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  • All I need is

ラノベ・ロワイアル @ wiki

All I need is

最終更新:2008年02月26日 18:41

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だれでも歓迎! 編集

第567話:All I need is 作:◆l8jfhXC/BA



 調査結果をまとめ終えると、淑芳は死体を埋め直した。
 小柄な少女を容れていた穴は小さく、すぐに終わった。少しの間黙祷を捧げると、泥まみれになった手を軽く払う。
(ここにも長くはいられませんわね)
 先程出会った参加者との会話を思い出しながら、出立の準備を進める。
 似たようなことを考えてここを訪れる参加者が、彼のように話が通じる者ばかりだとは限らない。
 他の参加者に託せる情報を記す前に、残りの禁止エリアを知って逃亡経路を確立させておきたかった。
 アマワを倒せる者に殺されるなら本望だが、それ以外のために無駄死にする気はない。
 ゆえに、ふたたび南に向かうことにした。
 F-1地下の格納庫に存在する玻璃壇は、参加者の動きを逐次表示している。
 先程の演説を受けて島中央へ向かう参加者は多いはずだ。彼らの移動経路を観察すれば、ある程度危険な区域の見当がつくかもしれない。
 F-1地上の遊園地で襲撃した二人組も、さすがに立ち去っている頃だろう。
(F-1までの道が安全だとは限りませんが、ここで立ち往生するよりはましですもの)
 少なくとも、F-1自体はまだ禁止されないはずだ。神社が離れ小島になってしまうし、わざわざ設置した装置をすぐに使用不可にするとは思えない。
 両袖の中の符を改めて確認した後、淑芳は南に向けて歩き出した。

 異変に気付いたのは、遊園地の東端辺りを歩いていたときだった。
(これは……なんでしょう?)
 奇妙な音が、東門の方から聞こえてきた。
 音量が大きくなるにつれ、電灯らしき光もこちらへと伸びてくる。
 袖の中に手を入れて身構えつつ正体を“神の叡智”に聞くと、即座に答えが脳裏に浮かんだ。――バイクの排気音。
 そもそも“バイク”すらわからず再度質問すると、半自動で動く二輪車に乗った誰かが、こちらに向かっていることがわかった。
 ライトの光量が強くなるにつれ、排気音は収まっていった。轢き殺されるという最悪の事態は免れたらしい。
(できれば先程のように情報を得たいところですわね。殺人者ならば、容赦する気はありませんが)
 袖から手を抜き、表面上は平静に見えるよう表情をつくる。
 やがて排気音が完全に止まると、小柄な人影が灰の大地に降り立った。バイクを傍らの木に立てかけた後、ライトに背を向けて淑芳と向かい合う。
「よぉ、ちっと聞きたいことがあるんだが、いいか?」
 人なつっこい笑顔で呼びかけたのは、顔面に入れ墨を施した、右手に大きすぎる鋏を持った少年だった。



「……名乗りもせずに問いかけるなんて失礼ですわよ。
それにそんな凶器を見せつけたまま、まともな会話ができるとお思いですの?」
 気さくな態度で話しかけても、返ってきたのは冷淡な声だけだった。
 不信感を隠そうともしない少女に対し、しかたなく零崎は“自殺志願”を地面に放った。
「すまんすまん。俺は零崎人識っつーんだが、そういうお前は?」
「李淑芳です」
 素直に名乗った後近寄ろうと足を踏み出すと、銀色の眼が鋭く細められた。
「冷てえなー。俺は殺し合いなんてしてねえってのに。武器も潔く手放しただろ?」
「得物がなくとも人を殺せる人間なんて、ここでは珍しくもありませんわ」
「それならそっちの方が怪しいだろう? 凄い返り血じゃねーか」
「わたしが乗っているか否かを証明する必要はないでしょう? 用があるのはあなたの方なんですもの」
 明確な悪意を込めて少女は笑んだ。初っ端から面倒な人間に当たってしまったらしい。
 確かに彼女の動向自体は質問には関係のないことだったが、本題に入れなければ意味がない。
「蛍光ペンだねぇ」
 考えあぐねていると、後方から声が響いた。
 突然の第三者の介入に、彼女は驚き身構える。
「あー、あのバイクはエルメスっつってな、よくわからんが喋るんだ。……平行線?」
「そうそれ」
「…………」
 種明かしをしても、余計疑念が高まっただけだった。
「……ひょっとして、その荷台の塊にも意思があるんですの?」
「お、よくわかったな」
『よろしく ね』
 頭部らしき部分をゆっくりと起こし、草の獣が挨拶する。
 ついでに長い身体も持ち上げて、何かをねだるようにこちらを見つめる。
『ぜろざき おみず』
「またか? しょうがねえなぁ」
「燃費悪いねー」
 佐山達と同行していたときも、草の獣は高い頻度で水を要求していた。佐山曰く、代謝能力が制限されているらしい。
 しかたなくデイパックをその場に下ろしてペットボトルを取り出し、エルメスの方へと向かう。
 頭部に直接中身を開けると、その身体が揺らめき草葉がさざめいた。
『つめたい けど いいかんじ』
「ただの水道水なんだが、意外といけるよなー」
 かけた水が身体を通って地面に落ちた後、零崎はボトルの栓を閉めた。
 それを持って元の場所へと戻ると、なぜか呆れた表情を見せる淑芳と目が合った。
「……傍若無人って言葉、ご存じですの?」
「いきなりなんだよ? いくらなんでもそれくらいは知ってるぜ」
 答えると、彼女は深い溜め息をついた。
「それで、結局質問はなんですの?」
「お、やっと信用してくれたか?」
「聞くだけで答えるとは言ってませんわよ? ただあなたとまともに取り合うのが馬鹿らしくなっただけですもの」
「ひでえなぁ。まぁ、聞いてくれるだけいいか。
お前は坂井悠二って言う高校生くらいの奴か、名前は知らんが義手のオッサンの知り合いか?」
 やっと言えた本題に、彼女は眉をひそめる。
「知っていたら、どうなるんですの?」
「そいつらを殺した奴が、今俺らの仲間になっててな。知り合いがいたらそいつの前で謝らせたいんで、一緒に来て欲しいんだよ」
 そう佐山は言っていた――と、胸中で付け加える。
 その二人を殺したのは、他でもない零崎自身だった。二人とも特に理由もなく、いつもの調子でただ殺した。
 佐山は――自分を敗北させた上に仲間になろうなどと傑作なことを言ってきた人間は、それを咎めて被害者との和解を画策している。
 しかし一度は失敗し、殺意をむき出しにされて追いかけられた。自分としては充分に謝ったつもりなのだが、うまく伝わらなかったらしい。
 それを反省し、今度は最初から彼の仲立ちの元で話し合うために、まず被害者を倉庫に連れてくることとなった。
「さっきの演説と似たようなことを考える奴がいてな。全員をまとめ上げて主催者に立ち向かいたいんだとよ」
「その仲間のいる場所と、殺人者の名前は?」
「どっちも言えねえな。
名前だけ凶悪犯として知ってる奴だったら、先入観に囚われるだろ?
それに場所を知った途端、俺を振り切って暴走されたら困るからな」
 どちらも佐山が用意しておいた反論だ。
 零崎自身が殺したことだけは伏せ、それ以外は包み隠さず――というのがあらかじめ伝えられた方針だった。
「内容も態度も説得力がまったくありませんわね。怪しすぎて逆に疑う気力が失せるくらいですわ」
「もちろん無理には誘わねえ。
ただ、もしお前が二人の知り合いだったり、知り合いの知り合いだったりしたら、犯人が反省してることだけは知っておいてくれ」
 無理強いはするな、とも佐山は言っていた。しかしもし襲われたら、逃げながら倉庫まで誘導しろとも。
 相変わらず慎重なのか大胆なのかよくわからない。それなら最初から相手を怒らせて誘導した方が手っ取り早い気もした。
『しゅくほう れいほうの かぞく?』
 重い空気の中、不意に草の獣が口を挟んだ。
 その暢気な声とは正反対に、淑芳の表情に緊張が走る。
「麗芳さん、ですって……!?」
『しゅくほう かばね おなじ なまえ にてる』
「確か宮下の知り合いだったか? 奇遇だな」
『みやした れいほうと いっしょだった しゅくほうも いっしょ きっと いい』
 無邪気な台詞に聞こえるが、草の獣の意思からの言葉だとは限らない。
 佐山の側にある割り箸とこの獣は意思が繋がっており、簡易な連絡手段となっていた。彼の勧誘の意図が含まれているかもしれない。
「それならとにかく一緒に来てくれねーか? お前だって、もう死んでるとはいえ身内の情報は欲しいだろ?」
「……一つ、こちらからも質問があります」
「あ?」
「あなたには、守るべき相手がいますか?」
 意図が分からない切り返しをされ、対応に困る。
 先程エルメスにも問われたことだったが、あいにくそんな人物は自分にはいない。
 しばらく考え込んだ後、零崎は無難な答えを作り出した。
「とりあえずはお前だな。来るにしろ来ないにしろ、なんかあったら困る」
「そうですか」
 短い返答からは、感情は読み取れなかった。
 ただ身構えていた姿勢が崩され、こちらに向けて足が一歩踏み出される。
「行くことにしますわ。その殺人者と仲間に、言いたいことが出来ましたの」
 緊張の解けた柔らかな笑みを浮かべながら、淑芳は距離を詰めていく。
 ひとまずはうまくいったらしい。慣れない仕事の達成に、思わず息をつく。
 彼女がもう警戒していないことを確認した後、地面に置いた“自殺志願”を取り、それを彼女の眉間に向けて、
(……あぶねえあぶねえ)
 鋏を投げようとした右手を、寸前で止める。
 ここで殺してしまっては意味がない。今までの苦労を台無しにするところだった。
「ん?」
 改めて鋏を回収したところで、正面に淑芳が立っていることに気づいた。
 何をするでもなく、彼女はこちらをじっと見つめている。
「なんだよ?」
「言ったでしょう? “殺人鬼”とそれを飼う仲間に、言いたいことがあると」
 銀の眼光が収斂され、直後彼女の右手から何かがこぼれ落ちた。
「死になさい」
 丸めた紙切れが地面に触れた途端、激しい突風が零崎を襲った。


「臨兵闘者以下略! 劫炎来々、急々如律令!」
 暴風で門に叩きつけられた零崎に向けて、淑芳は新たな符を投げつけた。
 紙片は瞬時に燃え上がり、炎の矢となって大気を駆ける。昼の騎士のときとは違い、手加減は一切していない。
 勢いよく迫る火炎は、しかし彼を捕らえられなかった。寸前で横に転がって避けられ、門を焦がすだけにとどまる。
 すぐに袖から追加の符を数枚取り出し、ふたたび零崎へと放った。
 無数の爆炎が彼の眼前に生じその身を焼き尽くす、はずだった。
(速い――!)
 符が炎に転じる前に、両刃の大鋏に切り裂かれた。効果が発動する前の符は、ただの紙きれでしかない。
 それでも一枚だけ攻撃から逃れた符が、大気を朱に染めた。規模は小さいが、人間ならば充分に焼き殺せる力が発される。
「さすがにあちぃな」
 だが爆音に紛れて聞こえてきたのは、悲鳴ではなく暢気な呟きだった。
 それも、上空から。
「……!」
 見上げると、小柄な体躯が宙を舞っていた。
 炎をまたぐように跳躍した零崎が、火の粉と共に急降下してくる。制限下にあるとはいえ神仙の技を、彼は脚力と勘だけで避けてしまった。
 舌打ちする暇もなく、咄嗟に足下のデイパックを取り眼前にかざす。
 直後、速度と体重を乗せた斬撃が布地を貫いた。刃が鼻先にまで届き、背筋に悪寒が走る。
 その重すぎる衝撃に腕が耐えられなくなる前に、新たな一撃が腹部を襲った。
 蹴られたと認識したときには、すでに身体が地面に叩きつけられていた。
 それでも痛みに耐え、起きあがるよりも先に右手を袖に差し入れ符を掴み、
「ここまでだ。殺して解して並べて揃えて晒して……はだめなんだったか。くそ、面倒くせえな」
 そこで終わった。
 背後から、零崎が右腕を押さえつけていた。さらに大鋏の刃が、首を落とす寸前で止められている。
 刃が後少しでも動けば、淑芳の命は潰える。
 背筋といわず全身が凍った気がした。デイパックごと切られたボトルからこぼれた水と、皮膚に触れる鋭い刃が、ひどく冷たく感じられる。
「しかし、なんで俺が殺人鬼ってわかったんだ? 今回は名乗らなかったはずだが」
「……一見親しげなのに突然大鋏を向けてくる、誰かに殺しを止められている殺人鬼――少し前にそう教えられましたもの」
 右手の符を握りしめながら、淑芳は答える。
 名乗りもしなかった参加者からの情報だったが、“生存中の誰にとっても要注意な人物”であることは確実だった。
 なにより嘘にしては、特徴が適合しすぎている。
「有名税って奴? 大変だね」
『ぜろざき にんきもの?』
「かははっ、もてはやされる殺人鬼なんて、戯言にもならねーな! ……まぁ、普通に悪評だよなぁ」
 こちらを無視した緊張感のないやりとりは、先程とまったく変わっていない。
 刃や足下の冷たさとは反対に、胸中で怒りが憎悪へと煮えたぎっていくのを感じた。
 演技をする余裕もなく、声を震わせながら弾劾する。
「二人と……麗芳さんを殺したときも、そんな態度でしたの?」
「あ? 麗芳って奴は殺ってねえよ。俺がうっかり殺しちまったのは、さっき言った二人だけだ。
こう見えても悪かったとは思ってるんだぜ。謝ってもいいって思うくらいにはな」
 悪戯を告白する子供のような――その程度の反省しか彼は見せない。
「……そんな謝罪だけで済ませるなんて、虫がよすぎるとは思いませんの?」
『さやま やくそくした みんな いっしょに かえる』
「後は主催者を倒すために力を貸すってだけで充分じゃねえか? 俺を殺したってここから出られなけりゃ意味ねーだろ」
『それに きえても ずっと いっしょ』
「思い出とかは死んでも消えないってことだっけ? 確かにいつまでも拘泥してたら先に進めないもんね」
 ある意味現実に即した考え方だったが、彼らにとって都合がよすぎるとしか思えない。
(みんな、ですって? こんな人の命を何とも思わない――アマワに立ち向かう資格すらない輩とすら協力しろと言うんですの?)
 そんなことは間違っている。
 アマワへの復讐を他人にやらせようとしている自分同様――いや、殺された者の気持ちを踏みにじっているという意味ではそれ以上だ。
「確かに許せない気持ちはわからんでもないがな。共感はできねーが。
けどよ、お前の場合もう少し力の差を考えた方がいいんじゃねえか? 単なる勘だが、お前ピンに慣れてねえだろ?」
 図星だった。
 後方に陣取り、術で麗芳や鳳月達を援護するのが淑芳の常だった。姉とは違い、肉弾戦はまったくできない。
 神通力はほとんど封じられ、体力は普通の人間並になっている。一人で立ち回るには力不足すぎた。
 この場を打開できる力も、当然残されていない。
 さらに彼らの拠点に連れて行かれれば、行動の自由は確実に奪われる。なによりこんな殺人鬼のそばにいれば、いつ殺されてもおかしくない。
 身体が震え、思考が混濁する。符を掴む指が泳ぎ、右肘が左指にある何か硬いものに当たる。
(……何を、考えているんでしょうか、わたしは)
 それが何か気づくと同時に、淑芳は絶望を振り払った。
 その指を包むように、左手を強く握りしめる。
「……確かにあなたの方が、わたしよりも強いでしょうね」
 素直に認めた言葉に、もう恐れはなかった。
 無力でかまわない。それでも生きて抗うことを選んだ理由を、まだ覚えている――忘れかけ、たった今思い出したのだから。
「それでもわたしには、愛があります」
 告げるとともに、淑芳は右手に掴む符を発動させた。
 左腕や袖の中の符を巻き込んで、紅蓮の炎が吹き上がる。さすがに驚いて、零崎の拘束がわずかに緩む。
 しかし、炎は一瞬で消える。元々見た目が派手なだけで勢いのない、文字通りの目眩ましでしかなかった。

 だから、まだ左腕が使える。

 稼いだ一瞬で左指のそれを抜き取った後、淑芳は自ら左腕に大鋏の両刃を突き入れた。
 肉が紙細工のように裂け、骨を削りながら反対側の皮膚を突き破る。
 かつて無いほどの激痛と熱が駆けめぐるが、悲鳴だけは堪える。ここで声を嗄らすわけにはいかなかった。
 鋏に腕を喰わせている間に、右手を彼に向けて伸ばす。
「な――」
 右手に掴んだ銀の指輪の直径が、何かに引っ張られるかのように大きさを増していく。
 それを彼の頸部に引っかけると、すぐに手を離した。
 即座に輪は拡大を止め、今度は収縮し始める。抗おうとする彼の手ごと、その首を締め付けようとする。
 それでも、零崎は鋏を持つ手を緩めなかった。背を向けて逃げ出そうとする淑芳の腕から、筋を断つ音を響かせ血塗れの刃が抜き出される。
 足は止めず、悲鳴もあげなかった。あげてやるものか。
 ただ食いちぎりそうな勢いで歯を唇に食い込ませて、淑芳は走った。
 その間も輪の収縮は止まらない。鋭い刃が硬いものに当たる音を聞きながら、ひたすら距離を離す。
 姉の麗芳と揃いの指輪――太上老君が鍛えた武宝具である圏は、そう簡単には壊れない。
 もちろん完全に絞まるまでの間、彼が何もしないわけがない。だからこそ、距離を取る必要があった。
 硬質な音が止むと同時に、右袖から取り出した符を宙に投げる。
 そこで初めて振り向くと、予想通り大鋏がこちらへと投擲されるのが見えた。見えたところで、まず避けられない速度と威力があることは当然知っている。
 ここまで足掻いても、相手にこれだけの反撃を許してしまう程度の力しか、今の淑芳にはない。
 だが、それがどうした。
 力がなければ頭を使えばいい。好機がなければ身体を切り売りすればいい。
 足下には仲間の屍が重なり、前方には憎むべきすべての元凶が存在するというのに、惜しむものなどない。
「臨兵闘者以下略! 電光来々、急々如律令!」
 叫びを受け、空中の符が紫電となって地に放たれた。そこに突進した大鋏と――零崎の身体が光に包まれる。
 先程彼がこぼしたペットボトルの水が、電撃の壁と彼とを繋いでいた。
 水はこちらの手前ぎりぎりまで、川のように流れていた。彼に淑芳を正確に狙える実力がなければ、成り立たない策だった。
 雷が消え、失血から淑芳が膝を着いたときには、彼もその場に崩れ落ちていた。


○


 格納庫への通路を淑芳は歩いていた。早朝潜入したときとは違い、その足取りは重い。
 その最たる原因である腕の裂傷は、大量の止血の符と零崎が持っていた包帯を使っただけで、傷も痛みも消えていない。もう二度と動かせないだろう。
 疲労も蓄積していた。昼以降の時間の大半は、結局逃亡と潜伏に費やしてしまった。
 それでもまだ倒れるわけにはいかなかった。足を止めるのは、アマワに抗える者のために死ぬときだけだと決めていた。
 ひとは、愛がある限り戦える。
(だから、愛がない者は死ねばいい)
 あの殺人鬼とその仲間は、まだ殺していなかったが。
 彼に放った雷撃は、最初から気絶と大火傷程度で済むように手加減していた。
 もちろんそのままにはせず、零崎は井戸に、他の一台と一匹は遊園地内の見つかりづらい場所に移動させた。井戸の水は浅く、溺死する心配はない。
 加えて零崎は圏で身体を拘束し、草の毛の動物は荷台に使っていた紐に捕縛の符を絡めて縛っておいた。
 始末の途中で意識のある二つには何か話しかけられた気もするが、すべて聞き流していた。痛みに耐えながら行動するだけで精一杯だった。
 エルメスや草の動物は陸のように支給品扱いだろうが、零崎の名前は名簿にあった。
 もし今彼を殺し、次の放送でその名が呼ばれれば、仲間である“佐山”や“宮下”がここに向かう可能性は高い。
 “被害者の知人捜し”は広範に渡るだろうが、おおまかな地域を指定せずに行動させているとは考えづらい。
 もし“遊園地周辺”と指定されていれば、まっすぐこちらへと状況を調査しに来るだろう。
 しかし放送で呼ばれなければ、たとえ“放送までに帰ってくる”と言われていても、少しの間は遅れているだけだと判断される。
 わずかでも稼げる時間で、状況の把握と逃亡をこなしておきたかった。
 零崎の持っていた地図から残りの禁止エリアは判明したが、やはり玻璃壇でおおまかな人の流れは確認しておきたい。
 その後はどこか見つかりづらい場所で、符を作り直した後休息するつもりだった。今のままでは、彼らの仲間に立ち向かえない。
(あんな殺人鬼でさえ許して仲間に引き入れるような方々ですから、それ相応の力があるでしょう。万全の状態で彼らの敵になるべきです。
彼らは確かに間違っていますけど、まだ正しくなることができますもの)
 博愛主義ではやっていけないことを、悪逆非道な人物を演じることで知らしめてやればいい。
 回収した大鋏を見せて零崎を人質に取ったことをほのめかし、必要ならば監禁した彼らを引っ張り出して目の前で殺してもいい。
 もし本当に彼らが麗芳の元仲間だったならば、なおさら狂人を貫かねばならない。
 彼女が守ろうとしたものを、アマワに敗北させてはいけない。
(そんなこと、麗芳さんは望んでいないでしょうし。
……わたしにも生き残って欲しいと思っていたでしょうけど、それはもう、無理ですもの)
 指輪を填めていた中指を眺めながら、開始直後のことを思い出す。
 突然の惨劇に不安と絶望を覚える自分を、彼女は肩を抱いてなだめてくれた。
 その際指を絡めて、没収されなかった互いの指輪を触れ合わせ、その存在を教えてくれていた。
 その手の温もりは、今はもう失われている。それを求める資格も、今の自分にはない。
 枯れ果てたはずの涙が一筋、その代わりのように頬を伝った。




【F-1/格納庫への地下通路/1日目・23:30頃】
【李淑芳】
[状態]:左腕に深い裂傷(血は止まっているが、傷は癒えておらず痛みがある。動かせない)
    服が血塗れ、左袖が焼失。左腕に止血の符と包帯を巻いている。
    精神の根本的な部分が狂い始めているが、表面的には冷静さを失っていない。
[装備]:呪符(5枚)
[道具]:デイパック(支給品一式・パン4食分・水800ml)、自殺志願(マインドレンデル)(少し焦げている)、
    由乃の死体の調査結果をまとめたメモ
[思考]:玻璃壇で周囲の参加者の様子を確認した後、遊園地から離れる。符を作り直して休憩を取る。
    外道らしく振る舞い、戦いを通じて参加者たちを成長させ、アマワを討たせる。
    アマワに立ち向かえないと思った人間の命は考慮しない。
    役立ちそうな情報を書き記し、託せるように残す
[備考]:第三回放送を途中から憶えていません(禁止エリアは知っている)。『神の叡智』を得ています。
    契約者ではありませんが、『君は仲間を失っていく』と言って、アマワが未来を約束しています。

【F-2/井戸の中/1日目・23:30頃】
【零崎人識】
[状態]:気絶中。全身に大火傷。
[装備]:圏(身体を拘束されている)
[道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分。一部が濡れているおそれあり)
    砥石、小説「人間失格」(一度落として汚れた)
[思考]:島の南方面を探索。
    悠二、シュバイツァー(名前は知らない)の知人に出会ったら倉庫に連れて帰る。
    気まぐれで佐山に協力。参加者はなるべく殺さないよう努力する。
[備考]:記憶と連れ去られた時期に疑問を持っています。

※エルメス、草の獣(複数の符をつけて強化された紐で拘束済)は遊園地のどこかに隠されています。
※草の獣が得た情報は、すべてムキチに伝わっています。


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第566話 第567話 第568話
第537話 時系列順 第541話
第564話 李淑芳 -
第561話 零崎人識 -
第561話 エルメス -
第561話 草の獣 -



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