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涙の誓い(後編)

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涙の誓い(後編) ◆DiyZPZG5M6


「ごちそうさまでした」
「どう……だった? 私の血は……」
「うん、すごくおいしかったよ。でも……」
「どうしたの?」
「だんだんと味覚が人じゃなくなっているのがちょっとね……」
 表情が少し沈むこなた。
 初めて輸血用の血液を飲んだ時。
 そして初めて生身の人間の血を飲んだ今。
 最初は抵抗があった血を飲むという行為に身体が順応していく事に不安を感じていた。
「こなた……」

「いやあ~泉も柊も結構大胆だなー。外から見てるとまるでレz―――ひでぶっ!」
 圭一の頭にゲンコツが振り下ろされる。
 圭一の背後にはなのはが笑顔で立っていた。
「はーい圭一君ー。少し空気読もうねー?」
「な、なのはさん……目が笑ってねぇ……」

『こなたちゃーん、かがみんの血どうだった? やはり処zy―――あべしっ!」』
「あんたも空気読もうな」


 何はともわれ雑居ビルでの一件で団結が深まった五人+1だった。


「そろそろ行こうよ。ヒナギクさんを弔ってあげたいしね」
 なのはに促されビルを出る五人。
 当初の目的通りまずはヒナギクの埋葬を行うことで五人の行動方針を固めた。

 何事も順風満帆。
 こんなにも頼りになる仲間達の前だと、
 自分が吸血鬼であることで一々悩むことがささいなことに思えるこなただった。
 そう、この時までは全てが平和だった。

 だけど世界はいつだって理不尽な物。
 所詮は砂上の楼閣の上で踊っているにすぎない物。




「お姉ちゃん! その人達から離れてぇぇぇぇッ!」

 声がした。とても良く知っている声。
 振り向いた視線の向こうに少女が立っていた。
 赤い短めの髪をリボンで結った少女。
 小柄なこなたよりもさらに小柄な少女。
 こなたにとって家族同然の存在、小早川ゆたかが剣を構え立っていた。

 誰も彼女の行動を止められなかった。
 誰も彼女がそんな行動に出るなんて考えられなかった。
 ゆたかは信じられないような身体能力で大地を蹴って跳んだ。

「え――――――――」

 こなたの目に映る世界の姿。
 全てがスローモーションで進む世界。
 でも身体は全く動かなくて、跳躍したゆたかがその手に持った剣が振り下ろされるのをただ見ているだけだった。
 赤黒い剣はとこなたと隣を歩いていた6/の身体に向けて振り下ろされ、彼の身体を切り裂いていた。

 赤い血が勢いよく噴き出している。
 まるでシャワーのようにこなたを身体を赤く染め上げる。
 赤い。
 赤い。
 赤。
 赤。
 赤い6/の血。

 返り血を浴びたゆたかは満面の笑顔でこなたに言った。

「お姉ちゃん、柊先輩。まずは一人目をやっつけたよっ。だからもう心配しないでね」
 なんの罪悪感もなくただただ無邪気な少女の笑顔。

「ゆー……ちゃん……?」
 血の海に沈む6/の姿。
 血に染まったゆたかの笑顔。
「あ……ああああああああっああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」


「さてと……あと一人。ダメだよ……男の子がそんな格好をしたら……」
 ゆたかゆらりと圭一のほうへ向く。
 圭一は蛇に睨まれた蛙のように全く動けない。
「―――死んじゃえ」
 振り上げられる剣。
 だが―――!

「きゃあっ!!」
 ゆたかに桜色の魔力弾が突き刺さる。
 一発、二発、三発。
 連続してなのはの放った魔力弾が命中する。
 殺傷能力はほとんどないものの直撃すれば昏倒はまぬがれない。
 それを三発も浴びせられたゆたかは吹き飛び剣を手放す。
 回転する剣がこなたの足元に突き刺さる。

「ダメ……っ傷が深すぎて回復魔法が効かない……!」
 なのはの悲痛な叫びがこなたに突き刺さる。
 みんなが6/の周りに集まって何かを叫んでる。
 だけどこなたの耳にそれは届かない。
 足元に突き刺さる赤黒く禍々しい剣に彼女は手を伸ばす。
『こなたちゃん……その剣は……!』
 爆弾の声も耳に届かない。

「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 絶叫と共にこなたが跳躍した。
 人間離れした膂力をもって一気に跳ぶ!
 土煙の中のゆたかに向けて剣を振り下ろす。
 十分な加速度と重力を乗せた一撃、ゆたかにはかわす術はない。
 しかし―――

 ガキンと金属質の音がして刃が止められる。
 ゆたかはいつの間にかもう一本の剣を握り締めこなたの一撃を受け止めていた。



「なんで……なんで……! 6/さんを……! 答えてよ……ゆーちゃん。答えてよぉぉぉぉ!!!」
 太刀筋もあったものじゃない素人の剣戟。
 ただ力任せに剣を振るうが全てゆたかの持つ大剣に受け止められてしまう。
「運命……だよ。お姉ちゃん」
「何を言ってるのか全然分からないよッ!!!」
 こなたの叫びにも全く動じず涼しい顔のゆたか。
「あの人たちがお姉ちゃんを狂わすの。そういう運命だから。でも私は運命なんかに負けない。だから倒すの」
 支離滅裂な理屈で6/を斬った理由を告げるゆたか。
 こなたには全く理解できない言動だった。

「運命に狂わされるの私ひとりで十分……! だからどいてよッ!」
 防戦一方だったゆたかが横薙ぎに一撃を振るう。
 あくまで牽制の、こなたの持つ剣を弾き飛ばすためだけの一撃のはずだった。
 しかし、ゆたかとて剣の素人。
 思っていたよりも勢いが強くなった一撃。

「ぅ……ぐぁ……ぁっ」
 弾き飛ばされたこなたの剣が後方に吹き飛ぶ。
「お姉ちゃん……!?」

 ゆたかの一撃はこなたの左腕ごと剣を斬り飛ばしていた。
 地面に刺さった剣を握り締めた左腕がぼとりと地面に落ちた。

「こなたッ!!!」
 かがみの叫び声があたりに木霊する。
 傷口を押さえ蹲るこなた。
 切断面からおびただしい量の血液が流れ地面に赤い水溜りを作る。
「あ……あ、私、お姉ちゃんを……」
「くぅ……たかが左腕一本ぐらい……!」
 ゆたかは信じられない現象を目撃した。
 血が噴き出すこなたの腕の切断面。
 こんなにもひどい出血がみるみるうちに止まってゆく。
 ものの一分としないうちに出血は止まり。
 白い骨と赤い筋繊維を露にした切断面だけが見えていた。

「どうして……! 傷が……治って!」
 何も処置をしていないのに血がぴたりと止まっている。
 いや、そもそも腕を切り落とされた時点でショック死してもおかしくない痛みのはず。
 なのにこなたは苦痛に顔を歪めるがそこまで重傷のように見えなかった。

 そうか―――
 こなたお姉ちゃんもあの人と同じになっちゃったんだ。
 ゆたかの記憶に残る翼のコスプレ男。

 ああ―――お姉ちゃんも運命に飲み込まれてしまった。

「ごめんね……お姉ちゃん。私、お姉ちゃんを助けられなかった……」
「ゆー……ちゃん?」
「もう少し私が早ければ助かったのに……」
 悲しげな表情で語るゆたか。
 そこに狂気というものは一片も感じられず、ただ純粋に悲しみの感情を露にさせていた。


「だから―――柊先輩が壊れてしまう前にお姉ちゃん……死んで」


 そう言ってゆたかは大剣を振り上げる。
 剣を拾うにも距離が離れすぎている。
 避けようにもゆたかの方が早い……!

「―――させない! ディバインシューター!!!」
 立て続けになのはは五発魔力弾を放つ。
 デバイス無しでは身体への負担も大きくなるにも関わらず連射する。
 とにかくゆたかを足止めするのが目的。
「邪魔……しないでよ!」
 ゆたかは剣で魔力弾を叩き落していく。
 その隙は見てなのはは……
「今よ! 圭一君!」
「おっしゃあああ行くぜぇぇぇ!! うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
 なのはがゆたかを足止めしてる隙に圭一は全速力でこなたの元に駆けつけ、
 彼女の軽く小柄な身体を抱え上げた。
「この隙にスタコラサッサだぜ!」
「離して! 離してよ圭一君! ゆーちゃんを……! ゆーちゃんを……ッ!!」
「バカッそんな怪我で何が出来るんだよ! あとはなのはさんに任せろ!」
「く……っ」
 唇を噛み締めるこなた。
 悔しいがこの場でもっとも戦闘能力があるのがなのはだけ。
 圭一の腕の中で大人しくする。

 すれ違う圭一となのは。
 その時にお互い声を掛け合う。
「出来る限りここからは離れて!」
「ああ、分かった!」
「彼女は……私が連れて戻るから……!」
『なのはちゃんのサポートは私がするよっ』
 なのはの懐から爆弾の声がする。
「わかった……ゆーちゃんをお願い」
「うん!」

 頷き合うこなたとなのは。
 圭一達はかがみと負傷した6/と共にこの場から逃げ出した。


 ☆



「お姉さん……どうして私の邪魔をするの……?」
「…………」
 なのはは答えない。
 ただ真っ直ぐな視線をゆたかに向けている。
「別に答えなくていいですよ、あなたは私の邪魔をする。だから私の敵、それだけですよ」
 ゆたかは剣を構え、切っ先をなのはに向ける。
 なのはは無言で足元に突き立った剣を握り締める。
 その瞬間不思議な感触がなのはを駆け巡った。

「これは……アームドデバイス!? でもちょっと違う……!」
 触れた瞬間剣の気がなのはに流れ込む。
 これはただの剣なんかじゃない。明らか魔力を備えた魔剣の類。
『それはちょいとばかり持ち主の精神に干渉するけど大丈夫。なのはちゃんならそれをちゃんと扱える。さあ呼んで、その剣の……永遠神剣の名を!』

 手に触れた瞬間、自然と剣の使い方と名前が頭の中に浮かび上がる。 
 なのはは静かに、だけど力強い声で剣の言霊を解放した。


「お願い―――『誓い』よ……私に力を貸して!」



 言霊を解放した瞬間、なのはの足元に魔法陣が展開される。
 そして魔力の奔流がなのはを襲う。
 使用者を支配しようとする剣の意志。
「くぅぅぅぅぅっ!!」
 まるで荒馬に乗ったような感覚。
 だがなのはは無理に抗わず自然体で剣を手懐ける。
『さっすがなのはちゃん』

「ゆたかちゃん……少し痛いけど我慢して!」
「!?」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
 なのは一気に間合いを詰め込み斬撃を放つ。
 ゆたかも剣で攻撃を受け止める。

『ゆーちゃんの永遠神剣は七位の『存在』。単純なスペックでは五位の『誓い』のほうが上だけど気をつけて!』
「わかったよ!」
『きっとゆーちゃんがおかしくなったのはきっと頭の上のあれ……あれを何とかすれば……』

 ゆたかの頭上に浮かぶ半球状の物体が仄かに光を放っている。
 あれがゆたかの異常な行動の原因になってるいるのだろうか?
 なのははゆたかの攻撃を受け止め、回避しながら考える。

                   プログラム
 そしてなのはは一つの呪文を組み上げてゆく。
 神剣魔法となのはが扱うミッドチルダ式の魔法。
 本来全く別の術式である両者だが発動媒体が存在する点には同じ。
 デバイス無しでのミッド式魔法は術者が全て詠唱から発動までを負担しなければならない。
 しかし神剣魔法は永遠神剣を媒体として発動する。

                               エミュレート
 ならば永遠神剣にデバイスの機能を模倣させるッ!
 同じ魔力という力を扱う以上出来ないことはないはず……!

「ディバイン……シュータァァァァァァァ!!」
「!!!」
 なのはの周囲に数個の魔力弾が浮かびあがり複雑な軌道を描いてゆたかに向かっていく。
 ぶっつけ本番のわりにはうまくいったとなのはは胸を撫で下ろす。

 それまで直線的で一発ずつしか飛んでこなかった魔力弾が複数個誘導されながら飛来する。
 アクセルシューターのように32発同時誘導発射には遠く及ばないが、
 剣という武器の特性上、移動しながら撃てるそれは戦術に大きなアドバンテージを与える。

「こ、この……ッ!」
 誘導弾の迎撃に手間取ると間髪いれずになのはの一撃が来る。
 なのはの斬撃に気を取られ過ぎると周りを飛び回る誘導弾に当たってしまう。

「はぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
 またも振り下ろされるなのはの剣。
 今度は間一髪でかわす。
 体勢を崩したなのはにカウンターを決めようと剣を振るうが……
「ラウンドシールド!!」
 掲げたなのはの手の前に現れた魔力障壁に弾かれる。
 そして周りを飛び交う誘導弾がゆたかに突き刺さり大きく吹き飛ばされた。


「ハァ……ハァ……ッ」
 吹き飛ばされたゆたかを見たなのはも間合いを取るべく距離を離す。
 なのはのほうが圧倒的優位に関わらず、なのはは肩で息をするぐらい疲労が蓄積されていた。
『大丈夫なのはちゃん?』
「まだいけるけど……長くは持たないかな。二つの術式の同時併用はさすがに魔力の消費が……」

 なのはが永遠神剣に施した術式。
 魔力消費量を度外視した発動時間の短縮。
 これによってディバインシューターとラウンドシールドはレインジングハート装備時と遜色ない速さで魔法を展開できるのだが、
 反面莫大な魔力を消費する。なのはにとって初歩的な魔法であるこの二つですら桁外れの魔力を消費してしまうのだ。
 そして神剣魔法とミッド式魔法の接続のために常時魔力許容量を占有しているためさらに消費魔力に負荷がかかってしまっていた。



 ☆



「勝てない……私じゃ勝てない……」
 圧倒的な力の差。
 付け焼き刃の力では目の前の魔術師に勝てるわけがない。

 だから諦める?
 運命に翻弄されて惨めに死ぬ?

「そんなことできるもんか……私は運命なんかに負けるものかぁぁ!」
 存在を握り締め強大な敵を見つめるゆたか。
「オプーナ! まだ私の中にいるんでしょ! だったら力を貸してよぉぉぉぉ!!!」
 返事は無い、しかし返事の代わりに頭上のエナジーボンボンが激しく光を放ちだした。


『ゆーちゃんの様子が……!』
 ゆたかの周囲に膨大な魔力が渦巻き一点に収束を始めてゆく。
『うそ……存在でオーラフォトンビームを撃つなんて……何なのゆーちゃんの力……』

 臨界点を迎えた存在が白色に輝き出す。
 ゆたかは存在を一気になのはに向けて振り下ろした。

「いっけぇぇぇぇぇ!!! オーラフォトンビィィィィィム!!!」
「ラウンドシールド!!」

 凄まじい光の奔流がなのはを包み込む。
 例え初歩的な魔法とはいえなのはにとっては鉄壁の魔力障壁。
 そして激しい爆発が巻き起こり、もうもうと土煙が舞い上がっていた。

「これなら……あの人だって―――ッ?!」

 土煙が徐々に晴れ渡る。
 そして現れる人影。

「そ、んな……」

 あの光の奔流で中を物とせずになのはが立っていた。
 ところどころメイド服が焼け焦げてはいるが外傷はほとんど無かった。

「防御の厚さには自信があるんだよ、そして魔力の収束も私の方が一日の長がある!」
 なのは周囲にも魔力の奔流が渦巻き収束してゆく。
 ゆたかの放ったオーラフォトンビームに勝るとも劣らない魔力の高まり。

「これで話を聞いてもらうから……! オーラフォトンレイィィッ!!!」


 膨大の魔力の津波がゆたかを飲み込もうと迫り来る。
 回避なんてできない。防御なんて全くの無駄。
 ゆたかは思わず目を瞑っていた。

 しかし……
 いつまでたっても砲撃はゆたかに届かない。
 恐る恐る目を開けたゆたかに映るのは……

「そんな……どうして」






                   /         ,     ',  、      \
                  /      /   /     ',   ',  ヽ ヽ  ヽ
                    /  /   i.l   /  l   .|  .l  l   ',  ',.  ',
                ノ  / /  l.l   {  ィ   |  l   }   l  l   ',
              ー=-イ / /   i ',  .∧ l !   !  ハ  ハ  ,'  !  l ヽ、_
                { i l l   l ト、 l l | ',  ハ / .l / l /  /  j ,ゝ´
                   l l l l  ハ | ヽ! ヾ ヽ./ |:/  |' _j/l  /  /./
                 } .ハ ,l ヽ |ヘlニ;--,.._ ' ` 、',.-;‐;二__  l /  /./
                ノ'" l.ヘ. ト、! '弋赱!~ ,     ' 'T心!_ イ   j l′
                      |rヘ lヽ    ´     `     l  / ノ    ま、こんなところでゆーちゃんを
                   ヽヘ l        i           l  /'´   、死なすことなんてできないからな。
                    `l | ',、j      |         j /
                     jハ. ヘ      ヽ!       /! /ヽ
                      !ヘ ハ、   ,__,...、   /|/` ‐ヽ
                       i!ヘl\ ゝ-‐ニ‐-' ,. イ从'
                      , ィ' ヽ \    /  ノ ヽ、
                     / /   `ヽ ヽ- '´  r'   ', ヽ
                   /   l    /iーヘ   rニ' ヘ   l   ゙ヽ
                 , -イ   l   /`ヽOヘ  / /-''ヘ.   l   ヽ‐、
              _.. - ´ /    {  ,.ヘ、_>'^''< _..-ヘ.  l    ',  ` ‐、
          _.. - ´     /   , -i!/ ヽ    ',    /    ヽ |\    ヽ    ` ‐ 、
      , -''''´        /  /  l   `   ゝ- /   _ -' `!   \   \     `ヽ


半壊し、ボロボロのガイバーユニットを装着したキョンがなのはの砲撃を受け止めていた。

「なんであなたが……」
「俺は全ての妹の味方さ、さ、早く逃げろ。ぶっちゃけもう限界」
「キョンさんは……」
「あ、俺? 所詮ガイバーユニットに残る残留思念みたいなもんだ。早く逃げな。生きてりゃ反撃の機会なんていくらでもあるぞ」
「………」
 ゆたかは無言で頷くと脱兎のごとくその場から走り去った。



「妹バンザーーーーーーーーーーーイィィィィィ!!!」



 光がキョンを包み込む。
 全て巻き込み浄化する光。
 それが収まった時にはキョンもガイバーユニットも跡形もなく消滅していた。





「キョンさん……」
 最後まで妹萌えを貫き通したキョン。
 一度ならず二度までもあの男に助けられた。
 素直に喜ばしい反面、あんな変態に助けられたことが少し悔しかった。
 しかし、ゆたかは安堵の声を漏らしていた。
 また一つ、運命に抗えた。
 それだけで十分だった。
 でも今回の出来事はゆたかにとって大切なものを気づかせてくれた。

 上には上がいる。
 あのメイド魔術師の力量は自分を遥かに超えていた。
 きっとこの島にあんな存在が一杯いるに違いない。
 だから力が欲しい。

 運命も何かもを薙ぎ払える力を―――



【D-5/1日目-昼】


【小早川ゆたか@らき☆すた(原作)】
[状態]:冷静ではなく超冷静、妹萌力覚醒、身体能力劇的向上、疲労(大)
[装備]:永遠神剣第七位『存在』@書き手ロワ2nd
[持物]:デイパック、支給品一式
[方針/行動]
基本方針:運命を抹殺する
0:運命に関わる者、その全てを殺す
1:もっと力が欲しい

※運命が何なのかは自分でも分かっていません
※記憶の混乱は止まりました。
※エナジーボンボンと0号ガイバーユニットは、カレーに溶けてゆたかの体内に吸収され、更にでっていうの一部も吸収されました。
※ガイバーユニットとキョンの残留思念は完全に消滅しました。
※魔と化したカレーの影響により彼女の精神変化が稀に起こるようですが、エナジーボンボンが半分程度溶けているため、オプーナーの影響は薄まりました。
※思考の節々にでっていうやオプーナーの影響が見られます


 ☆



 南の方角から眩しい光と爆発音が二度私の耳に聞こえてきた。
 きっとゆーちゃんとなのはの戦いに決着が付いたんだろう。

 私の目の前に6/さんが横たわっていた。
 素人が見ても酷い傷だと分かる。
 誰が見ても彼が命がもう持たないことは明白だった。

 かがみと圭一君は必死で泣くことを堪えている。
 私は呆然とその光景を見つめていた。

 どうしてゆーちゃんが?
 どうして6/さんを?



 考えても考えても答えは出なくて、
 考えることが馬鹿馬鹿しくなってくる。
 ここでゆーちゃんは私達の『敵』だと割り切れたらどれだけ楽だろうか。

「みんな……! 無事なの……!」

 息を切らせながらなのはが帰ってきた。
 無事のようで良かったけど、彼女のそばにゆーちゃんはいなかった。

「ごめん……ゆたかちゃんはどこかに行ってしまって……」
「ああ、そう……」
 そっけなく答える私だった。

「泉……腕はどう……いや腕が無いのにどうと聞くのも変な話なんだけど……」
「さっき輸血用血液パックを飲んだから痛みはもう治まってるよ、腕無くなってもピンピンしてるなんてたいした化物だね」
 圭一君の問いに私は自嘲めいた笑みを浮かべていた。
「泉……」

 6/さんの意識はまだ戻らない。
 圭一君の持っているメイド服を破いて包帯かわりにしてもすぐに血でぐしょぐしょになってしまう。
 吸血鬼の大好きな血がたくさんあるのに全く飲もうなんて気は起きなかった。


「みん、な……そこ、いるのか……」
「6/さん!」
 私は目を覚ました6/さんに駆け寄る。
 彼の目はもうどこも見ていなかった。

 力なく伸ばされた手が私の左腕があった空間をよこぎる。
「すまん……もう……目がほとんど、見えないんだ……」
「私はここにいるよ……」
 私は右手で彼の手を取る。
 ゆっくりと体温が無くなっていくのが肌で感じていく。
 ああ……本当に彼は死ぬんだ。
 目の前で人が死んでいく光景にただただ困惑するだけだった。

「爆弾、さん……」
『何かな……』
「後を……頼む」
『こんな身体で何が出来るかわかんないけどね』


「こな……た」
 急速に熱を失う6/さんの身体。
「お、前には、仲間がいる……かがみが圭一がなのはが爆弾さんがいる……一人で悩みを抱え込むなよ……」
「うん……」

 みんな涙を浮かべて6/さんを見つめる。
 かがみも、
 なのはも、
 圭一君も、
 私だけが涙を流せないで彼を見つめていた。

「眠い……少し……寝るよ」
「おやすみ、6/さん……」

 その言葉を最期に目を閉じる6/さん。
 私の手からだらりと腕が垂れ下がり彼は静かに息を引き取った。


 私は泣くことも出来ずに彼の安らかな顔を見つめ続けていた。




【6/氏@カオスロワ 死亡】




【D-5/北部/1日目-昼】



【泉こなた@らき☆すた】
 [状態]:吸血鬼、精神疲労(大) 左腕切断
 [装備]:エンフィールドNo.2@アニ2(6/6+予備弾24発)、団長腕章@ニコロワ、陵桜学園夏服@らき☆すた
 [持物]:デイパック、支給品一式、地球破壊爆弾の血、血液パック(数個)
     :魔法『フレイム・ボール』inエニグマの紙@漫画ロワ 日焼け止めクリーム@現実
 [方針/行動]
  基本方針:かがみ達仲間と行動する。
  0:6/さん……
  1:ゆーちゃん……どうして……

 [備考]
  ※登場時期は3年生になってから卒業するまでのうちのどこかです。
  ※地球破壊爆弾No.V-7の話を聞いて、参加者がフィクションを含む多数の世界から集められたものと知りました。
  ※6/の話を聞いて、フィクションが現実に存在する可能性も知りました。




【地球破壊爆弾No.V-7@書き手2(支給品状態)】
 [方針/行動]
  基本方針:『らき☆すた計画』を成功させる。
  1.…………
  2.こなたや自分の知り合いを見つけ出しパーティに加える。
  3.かがみやゆーちゃん。そしてウッカリデスと奈緒のことが気がかり。
  4.さて、ロリスキーに会ったらなんと説明したものか……。
  5:”涼宮ハルヒ”に会えるのが楽しみ♪
  6:真・長門有希とのやりとりは秘密にしておく。

[備考]
  ※登場時期は「238:trigger」の冒頭辺り。ウッカリデスが死亡するより前です。
  ※嫁はロリスキー一筋です。
  ※『らき☆すた計画』が何かは現在全くもって不明です。
    深遠なる野望があるのかもしれませんが、ただらき☆すたキャラと親睦を深めたいだけかもしれません。
  ※ただの血液状態になったので喋ること以外はほとんど何もできません。

【柊かがみ@らき☆すた(原作)】
 [状態]:健康、覚悟完了
 [装備]:メイド服、モーゼルC96(9/10発)@現実
 [持物]:デイパック、支給品一式、モーゼルC96のマガジン×4@現実
 [方針/行動]
  基本方針:友達や知り合いを殺し合いから守る。
  0:こなた……
  1:圭一、なのはと一緒にヒナギクを埋葬しに行く。
  2:なのはや圭一と協力して、絶対に悲劇を繰り返さないようにする。
  3:泣いたり悲鳴を上げるのは全てが終わってから。
 [備考]
  ※参戦時期は一年生組と面識がある時期です。
  ※この殺し合いに対する覚悟を固めました。



【高町なのは(StS)@なのはロワ】
 [状態]:疲労(大)、魔力消費(極大)、左肩負傷(止血済)
 [装備]:メイド服、永遠神剣第五位『誓い』@書き手ロワ2nd、マテバ 6 Unica(6/6発)@現実
 [持物]:デイパック、支給品一式、マテバ 6 Unicaの弾×30@現実、カートリッジ×3@なのはロワ、チョココロネ×8@らき☆すた
 [方針/行動]
  基本方針:悲劇の連鎖を止め、一人でも多くの人間を救う。
 0:ゆたかちゃんを連れ戻せなかった……
 1:圭一、かがみと一緒にヒナギクを埋葬しに行く
 2:かがみや圭一と協力して、絶対に悲劇を繰り返さないようにする。



 [備考]
  ※参戦時期はなのはロワ26話、『残る命、散った命』の直後です。
  ※何らかの原因により魔力が減衰しており、また能力に制限がかけられていると気付きました。
  ※八神はやてが、前の殺し合いで死亡したと知らされました。
    また、彼女を自分の知るはやて(StS)だと思っています。
  ※『誓い』の応用により初歩的なミッド式魔法をデバイス所持時と同じように発動できますが魔力を大幅に消費します。



【前原圭一@やる夫ロワ】
 [状態]:健康、メイド萌え。疲労(小)
 [装備]:メイド服
 [持物]:デイパック、基本支給品一式、大量のメイド服
 [方針/行動]
  基本方針:殺し合いからの脱出。女の子にメイド服を着せたい
  0:畜生……ッ!
  1:ヒナギクを埋葬しに行く。
  2:可愛い女の子にメイド服を着せまくる。
  3:阿部さんに対し警戒。

【永遠神剣第七位『存在』@書き手ロワ2nd】
結@スパロワに支給。
しかしすぐに落としてしまい、その後は予約被りに定評のあるtu4氏@ギャルゲロワの手に渡る。


【永遠神剣第五位『誓い』@書き手ロワ2nd】
無明幻妖side.@アニロワに支給された。


【永遠神剣】
元々はギャルゲロワ登場作品『永遠のアセリア』内に登場する武器の名称。
神剣魔法というものを扱えるようになる。
ちなみにこの武器、下位の神剣でも身体能力強化、バリア形成、ビーム発射を可能とする
あまりにも汎用性の高いチート武器である


【オーラフォトンビーム】
魔力を収束させて撃ち出し高い攻撃力を誇る。

【オーラフォトンレイ】
こちらは誓いver.名前が違うだけで効果はほとんど同じ。

099:涙の誓い(前編) 投下順 100:MURDER×MURDER(前編)
時系列順 101:魅音の不幸とラッキースターワンダーランド(前編)
小早川ゆたか 120:運命のGATE問いかけている
6/氏
泉こなた
柊かがみ
高町なのは
前原圭一(やる夫)

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