52-653「佐々木さんの心情」

天気のいい日曜日、特に用事も無くぶらついてて気がつけば例の駅前公園(現実世界ではなくなったらしいが
それからどうなったんだろうか)に来ていた。 そこには見覚えのある奴が携帯を覗き込んでる。
よう、何やってんだ佐々木。
「きゃっ、…ああ、キョンか。 驚かせないでくれ。」
今、お前きゃって言ったな…なんか妙に新鮮だったぞ。
「う、ぼ、僕だって生物学上は女性の部類に入るんだからそういう反応もあるさ。 と、ところでキョンは何
 してるんだい?」
おーおー、慌ててる慌ててる、顔赤いぞ。 あー、分かったから怒るな。 俺は散歩だ、天気いいしな。
「全く君は…まぁいい、僕も散歩でここにたまたま立ち寄っただけだ。 今はちょっと休んでたところさ。」
それにしても随分熱心に携帯見てたな。 何見てたんだ?
「ああ、これかい? 大型掲示板、所謂2chというやつだ。 橘さんに僕の事を書いてる掲示板があるって
 教えられてね、何の気無しに見てみたんだがこれが中々興味深い。 それで時々見てるんだ。」
ほぉ、佐々木がねぇ。 俺もそれは知ってるぞ。 俺専用のスレもあるからな。
「それは話が早い。 君のも見せてもらってるけど結構人気者じゃないか。 僕のは微妙だけどね。」
んー、確かにお前の所はひどいのが数人いるな。 そんなの見てて嫌にならないのか?
「匿名だからね。 知ってる人間に言われれば多少傷つくが、よく知らない人が想像で色々言ってもあまり
 気にはならないかな。 むしろ同情してる位だ。」
同情? どういう事だ?
「以前読んだ本の主人公のセリフだがね、『一度しかない人生嫌いな物があるってのは単純に損』って言葉
 があるんだ。 僕はそんなに長い人生送ってるわけじゃないけど、この言葉は真実だよ。 ネガティブな
 感情に支配されるのは精神衛生上良くない。 もっと楽しい話題に使える時間をわざわざお互いに気分が
 悪くなるような事に使うのは時間の無駄以外の何物でもないだろう? 嫌なものは少しでも減らすに越した
 事はないんじゃないかな。 そう思うとアンチと呼ばれる人達に同情こそすれ、マイナスの感情はあまり
 出ないようになったよ。 色んな事言われても『そういう考えの人もいるのか』位に受け止めてる。
 ただ、他のスレにまで迷惑かけてる人がいるのは心苦しい限りだ。 僕のせいでそうなってしまったのは
 すまないと思ってる。 それだけは正直止めて貰いたいんだが…」
別にそれは佐々木のせいって訳じゃないと思うぞ。 お前の名前が出る前は別の所のアンチをやってた奴の
ようだし。 あまり気にするな。
「ありがとう、そう言って貰えると助かるよ。 さて、そろそろ休憩も終わりにしようか。
 どうだいキョン? 別の話題でもしながら散歩の続きでもしないか?」
いいぜ、どうせやることないんだ。 今日一日付き合うぞ。

…この後ハルヒと出会いちょっとした騒ぎになるのだが、それはまた別の話

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年06月19日 13:34
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。