こくまろみるく ◆nkOrxPVn9c
「ほら奈緒ちゃん、これでも飲みな」
「ぐびぐびぐび・・・・・・まじゅい!もう一杯!」
「水道水だから我慢しろ。 ってまだ酔ってんのか」
「ぐびぐびぐび・・・・・・まじゅい!もう一杯!」
「水道水だから我慢しろ。 ってまだ酔ってんのか」
空の酒瓶を振り回す少女にラッド・ルッソは呆れる。
先ほどから水族館内の水を飲ませ続けているのだが、泥酔しているせいか彼女の顔は未だに
赤く染まったままだ。 呂律は少しはまともになってきたが、頭の回転はそれに追いついておらず、
とても柊かがみに関する情報を引き出せそうにもない。
先ほどから水族館内の水を飲ませ続けているのだが、泥酔しているせいか彼女の顔は未だに
赤く染まったままだ。 呂律は少しはまともになってきたが、頭の回転はそれに追いついておらず、
とても柊かがみに関する情報を引き出せそうにもない。
「ったくいっそこのままぶっ殺してしまおうか?」
「きゃーこわーひ」
「きゃーこわーひ」
すかさず鉄拳。
「前が見えねぇ」
痛覚はあるのか、奈緒は、自分の顔を抑えて地面を転がりながら悶えている。
そんな奈緒を見下ろしながら、ラッドは彼女のデイバッグから取り出した、食料を摘んで食べている。
水族館前で酔った結城奈緒を発見し、そのまま殺してしまおうと思った矢先、
彼女が零した柊かがみという言葉。 それはラッドの興味を惹くのには十分であっただろう。
そのまま彼女を水族館に連れ込んで小休止しているところだ。
そんな奈緒を見下ろしながら、ラッドは彼女のデイバッグから取り出した、食料を摘んで食べている。
水族館前で酔った結城奈緒を発見し、そのまま殺してしまおうと思った矢先、
彼女が零した柊かがみという言葉。 それはラッドの興味を惹くのには十分であっただろう。
そのまま彼女を水族館に連れ込んで小休止しているところだ。
「クサヤっていうのかこりゃ? 酒がありゃいくらでもいけるな」
「あたひにもひょうら~い・・・・・・くひゃ!?」
「あたひにもひょうら~い・・・・・・くひゃ!?」
足元から囁く声にくさやの干物を放り投げて見ると、奈緒は今度は臭いに苦しみ始めた。
くさやを顔に貼り付けながら、館内を転がり回る様は滑稽にしか映らない。
そしてラッドは回転を続ける彼女を足で制する。
くさやを顔に貼り付けながら、館内を転がり回る様は滑稽にしか映らない。
そしてラッドは回転を続ける彼女を足で制する。
「へ?」
「そろっそろいい加減目ぇ覚ましてくれねぇか?
腹ごしらえって名目で待ってやったが、生憎我慢の限界でねぇ」
「そろっそろいい加減目ぇ覚ましてくれねぇか?
腹ごしらえって名目で待ってやったが、生憎我慢の限界でねぇ」
水族館に入ってから既に2時間余りが経過している。
その間館内の売店を漁ってみたが、収穫はほぼ皆無に等しい。
お土産と称している菓子を期待してみるも、置いていない。
特産物の魚肉ソーセージは獣に食い散らかされたような跡があって全滅。
水槽の中の魚を捕って食べてみようと期待しても、そもそも調理道具も火を起こす手段も無いので食いようがない。
せめて刺身包丁でもあれば良かったのだが。
その間館内の売店を漁ってみたが、収穫はほぼ皆無に等しい。
お土産と称している菓子を期待してみるも、置いていない。
特産物の魚肉ソーセージは獣に食い散らかされたような跡があって全滅。
水槽の中の魚を捕って食べてみようと期待しても、そもそも調理道具も火を起こす手段も無いので食いようがない。
せめて刺身包丁でもあれば良かったのだが。
「ひゃぅ!?」
ラッドは奈緒の腹を蹴り付ける。
「そういえば奈緒ちゃんもう酒飲み切ってたなぁ。
思い出したらイライラしてきた。 ツマミだけあっても物足りねえんだよ」
思い出したらイライラしてきた。 ツマミだけあっても物足りねえんだよ」
何度も足のつま先が腹に突き刺さり、そのたびに奈緒の体が跳ねる。
彼女の悲鳴を右から左に流し、言葉の合間に蹴りを入れていく。
彼女の悲鳴を右から左に流し、言葉の合間に蹴りを入れていく。
「らめぇ! 痛いのらめぇ!」
「殺るか? どうせかがみちゃんも最終的にぶっ殺すんだし、ぱっぱと殺っちまうか?」
「殺るか? どうせかがみちゃんも最終的にぶっ殺すんだし、ぱっぱと殺っちまうか?」
元々柊かがみの情報目的で彼女を介抱していたのだが、口が利けないのならしょうがない。
故障したスピーカーはとっとと処分してしまうに限る。
故障したスピーカーはとっとと処分してしまうに限る。
「ひゃぁん!痛っ! いひゃいのぉ!」
「ああ糞イライラするな。 本当こんなことしている暇があったら俺は武器ゲットして
あのピエロども殺すためにぶっ殺しまくってるんだぜ? それを阻害するなんて奈緒ちゃんも罪な女だよな。
そうだ奈緒ちゃん、どうやって死にたい? 絞殺?首吊り?それとも撲殺?
生憎、斬殺銃殺は無理だが刺殺ならいけるぜ?」
「ああ糞イライラするな。 本当こんなことしている暇があったら俺は武器ゲットして
あのピエロども殺すためにぶっ殺しまくってるんだぜ? それを阻害するなんて奈緒ちゃんも罪な女だよな。
そうだ奈緒ちゃん、どうやって死にたい? 絞殺?首吊り?それとも撲殺?
生憎、斬殺銃殺は無理だが刺殺ならいけるぜ?」
彼女のデイバッグを漁っても、武器は結局手に入らないし使えるアイテムがあるわけでもなかった。
よってさっさと道具集めに行きたいのだ。
よってさっさと道具集めに行きたいのだ。
「しにゅのいやぁ・・・・・・いたいのいやぁ・・・・・・」
「あー大丈夫大丈夫。 できるだけ善処して楽に殺してやるからよ」
「あー大丈夫大丈夫。 できるだけ善処して楽に殺してやるからよ」
本来のラッド・ルッソであるならば、酔っ払ったところを介抱したお礼も含めて
じわじわと嬲り殺しにするのだ。
それを行う気が無いのは何も時間短縮のためだけではない。
じわじわと嬲り殺しにするのだ。
それを行う気が無いのは何も時間短縮のためだけではない。
「何せ俺、死なない体なんだぜ? だったら死ねるやつは楽に殺してやるってのが筋ってもんだろ」
人間を辞め、不死という絶対安全圏を得た今の自分に、死の恐怖だのなんだの語る資格はないのだ。
もっとも約一名は死の恐怖だのなんだの関係無く、完膚無きまでミンチにして生ゴミに変える予定であるが。
もっとも約一名は死の恐怖だのなんだの関係無く、完膚無きまでミンチにして生ゴミに変える予定であるが。
「あらひわりゅくないのぉ! ぜんびゅ、ひいりゃぎかがみのしぇいなのぉ!」
「はいはいわかったから泣くのを止めな・・・・・・喉が渇いてきたな」
「あらひもみじゅのむ!」
「はいはい」
「はいはいわかったから泣くのを止めな・・・・・・喉が渇いてきたな」
「あらひもみじゅのむ!」
「はいはい」
奈緒から離れ、彼女のデイバッグを逆さにして振る。
デイバッグから出てきたのはラッドも持っている食料、地図、名簿の基本支給品だ。
最も食料の大半はラッドの腹に収まってしまったが。
デイバッグから出てきたのはラッドも持っている食料、地図、名簿の基本支給品だ。
最も食料の大半はラッドの腹に収まってしまったが。
「まあこれからぶっ殺す相手の飯なんて気にする必要ねえ。
水は残っているな・・・・・・ん?」
水は残っているな・・・・・・ん?」
彼の目に映るのは、空気の抵抗を受けながら木の葉のように舞い降りた一枚の紙だ。
メモ用紙程度の大きさの紙切れにはラッド自身も見覚えがある。
メモ用紙程度の大きさの紙切れにはラッド自身も見覚えがある。
「支給品の説明かこれ? バッグの中には何も残ってなかったしひょっとして支給品だけ盗まれてしまったってやつ?」
彼女のデイバッグの中に入っていたのは基本支給品だけだ。
マニュアルがあっても本体がなければ意味がない。
だがラッド・ルッソも人の子である。
それが元々どのような支給品を解説していたか程度の興味は湧いてくるのだ。
マニュアルがあっても本体がなければ意味がない。
だがラッド・ルッソも人の子である。
それが元々どのような支給品を解説していたか程度の興味は湧いてくるのだ。
「おいおいおいおい、なんだよ・・・・・・これ」
しかし次の瞬間彼の思考は停止する。
最初は支給品に対する驚きの表情を浮かべるが、
次第に知らなかった自分への苛立ちに変わっていく。
最初は支給品に対する驚きの表情を浮かべるが、
次第に知らなかった自分への苛立ちに変わっていく。
「そうかそうか、これが俺の体に起きた異変の正体ってやつか」
喉を潤すために道端に転がっていた酒を飲む自分がフラッシュバックした。
糞不味い酒という感想しか抱けなかった自分がこれ以上となく愚かに見える。
だが、後悔に包まれていたのも束の間、ラッドはため息をして胸を撫で下ろす。
糞不味い酒という感想しか抱けなかった自分がこれ以上となく愚かに見える。
だが、後悔に包まれていたのも束の間、ラッドはため息をして胸を撫で下ろす。
「あーそれにしても安心したぜ。 あれ以後誰もぶっ殺してねえしもしぶっ殺していたら
俺は俺自身を許せなくなっちまうところだよ。 あー危ねえとこだった」
俺は俺自身を許せなくなっちまうところだよ。 あー危ねえとこだった」
不死者になった自分は既に死神になることなんて許されないのだ。
もしラッドが己の肉体の変化に気づかぬまま、いつものように殺戮を愉しんだとしたら?
それこそファミリーのよい笑いものだ。 婚約者からも失望される。
もしラッドが己の肉体の変化に気づかぬまま、いつものように殺戮を愉しんだとしたら?
それこそファミリーのよい笑いものだ。 婚約者からも失望される。
「そうだそうだ、これを飲んだってことは奈緒ちゃんもなんだよな。
だったら遠慮はいらねえよなぁ」
だったら遠慮はいらねえよなぁ」
今まで抑えられていた鬱憤が笑みに変換される。
軽いステップでラッドの向かう先にいるのは結城奈緒だ。
軽いステップでラッドの向かう先にいるのは結城奈緒だ。
「がいじんどうししゃの?」
「待たせたな奈緒ちゃん。 今水を飲ましてやるぜ」
「待たせたな奈緒ちゃん。 今水を飲ましてやるぜ」
☆ ☆ ☆
「おみじゅいやぁ! おみ・・・・・・ごぼっ!?」
「水はたっぷりあるんだから好きなだけ飲めよ」
「いやぁ! がいじんたしゅけてぇ!」
「水はたっぷりあるんだから好きなだけ飲めよ」
「いやぁ! がいじんたしゅけてぇ!」
円形プールから奈緒ちゃんの悲鳴が響く。
両手で水面をバタつかせながら俺に助けを求めている。
まったく滑稽だよなぁ、さっきまではあんだけ水を飲みたがっていたのにプールに入れた途端これだ。
不死者でも苦しいものは苦しいんだな。 つかどうやったら殺せるんだ? 不死者って。
両手で水面をバタつかせながら俺に助けを求めている。
まったく滑稽だよなぁ、さっきまではあんだけ水を飲みたがっていたのにプールに入れた途端これだ。
不死者でも苦しいものは苦しいんだな。 つかどうやったら殺せるんだ? 不死者って。
「うるせえよ」
ビンの欠片を目に向けて投げつけてやった。
いひゃい! とか言いながら目を抑えたがその後どうなったと思う?
やっぱり再生したんだよ。 不思議なもんだよなぁ。
いひゃい! とか言いながら目を抑えたがその後どうなったと思う?
やっぱり再生したんだよ。 不思議なもんだよなぁ。
「おぼれりゅ! いやだ! しにちゃくないよぉ!」
だーかーら死なねえっつーの。
それにしてもここは元々イルカを見世物にするところらしいな。
それにしてもここは元々イルカを見世物にするところらしいな。
「こりゃさしずめ人間ショー、いや不死者ショーってとこか? 芸ができねえのが難点だがな」
「たしゅけてぇ!たしゅけてよぉ!」
「さっさと酔いを覚ましたら助けてやってもいいぜ」
「たしゅけてぇ!たしゅけてよぉ!」
「さっさと酔いを覚ましたら助けてやってもいいぜ」
その後もとことん痛い目に合わせてやるが。
さあ不死者はどうやったら殺すことができるのか。 まずは窒息死から試してみるか。
もっともこれぐらいじゃ死なねえだろうけどな。
さあ不死者はどうやったら殺すことができるのか。 まずは窒息死から試してみるか。
もっともこれぐらいじゃ死なねえだろうけどな。
【C-7/水族館/1日目-昼】
【ラッド・ルッソ@アニ2】
[状態]:不死者(不完全)
[装備]:黒いスーツとコート
[持物]:デイパック、支給品一式、テッカマンエビルのクリスタル@アニ2
結城奈緒のデイパックと支給品一式
[方針/行動]
基本方針:参加者を皆殺しにして優勝。そして主催者達も皆殺しにする。
0:ショーを見物する。
1:奈緒ちゃんからかがみのことを聞き出そうか。
2:奈緒ちゃん使って不死者を殺す方法ってのを試してみようか。
3:あの変態野郎(阿部)を探し出して、完膚なきまでに殺す。
4:武器をどこかから調達する。
5:死にたがってる奴は殺してやる。死にたがってない奴も漏れなく殺す。
[状態]:不死者(不完全)
[装備]:黒いスーツとコート
[持物]:デイパック、支給品一式、テッカマンエビルのクリスタル@アニ2
結城奈緒のデイパックと支給品一式
[方針/行動]
基本方針:参加者を皆殺しにして優勝。そして主催者達も皆殺しにする。
0:ショーを見物する。
1:奈緒ちゃんからかがみのことを聞き出そうか。
2:奈緒ちゃん使って不死者を殺す方法ってのを試してみようか。
3:あの変態野郎(阿部)を探し出して、完膚なきまでに殺す。
4:武器をどこかから調達する。
5:死にたがってる奴は殺してやる。死にたがってない奴も漏れなく殺す。
[備考]
※238話「ディナータイムの時間だよ(食前)」の、死亡前から参加。
※自分が不死者化していると気づきました。
※結城奈緒のデイバッグにほとんど食料は残っていません。
※238話「ディナータイムの時間だよ(食前)」の、死亡前から参加。
※自分が不死者化していると気づきました。
※結城奈緒のデイバッグにほとんど食料は残っていません。
【結城奈緒@アニロワ2】
[状態]:不死者、泥酔、疲労(小)、精神疲労(大)、柊かがみ症候群
[装備]:エレメント(能力)、黒いリボン@アニ2、不死の酒の空瓶@アニ2
[持物]:無し
[方針/行動]
基本方針:柊かがみを滅して、この殺し合いを終わらせ、元の世界へ帰る
1:たすけて・・・・・・
[状態]:不死者、泥酔、疲労(小)、精神疲労(大)、柊かがみ症候群
[装備]:エレメント(能力)、黒いリボン@アニ2、不死の酒の空瓶@アニ2
[持物]:無し
[方針/行動]
基本方針:柊かがみを滅して、この殺し合いを終わらせ、元の世界へ帰る
1:たすけて・・・・・・
[備考]
※登場時期は、212話「その少女、ゼロのリスタート」の直後です。
※柊かがみが全ての元凶であり、魔女である彼女を滅すれば殺し合いは無くなると思い込んでいます。
※左腕の黒いリボンを解くと、倍返しの呪いにより、死ぬと思い込んでいます。
※衝撃のアルベルトは柊かがみの手下だと思い込んでいます。
※爆弾、こなた、6/氏、ウッカリデスを柊かがみの手下だと疑っています。
※不死者になったとは気付いていません。
※登場時期は、212話「その少女、ゼロのリスタート」の直後です。
※柊かがみが全ての元凶であり、魔女である彼女を滅すれば殺し合いは無くなると思い込んでいます。
※左腕の黒いリボンを解くと、倍返しの呪いにより、死ぬと思い込んでいます。
※衝撃のアルベルトは柊かがみの手下だと思い込んでいます。
※爆弾、こなた、6/氏、ウッカリデスを柊かがみの手下だと疑っています。
※不死者になったとは気付いていません。
110:露骨なロワ人のテーゼ | 投下順に読む | 112:話に絡めない少女、地図の読めない女 |
110:露骨なロワ人のテーゼ | 時系列順に読む | 112:話に絡めない少女、地図の読めない女 |
085:大都会交響楽(後編) | ラッド・ルッソ | 127:不都合なものは見えない |
085:大都会交響楽(後編) | 結城奈緒 | 127:不都合なものは見えない |