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話に絡めない少女、地図の読めない女

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話に絡めない少女、地図の読めない女 ◆OQfaQnysJI



午前九時。時計がその時刻を示したその瞬間に、一つの区画が進入を禁止された。
島の中心より、やや南寄り。百貨店を擁するエリア、E-4である。
そして時を同じくして、禁止エリアのすぐそばの路上に倒れ込む人影があった。
長い金髪が麗しい彼女は、名を黒井ななこという。

「ギ……ギリギリセーフやったみたいやな……」
「そうみたいね……。まったく、しなくてもいい苦労を……」

息も絶え絶えに吐き出されたななこの言葉に、ミニ・サスペリアの言葉が重なる。
その表情からは、主に対する呆れの感情がありありと見て取れた。

いったいなぜ、彼女たちはこのような状況に陥っているのか。それを説明するには、数時間前まで時間を巻き戻さなければならない。


◇ ◇ ◇


放送直後、いさじ及び村雨と決別したななこは、かがみ(と当人は思いこんでいるロリスキー)を背負ってすぐさま移動を開始した。
移動を急いだ理由は二つ。一つはむろん、追ってくる可能性があるいさじと村雨から逃れるため。
もう一つは、ぐずぐずしていれば自分のいる場所が禁止エリアに指定されてしまうためだ。
彼女が目指したのは、南。G-6にある教会だ。島の端に位置するこの施設なら、かがみをかくまうのにふさわしいと考えたためである。
ところがここで、彼女に思わぬ誤算が発生した。

「……ねえ。私たち、進む方向間違えてない?」
「は? 何言うてんねん。うちはちゃんとまっすぐ南に……」
「じゃあなんで、進行方向に湖が見えるのよ!」
「ああっ! 言われてみれば!」

あまり知られてはいないが、黒井ななこという人間には方向音痴の気がある。
かつて教え子たちを連れて海に行った時、道を間違えに間違え結局到着が夕方になってしまったのがその実例である。

「あんたそれでも社会科の教師かー! 地図ぐらいちゃんと見なさいよ!」
「やかましい! うちは地理やのうて世界史が専門やっちゅうねん! だいたい、ちょっと道間違えたところでたいしたデメリットも……」
「大いにあるわよ! いい? 今私たちがいるのは、おそらくE-4! そしてここは、二つ目の禁止エリア!
 九時になってもこのエリアの中にいたら、首輪爆破でジ・エンドよ!」
「……マジか?」
「嘘言ってもしょうがないでしょ、こんな状況で」

ななこの顔から、血の気がひいていく。自分だけならまだしも、大切な教え子であるかがみをおのれの不注意で死なせてしまっては、それこそ死んでも死にきれない。

「それはさすがにまずいわ……。早いところここから出えへんと……」

言うが早いが、ななこはいきなりスロットル全開で走り出す。

「ちょ、ちょっと! だから、ちゃんと方角を確かめなさいって! これじゃまた同じ事に……」
「余計なお世話や! 要するに来た方向に戻らなかったらええんやから、なんとかなるわい!」

結論から言おう。なんとかなりませんでした。すごくギリギリでした。


◇ ◇ ◇


ここで、時間軸は冒頭に戻る。

「だいたいねえ……。なんで急いでるってのにあっち行ったりこっち行ったりするのよ!
 二点間の最短距離は直線だっつーの!」
「いやー、そっちの方が近道な気がして……」
「そんなんだからますます方角がわからなくなるんでしょうが! というか、方位磁石を使え!
 せっかく支給されてるんだから!」
「せやかて、こんなちゃちなもんどうも信用できんし……」
「おのれの方向感覚の方がよっぽど信用ならんわー!!」

ななことミニ・サスペリアの両名は、図らずも漫才のような会話を繰り広げていた。
ちなみにこの後もしばらく彼女たちのやりとりは続くのだが、内容はほとんど同じ事の繰り返しなのでここでは割愛する。

「そういえば……」

会話を断ち切ったのは、何かに気づいた様子のななこだった。彼女の視線は、傍らに寝かせてあるロリスキーに注がれている。

「もうだいぶ時間が経っとるはずやのに……。柊のやつ、目ぇ覚まさへんな?」
「いや、目を覚まさないというか……」

ななこの言葉に反応し、ミニ・サスペリアはロリスキーに駆け寄った。
そして小さな体から力を振り絞り、うつぶせになっていた彼女の体をひっくり返す。

「また別の理由で気絶したんじゃないかと思うんだけど……」
「柊ーっ!」

顔面は蒼白。白目を剥き時折小刻みに痙攣する少女の姿を見て、ななこは悲鳴を上げる。

「な、なんでこんな事に……」
「いや、あんたこの子背負ったまま全力疾走してたじゃん。そりゃ背負われてる方はちゃんと固定されてるわけじゃないんだから揺れまくるって。
 要は軽い乗り物酔いね。でまあ、軽いって言ってももともとダメージ受けてたところにそれだけのショックを与えられたわけだからこの惨状、と……」
「ああ、何やってんねん、うち……。目の前の問題だけに気を取られて、教え子への配慮を忘れるやなんて……。
 こんなんじゃ教師失格やないか……」
「まあ、そこまで自分を責めなくてもいいんじゃないの? これぐらいの失敗なら、誰にでもあるでしょ」
「というか、お前も気付や!」
「いや、正直言って私、その子がどうなろうとあんまり興味ないし」

ななこに八つ当たり気味の怒りをぶつけられるミニ・サスペリアだが、それをあっさりと受け流す。

「ああもう、こんな事言うとる場合やないな! とにかく、どこでもええから建物の中かなんかで休ませてやらんと。
 うちもさんざん走り回って、けっこう疲れとるしなあ」
「まあ、いいんじゃないの? 本当はこれ以上時間を無駄にはしたくないんだけど、そんなよれよれの状態で何かしろって言っても無理でしょうしね」
「そんなら……そうやな、あそこにしとこうか」

たまたま視界に入った雑居ビルを目的地に定めると、ななこは再びロリスキーを担ぎゆっくりと歩き出した。


◇ ◇ ◇


そんなこんなで、雑居ビルの中。都合よくベッドのある部屋を見つけたななこは、そこにロリスキーの体を横たわらせていた。

「さてと……」
「あら? どこか行くの? 休むためにここに入ったのに……」

何やら思案する素振りを見せながら、部屋を出ようとするななこ。その行動に疑問を持ったミニ・サスペリアは、たまらず疑問の声を投げかける。

「すでに危険人物が入り込んでました、じゃ洒落にならんからな。軽く見回りしてくる。
 すぐに戻ってくるつもりやから、休むのはそれからでもええやろ」
「ああ、そういうこと」
「ええか、もしもうちがおらん間に柊の身に危険が迫るようなことがあれば……。
 あんたが何を捨て置いてでも柊を守るんやで?」
「いや、そんなこと言われても……。私、単独じゃ戦闘力ほぼゼロ……」
「え・え・な?」
「りょ、了解……」

鬼の形相でエクスカリバーを喉元に突きつけられては、ミニ・サスペリアは首を縦に振るしかなかった。


◇ ◇ ◇


ロリスキーは、はっきりと意識を保っていた。もともとが気絶した振りだったのだから当然といえば当然である。
とは言っても、ななこの背で激しく揺さぶられたことでグロッキーになっていたのは事実なのだが。

(どうする……?)

未だ強い不快感を訴える頭を無理に働かせ、ロリスキーは考える。このままななこと行動していても、メリットは薄い。
自分のことをかがみだと思いこんでいるななこは、身を挺して自分を守ってくれるだろう。
だが、いつまでもばれずにいられるはずがない。
いずれ正体がばれた時、ななこがどんな反応をするのか。ロリスキーには見当も付かない。だからこそ怖いのだ。

(やっぱり、逃げ出すしかないよね……。先生が目を離した、今がチャンスなんだけど……)

うっすらと目を開け、ロリスキーは室内の様子をうかがう。その視界に映るのは、自分を凝視しているミニ・サスペリアの姿だ。

(うわー、ものすごいこっち見てる……。これじゃ隙をうかがうこともできないじゃない……。
 いや、でも相手はたかがちっちゃい意思持ち支給品一体。力ずくでいけばどうにでも……。
 いやいや、でもなあ……)

心の内に巣くう、弱気の虫。それが彼女の行動を妨げる。
ロリスキーはまたしても、何もすることができなかった。


◇ ◇ ◇


(うーん……)

ミニ・サスペリアは、ある疑念を抱いていた。彼女が目の前の「柊かがみ」をじっと見つめているのは、何も主の言いつけを忠実に守っているからではない。
おのれの疑念を晴らすために、「柊かがみ」を観察していたのだ。

(なーんか……違う気がするのよねえ……)

ミニ・サスペリアとはアニロワ2ndの書き手・エロスの鐘の煩悩寺の分身であり、同時に書き手ロワ主催者であるwiki管理人の分身である。
よって知識としては、柊かがみという存在を知っている。
目の前にいる少女は、たしかにどう見ても「柊かがみ」そのものだ。それは否定しない。
だが、何か違和感がある。具体的にそれが何かと言われれば、上手く答えられないが……。
強いて言うならば、自分と同じような気配がする、といったところだろうか。

(ひょっとして、本物じゃなくて書き手ロワの参加者の一人? 私の本来の主人だって、外見がティアナになってたわけだし……。
 だとしたら、管理人からちゃんと参加者のデータもらっておくべきだったかもね……。
 まあ、偽物だったところで私にはたいして関係のない話なんだけど……。 あー、でも気になるなあ……)

考えることに意味があるのかすらわからないが、かといって他にすることもない。
ミニ・サスペリアは、その小さな瞳で「柊かがみ」を観察し続ける。

時計の針は、ちょうど十時を指す。ななこはまだ戻らない。


【E-3/雑居ビル内/1日目-昼】

 【黒井ななこ@らき☆すた(原作)】
 [状態]:疲労(中)、魔力不足
 [装備]:エクスカリバー@オールロワ、エロスの鐘(ミニ・サスペリア)@書き手2
 [持物]:デイパック×2、支給品一式×2、チェーンソー@やる夫ロワ、不明支給品×0-3(キョン/ルイズ
 [方針/行動]
  基本方針-1:こなた、つかさ、かがみ、ゆたか、みなみのいずれかを優勝させる。
  基本方針-2:このピチピチボディを維持するんや。その為に男の精気を吸う!
  1:『かがみ』をかくまう。
  2:少し休憩する
  3:男漁りや!
  4:女とか対象外は普通に殺すわ☆
※魔力が不足してエクスカリバーの力を出せませんが、デザイア・ベル時には何の問題もないかと思います


クールなロリスキー@書き手2】
 [状態]:不死者、吸血鬼、体調不良
 [装備]:綾崎ハヤテの女装時の服@漫画ロワ
 [持物]:デイパック、支給品一式、大量のポケットティッシュ@カオスロワ、不明支給品×0-2
 [方針/行動]
  基本方針:地球破壊爆弾No.V-7を探し出して合流する。
  1:どうすればいいの……
 [備考]
  ※登場時期は「238:trigger」の冒頭辺り。ウッカリデスが死亡するより前です。


111:こくまろみるく 投下順に読む 113:俺の占いは当たる。 次の話でホテルは乱戦になる
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097:Pray ~それぞれの想い~ 黒井ななこ 119:mind crash
097:Pray ~それぞれの想い~ クールなロリスキー


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