短編 蒼×薔薇 の二段目とさりげなく話繋がってる
「薔薇水晶、」
「そ…蒼星石…どう、したの?その格好……まるで、王子、様…みたい…」
「だって、僕は君の王子様だもの」
「え…!?」
「薔薇水晶…好きだよ……」
「あ……そう、せ………………」
――ピピピピ、ピピピピ
「…ふぇ!?」
「そ…蒼星石…どう、したの?その格好……まるで、王子、様…みたい…」
「だって、僕は君の王子様だもの」
「え…!?」
「薔薇水晶…好きだよ……」
「あ……そう、せ………………」
――ピピピピ、ピピピピ
「…ふぇ!?」
勢いよく、薔薇水晶は上半身を起こした。すぐ真横にある窓からは、太陽の陽射しが延びており、今が朝だという事を理解した。キョロキョロと周りを見回すと、そこは成れ親しんだ自分の部屋だった。
「……夢…か…」
ポツリ、と呟く。安心感と同時に、ちょっとだけ残念な気持ちが込み上げた。あと少し目覚ましのアラームが遅ければ、自分と蒼星石の唇と唇が――。
「……って!…私ったら何て事、考えて、るの…」
溜め息を吐きながら、薔薇水晶はクローゼットから制服を取り出し、自分の着ていたパジャマに手をかけた。
―――――
「……薔薇水晶?」
「……え、?」
「……え、?」
気が付けば、視界に蒼星石の顔が現れた。様子を伺うような表情たが、少しだけ心配そうなものだった。ちょっと驚いたが、実際にリアクションする程ではない。
「どうしたの?ボーっとして」
「…いえ、なんでも…ないです…」
「…いえ、なんでも…ないです…」
貴方とキスする夢を考えていた、なんて口が裂けても言えなかった。これから、どんな顔をして話せば良いのか、分からなくなってしまう。
「……顔赤いよ?熱でもある?」
「……っ!?」
「……っ!?」
ふと、心配そうな顔が迫ってきた。その光景が夢と重なり、思わず瞼をギュっと閉じる。しかし、予想に反して、額に何かが当たっただけだった。
この前のデートの時とは違い、柔らかいものではない。ゆっくり瞼を開くと、額と額が触れていた事に気付く。
この前のデートの時とは違い、柔らかいものではない。ゆっくり瞼を開くと、額と額が触れていた事に気付く。
「……え…え?」
「熱は…無いね」
「熱は…無いね」
どうやら、熱を計る為に額をくっつけただけだったらしい。と、途端に体の力が抜けた。
「ば、薔薇水晶?大丈夫?」
「……きゅう……」
「……きゅう……」
そのまま、視界は歪んでいき、意識は闇に飲まれてしまった。
「は、薔薇水晶!?た、大変だ!保健室行かなきゃ!」
―――――
「……ん?」
ふと病院特有の薬臭さを感じ、目を覚ました。
「……此処、は…?」
「保健室だよ」
「保健室だよ」
カーテンの向こうからひょっこりと、蒼星石は顔を出した。
突然倒れて、保健室に運ばれた事を大まかに説明された。ちなみに何気無い事だが、蒼星石に運ばれたらしい。
突然倒れて、保健室に運ばれた事を大まかに説明された。ちなみに何気無い事だが、蒼星石に運ばれたらしい。
「ご…ごめん、なさい……重かった、でしょ…?」
「そんな事ないよ。それより、体調は大丈夫?」
「大丈夫、です。迷惑かけて、ごめんなさい……」
「大丈夫なら…良かった」
「そんな事ないよ。それより、体調は大丈夫?」
「大丈夫、です。迷惑かけて、ごめんなさい……」
「大丈夫なら…良かった」
本当に安堵した表情で、蒼星石は側にあった椅子に腰かけた。心の底から、薔薇水晶を心配していたようだ。少し大袈裟に見えるが、薔薇水晶にとっては嬉しく、幸せな事だった。
少し間を挟んで、蒼星石はふと切り出した。
少し間を挟んで、蒼星石はふと切り出した。
「とくに体調が悪いわけじゃ無かったら…悩み事、とか?」
「……う……」
「図星みたいだね」
「……う……」
「図星みたいだね」
くす、と笑みを溢した。笑われた、という事が、薔薇水晶の頬に赤みを持たせた。
「言えない事なら無理には聞かない。でも、僕はいつでも相談に乗るからね」
「…蒼星石……」
「…蒼星石……」
自分で勝手に夢を見て、勝手に悩んでいたのに。こんなにも心配されていたなんて――。
「ごめん、なさい…。…ただ、夢を見たんです…」
「夢?」
「夢?」
もう隠す事は止めた。相手のリアクションが気にならないと言えば嘘になるが、これ以上蒼星石に心配をかけたくなかった。
すぅ、と息を吸い込み、口を開いた。
すぅ、と息を吸い込み、口を開いた。
「…今日、…そ、蒼星石と……き、…キス、する夢を見て…」
「……へ?」
「……へ?」
告げた直後、蒼星石は無言になった。その間が、蒼星石から出る言葉が怖くて、謝ろうとした瞬間。
「…ぷっ……あはははははっ」
何故か、彼女は盛大に笑い始めた。
「…………」
そんな蒼星石を見て、ポカン、とするしか思い付かない薔薇水晶。どんなリアクションで返されるか、鬱になりそうなものまで考えていたが、まさか笑われるとは想像もつかなかった。次第に思考が働き、ちょっとした怒りが込み上げた。
「…わ、笑わ、ないで下さい…!」
「くく…ご、ごめ……」
「くく…ご、ごめ……」
謝ろうとしている事は分かるのだが、まだ笑っていた。いつの間にか、薔薇水晶の頬は真っ赤になっていた。
「だって、あんなに真剣な表情してたから…どんな深刻な事かと思ったよ」
「わ、私にとっては…深刻です…!相談しようと、思ってたけど…嫌われちゃうかと思って…っ」
「わ、私にとっては…深刻です…!相談しようと、思ってたけど…嫌われちゃうかと思って…っ」
ピタリ、と笑っていた蒼星石が止まった。緩んでいた表情から真剣なものになる。
「…どうして嫌われると思ったの?」
「…き、キスする夢なんて…気持ち悪い、って…思われると、思って……」
「…き、キスする夢なんて…気持ち悪い、って…思われると、思って……」
突然真剣になった蒼星石に驚きを隠せなかった。けれど、真剣に言っているのなら、こちらも真剣に答えなければいけない。それが薔薇水晶の思いの一つだった。
だが、思いとは裏腹に、眼帯をしていない左の目からは、涙が溢れていた。
今こそ、本当に嫌われてしまうのではないかと――。
だが、思いとは裏腹に、眼帯をしていない左の目からは、涙が溢れていた。
今こそ、本当に嫌われてしまうのではないかと――。
「……薔薇水晶」
名前を呼ばれ、反射的に瞼をギュっと閉じた。
ふと、閉じた瞼から頬にかけて、に温もりを感じた。
ふと、閉じた瞼から頬にかけて、に温もりを感じた。
「……え、?」
そっと瞼を開くと、温もりは蒼星石の唇だという事に気が付いた。
「え…え…?」
戸惑い、頬がトマトの様に赤くなる薔薇水晶を見て、蒼星石は優しい表情でくすり、と笑った。それから、ギュ、と抱き締めた。
「…ごめん。この間のデートの時、変な期待をかけちゃったんだね」
この間のデート、と聞いて、薔薇水晶の脳裏にその時の事が浮かんだ。
――唇は、また今度ね?
――唇は、また今度ね?
「っ……」
これ以上頬が赤くなるのは難しい筈なのに、より赤くなった様な気がした。
「ちょっとした悪戯のつもりだったんだけど…悩ませちゃったみたいだね」
先程よりも強く抱き締められた。苦しくはなく、寧ろ心地好かった。
「…待たせて、ごめんね?」
あの時の様に、耳元で囁かれた。言葉を発しようとしたが、それは叶わなかった。
自分の唇に感じた、何よりも幸せな温もりがあったから。
自分の唇に感じた、何よりも幸せな温もりがあったから。
end