71-166『幸福な王女様』

昔々、ある所に黄金で出来た王女様の像がありました。その像に、一匹の燕が羽を休めます。
キョン「やれやれ。燕の生活も難儀なもんだ。すまんが羽を休めさせてくれると有り難いんだが。」
佐々木「ああ、構わないよ。ゆっくりしていきたまえ。ただ、代わりに願いがあるんだが、聞いてくれるかい?」
キョン「場合によるな。」
佐々木「あそこの家に年老いた夫婦がいる。そこに僕のこの宝石を届けてくれるかい?」
キョン「やれやれ。」
王女様とキョンは次第に仲良くなり、王女様は燕に自分の身体の宝石を剥がせては貧しい人達に贈りました。
キョン「(そろそろ旅立たないとヤバいんだが……)」
しかし、燕は王女様の側に居たかったのでした。
やがて冬となり、王女様がみほずらしく成り果て、燕もまた力尽きます。
燕は王女様に別れを告げました。
キョン「すまんがお別れだ。」
佐々木「旅立つのかい?すまないが路銀のひとつもやれない僕を許してくれ。」
キョン「かまわん。どうせ死出の旅だ。だが、貰えるならひとつだけくれ。」
佐々木「何をだい?」
キョン「手にキスさせてくれ。」
佐々木「くっくっ。せっかくなら口唇にしてほしいな。」
キョン「ああ。」
重なりあった口唇。
佐々木「僕も直にキミの所に行く。安心して休みたまえ。」
キョン「そうかい。……少し寝る。すまねぇな……」
冷たくなった燕が王女様の足許に落ち、王女様の心臓もまた、音を立てて割れました。
市民から、みほずらしいものとして棄てられた二人でしたが……

ハルヒ「ま、この世で価値があるものとして認めてやらない事もないわ。」

神様に認められた王女様と燕は天に召され、黄金の国で穏やかに過ごしました。

めでたしめでたし。

END

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最終更新:2013年07月01日 00:51
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