気管吸引圧力計の単位がkPaとcmHgで混在していたら、数値は大人は20・幼児は12に。
10年前から医療ガスの単位は、Pa(パスカル)ということになっております。
当院では喀痰吸引の圧力計の単位は、cmHg(センチメートル水銀)を刻んであるものも多く、そして新規の喀痰吸引の圧力計の単位はkPa(キロ・パスカル)となっていて、常識的な吸引では双方とも2桁の数字になり、しかも1cmHg=1.33332kPaという対応で、1cmHg=1.3kPaと簡略しても換算しようとするとこんがらがってきます。人工呼吸器の圧力単位のcmH2OからhPa(ヘクト・パスカル)への換算は、簡単なのですが。。
ここで、4つほど和文の文献を挙げさせていただきます(一つを除いて商業誌ですが。。)。リンク先はメディカルオンラインです。契約していないと見れませんのでご注意ください。
日本呼吸療法医学会の「気管吸引のガイドライン」には、陰圧の強さとして「推奨される吸引圧は最大で20kPa(150mmHg)でありこれを超えないように設定する。吸引圧の設定はカテーテルを完全閉塞させた状態で行う。」と書いてあります。ここではmmHg(ミリメートル水銀)となっていて、さらに換算が必要でさらにややこしいかも。150mmHgは15cmHgなんですが、計算が苦手な人はもう近づきたくない気分になってきますね。
杏林大学病院看護部長の道又元裕先生のエキスパートナース2010年6月増刊号には、94ページで「適正吸引圧はどのくらいですか?」という問いに、「一般的には150mmHg前後(最大200mmHg):20~26kPaの吸引圧が安全域と思われます。」と答えられています。こうやって単位を併記すると水銀系は3桁表示になるmmHgを用いた方がkPaと区別がついてわかりやすい気がしてきます。
「呼吸ケア」の2010年9月号の特集記事「テーマ2 気管吸引」の表1には、気管吸引圧の目安は小児では80~120mmHg、新生児では60~80mmHgと記載されています。
「ネオネイタルケア」の2010年3月号の「写真で学ぶ きめ細やかな早産児蘇生 気管吸引・サーファクタント」の章では、「(新生児蘇生の気管)吸引圧は100mmHgを超えないようにする。」と記載されています。
これらの4つの引用元を挙げたところで、いきなり表題の「気管吸引圧力は単位がkPaでもcmHgでも、大人は20・乳幼児は12の数値で」を提案させていただきます。この割り切りは、小児の気管吸引圧がkPaではやや弱めになってしまうのと、新生児の気管吸引圧がcmHgでは強めになってしまう傾向があります。
換算式は、200mmHg=20cmHg≒26kPaと150mmHg=15cmHg≒20kPaです。お時間のある人は電卓片手に確かめてください。もし間違っていたらコメントをお願いします。
最終更新:2011年06月22日 17:29