響き渡れ希望の鼓動 ◆6XQgLQ9rNg


 ◆◆

 歯噛みしてカエルの言葉を聴くアナスタシアの髪が、雄々しい突風によってはためいた。

 ◆◆

 ストレイボウの手を取れるのか、取っていいものかと逡巡するイスラの頬を、強烈な風が撫でていった。

 ◆◆

 心臓が破裂しそうなほどに暴れている。沸騰しそうな血液がアキラの体中を駆け巡る。
 体が熱い。
 心が熱い。
 湧き上がる熱に果てはない。高まる熱量は風を起こす。
 突風に等しい西風を、巻き起こす。
 その熱に、風に、カタチを与えるべく。
 アキラは“希望”を思い描き、ヒーローをイメージする。
“希望”の鼓動<ファンタズムハート>が、思念に血を通わせる。

「アクセス……ッ!」

 想い出が、形になっていく。
 アキラに宿り融合したミーディアムが、アキラの念と血によって具現化する。

「PSY-コンバインッ!」

 太い金属の二足が、アキラの背後に着地した。
 それに支えられるのは、紅の模様が刻まれたメタリックボディ。
 その背にはミサイルのようなスラスターがマウントされている。
 無骨な両手が握り締められ、鋼の拳が作られる。
 その天辺、頭部には、黄金の冠が輝いていた。
 その姿は、“希望”の貴種守護獣とは似ても似つかない。
 当然だった。
 これは文字通りに、アキラが心血を注いで生み出した“希望”なのだ。
 アキラの中で、燦然と燃え盛る“希望”なのだ。
 故に吹く西風も、そよ風<ゼファー>には収まらない。
 荒々しく雄々しい西風が生み出す“希望”のカタチは、アキラが描くイメージに他ならない。
 もはや、その“希望”は。
 かけらなどでは、ない。
 それは、巨人だった。
 それは、王城と同じく、この島で朽ち果てるはずの巨人の姿だった。

「ファンタズム・ブリキングッ!」

 巨人の瞳に光が灯る。鋼鉄が唸り駆動する。
 その身を誇示するように、巨人は高々と両腕を突き上げた。
 眩い輝きを湛え、巨人が咆哮する。
“希望”の雄叫びを、咆え猛る。

 絶望の王城よ、悲しみの軍勢よ。
 よく見ておけ。
 お前らに心があるのなら、その底の底まで焼き付けろ。
 これこそが血の通った“希望”であり、そして。
 大王の、凱旋だ。

「ブリキ大王――我とありッ!!」

 ◆◆

 吹き荒ぶ風音が、ピサロを覚醒へと導いた。
 瞬間、左腕と胴体に激痛が走る。零れ出る血液によって衣服は汚れ、肌にべっとりと貼り付いていた。
 骨が完全に折れているらしく、左腕は動かせそうになかった。
 ともすれば命を落としかねない重傷だった。
 それでもまだ動けるのは、龍鱗が堅牢であった故か、あるいは、未だ衰えぬ矜恃故か。
 あたりを見渡すと、視線が高いことに気づく。
 激しく揺れる足元からは、耳障りな歯車の音が響いてくる。
 ここは、屋上だった。
 未だ動き続ける亡霊城の、屋上だった。
 ピサロは立ち上がる。
 異変に、気付いた。
 足が、随分重いのだ。
 失血のせいとも負傷のせいとも異なる違和感が、足にあった。
 歩く。
 やけに硬い足音がした。
 まるで、石で地面を叩いたかのような足音だった。
 傷よりも厄介な状態異常が、その身を蝕んでいるようだった。
 顔を、顰める。
 ピサロの身が、徐々に石化し始めていた。
 即座に石にならなかったとはいえ、看過するには重い問題だ。
 ひとまず傷を癒そうと、回復魔法を唱えようとした、そのとき。
 ピサロの前に、二つの影が舞い降りる。
 一つは、下半身を漆黒の球体に埋めた人形だった。緑色の髪からは角が伸び、その背からは翼が生えている。
 一つは、桃色の髪をした四本腕の人形だった。その腕のうちの二本と両足は、岩石と一体化していた。
 どちらも美しい顔をしており、それ故に、化物然としたその身はひどくおぞましかった。

「……控えていた副将か。好機とみて討ち取りに来たか?」

 人形どもは答えない。
 喋ることを知らないかのような無表情で、人形はピサロの前に立ちはだかる。
 虚ろさを漂わせるそいつらを、ピサロは鼻で笑い飛ばす。

「舐めてくれるな人形ども。貴様らのような持たざる者どもに、くれてやる命など微塵もない」

 断続的に襲い来る激痛と、失血によるふらつきと、這い寄って来る石化というハンディキャップを背負いながらも。
 ピサロは、まだ動く右手でバヨネットを握り締める。
 その瞳は、死にゆく未来を見つめてなど、いなかった。

 ◆◆

 ――分かるまい。持たざる者の気持ちなど、持っている者どもには分かるまい。
 ――故に、貴様らでは答えられまい。
 ――持たざる者<わたしたち>に答えなど、与えられはしまい。
 ――故に我々は求めない。貴様らなどに、求めたりはしないのだ。

【C-7とD-7の境界(C-7側) 二日目 日中】
【イスラ=レヴィノス@サモンナイト3】
[状態]:ダメージ:小、疲労:小、動揺(極大)
[スキル]:心眼 勇猛果敢 フォース・プリズナー№666(Lv1~4)
[装備]:魔界の剣@DQ4 ドーリーショット@アーク2 44マグナム@LAL*残弾無し ミラクルシューズ@FF6
[道具]:召喚石『天使ロティエル』@SN3 召喚石『勇気の紋章』@RPGロワオリジナル
[思考]
基本:十字架に潰される
1:伸ばされた手を、僕は、取れるのか……?
[参戦時期]:16話死亡直後(病魔の呪いから解かれている)

アナスタシア・ルン・ヴァレリアWILD ARMS 2nd IGNITION
[状態]:動揺(大) ダメージ:中  胸部に裂傷 左肩に銃創(いずれも処置済み) 精神疲労:小
[スキル]:せいけんルシエド 
[装備]:アガートラーム@WA2
[道具]:ラストリゾート@FF6 いかりのリング@FF6 日記のようなもの@貴重品
[思考]
基本:私が、ジョウイ君と……同じ……
1:今更になって何を言い出すのよ、何を……ッ
[参戦時期]:ED後

【ストレイボウ@LIVE A LIVE
[状態]:ダメージ:中、疲労:中、心労:中 勇気:大
[スキル] ルッカの知識(ファイア、ファイガ、フレア、プロテクト)*完全復元は至難
[装備]:フォルブレイズ@FE烈火 天罰の杖@DQ4 マリアベルの手記@貴重品 “勇者”と“英雄”バッジ@クロノトリガー
[道具]:クレストグラフ@WA2(クイック、ハイパーウェポン)
[思考]
基本:“オルステッド”と向き合い、対等になる
1:イスラの力に、支えになりたい
2:罪と――人形どもと、向き合おう
3:俺はオルステッドを、どうすれば……

[参戦時期]:最終編
※アキラ以外の最終編参加キャラも顔は知っています(名前は知りません)
※ルッカの記憶を分析し
【バトルロワイアル開催以降の記憶】と【千年祭(ゲーム本編開始)以降の記憶】を復元しました。
※ジョウイより得た空中城の位置情報と、シルバードの情報をほかの参加者に伝えました。

【カエル@クロノ・トリガー
[状態]:瀕死:最大HP90%消失 精神ダメージ:小 覆面 右手欠損 左腕に『罪の証』の刺傷
    疲労:中 胸に小穴 勇気:真
[装備]:天空の剣(二段開放)@DQ4 パワーマフラー@クロノトリガー バイオレットレーサー@アーク2
[道具]:ブライオン@武器:剣 
[思考]
基本:幸せになれと、その言葉は刻み込んだ。ならば痛みにこの身を晒し、幸せを探して生きるのもひとつの道かもしれんな。
1:伝えるべくは伝えた。あとは、俺にできることをやるだけだ
[参戦時期]:クロノ復活直後(グランドリオン未解放)

【ピサロ@ドラゴンクエストIV】
[状態]:クラス『ピュアピサロ』 ニノへの感謝 ロザリーへの純愛 精神疲労:やや大
    左腕骨折、胴体にダメージ大、失血中、徐々に石化
[スキル]:魔封剣、デュアルショット、アルテマバスター*いずれも要バヨネット装備 ミーディアム:ラフティーナ
[装備]:バヨネット@RPGロワオリジナル
[道具]:ミーディアム『愛の奇蹟』@WA2 クレストグラフ@WA2※ヴォルテック、ゼーバー、ハイ・ヴォルテック
    データタブレット×2@貴重品
[思考]
基本:すべての命が、自らの意志で手を取り合える世になるよう力を尽くす
1:退け人形。貴様らでは役者不足だ
2:ダメージと石化の治癒はしておきたいが……
[参戦時期]:5章最終決戦直後
 ※バヨネットからパラソルが無くなりました。魔導系コマンドはそのまま使用可能ですが、魔力補正がなくなりました。

【アキラ@LIVE A LIVE】
[状態]:ダメージ:中、疲労:大、精神力消費:極大
[スキル]:PSY-コンバイン
[装備]:デーモンスピア@DQ4 激怒の腕輪@クロノトリガー
[道具]:双眼鏡 不明支給品@魔王が初期に所持していたもの
[思考]
基本:本当の意味でヒーローになる。そのために……
1:この俺の希望を、見せてやるッ! 見せつけてやるッ!
[参戦時期]:最終編(心のダンジョン攻略済み、ストレイボウの顔を知っている。魔王山に挑む前、オディオとの面識無し)
[備考]:超能力の制限に気付きました。テレポートの使用も最後の手段として考えています。
カノンの名をアイシャ・ベルナデット、リンの名をリンディスだと思っています。
※松のメッセージ未受信です。
※自由行動中どこかに行っていたかどうかは後続にお任せします

【PSY-コンバイン】
 アシュレーの命に宿り、セッツァーの夢に応えたミーディアム『希望のかけら』は一万メートルの夢の果てで、アキラと融合し血肉となった。
 それはもはやアキラの一部であり、アキラの超能力と溶け合い、希望のイメージを体現する。
 ブリキ大王の姿を取るそれは、アキラが希い望む力を原動力として駆動する。
 希望が絶えない限り、バビロニアの王はヒーロー技さえ使いこなせよう。
 他でもないアキラ自身の力。それ故に、その負担は肩代わりなどできはしない。
 変身亜精霊の力を借りないコンバインは、莫大な集中力と想像を絶する莫大なエネルギーを要する。
 他の超能力にリソースを割こうものなら、それは即座に露と消える。
 仮に無茶な稼働や乱用をしたとすれば、アキラの意識は二度と戻らず、希望は潰えてしまうだろう。

【SMRA隊】

【反逆の死徒@???】
[状態]:クラス『モルフ崩れ』 軍服黒焦げ 
[装備]:蒼流凶星@幻想水滸伝2@城に投げ捨てられたもの 黒き刃@幻想水滸伝2 亡霊兵(25名)
    副将:フェミノフォビア(抜け道付加)、アクロフォビア(飛行付加)
[スキル]:暗器・凶毒針 状態付加・麻痺
     遠距離攻撃・召雷 ゲレハラスメント(憑依:攻撃力防御力20%減少)
     再生能力(毎ターンHP25%回復)俊敏、逆襲、狙い撃ち
[思考]
基本:ただ導かれるままに
1:皆殺し
部隊方針:距離をとって投石攻撃 ※周囲の石はミスティック効果にてアーク1相当にまで強化されています

[備考]
※部隊は亡霊兵@サモンナイト3、スケルトン系@アーク2、グール系@アーク2、リッチ系@アーク2の混成です。
 ステータスはいずれも雑魚相当。残る参加者のレベルなら普通に戦闘すれば1、2撃程度で倒される程度です。
 ただし、輝く盾の紋章効果にて時間復活します。
 部隊長を倒せば配下兵力の復活はありません。また、副将を倒せば更に弱体化します。

【反逆の死徒】
 かつて裏切り、裏切られたもの。死喰いに喰い尽くされたその残り滓に泥を与えられたモルフ未満の生命。
 特に欠損を補填するために融合させられたタケシーとの親和性から、タケシーの召喚術・特性を行使できる。
 また、亡霊兵を駆動させるエネルギー中継点となっていることから、再生能力もある。
 しかし所詮はそれだけ。並み居る英雄達には敵うべくもない。
 だからこそ掬われる。楽園を形作る礎となるために。

【砂喰みに沈む王城@???】
[状態]:クラス『大魔城』外壁損傷 駆動部中破(スペシャルボディにて無効化) 左腕<左回廊>から先を損失
[装備]:亡霊兵(25名)データタブレット@自由行動中にジョウイ(正確にはクルガン・シード)が捜索したもの
    副将:クラウストロフォビア(石化攻撃付加)、スコトフォビア(HP吸収付加)
[スキル]:ハードボディ、スペシャルボディ
[思考]
基本:ただ導かれるままに
1:皆殺し
部隊方針:敵に張り付き、移動を制限する

[備考]
※部隊は亡霊兵@サモンナイト3、スケルトン系@アーク2、グール系@アーク2、リッチ系@アーク2の混成です。
 ステータスはいずれも雑魚相当。残る参加者のレベルなら普通に戦闘すれば1、2撃程度で倒される程度です。
 ただし、輝く盾の紋章効果にて時間復活します。
 部隊長を倒せば配下兵力の復活はありません。また、副将を倒せば更に弱体化します。

【大魔城】
 王位継承者を喪い廃絶の決定した王国の城。それを良しとできない未練から伐剣王に終わりを奪われる。
 その蒸気はあらゆる物を灼き、左右の回廊は一撃必殺の腕。
 その城塞はあらゆる物理ダメージを半減させ、あらゆるステータス異常を無視する。
 ゴーストロード同様、ミスティックで強制的に能力を引き上げられため、動くたびに、進むたびに崩れゆく。
 だが城は止まらない、止まる必要がない。この城が守るべき国は、もうどこにもない。

時系列順で読む

投下順で読む


160-1:其の敵の名は―― アナスタシア 162:錆びた鎖に翼絡め取られても、繋いだ手を離さない
イスラ
ピサロ
カエル
ストレイボウ
アキラ 161:Beat! Beat the Hope!!


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年03月22日 22:57