きっさんらが
幻想世界Ⅰ
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幻想世界Ⅰ
僕は見ていた。
遠い世界を。
遠い世界を。
薄暗い場所だった。
どこなのだろう、ここは。
屋内のようだった。
閑散としていた。
机が見える。
人が居るべきだった。でも、居なかった。
なにひとつ、動くものなく…
ただ、時間が過ぎる。
………。
どこなのだろう、ここは。
屋内のようだった。
閑散としていた。
机が見える。
人が居るべきだった。でも、居なかった。
なにひとつ、動くものなく…
ただ、時間が過ぎる。
………。
もし僕が、新しい命として、生まれる場所を探しているのなら…
この世界を選んではいけないと思った。
僕は怯えていたのだ。この世界に。
この世界を選んではいけないと思った。
僕は怯えていたのだ。この世界に。
僕はずっと前から気づいていた。
この世界は終わってしまっている、ということに。
もう、ここでは何も生まれず、何も死なない。
過ぎる時間さえ、存在しない。
だから、終わることすらない。
一度生れ落ちたが最後。
終わりのない世界に閉じ込められ、二度と出られなくなる。
死ぬこともなく、新しい世界に生まれることもできない。
そんな凍てついた世界を、僕は見ていた。
この世界は終わってしまっている、ということに。
もう、ここでは何も生まれず、何も死なない。
過ぎる時間さえ、存在しない。
だから、終わることすらない。
一度生れ落ちたが最後。
終わりのない世界に閉じ込められ、二度と出られなくなる。
死ぬこともなく、新しい世界に生まれることもできない。
そんな凍てついた世界を、僕は見ていた。
このまま目を閉じて、ここから去ろう…
そう思う。
そう思う。
どうか…次、目覚めたときは、この世界ではないよう…。
もっと、素敵で、温かな世界でありますように。
僕は目を…
もっと、素敵で、温かな世界でありますように。
僕は目を…
この世界での、意識を閉じた。
………。
………。
そのとき、一瞬、光が揺らいだ。
何かが動いたのだ。
その正体はわからない。
けど、動く何かがある。
この世界は、終わっていなかったのだろうか…。
…あるいは、終わっている世界に住む、何かなのだろうか。
何かが動いたのだ。
その正体はわからない。
けど、動く何かがある。
この世界は、終わっていなかったのだろうか…。
…あるいは、終わっている世界に住む、何かなのだろうか。
窓から漏れる光を受けた壁。
その影の部分が動いている。
もし『目』を動かせたなら、見えたかもしれない。
でも、まだその正体はわからない。
ゆっくりと動いている…。
やがて、壁は元通りの光を映し出し…
代わりに、ひとりの少女が目の前に現われた。
その影の部分が動いている。
もし『目』を動かせたなら、見えたかもしれない。
でも、まだその正体はわからない。
ゆっくりと動いている…。
やがて、壁は元通りの光を映し出し…
代わりに、ひとりの少女が目の前に現われた。
まだあどけなさが残る。
僕のことをじっと見ていた。
見えるのだろうか、僕が。
彼女の手が僕に向けて差し出される。
けど、それは僕に触れることなく、通り過ぎた。
そう…
僕はこの世界に生まれていない。
だから、触れることができないのだ。
でも、だとしたら…どうして彼女は僕に気づいたのだろう。
姿だけは見えているのだろうか。
それはどんな姿で?
彼女は引いた手を、左右に振った。
そして僕から離れていく。
見えなくなった。
僕のことをじっと見ていた。
見えるのだろうか、僕が。
彼女の手が僕に向けて差し出される。
けど、それは僕に触れることなく、通り過ぎた。
そう…
僕はこの世界に生まれていない。
だから、触れることができないのだ。
でも、だとしたら…どうして彼女は僕に気づいたのだろう。
姿だけは見えているのだろうか。
それはどんな姿で?
彼女は引いた手を、左右に振った。
そして僕から離れていく。
見えなくなった。
…こんな世界に、人がいた。
終わってしまった世界で、彼女は何をしているのだろう?
どんな暮らしをして、何を糧に生きているのだろう?
生き続けているのだろう?
僕は、どうしてか、彼女のことが気になった。
それはこの世界の異質さからだろうか…。
まだ、僕は怯えている。
…この世界に、生まれてはいけない。
でも、少女はそんな場所に住んでいた。
だからだろうか…。
終わってしまった世界で、彼女は何をしているのだろう?
どんな暮らしをして、何を糧に生きているのだろう?
生き続けているのだろう?
僕は、どうしてか、彼女のことが気になった。
それはこの世界の異質さからだろうか…。
まだ、僕は怯えている。
…この世界に、生まれてはいけない。
でも、少女はそんな場所に住んでいた。
だからだろうか…。
………。
また僕はこの世界を見ていた。
多くは、退屈な静止した世界だった。
でも、時折、少女が目の前に現われてくれる。
少女と僕は、意思の疎通ができなかった。
だから、彼女は、僕を見る以外のことはしなかったし、僕も、彼女を見る以外のことはできなかった。
でも、確かに…
その瞬間を、僕はいつも待ちこがれていたのだ。
多くは、退屈な静止した世界だった。
でも、時折、少女が目の前に現われてくれる。
少女と僕は、意思の疎通ができなかった。
だから、彼女は、僕を見る以外のことはしなかったし、僕も、彼女を見る以外のことはできなかった。
でも、確かに…
その瞬間を、僕はいつも待ちこがれていたのだ。
少女の生活は孤独だった。
少女以外に、誰もいなかった。
それは当然だった。
ここからは、何も生まれず、何も死なない。
そんな世界だ。
少女以外に、誰もいなかった。
それは当然だった。
ここからは、何も生まれず、何も死なない。
そんな世界だ。
だからだろう。
飽きもせず、僕なんかを見てくれるのは。
飽きもせず、僕なんかを見てくれるのは。
ある日、彼女は胸にたくさんの何かを抱いて目の前に現われた。
それは、大小さまざまの…ガラクタだった。
ガラクタとしか言いようのない…用途のわからない物ばかり。
それは、大小さまざまの…ガラクタだった。
ガラクタとしか言いようのない…用途のわからない物ばかり。
そこから彼女は、長い時間をかけて、そのガラクタを組み上げ始めた。
どれだけの時間が過ぎただろうか。
少女の目の前には彼女の半分の背丈ほどの人形が立っていた。
少女の目の前には彼女の半分の背丈ほどの人形が立っていた。
少女は誇らしげに立つと、僕に顔を向けた。
彼女の顔を見て、ようやく気づく。
その体は、僕のためのものだったのだ。
彼女の顔を見て、ようやく気づく。
その体は、僕のためのものだったのだ。
でも、僕はどうすればいいのだろうか。
よくわからなかった。
よくわからなかった。
望めばいいのだろうか。
この世界に生まれることを。
僕はそんなことを望んでいたのだろうか。
僕は今でも、この世界を恐れているのだ。
生も死もなく…
二度と、抜け出ることができない世界…
本当に、そんな閉ざされた世界だったら…
僕という存在は、ここで終わるのだ。
この世界に生まれることを。
僕はそんなことを望んでいたのだろうか。
僕は今でも、この世界を恐れているのだ。
生も死もなく…
二度と、抜け出ることができない世界…
本当に、そんな閉ざされた世界だったら…
僕という存在は、ここで終わるのだ。
少女が差し出す手…
擦り傷だらけの手を、僕はじっと見た。
この世界で…たったひとつの温もり。
擦り傷だらけの手を、僕はじっと見た。
この世界で…たったひとつの温もり。
いつしか…
僕はそれを求めた。
僕はそれを求めた。