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所在 | ヘルヘイム |
本名 | |
役職(?) | ヘルヘイムの女帝 |
種族 | 神族 |
年齢 | 一万歳以上? |
所有装具・武具 |
詳細
【冥界の統馭(めいかいのとうぎょ)】の二つ名を有するヘルヘイムの女帝
九国大陸全土において他に類を見ない超大国(五年前の冥王戦争終戦以降、統合統治されることとなったニブルヘイムの国土も合わせて、他の国土の二倍以上の広さを持っている)ヘルヘイムの指導者。
外見は幼い少女、いや、美少女の姿をしており、年齢を探るとするなら、十一、ニ歳だろうか、少なくとも十五には見えない容姿の持ち主で、少女王と呼ばれている。
年齢は不詳だが、本人曰く、外見とは裏腹に、ミドガルドのソロモン七十二柱を除いた他の神族よりは、いくらか年長であるらしい。
ヘルの家族は世界から姿を消した古き神々であったが、彼女は言うなれば、古き神と新しき神の間に存在する神だろう。
それでも優に一万歳を超えると見られている。
もっとも、ミドガルドの魔王など、軽く二千万を超える長命とのことだから、そこから考えれば赤子ほども若いだろうが。
年齢は不詳だが、本人曰く、外見とは裏腹に、ミドガルドのソロモン七十二柱を除いた他の神族よりは、いくらか年長であるらしい。
ヘルの家族は世界から姿を消した古き神々であったが、彼女は言うなれば、古き神と新しき神の間に存在する神だろう。
それでも優に一万歳を超えると見られている。
もっとも、ミドガルドの魔王など、軽く二千万を超える長命とのことだから、そこから考えれば赤子ほども若いだろうが。
神族至上主義を嫌っており、故に絶対王政(王族を頂点として貴族層が世界を支配する在り方)を否定している。
そのため、アスガルズとは非常に仲が悪く、国交も現在は絶たれている。
いち早く現在の資本主義(作中の世界観はギルド全盛期の中世から産業革命時の文化的、社会的背景を模倣している。詳しくは生活環境、技術水準の項を参照)と政治手法に傾倒した人物であり、今までの様に農民は農耕で、商民は商いで、貴族は地域統治で、王族は国土政治で、という限られた世界ではなく、個人の労働力や才能を賃金にて雇い入れることで自らの才能如何で如何様にも職を選べる手法を確立した見た目にはとてもそうは見えない聡明な人物。
そのため、アスガルズとは非常に仲が悪く、国交も現在は絶たれている。
いち早く現在の資本主義(作中の世界観はギルド全盛期の中世から産業革命時の文化的、社会的背景を模倣している。詳しくは生活環境、技術水準の項を参照)と政治手法に傾倒した人物であり、今までの様に農民は農耕で、商民は商いで、貴族は地域統治で、王族は国土政治で、という限られた世界ではなく、個人の労働力や才能を賃金にて雇い入れることで自らの才能如何で如何様にも職を選べる手法を確立した見た目にはとてもそうは見えない聡明な人物。
政治においても他国のような王政に任せるのではなく、それぞれに必要な府庁を配置し、各々の裁量による政治的統治を目指している。
そういった背景のためか、国家主要都市の技術水準は高く、蒸気機関においてはミドガルドに劣るものの(発明王でもあるパラケルススがいるため、科学水準ではミドガルドは他の追随を許さない)魔力機関の開発運用に関しては、九国一とも言われる。
そういった背景のためか、国家主要都市の技術水準は高く、蒸気機関においてはミドガルドに劣るものの(発明王でもあるパラケルススがいるため、科学水準ではミドガルドは他の追随を許さない)魔力機関の開発運用に関しては、九国一とも言われる。
種族の隔たり無く能力を尊重する、私有財産主義(金品のみならず能力、才能も私有財産とする考え)のもとに、人間にも多くの雇用を与えている。
その最たるものが、四将に座する二人の人間だろう。
その最たるものが、四将に座する二人の人間だろう。
その分、神を絶対とする諸外国の王侯派には敵視されているが(先の冥王戦争も、この思想がいかに神の威を殺すかという危機感に駆られた王侯派が開戦の口火を切ったとされている)
しかし、その中でも世界的に穏健派であるミドガルドの魔王とは親交も深く、アガレス大公には若かりし頃によく世話を焼いてもらっていたらしい。
話を聞くに、圧倒的に大公爵の方が遥かに歳上のようだ。
婚約者であるギャクジョウを長らく預けているにも関わらず、政治闘争にならないのは、そういった背景もあるようだ。
しかし、その中でも世界的に穏健派であるミドガルドの魔王とは親交も深く、アガレス大公には若かりし頃によく世話を焼いてもらっていたらしい。
話を聞くに、圧倒的に大公爵の方が遥かに歳上のようだ。
婚約者であるギャクジョウを長らく預けているにも関わらず、政治闘争にならないのは、そういった背景もあるようだ。
普段は、ヘルヘイムの王都【至福者の街】エリュシオンにある王城エリューズニル城(雨で濡れたものの意)という街の名とは正反対の何とも陰気で、しかし巨大で細工の美しい城に住んでいる。
しかし、この城は何とも変わった作りをしており皿はフングル(空腹)ナイフはスルト(飢え)寝台はコル(病床)天蓋はブリーキャンダボル(輝く禍)更に敷居はファッランダフォラズ(蹴躓くほどに危険な高さ)となっている。
勿論、来賓もある城だ。メイドも執事も多い。政府高官たちも立ち入る。
そういった理由から全てが全てそうという訳ではないが、少なくともヘルがこの城の主になった時には全てがそうした造りだったらしい。
今は、度重なる改装によりまっとうなものになりつつあるが、それでもヘルの訪れる場所は未だほとんどがこうした造りであるらしい。
城内では、「むむ…」と一息気合を入れて、敷居を跨ぐヘルの姿が見られるとか。
ヒトエやフタエは言うに及ばず、他の高官や侍女、執事にいたるまでが、口を揃えて危険ですから改築をと薦めているのだが、ヘルはニコリと微笑み「伝統です」の一言で片付けてしまうらしい。
見るに見かねたフタエが、未だ神界にエリューズニル城が存在した頃に、ヘルの寝室のみはせめて快適にと改装したという話もある(やや、本人の趣味の世界になってしまった気もするが)
この城は、新神暦からの四百余年のうちに建てられたものではなく、ミドガルドの魔王の王城パンデモニュウム同様に、神々の世界からヘルと共に降りてきたものだ。
その歴史は計り知れないが、伝統とはそういったことかもしれない。
しかし、この城は何とも変わった作りをしており皿はフングル(空腹)ナイフはスルト(飢え)寝台はコル(病床)天蓋はブリーキャンダボル(輝く禍)更に敷居はファッランダフォラズ(蹴躓くほどに危険な高さ)となっている。
勿論、来賓もある城だ。メイドも執事も多い。政府高官たちも立ち入る。
そういった理由から全てが全てそうという訳ではないが、少なくともヘルがこの城の主になった時には全てがそうした造りだったらしい。
今は、度重なる改装によりまっとうなものになりつつあるが、それでもヘルの訪れる場所は未だほとんどがこうした造りであるらしい。
城内では、「むむ…」と一息気合を入れて、敷居を跨ぐヘルの姿が見られるとか。
ヒトエやフタエは言うに及ばず、他の高官や侍女、執事にいたるまでが、口を揃えて危険ですから改築をと薦めているのだが、ヘルはニコリと微笑み「伝統です」の一言で片付けてしまうらしい。
見るに見かねたフタエが、未だ神界にエリューズニル城が存在した頃に、ヘルの寝室のみはせめて快適にと改装したという話もある(やや、本人の趣味の世界になってしまった気もするが)
この城は、新神暦からの四百余年のうちに建てられたものではなく、ミドガルドの魔王の王城パンデモニュウム同様に、神々の世界からヘルと共に降りてきたものだ。
その歴史は計り知れないが、伝統とはそういったことかもしれない。
左右には【開智の塔】【施政の塔】と呼ばれる建物があり、それぞれフタエとヒトエの職場となっている。(その他管理府庁は存在するが、両名は個人所有の城や館を持たず、この塔内で生活している)余談だが、城下町にはナガシマの住居兼職場であるザンクトペーターウントマリア大聖堂も存在している。
ヘルとギャクジョウの出会いは古く、六百年以上前に遡る。
未だヘルが冥界と呼ばれる世界に存在した頃、当時のヘルは身を固めることを煩く迫る父をわずらわしく感じていた。
そのためか、よくよくも人間世界へお忍びで遊びに出掛けることが多かったようだ。
その度に、フタエなどは肝を冷やしたものだったようだが、当時は女王ではなく即位前の王女であり政務に縛られることが無かったことも大きいだろう。
その頃、ヘルは一人の赤子と出会う。
ヘルは、どういう訳か、その赤子を一目で気に入り、深くも考えず冥界へと連れて帰ってしまった。
はっきりと言ってしまえば、別に捨て子だった訳ではない。
ヘルが連れて行かなければ、貧しいながらも平凡に生き、ありきたりな、しかし、幸福な時間のなかで死んでいった命だったのだろう。
それは明らかに神によるキッドナップであり、俗に言う〝神隠し〟だったのだ。
父王はそれはそれは激怒したものだった。
人間界に降りたこともそうだが、あまつさえ人間の赤子を拾ってこようなどとは、王族にあるまじき行為であると、酷く酷く叱ったようだ。
しかし、今はこの世を去った家族たちはヘルのことを大いに愛していたのだろう。
母がヘルを庇い、狼の如く雄々しい兄は父に掴みかからんばかりに対峙し、聡明な弟は蛇のようなからめ手で父を説得した。
父はその場を引き下がったが、その後はやはり、全員一致で赤子を人間界に戻すようにとヘルに告げた。
それでもヘルは赤子を放さなかった。
『人間界で産まれ、生き、死ぬよりも、この子が遥かに幸福な時間を過ごせるよう努力いたしますから』と方々に懇願したのだ。
それが良いことであるはずはない。
だが、彼女にはどうしても赤子を放すことができなかったのだ。
最後には、冥界の御歴々もおれる形で承諾した。
その後、赤子を包む、とても肌触りが良いとはいえない硬い布に施された刺繍から、赤子の名は知れた。
赤子の名を〝ケイセイ=ギャクジョウ〟と言った。
未だヘルが冥界と呼ばれる世界に存在した頃、当時のヘルは身を固めることを煩く迫る父をわずらわしく感じていた。
そのためか、よくよくも人間世界へお忍びで遊びに出掛けることが多かったようだ。
その度に、フタエなどは肝を冷やしたものだったようだが、当時は女王ではなく即位前の王女であり政務に縛られることが無かったことも大きいだろう。
その頃、ヘルは一人の赤子と出会う。
ヘルは、どういう訳か、その赤子を一目で気に入り、深くも考えず冥界へと連れて帰ってしまった。
はっきりと言ってしまえば、別に捨て子だった訳ではない。
ヘルが連れて行かなければ、貧しいながらも平凡に生き、ありきたりな、しかし、幸福な時間のなかで死んでいった命だったのだろう。
それは明らかに神によるキッドナップであり、俗に言う〝神隠し〟だったのだ。
父王はそれはそれは激怒したものだった。
人間界に降りたこともそうだが、あまつさえ人間の赤子を拾ってこようなどとは、王族にあるまじき行為であると、酷く酷く叱ったようだ。
しかし、今はこの世を去った家族たちはヘルのことを大いに愛していたのだろう。
母がヘルを庇い、狼の如く雄々しい兄は父に掴みかからんばかりに対峙し、聡明な弟は蛇のようなからめ手で父を説得した。
父はその場を引き下がったが、その後はやはり、全員一致で赤子を人間界に戻すようにとヘルに告げた。
それでもヘルは赤子を放さなかった。
『人間界で産まれ、生き、死ぬよりも、この子が遥かに幸福な時間を過ごせるよう努力いたしますから』と方々に懇願したのだ。
それが良いことであるはずはない。
だが、彼女にはどうしても赤子を放すことができなかったのだ。
最後には、冥界の御歴々もおれる形で承諾した。
その後、赤子を包む、とても肌触りが良いとはいえない硬い布に施された刺繍から、赤子の名は知れた。
赤子の名を〝ケイセイ=ギャクジョウ〟と言った。
その後、ギャクジョウは二十の歳までをまっとうな人間として過ごした。
人間の身でヘルの寵愛を受けている。心無い者達から、いわれない嫌がらせを受けることは多かった。直接的に被害を被れば、ヘルからの神罰が下ることも解っていた分、彼らの嫌がらせは陰湿だった。
そのときには彼の通り名はケイセイ=〝アンダードッグ〟=ギャクジョウとなっていた。
アンダードッグとは【低きを這う犬】という意味だったようだ。
人間の身でヘルの寵愛を受けている。心無い者達から、いわれない嫌がらせを受けることは多かった。直接的に被害を被れば、ヘルからの神罰が下ることも解っていた分、彼らの嫌がらせは陰湿だった。
そのときには彼の通り名はケイセイ=〝アンダードッグ〟=ギャクジョウとなっていた。
アンダードッグとは【低きを這う犬】という意味だったようだ。
そして、二十歳を迎えたその歳、ヘルより、自らの婚約者になるようにとの話を受けた。
当然ギャクジョウは混乱した。ヘルと言えば、妻というより明らかに母か、どう若く見ても姉だろう。
その上、昔は母と思って懐いていた人が、見る間に自分との差を縮め、今に至っては見た目にして追い抜いてしまった格好だ。
そんな理由から、ただでさえ最近は「ほっとけや!」「自分、オカンみたいに説教すなや!」などの二十歳とは思えぬ言動が目立つ、俗に言う反抗期だったのだ。
未だに、自分がヘルの婚約者と認めないのはそういった経緯もあるらしい。
別に嫌いではない、嫌いではないが、彼女はあくまで母であり姉であり、見た目的に妹で、ある意味娘のような感覚であって、はっきりしているのは対象外(いかにギャクジョウが変態であっても親族は対象外です)であるということだ。
しかし、ヘルにしてみれば、いずれ大人の考えが持てるようになった頃には、そうしよう。そうなろう。として今まで育ててきたのだ。
今更言われても困るのはお互い様である。
そうなってくるとどうなるか、答えは簡単だった。
力対力の勝負になるのだ。
こうなって当時のギャクジョウが敵うはずも無く、あっさりと敗北し、同時に自らと共に永遠を歩む証として、永劫回帰、現在流転の呪詛を刻み【環なる蛇】の称号を半ば無理やりにして授けた。
その後、渋々婚約者に収まるも、何とか結婚からは逃げ続けてきた。
婚約者になってからギャクジョウは知ったが、ヘルの愛は痛いのだ。物理的に。
それは激しくも無残なものだったようだが、愛は本物であるらしい。
まさか、このために自分は不死にされたのではと疑った時期もあった。
それでも、ギャクジョウは百年の時を耐えた。
しかし、百年目を迎えたその年、ギャクジョウは冥界を失踪したのだ。
未だ神世界が人間界に堕ちる以前の話、ギャクジョウは培った料理の腕でもって神世界を渡り歩く放浪の民になることを選んだ。
そこには、先に述べたヘルに対する複雑な感情から、婚約者にはなれないだろう負い目というシリアスさと、不死でも流石に痛いものは痛い、もうキツイという御馬鹿な理由が同量だった。
ヘルはその後、百年泣き明かした。
どれほど神世界を捜索しても、激動の時代であった神世界で一人の人間を探すことは困難を極めた。
そうこうしているうちに、古き神々は世界に溶け込むように去り、新しき神々は人間界へと降りていった。
人間界に降り立ち、それでも泣き続けたヘルに、吉報は唐突に舞い込んだ。
それは、ミドガルドに面倒ながらも自領を構えることとなったアガレス大公爵老からの信書であった。
内容は『かつて話に聴いた赤子を保護した』とだけある手紙だった。
アガレスは、年若い者達を赤子と呼ぶ癖がある。
ヘルも昔はよく、いや、今でもたまにそう呼ばれることがある。
そして、自分が話した赤子、それは間違いなくギャクジョウのことだった。
その後は、自分の態度がギャクジョウを追い詰めたならと考えたヘルは、多くの干渉をさけ、アガレス、或いはヒラサカとの電話や手紙のやり取りなどでギャクジョウの様子を聞くに留めていたのだ。
当然ギャクジョウは混乱した。ヘルと言えば、妻というより明らかに母か、どう若く見ても姉だろう。
その上、昔は母と思って懐いていた人が、見る間に自分との差を縮め、今に至っては見た目にして追い抜いてしまった格好だ。
そんな理由から、ただでさえ最近は「ほっとけや!」「自分、オカンみたいに説教すなや!」などの二十歳とは思えぬ言動が目立つ、俗に言う反抗期だったのだ。
未だに、自分がヘルの婚約者と認めないのはそういった経緯もあるらしい。
別に嫌いではない、嫌いではないが、彼女はあくまで母であり姉であり、見た目的に妹で、ある意味娘のような感覚であって、はっきりしているのは対象外(いかにギャクジョウが変態であっても親族は対象外です)であるということだ。
しかし、ヘルにしてみれば、いずれ大人の考えが持てるようになった頃には、そうしよう。そうなろう。として今まで育ててきたのだ。
今更言われても困るのはお互い様である。
そうなってくるとどうなるか、答えは簡単だった。
力対力の勝負になるのだ。
こうなって当時のギャクジョウが敵うはずも無く、あっさりと敗北し、同時に自らと共に永遠を歩む証として、永劫回帰、現在流転の呪詛を刻み【環なる蛇】の称号を半ば無理やりにして授けた。
その後、渋々婚約者に収まるも、何とか結婚からは逃げ続けてきた。
婚約者になってからギャクジョウは知ったが、ヘルの愛は痛いのだ。物理的に。
それは激しくも無残なものだったようだが、愛は本物であるらしい。
まさか、このために自分は不死にされたのではと疑った時期もあった。
それでも、ギャクジョウは百年の時を耐えた。
しかし、百年目を迎えたその年、ギャクジョウは冥界を失踪したのだ。
未だ神世界が人間界に堕ちる以前の話、ギャクジョウは培った料理の腕でもって神世界を渡り歩く放浪の民になることを選んだ。
そこには、先に述べたヘルに対する複雑な感情から、婚約者にはなれないだろう負い目というシリアスさと、不死でも流石に痛いものは痛い、もうキツイという御馬鹿な理由が同量だった。
ヘルはその後、百年泣き明かした。
どれほど神世界を捜索しても、激動の時代であった神世界で一人の人間を探すことは困難を極めた。
そうこうしているうちに、古き神々は世界に溶け込むように去り、新しき神々は人間界へと降りていった。
人間界に降り立ち、それでも泣き続けたヘルに、吉報は唐突に舞い込んだ。
それは、ミドガルドに面倒ながらも自領を構えることとなったアガレス大公爵老からの信書であった。
内容は『かつて話に聴いた赤子を保護した』とだけある手紙だった。
アガレスは、年若い者達を赤子と呼ぶ癖がある。
ヘルも昔はよく、いや、今でもたまにそう呼ばれることがある。
そして、自分が話した赤子、それは間違いなくギャクジョウのことだった。
その後は、自分の態度がギャクジョウを追い詰めたならと考えたヘルは、多くの干渉をさけ、アガレス、或いはヒラサカとの電話や手紙のやり取りなどでギャクジョウの様子を聞くに留めていたのだ。
それ以後は泣くことを止め、名君となるべく帝王学の勉強に今も余念がないのだという。
ただし、やや鬱積した欲求が不満気味のようでもあるようだが、しかし、ヘルヘイムは今日も概ね平和だ。
ただし、やや鬱積した欲求が不満気味のようでもあるようだが、しかし、ヘルヘイムは今日も概ね平和だ。

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