが両腕を押し上げる。
ZXキックが生み出す衝撃によって起きた、強大な圧力。
それすらもまるで気に留めないかのように、エビルは強引に腕を進める。
思わずZXは驚いたような様子を見せるが、エビルは止まらない。
未だこれ程までにも力が残っているのか。
ZXは一つの疑問を感じたが、それを口に出す事はなかった。
何故なら、一刻も早く対処しなければならない出来事がZXを襲ったのだから。
何処か嬉しそうな笑みを見せながら、言葉を吐き捨てたエビルによって、起こされた事が。
ZXキックが生み出す衝撃によって起きた、強大な圧力。
それすらもまるで気に留めないかのように、エビルは強引に腕を進める。
思わずZXは驚いたような様子を見せるが、エビルは止まらない。
未だこれ程までにも力が残っているのか。
ZXは一つの疑問を感じたが、それを口に出す事はなかった。
何故なら、一刻も早く対処しなければならない出来事がZXを襲ったのだから。
何処か嬉しそうな笑みを見せながら、言葉を吐き捨てたエビルによって、起こされた事が。
「俺はエビル、テッカマンエビルだ!! 忘れるな――あの世とやらに逝った後も、ずっとなあああああああああッ!!」
ZXにとっての“仮面ライダー”という名前が特別な意味を持つように、エビルにも特別な意味がある。
テッカマン――たとえ、ラダムによる洗脳を受けたとしても、自分にチャンスを与えてくれた存在。
自分が越えなければらない存在である、兄との戦いを実現させてくれる。
この機会は絶対に失いたくない。
優しすぎる兄が、自分と本気で戦ってくれるにはこの方法しかない。
故にエビルは、いやシンヤにとってはあまりにも大きな意味を持つ。
テッカマンエビルに変身できる事が今のシンヤにはこの上なく重要な事であり、それが全てだ。
兄、タカヤとの戦いで初めて、シンヤの存在は証明される。
その想いがZXの、村雨の誓いにみすみすと負ける道理もない。
テッカマン――たとえ、ラダムによる洗脳を受けたとしても、自分にチャンスを与えてくれた存在。
自分が越えなければらない存在である、兄との戦いを実現させてくれる。
この機会は絶対に失いたくない。
優しすぎる兄が、自分と本気で戦ってくれるにはこの方法しかない。
故にエビルは、いやシンヤにとってはあまりにも大きな意味を持つ。
テッカマンエビルに変身できる事が今のシンヤにはこの上なく重要な事であり、それが全てだ。
兄、タカヤとの戦いで初めて、シンヤの存在は証明される。
その想いがZXの、村雨の誓いにみすみすと負ける道理もない。
そしてエビルは完全にZXキックを打ち払う。
更に咄嗟に飛びあがったエビルは、ZXの身体を己の身体と絡め、きっちりと固定し――
宙返りの要領で、ZXの身体ごと真っ逆さまに落下する。
更に咄嗟に飛びあがったエビルは、ZXの身体を己の身体と絡め、きっちりと固定し――
宙返りの要領で、ZXの身体ごと真っ逆さまに落下する。
「ッ! 放せ!!」
「さらばだ、ゼクロス――いや、仮面ライダーゼクロスッ!!」
「さらばだ、ゼクロス――いや、仮面ライダーゼクロスッ!!」
ZXの頭部を地面に激突させ、自分は直前で離脱する気なのだろう。
エビルは備えられたバーニアを吹かせ、勢いを増していく。
一方、がむしゃらに抵抗するはZX。
軌道をずらすことぐらいは出来るが、このままでは視界が土色に染まるのは時間の問題だろう。
そう、一秒でも早くエビルの拘束から抜け出ないとならない。
身体を震わせ、ありったけの力でZXは足掻きとも取れる抵抗を行う。
だが、時間は非常にも過ぎてゆき――
エビルは備えられたバーニアを吹かせ、勢いを増していく。
一方、がむしゃらに抵抗するはZX。
軌道をずらすことぐらいは出来るが、このままでは視界が土色に染まるのは時間の問題だろう。
そう、一秒でも早くエビルの拘束から抜け出ないとならない。
身体を震わせ、ありったけの力でZXは足掻きとも取れる抵抗を行う。
だが、時間は非常にも過ぎてゆき――
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
ZXの身体が勢いよく激突した。
◇ ◇ ◇
「……逃がしたか」
エビルへのテックセットを解除したシンヤが一人呟く。
先程、仕留めた矢先に再び赤く発光し、自分を振り払い、湖に飛び込んだZX。
つくづくZXの生命力には驚かされる。
更に此方も相当の疲労と傷を被い、特に両腕には痛みが残っている。
テッカマンの自己治癒力を以ってしても、暫くの休憩は必要かもしれない。
まさか開始早々から、こんな痛手を負うとは思ってもみなかったが、シンヤの表情にはそれほど悔しさはなかった。
今回は運よく初めからテッククリスタルが支給されていたのだから。
自分の物はなく、兄の物だがテックセットが行えるなら問題はない。
そしてエビルはこれからの方針を考える。
勿論、兄との戦いは最優先、次にラッド・ルッソの殺害。
それと兄の分のテッククリスタルの入手も必要だ。
ZXとは再び出会ったら今度こそ必ず倒す。
テッカマン素体としての存在である人間を、この状況で捕獲するのは面倒でしかない。
よって無力な、どうでもいい参加者は殺し尽くすに限るだろう。
そこまで考え、やがてシンヤはふと閃いたように表情を歪ませる。
妖しげな笑みを造り出す。
先程、仕留めた矢先に再び赤く発光し、自分を振り払い、湖に飛び込んだZX。
つくづくZXの生命力には驚かされる。
更に此方も相当の疲労と傷を被い、特に両腕には痛みが残っている。
テッカマンの自己治癒力を以ってしても、暫くの休憩は必要かもしれない。
まさか開始早々から、こんな痛手を負うとは思ってもみなかったが、シンヤの表情にはそれほど悔しさはなかった。
今回は運よく初めからテッククリスタルが支給されていたのだから。
自分の物はなく、兄の物だがテックセットが行えるなら問題はない。
そしてエビルはこれからの方針を考える。
勿論、兄との戦いは最優先、次にラッド・ルッソの殺害。
それと兄の分のテッククリスタルの入手も必要だ。
ZXとは再び出会ったら今度こそ必ず倒す。
テッカマン素体としての存在である人間を、この状況で捕獲するのは面倒でしかない。
よって無力な、どうでもいい参加者は殺し尽くすに限るだろう。
そこまで考え、やがてシンヤはふと閃いたように表情を歪ませる。
妖しげな笑みを造り出す。
「ゼクロス……いや、村雨が言っていた、かがみと言う女が死んだらあいつはどうするかな?
ふふっ、楽しそうだな……それは……!」
ふふっ、楽しそうだな……それは……!」
かがみ達を守る――確かにZXはそう言っていた。
ならば殺してやろう。
ZXの知り合いならば、自分にたてついた事を後悔させてやる。
そして悲しみに暮れたあいつを、今度こそ完膚なきまでに殺してやればいい。
愉快さで思わず表情が綻びそうになる。
そう言えば以前の殺し合いでもそんな名前はあったような気がするが、シンヤの記憶は定かではない。
何せ、80人の名前があったのだ。
割と特徴的な名前であったとしても全員分を覚えるのは骨が折れる。
それに何より、シンヤにとっては兄の名前がある事がわかればあとはどうでもいいのだから。
ならば殺してやろう。
ZXの知り合いならば、自分にたてついた事を後悔させてやる。
そして悲しみに暮れたあいつを、今度こそ完膚なきまでに殺してやればいい。
愉快さで思わず表情が綻びそうになる。
そう言えば以前の殺し合いでもそんな名前はあったような気がするが、シンヤの記憶は定かではない。
何せ、80人の名前があったのだ。
割と特徴的な名前であったとしても全員分を覚えるのは骨が折れる。
それに何より、シンヤにとっては兄の名前がある事がわかればあとはどうでもいいのだから。
兎に角、方針は決まった。
もう少し身体を休めてから何処かへ足を運んでみよう。
兄さん、ラッド、ZXの情報を集めるためにも――
そんな時だ。
ふと、シンヤは自分でも理由はわからないが、ふと思い立った。
もう必要はない筈なのに、何故か考えてしまった。
あの少女は今どうしているのかを。
もう少し身体を休めてから何処かへ足を運んでみよう。
兄さん、ラッド、ZXの情報を集めるためにも――
そんな時だ。
ふと、シンヤは自分でも理由はわからないが、ふと思い立った。
もう必要はない筈なのに、何故か考えてしまった。
あの少女は今どうしているのかを。
「……ゆたか」
思わず、紡いでしまった名前。
以前の殺し合いで出会い、兄との戦いのために攫った少女。
自分にとっては取るに足らない、無力な存在。
しかし、彼女はいつも自分に対して、何かを期待するような瞳で覗いていた。
自分が兄との戦いを口にする度に見せた、あの何かを言いたそうな表情。
それが何故か、酷く懐かしさのような感情をシンヤに感じさせ――そして、シンヤは左右へ頭を振った。
以前の殺し合いで出会い、兄との戦いのために攫った少女。
自分にとっては取るに足らない、無力な存在。
しかし、彼女はいつも自分に対して、何かを期待するような瞳で覗いていた。
自分が兄との戦いを口にする度に見せた、あの何かを言いたそうな表情。
それが何故か、酷く懐かしさのような感情をシンヤに感じさせ――そして、シンヤは左右へ頭を振った。
「ッ……まあ、いいさ。利用価値は未だある。
今度こそ、ゆたかに俺と兄さんの戦いを、テッカマン同士の戦いを見せれば、俺たちが化け物だってコトがわかるだろう。
その時、浮かべる兄さんの顔が……楽しみだな……」
今度こそ、ゆたかに俺と兄さんの戦いを、テッカマン同士の戦いを見せれば、俺たちが化け物だってコトがわかるだろう。
その時、浮かべる兄さんの顔が……楽しみだな……」
強引に、何かを振り払うかのようにシンヤは結論づける。
確かに道理は叶う。
だが、不思議とシンヤの表情には迷いのようなものが見て取れる。
自分でも漠然と自覚していたのだろう。
今、自分が呟いた言葉が、ゆたかの新たな利用法である事が――
確かに道理は叶う。
だが、不思議とシンヤの表情には迷いのようなものが見て取れる。
自分でも漠然と自覚していたのだろう。
今、自分が呟いた言葉が、ゆたかの新たな利用法である事が――
それが本当に自分の真意であるのかが、シンヤには何故かわからなかった。
【E-5 湖の辺/一日目 深夜】
【相羽シンヤ@アニ2】
【状態】:疲労(大)、空腹感、全身に負傷(特に両腕に痛み有り)
【装備】:ブレードのテッククリスタル@アニ2
【所持品】:支給品一式、不明支給品0~2
【思考・行動】
基本方針:Dボゥイとの決着をつける
1:少し休んでから何処かへ向かう。
2:ラッド、村雨、かがみの殺害。
3:Dボゥイの分のテッククリスタルを手に入れる
4:ゆたかは手元に置いておく……?
【備考】
※参戦時期はアニ2、211話「The Incarnation of Devil」内でラッドに殺される前。
※テックセットは誰のものでも問題なく行えます(アニ2準拠)
※力の制限、特にボルテッカに関しては大きな制限が掛けられています(威力低下、疲労感と空腹感の増加など)
そのため、必要以上には使用しないように考えています。
※仮面ライダーZX(村雨良)を記憶に刻みました。
【状態】:疲労(大)、空腹感、全身に負傷(特に両腕に痛み有り)
【装備】:ブレードのテッククリスタル@アニ2
【所持品】:支給品一式、不明支給品0~2
【思考・行動】
基本方針:Dボゥイとの決着をつける
1:少し休んでから何処かへ向かう。
2:ラッド、村雨、かがみの殺害。
3:Dボゥイの分のテッククリスタルを手に入れる
4:ゆたかは手元に置いておく……?
【備考】
※参戦時期はアニ2、211話「The Incarnation of Devil」内でラッドに殺される前。
※テックセットは誰のものでも問題なく行えます(アニ2準拠)
※力の制限、特にボルテッカに関しては大きな制限が掛けられています(威力低下、疲労感と空腹感の増加など)
そのため、必要以上には使用しないように考えています。
※仮面ライダーZX(村雨良)を記憶に刻みました。
青い水がゆらゆらと揺れる中に浮くものが一つ。
ZXへの変身が解除され、水の流れに身を任せている村雨の姿だ。
但し、蓄積された疲労と負傷で今は気を失っている。
自身が持つ自己修復能力によりは癒されてゆくが、眼を覚めるのには、もう少し時間が必要だろう。
そう、だから今は村雨にとっての僅かな休息の時。
最早、エビルとは相容れない存在である事は痛い程にわかった。
ならば止めなければならない。
村雨が先程の戦闘で新たに誓った決意。
そして村雨が、気を失う以前に決意した事は他にもあった。
それはある参加者に出会う事。
会えば何かわかるかもしれない。
エビルが何故あそこまで執着するのか、そして彼を止める何らかの方法を知っているかもしれない。
そう、エビルが何度も、口走っていたあの名前――
ZXへの変身が解除され、水の流れに身を任せている村雨の姿だ。
但し、蓄積された疲労と負傷で今は気を失っている。
自身が持つ自己修復能力によりは癒されてゆくが、眼を覚めるのには、もう少し時間が必要だろう。
そう、だから今は村雨にとっての僅かな休息の時。
最早、エビルとは相容れない存在である事は痛い程にわかった。
ならば止めなければならない。
村雨が先程の戦闘で新たに誓った決意。
そして村雨が、気を失う以前に決意した事は他にもあった。
それはある参加者に出会う事。
会えば何かわかるかもしれない。
エビルが何故あそこまで執着するのか、そして彼を止める何らかの方法を知っているかもしれない。
そう、エビルが何度も、口走っていたあの名前――
相羽タカヤ、Dボゥイと記載された人物と出会う事が必要だと村雨は感じていた。
【D-4 湖に漂流中/一日目 深夜】
【村雨良@漫画ロワ】
【状態】:気絶中、疲労(大)、全身に多大な負傷(特に左腰に裂傷)
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、不明支給品1~3個
【思考・行動】
基本方針:この殺し合いを潰し、BADANとの最終決戦に帰還する。
1:一人でも多くの人間を守り、殺し合いに乗った者は無力化、もしくは倒す。
2:かがみ、アカギ、ヒナギク、ジョセフとの合流。
3:パピヨン、泉こなた、柊つかさ、高良みゆき、三村信二、川田章吾、ルイズとの接触。
4:エビル(シンヤ)を止める、もしくは倒す。また、Dボゥイなる人物にエビル(シンヤ)の事について訊く。
【備考】
※参戦時期は漫画ロワ254話、「真・仮面ライダー ~決着~」の直後です。
※ジェネラルシャドウ、泉こなた、柊つかさ、高良みゆき、三村信二、川田章吾、ルイズが生存している事に疑問を抱いています。
※アカギ、圭一、6/の名前が複数ある事に疑問を抱いています。
※力、自己修復能力等に制限が掛けられています。
※テッカマンエビル(相羽シンヤ)を記憶に刻みました
※何処へ流れ着くかは不明です。
【状態】:気絶中、疲労(大)、全身に多大な負傷(特に左腰に裂傷)
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、不明支給品1~3個
【思考・行動】
基本方針:この殺し合いを潰し、BADANとの最終決戦に帰還する。
1:一人でも多くの人間を守り、殺し合いに乗った者は無力化、もしくは倒す。
2:かがみ、アカギ、ヒナギク、ジョセフとの合流。
3:パピヨン、泉こなた、柊つかさ、高良みゆき、三村信二、川田章吾、ルイズとの接触。
4:エビル(シンヤ)を止める、もしくは倒す。また、Dボゥイなる人物にエビル(シンヤ)の事について訊く。
【備考】
※参戦時期は漫画ロワ254話、「真・仮面ライダー ~決着~」の直後です。
※ジェネラルシャドウ、泉こなた、柊つかさ、高良みゆき、三村信二、川田章吾、ルイズが生存している事に疑問を抱いています。
※アカギ、圭一、6/の名前が複数ある事に疑問を抱いています。
※力、自己修復能力等に制限が掛けられています。
※テッカマンエビル(相羽シンヤ)を記憶に刻みました
※何処へ流れ着くかは不明です。
018:激突!仮面ライダーゼクロスVSテッカマンエビル | 投下順 | 019:ど う す れ ば い い ん だ |
018:激突!仮面ライダーゼクロスVSテッカマンエビル | 時系列順 | 019:ど う す れ ば い い ん だ |
018:激突!仮面ライダーゼクロスVSテッカマンエビル | 村雨良 | 023:『笑☆点』 |
018:激突!仮面ライダーゼクロスVSテッカマンエビル | 相羽シンヤ | 034:おまえら人間じゃねぇ!(読者視点) |