JR脱線事故 『何が起きたのか』 カーブで速度超過? 手前駅でオーバーラン、遅れ
2005.04.25 夕刊 8頁 第2社会面 (全1091字)
JR福知山線の踏切付近で快速電車が脱線、衝突した事故で、国土交通省やJRの関係者は「なぜ、脱線が起きたのか」と疑問を投げ掛け、早急な事故原因の究明を関係部署に指示した。
兵庫県警によると、カーブで電車が単独で脱線した後、駐車場に止まっていた乗用車に衝突した可能性が高いとしている。事故の状況について国交省は「現在、確認中」と調査を急いでいる。
乗客の証言によると、電車は事故現場手前の伊丹駅で八メートルオーバーランし、バックして乗客を降ろすトラブルが起きていた。一分半遅れて出発したという。
JR関係者は、伊丹駅での遅れを取り戻そうと、カーブで通常より速度を出していたとしても、果たして脱線するだろうか、と疑問を投げ掛ける。
JR西日本によると、電車は現場を時速約七十キロで通過したとしているが、国交省は「七十キロは通常の速度。通勤電車としては普通の速さだ」とし、現場区間での詳しい速度を調べている。
また、運転経験十一カ月の運転士(23)の焦りが事故につながらなかったかについても検証が必要となる。
JR西日本については「余裕のないダイヤ設定のため、遅れが出やすい」との指摘も出ていた。このため、同社は定時運行の励行を強めていたという。
一方、事故現場はカーブの手前で、住民からは「スピードの出し過ぎを心配していた」との声が相次いだ。
電車が突っ込んだマンションの六階に住む女性会社員(48)は、「ふだんから猛スピードで電車が通過する。(レールのきしむ)音で目が覚めることもあった」と話した。
なぜ軌道外れたか
技術評論家の桜井淳さんの話 電車が脱線するには相当のエネルギーが必要だ。かなりのスピードが出ていたという乗客の証言があるが、あの程度の緩いカーブで百キロ以下の速度なら、大きく軌道を外れることはない。運転士が気を失っていて百キロ超で走っていたなら別だが、急ブレーキをかけているのだからそれはあり得ない。スピードの出し過ぎが原因としても先頭車両が軌道を外れる程度で済むはず。速度の出し過ぎが原因なら、今回のようにあれだけ軌道から飛び出すような脱線にはならないと思う。
慎重な調査が必要
交通問題評論家の角本良平さんの話 詳細は分からないが、乗用車と衝突し、車両が不安定な状態となり、このような惨事になったのだろう。かつて、マンションのような建築物にぶつかった事故というのは記憶にない。だが、今回のような脱線事故は珍しくない。不幸にもその先にマンションがあったということだ。今後も起こり得るケースだ。乗用車と衝突前、路面に不具合などがなかったか、踏切内で何があったのかなど、慎重な調査が必要だろう。