日曜日、朝起きたら、予想の通り、すごい筋肉痛だった。
いっしょに勉強する約束していたので、佐々木の家に行こうとすると、妹が付いてきた。
「キョン君ーどこ行くのー?」
「佐々木の所だ」
「ジョン君の所ー?わたしもいきたーい。」
「遊びに行くんじゃないぞ。勉強しに行くんだぞ。」
「嫌ー。ジョン君に会いたいー。」
「しょうがないな。勉強の邪魔するんじゃないぞ。」
「うん。いい子にしてるー」
ちなみに、ジョン君ことジョン・スミスは佐々木の飼い犬で、以前俺の家で飼っていたヒラリー・スミスの子供である。
七夕の時にとっさに俺が名乗った名前でもあるな。うん。
残念ながら家で飼っていたヒラリー・スミスは俺が中学卒業した頃にフィラリアで死んじゃった。
「じゃ、ジョン君にお土産持っていくねー。ちょっと待ってねー」
「早くしろよ」
煮干でも持っていくのか。早くしろよ妹よ。
妹を自転車の荷台に乗せて佐々木の家に行った。昔は妹といっしょに時々佐々木の家に行ったな、懐かしい。
「キョン君、もう着いたねー」
「いい子にして、佐々木に失礼の無いようにな。」
ジョンも元気だな、うれしそうに尻尾をふっている。
「今日は、よろしく頼む。佐々木」
「今日はー。おねえちゃんー」
(妹さんもいっしょか。せっかくキョンと二人きりになれると思ったのに。残念。
いや、妹さんと家族ぐるみの付き合いをすると、前向きに考えるんだ。)
相変わらず佐々木の部屋は普通の女の子の部屋だ。やっぱりこいつも女なんだな。僕っ子とは思えない。
中学時代、佐々木が女であることを忘れて、色々失礼なことをしてしまったことがあったな。
え?他の女の子の部屋見たことあるような口ぶりなのはどうしてか、だって?
俺には親しくしている親戚が多いから、親戚の女の子の部屋も拝見させてもらったよ。
「それは何かな?妹ちゃん?」
「ジョン君へのおみやげー」
って、それネズミじゃないか。それも生きている。
「きゃー、ネズミー」
ネズミにびっくりした佐々木が抱きついてきた。俺の体に柔らかい感触を感じる。
佐々木ってこんなに胸があったっけ?もしかしてハルヒとそんなに変わらないくらい、、、
「ごゆっくりー。ジョン君にネズミあげてくるねー」
(僕は思わずキョンと抱き合って。チャンスだ。しばらくこうするんだ。)
「佐々木、ネズミいなくなったぞ」
「怖いよー、ネズミ怖いよー」
「もう心配しなくて良いぞ。」
(もう少し、こうしてキョンと抱き合っていたいよ。)
「キョン、怖かったよー」
佐々木の見せる女の子らしい振る舞いに、俺は心臓がドキドキした。
もう少しで、中学時代のあの日のように佐々木にキスをするところだった。危なかった。
それにしても、こんな悪質な悪戯をする妹は折檻しないと。
「お前、何でネズミなんか持ち込んだのだよ。大体ネズミなんてどこから持ってきたんだ」
「部屋にいたので捕まえて飼ってたのー」
「そんな物飼うなよ。ハムスターじゃなくてドブネズミだったぞ。」
「駄目だったのー?」
「駄目に決まっているぞ。ネズミなんてシャミセンの餌にしろ。」
「シャミ食べなかったんだものー」
だから、ジョンの餌にしたのか。やれやれ。
しかし、ネズミを食わないとは、我が家のシャミセン氏は食事が多すぎるみたいだな。
罰として今日は晩飯抜きだ。
「俺はともかく佐々木は怖がっていたぞ。ちゃんと謝れ」
「ごめんね、おねえちゃん」
「いえ、私は気にしてないわ。」
(今日はキョンとの親睦が深めれて、良かった。)
その後、俺たちは普通に勉強した。妹はあまり邪魔をしなかったので勉強ははかどった。
そして、帰り道
「お前、何でネズミなんか持ち込んだのだよ、佐々木が怒っていたぞ」
「佐々木おねえちゃん喜んでいたよー」
「お前、何を言うのだ。ネズミに喜んでいるはず無いだろうが。」
「喜んでいたもーん」
「あのなー。今度会ったら、もう一度ちゃんと謝るんだぞ。」
「うん。わかったー。」
こうして、俺の日曜日は何事もなく終わった。
ちなみに、SOS団副団長は午前中ハルヒの悩みを聞き、午後には鶴屋さんの悩みを聞いたらしい。
そのことは、次の月曜日から始まる激動の日々の伏線となるものだった。
(続いたら良いね)
最終更新:2007年10月15日 10:20