3-801「模擬試験」

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ふう――
午前中の全試験が終了し、思わず溜息がついて出た。
何の試験かって? 言わずと知れた高校入試の模擬試験だ。
まったく、貴重な日曜日にも関わらず朝も早くから借り出されるとは勘弁願いたいぜ。
「やあキョン、午前の首尾はどうだった?」
そう言って俺の席に近付いてきていたのは手に鞄を提げた佐々木だった。
「判った様な判らん様な、何とも言えん感じだな――それなりに手応えが無い訳でも無いが」
「頼りない回答だね、それはまた」
くっくっと笑いながら俺の横の空き席に腰掛ける。どうせお前はこんな試験楽勝だろうよ。
「まあこんなので躓いてるようじゃ、僕の志望校には通らないしね。
 ――キョンはお弁当じゃないのか?」
「ん? ああ――」
自分の弁当箱を取り出しながら、俺が脇に置いていたコンビニの袋へ目を留めた佐々木が尋ねてきた。
「休みの日は休ませろって、親がな。朝その辺で買ってきた」
答えながら、ポリ袋の中の食料を取り出す。まあオニギリとかパンとか、その辺の奴だ。
「なるほど。まあ少しくらいならば僕のオカズを分けてあげよう、有難く思いたまえよ」
「ははー」
尊大に構えてみせる佐々木に、返答とばかりに俺はイスラム教徒が定時礼拝の時にするような
大げさな礼をしてみせた。何やってんだろうな、俺達。
隣でさも可笑しそうに笑う佐々木を見て、俺も少し笑った。
午後の試験も全て終了し、俺は机の上に突っ伏した。明日も学校があるなんて信じられん。
「見事に伸びているね」
いつの間にか俺の近くへ来ていた佐々木が、俺を見下ろしながら喉の奥で笑った。
疲れたぜ、もう。糖度が足りなくて脳が悲鳴を上げてる感じだ。補給物資はまだか?
「そうだね――うん」
そう呟いた佐々木は何やら楽しそうな表情を浮かべ、
「じゃあ、アイスでも食べに行こう。どうやら僕の体も甘いものを欲しているようでね。
 さて、そうと決まったら善は急げ、だ。早く起きてしまえよ、キョン」
ぐいぐいと俺の肩を引っ張り出した。おいおい落ち着けって、そんな事しなくても起きる。
とりあえず片付けるから、ちょっと待ってくれよな。
「そう言えば、今日も自転車なんだろう? いつも悪いけど、お願いするよ」
おう、任せとけって。あと別に悪いとか気にすることねえよ。


-おまけ-

チリンチリーン――

谷口(くそ、何だあいつら……羨ましい連中だぜ、はあ)

ハルヒ(何よ何よ何よ何よ見せ付けちゃってさ!それでも受験生な訳あんた達?!キィー!)

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最終更新:2008年01月28日 22:40
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