トカ、『楽園』を望む ◆Rd1trDrhhU
あるモンスターの胃袋の先。
暗い暗い洞窟の最奥。
俺は立ちすくんでいた。マントルのように胸中を巡る衝動を押し殺しながら。
ただひたすらに、眼前に広がる暗闇を真似し続けた。
「……」
真っ黒な孤独の中で、俺は外界の明るさに思いをはせる。
仲間たちとともに救った世界は、色に満ちあふれていた。
ケフカによって半壊させられた後ですらも、その力強い彩りは失われることはなかった。
あの旅路の中で、俺は何回の物真似をしただろうか。
すべてが出来事が懐かしく、すべての人間が恋しかった。
可能ならばもう一度、あの世界へ旅立ちたい。そして、色鮮やかな人間と言う生き物を、もっと。
そんな思いを押し殺しながら、俺はひとり寂しく闇を模倣する。
「……何の用だ?」
漆黒の暗闇より這い出てきた銀色に話しかける。
ロックやエドガーならともかく、まさかこの男が俺を訪ねてくるとは思いもしなかった。
驚きのあまり、そっけない態度を取ってしまった己をこっそりと戒める。
洞窟内のモンスターを一人でなぎ倒してきたのだろう、男は酷い格好をしていた。
高そうな服は汚れに汚れ、敵を貫き続けた槍もボロボロである。
とはいえ、奴自身はかすり傷一つ負ってはいない。さすがは世界を救いし仲間の一人だ。
「俺の物真似をしないか?」
まるで友人を海にでも誘うかのような軽い口調。
そんな事を伝えるために、遠路はるばるこのダンジョンを攻略してきたのか……。
俺は、この男の真意をはかりかねていた。
「お前は、今なにをしているんだ?」
相手の意図を探るつもりの一言。
だが、それを言い放った後で俺は気づいた。
エドガーたちが初めてここを訪れたときにも、俺はこんな台詞を吐いたはずだ。
ボロボロの格好で、しかも傷だらけになってここまでたどり着いた四人。
彼らに、俺は今したものと全く同じ質問をした。
その時の、あの得体の知れないモノを観察するような彼らの視線を俺は忘れない。
「俺は今、世界を飛び回っている」
そう返答した奴の笑顔を見て、俺は悟った。
あぁ、俺はこのギャンブラーの術中に嵌ってしまっていたのだ。
少しばかりの悔しさと急速に膨らむ高揚感を押し殺して、俺は続けた。かつてのように。
「そうか。世界を飛び回っているのか。
では、俺も世界を飛び回るというものまねをしてみるとしよう」
それを聞いて男は大声で笑う。「ちょうどクルーを募集していたんだ」と。
負けを認めた俺も一緒になって笑う。彼のモノマネをするふりをして。
俺は、ファルコン号の副船長となった。
それは、俺がこの殺し合いに参加する半年も前の出来事。
◆ ◆ ◆
頭上に広がるのは、先刻の戦いの傷跡。
アシュレー・ウィンチェスターが、鋼鉄の天井にこさえた大穴である。
そこから通じる大空を物憂げに見上げるのは、一人のものまね師。
物真似狂の彼にしては珍しいことだが、誰の真似をするでもなく『彼のままで』ぼぅっと天を眺めていた。
スクリーンに映し出された映像を鑑賞するかのように。
「なんだよ、ここにいたのか」
彼の背中を見つけた赤毛の侍が語りかけた。
その乱暴な語り口は、傷だらけの城が生み出す退廃的な雰囲気すらも台無しにしてしまう。
暗殺者との戦いで主戦場となったこの部屋には未だに微かな熱気が残っていて、それを頬に感じた
トッシュの目が一瞬だけギラついた。
「…………」
ゴゴはなにも答えなければ、振り向きもしない。
トッシュはそんな彼のすぐ後ろに立ち、同じように馬鹿でかい穴を覗き込んで、その先にあるのが何の変哲もない水色の空である事を確認した。
こうしているとまるで自分たちが大きな壷の中に住んでいて、その入り口から外の世界を覗き見ているかのような感覚にとらわれる。
頭を掻きながら無遠慮に大きく欠伸をすると、ゴゴの返事を待つことなく言葉を続けた。
「ナイトブレイザー……だったか。大したモンだよなァ」
「…………」
沈黙を守るゴゴへと一歩的に語りかけながら、降り注ぐ太陽光に目を細めるトッシュ。
巨大な円形を目の当たりにし、バニシングバスターとやらの出力の凄まじさを改めて実感する。
シャドウとの戦いの後、砂漠のフィガロ城に残されたのはトッシュとゴゴ、アシュレー、そしてトカ。
マトモな会話が期待できない爬虫類を除いた三名が行ったのは、情報交換……とは名ばかりの尋問。
アシュレーの体に流れる禍々しい気、そしてその邪の力が彼の身に起こした変化について、トッシュが全力の殺気を持ってして追求したのだ。
アシュレーの辿々しい説明を黙って聞き終えた侍。意外にも、彼はすんなりとその絵空事のような話を信用してしまった。
彼曰く「なんだか知らねえが、とにかくよし」。
思考放棄も甚だしいトッシュの反応に、アシュレーは思わず拍子抜けしてしまったようだ。
「だがなァ、ありゃあヤバいぜ。てめぇの身を滅ぼす力だ」
「…………」
トッシュの声のトーンが一段階低くなる。
彼は、変身したアシュレーが現前に現れた瞬間のことを思い返していた。
青年の中で蠢く、赤黒く禍々しい気。暗黒の支配者にも匹敵するほどの邪悪な力だった。
そして、その闇を必死にを押さえ込む蒼く透き通った気。
おそらくあれが、『果てしなき蒼』に眠る力だ。
この二色が織り成した奇跡が、あの凄まじい強さを誇る蒼炎のナイトブレイザー。
だがしかし、アシュレーが見せたあの変身は、蒼い力が邪悪な真紅をなんとか押さえ込んでいたからこそ可能な芸当である。
そして、その蒼い力は常に紅い力を押さえ込んでいるが故に、徐々に磨り減ってきている。
アクセスによってロードブレイザーの力を解放すれば、当然その磨耗は加速してしまう。それは気を読むことが出来るトッシュ自身がその目で確認した事実だ。
そう遠くないうちに、紅き魔神は蒼き牢をブチ破るだろう。
炎の災厄が解き放たれればどうなるか。それはトッシュにも分からないことだが、アシュレーが無事ですまないことだけは予想に難くなかった。
「俺の見立てではあと一度……いや、その一回でも長引けば危ないかもしれねぇな」
「…………」
恐ろしき未来をなんとも呑気な口調で宣告する。
それは、自分にはどうしようもないという諦めによるもの。
アクセスの多用が出来ない事実は、アシュレー自身が一番よく分かっているだろうから。
次に戦闘になったときは彼の負担を少しでも減らしてやろうと、トッシュはそれだけを心に誓い、この話題を打ち切ることにした。
「…………」
「…………」
それからしばらく、二人は雲を見上げていた。
あれはスライムみたいだな、あれはなかなか旨そうだと、真ん丸い空を流れてゆく白い塊を観察していた。
何をするわけでもなく、ただ穏やかな時間をかみ締めるように。
「…………なぁ、ゴゴ」
「………………なんだ」
沈黙に絶えかねたのか、トッシュが口火を切る。
彼らしくもないことだが、どうやら言葉を紡ぐのに苦心しているみたいであった。
両者の視線のその焦点は、相変わらず遥か上空で結ばれていた。
「セッツァーは……やっぱり殺し合いに乗ってたのか?」
ゴゴの静かさにつられたかのように、そして空に漂う雲を真似るように、トッシュの口調は穏やかだ。
トッシュによる尋問が終了した後、今度こそ本当の情報交換が行われた。
そこで挙がったのは、トッシュとアシュレーが出会った、ある人物の名前。
アシュレーの物真似をしたゴゴは、安堵交じりの声でそのセッツァーという名前を復唱した。
だが、その男が彼らに伝えた人物情報を聞いた瞬間、ゴゴの様子は豹変する。
本当にアイツはそう言ったのか? と何度も二人に確認し、それが紛れもないセッツァーの言葉であると知ると、次第に彼の口数は少なくなっていった。
「仲間内でリーダーだったエドガーは『悪の暴君』。同じく仲間のティナは殺人鬼。
んで、一番危ねぇはずのケフカが『頼りになる正義の味方』ねぇ……」
トッシュが眉間の皺を増やしながらセッツァーの偽報を思い返す。
ゴゴの話では、エドガーは個性の強い仲間たちの纏めるリーダー格、言わばアークのような役割であったらしい。
そしてティナは自らを犠牲にしてでも誰かを助けようとする心優しい少女だ。トッシュは
無法松を命がけで救ったその少女に、
リーザのような印象を抱いた。
最後にケフカ。人を殺すことを屁とも思わない、吐き気を覚えるほどの悪鬼。
世界を崩壊に導いた残虐性はアンデルに近いものがあるが、その狂人っぷりは他の誰かを以ってして例えることは不可能だろう。
どいつもこいつもセッツァーの情報とはまるで違う人物だ。
シャドウとマッシュも結果的に彼らの人となりだけは正しく伝えているものの、かつての仲間のことを謳った内容とはとても思えない。
つまり、意図的に誤解を招くための罠。
あのギャンブラーの情報は、そうとしか考えられなかった。
「…………これで『間違いでした』はまかり通らねぇよなァ……」
直後、円形の空に大きいリンゴのような形をした雲が登場し、トッシュは小さく驚きの声を洩らした。
できれば回復果物であればいいなぁ……とくだらないことを脳味噌のド真ん中で考えていた。
「…………世界を救った後だ……」
突如発せられたのは、トッシュの物真似をしたゴゴの声。
侍はリンゴ雲の形のよさに感心しながら「おぅ」と空返事を返す。
「俺はセッツァーの船に乗り込んで、ヤツとふたりで世界を飛び回っていた」
何をするってわけじゃない。
各地を飛び回り、困ってる人は救って、困ってない人は飛行船に招き賭け事に興じた。
ただの放浪の旅。
でもゴゴはそれでよかった。
「半年の短けぇ間だったが、俺は幸せだった……」
トッシュの仲間にグルガという男がいる。
彼は、世界で一番歌が下手糞だった。
シャンテという一流の歌手の講習を受けても、それは一向に改善せず、
エルクは彼の歌を「オーガロードのいびき」などと評していた。
ならば、今のゴゴの声は「ゴーストの囁き」だ。
弱々しいソレは、トッシュに語りかけるのではなく自分で思い出に浸るための言葉。
「いろんな場所へ行き、いろんな人間の物真似が出来んだぜ。こんな幸せなことはねぇ……」
「……そうかい」
トッシュはそんなゴゴを羨ましく感じていた。
世界を飛び回っていた事ではなく、見事に世界を救った事をだ。
青空のリンゴはもう天井に出来た穴からは見えない場所に流れてしまっていて、トッシュは少しだけそれを残念だと感じながら唾液を嚥下した。
「セッツァーは……仲間を貶めてまで願いを叶えようとする男じゃねぇ」
そう言ったゴゴの声が寂しそうなのは、けっして消えたリンゴ雲を惜しんだせいではないだろう。
悲しさを次第に増しながら、言葉は続く。
「だから俺には、なぜアイツがそんな嘘を言ったのか……」
「知るか」
ピシャリと。
叫ぶでもないトッシュの穏やかな一言は、見事な太刀筋でゴゴの予想を一刀両断した。
この男には刀の神でも宿っているのかと、物真似師は彼の言葉の切れ味に驚く。
正確には、彼に宿っているのは刀の精霊なのだが、大した違いはないだろう。
「……はぁ?」
「考えたって分かるわけねぇだろ、ンなもん。
…………俺もお前も、そこんところはからっきしなんだからよ」
そう言ってトッシュは鼻息交じりで小さく笑った。
ゴゴはそんな彼の顔を訝しげに見やる。
「だったら会いに行くしかねぇだろ。探して、会って、直接問いただしてやろうぜ。
んでよ、セッツァーの答えが気に食わなきゃ、ブン殴ってやりゃあいいんだよ」
侍のまさかの返答にあっけに取られるゴゴ。
だが、その通り。彼の言うとおりだ。
考えたって答えは出るはずもない。
セッツァーは超一流のギャンブラーなのだ。その心のうちなど自分に計り知れるわけもないのだから。
「…………お、お前に言われなくても分かってんだよ、ンなこたぁよッ!」
侍の物真似をしながら強がって見せる。
トッシュとは、こういう男であった。
現在進行形で物真似をしているにも関わらず、ゴゴはそのことを忘れてしまっていた。
「じゃあ……行こうぜ……」
ゴゴに背を向け、ツカツカと歩き出すトッシュ。
その姿を見て、ゴゴは思い出した。
ついさっき、この城でこの男とこんなやりとりがあった。
「けじめを付けに、よ」
あのときと同じように力強い声で、トッシュの声が響く。
それを受けてゴゴは、あのときと同じように、ゆっくりと頷いた。
◆ ◆ ◆
「……どういうことだ?」
胡坐をかきながら、アシュレーが一人ごちた。
柔らかなカーペットに腰を下ろすと、途端に疲労が手足を襲う。
仕方ない。イレギュラーなアクセスを無理に行ったのだから。
「どうして我輩はこんなにもカッコいいのか…………ですと?」
「違うんだ」
表情一つ変えないで否定するアシュレー。
あまりにあっさりとした態度に、トカが地団駄を踏んで怒りを露わにする。
「あんだとッ! この我輩のフレッシュマンゴーの如し魅力を差し置いてまで科学することなど……あるはずがないトカッ!」
「実はこの地図なんだが……」
さすがアシュレー。狂トカゲの扱いには慣れたものである。
冷静に支給品の地図を広げると、地図のある箇所を指し示す。
「……ツレねぇな、唯一無二の我が相棒よ」
「うん、俺はお前の相棒じゃない。
実は、この部分から先には地下水路が続いていて、さらにその奥には古びた城が建っていたんだ」
ツツツ……と川を表す青色のラインの上をアシュレーの指が滑る。
神殿を出発した人差し指が、森を抜け、傾斜を逆流して、山頂付近のある部分で止まる。
そこで川は途切れていた。ここが、山の内部に広がる地下水路への入り口となる。
「つまり、古代の科学により生まれしオーパーツやゲーパーツなどがテンコ盛りトカッ!
それは魔王オディオも隠しておかなくてはならない夢のサイエンス・パラダイスッ!」
「あぁ、そんなパラダイスがあれば素敵だな」
「そうだろうッ! そうだろ~~~うッ!」
両手を掲げて小躍りを掲げるトカを相手に、成立するはずもない会話を律儀に続けるアシュレー。
そんな彼の姿は、頭のおかしいトカゲにも平等に接してあげる優しい青年に見えないこともない。
内心では彼は、一人で黙々と思考しなかったことを激しく後悔をしていたのだが……。
「そんなことより……問題なのは、何で地下の施設が一切地図に書かれていないのかだ」
「だからそれは、サイエンス・素敵・パラダイスを独り占めするため…………」
「オディオが殺し合いを促進させたいなら、こんなことはする必要がないはず。
ここに引きこもってしまえば、他の参加者に見つかる可能性はグッと低くなるよな……それはオディオも望まないはず…………」
もはや、トカとの意思疎通は放棄した。
ただ地図と睨めっこしながら、ひとりで持論を展開していく。
実は、アシュレーがたった今口にした疑念と全く同じものを、
セッツァー・ギャッビアーニも浮かべ、考察していた。
彼がトッシュと別れてからアシュレーと出会う間の話である。
その時に彼が出した結論は、『気まぐれ』。
オディオは深く考えずに、適当にそのような施設と地図を作った。それがセッツァーの行き着いた答えであった。
「しかし、本当にサイエンス・素敵・パラダイスが広がっているとは、胸がうれしはずかし超新星爆発」
「……あぁ、スマンありゃウソだった。あそこは普通の廃墟ダンジョンらしいぞ」
高鳴るトカの胸に、極寒の冷水を浴びせる。
これでおとなしくなってくれれば、という期待をこめた残酷な鉄槌である。
ゴゴから聞いた話では、このフィガロ城は元々彼のいた世界のものだ。
参加者のひとりである
エドガー・ロニ・フィガロの持ち物であったらしい。
そしてあの古代の城も同じくゴゴの世界にあった建物で、フィガロ城の地下から通じる洞窟の最奥に存在していた。
「なんですとッ! それを知ってて我輩を弄んだトカ?!
この悪魔! 誰か~、この人チカンよ、彼の双腕はワイセツアームズよ~ッ!」
「…………はぁ……」
ついつい話しかけてしまったことを海よりも深く反省した。
もう限界が近い。このトカゲがいては、進むはずの思考も全然進まない。
業を煮やしたアシュレーは、一人で考えにふけるために、地図を脇に抱えて部屋を出て行こうとする。
「はら~~~~ッ! ちょっと待つトカッ! 一人にしないでッ!
いつかデリシャスな高級カブトムシをフルコースでご馳走するからよぉ~~~ッ!」
去り逝く青年の右足にすがりつく悲劇の緑色。
邪魔だ邪魔だと、それを遠慮なしに蹴りまくるアシュレー。
おぉ、血も涙もない。外道ここに極まる。
「放すんだッ! もうアンタの時代は終わったんだッ!」
「そんなッ! 我輩とは遊びだったのねッ! 酷いッ! お腹の子リザードちゃんはどうなるのッ!
どこまででも、和式便器の中まででも、我輩は憑いて行きますぞ~~~ッ!」
「あぁクソ! いい加減に…………」
あまりにしつこいスペース爬虫類に、堪忍袋の緒が切れ掛かる。
拳を振りかぶって、無理やりにでも振り払おうとした。どうせ死にはしないだろう。
だが結局、その拳がトカに振り下ろされることはなかった。
「…………ちょっと、待てよ…………『ついてくる』……だって?」
アシュレーの呼吸と動きが同時に止まる。
数秒後、雷に撃たれたかのように、その両目が見開かれた。
「……まさかッ!」
大声と共に振り返る。
勢い余って、すがり付いていたトカゲを蹴っ飛ばしてしまう。
「はら~~~~ッ!」
吹き飛んだ宇宙人には目もくれず、早足で部屋の中央に進むと地図を広げた。
座り込んで地図を眺めると、思い浮かんだ可能性を整理する。
(オディオが欲しかったのは、『移動する城』だけなんじゃないか?
あの『古代の城』は、このフィガロ城に偶然ついてきただけ…………)
つまり、こういうことだ。
この殺し合いの主催者が、会場に必要としたのは……地中を走る城。
それだけがあれば、よかったのである。
しかしオディオは、この城と『その通り道』をまとめてこの島に持ってきた。
周辺一帯の大地と一緒に。
その結果、『古代の城』と『地下の洞窟』が土地に紛れて一緒について来てしまった。
(だとしたら……オディオはあの城の存在を知らなかったんじゃないのか?)
そう考えれば、地図に地下施設が書かれていないことの辻褄は合う。
しかし、これはあくまでひとつの可能性。その仮定が正解かどうかは分からない。
しかも、たとえその通りだったとしても……オディオが参加者の動向をモニタリングしていれば、既に地下施設の存在には気づいているだろう。
だが、この結論から導き出される可能性はそれだけじゃない。
(もし、他の世界から集められた施設が、フィガロ城以外にもあるならば……同じように……)
他の施設もフィガロ城みたいに、参加者のいた世界から持ってきたものである可能性はある。
それならば、古代の城と同じようにそれらの施設に『ついてきた』モノがあるかもしれない。
この島がいろんな世界のツギハギで構成されているのならば……オディオの知らないものがこの会場に紛れ込んでいるかも…………。
……………………。
…………。
「なにぃッ! ついに無限に広がる星の海に飛び立つ方法を考えたとは恐怖至極ぅッ!
しかし我輩には分かっているぞッ! そう、みんなスキスキ科学の子ッ!
さぁ声高に叫ぶのだッ! ブ~ル~コ~……」
「……呼んでも来ないぞ」
いつの間にか復活したトカの大声が、アシュレーを現実に連れ戻す。
無意識にツッコミをいれることに成功した自分を、少しだけ嬉しく思ってしまった。
(流石に、考えすぎか……)
飛躍しすぎた思考を制して、大きなため息をつく。
全ては憶測なのだ。
地下施設のことをオディオが知らない?
フィガロ城の以外に、他の世界から持ってこられた施設がある?
そこにオディオの意図しない何かが紛れている?。
全ては証拠すらない、推測の産物だ。
それらはどうせ可能性の低い話だと、考察を中断して頭を休めることにした。
「ならばーーーやはり我輩にはプリティー科学アイドル、魔導アーマーちゃんしかない!
さぁ悩める科学の子供達に愛の手をーーーーッ!」
「やめるんだーーーッ!」
いざ、走り出さんとするトカ。
そんな彼を必死に食い止めるアシュレー。
二人が押し合いへし合いを繰り返す。
「その手を放してッ! 我輩なら魔導アーマーちゃんとひとつになるトカッ!」
「馬鹿なことはやめろッ! 偉大なる科学の子であるアンタには輝かしい未来が…………ってあれ?」
アシュレーは独特な世界観に完全に馴染んでいた。
リザード星人一味としてやっていけるほどに。
だから気がつかなかった。
…………自分たちに注がれていた、冷たい視線に。
「「な、仲いいんだな…………お前ら……」」
トッシュとゴゴのユニゾンを聞きながら立ち尽くす。
彼らの声には、完全なる同情の念が込められていた。
「あ、ありがとう…………」
言い訳など出来るはずもなく、半笑いで答えを返すしかない。
隣を流し目で除くと、そこには満足そうに胸を張るトカゲ野郎がいた。
なんだか、すごく死にたくなった。
【G-3 フィガロ城 一日目 午後】
【ゴゴ@ファイナルファンタジー6】
[状態]:トッシュの物真似中
[装備]:花の首飾り、ティナの魔石、壊れた誓いの剣@サモンナイト3
[道具]:基本支給品一式 、点名牙双@幻想水滸伝Ⅱ
ナナミのデイパック(スケベぼんデラックス@
WILD ARMS 2nd IGNITION、基本支給品一式)
[思考]
基本:数々の出会いと別れの中で、物真似をし尽くす。
1:今後の方針を相談する
2:セッツァーに会い、問い詰める
3:
ビッキーたちは何故帰ってこないんだ?
4:トカの物まねをし足りない
5:人や物を探索したい。
[備考]
※参戦時期は本編クリア後
※本編クリア後からしばらく、ファルコン号の副船長をしていました
※基本的には、『その場にいない人物』の真似はしません。
※セッツァーが自分と同じ時間軸から参戦していると思っています。
【トッシュ@
アークザラッドⅡ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ほそみの剣@
ファイアーエムブレム 烈火の剣
[道具]:不明支給品0~1個(確認済)、基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いを止め、オディオを倒す。
1:今後の方針を相談
2: セッツァーを探す
3:必ずしも一緒に行動する必要はないがちょことは一度会いたい。
4:ルカを倒す。
5:第三回放送の頃に、A-07座礁船まで戻る?
6:基本的に女子供とは戦わない。
[備考]:
※参戦時期はパレンシアタワー最上階でのモンジとの一騎打ちの最中。
※紋次斬りは未完成です。
※ナナミと
シュウが知り合いだと思ってます。
※セッツァーの嘘に気がつきました。
【アシュレー・ウィンチェスター@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:疲労(小)、右肩から左腰にかけての刀傷
[装備]:果てしなき蒼@サモンナイト3、ディフェンダー@アーク・ザ・ラッドⅡ
[道具]:天罰の杖@DQ4、ランダム支給品0~1個(確認済み)、基本支給品一式×2、
焼け焦げたリルカの首輪、レインボーパラソル@WA2
[思考]
基本:主催者の打倒。戦える力のある者とは共に戦い、無い者は守る。
1:今後の方針を相談する
2:ブラッドなど、仲間や他参加者の捜索
3:
アリーナを殺した者を倒す
4:セッツァー、ケフカ、シャドウには警戒
5:アクセスは多用できない
※参戦時期は本編終了後です。
※島に怪獣がいると思っています。
※セッツァーの嘘に気がつきました。
※蒼炎のナイトブレイザーに変身可能になりました。
白を基調に蒼で彩られたナイトブレイザーです。
アシュレーは適格者でない為、ウィスタリアス型のウィスタリアスセイバーが使用できること以外、能力に変化はありません。
ただし魔剣にロードブレイザーを分割封印したことと、魔剣内のアティの意思により、現段階ではアシュレーの負担は減り、ロードブレイザーからの一方的な強制干渉も不可能になりました。
アティの意思は、徐々に磨り減っています。アクセスを行うとその消耗は加速します。
【トカ@WILD ARMS 2nd IGNITION】
[状態]:疲労(小)
[装備]:エアガン@クロノトリガー 、魔導アーマー(大破。一応少しずつ回復中?)@ファイナルファンタジーⅥ
[道具]:クレストカプセル×5@WILD ARMS 2nd IGNITION(4つ空)
天命牙双(右)@幻想水滸伝Ⅱ、魔石『マディン』@ファイナルファンタジーⅥ、
閃光の戦槍@サモンナイト3、基本支給品一式×2
[思考]
基本:リザード星へ帰る。
1:野蛮な赤毛男(トッシュ)を含む参加者と協力し、故郷へ帰る手段を探す。
2:もしも参加者の力では故郷に帰れないなら皆殺しにし、魔王の手で故郷に帰してもらう。
[備考]:
※参戦時期はヘイムダル・ガッツォークリア後から、科学大迫力研究所クリア前です。
※クレストカプセルに入っている魔法については、後の書き手さんにお任せします。
※魔導アーマーのバイオブラスター、コンフューザー、デジュネーター、魔導ミサイルは使用するのに高い魔力が必要です。
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最終更新:2010年07月03日 11:47