【1】幼少期・1960~70年代
<1-1>
1967年6月6日誕生。双子座、ひつじ年。
<1-2>
霊や妖怪が他人に見えていない事をまだ自覚していなかった為、
何もない場所を指差して友達だと言い張ったり、
部屋の隅を眺めていたり、といった奇行を繰り返す。
両親からは障害児ではないかと疑われ、
近所の子供からも「変わっている」「ヘンな子」と言われる。
<1-3>
周囲の人間から「変わっている」「ヘンな子」と言われ続けた為、
親や教師の言いつけや、明文化された規則を杓子定規に守る事で、
「客観的に見て”正しい人間”」になる事に執着する。
が、それによって対人関係に問題をきたす。
(例えば、服を汚すのはいけないから外遊びに誘われても断る、
トイレの後と食事の前は石鹸で手を洗わなければならないから
石鹸の常備されていない屋外での飲食はしない、
寄り道は良くないから一人だけ先に帰る、という具合)
また「客観的に見て”正しい人間”」の定義には、人に暴力を振るわない
(特に、特殊能力を持つヒーローが民間人に暴力を振るってはいけない)
男が人前で泣くのは恥、親を困らせない、といったものも含まれていた為、
いじめっ子に暴力を振るわれても、やり返す事も、親や教師に相談する事も出来なかった。
【2】1980年 中学1年生
<2-1>
ヒーロー番組の正義を信じる事に限界を感じる。
<2-2>
小学生時代には一部のいじめっ子にからまれるだけだったが、
中学ではいじめが組織的なものになり、クラス全体から無視されるようになる。
が、もしかしたらいつかは、友達が出来るかもしれないという望みを捨てきれずに、
当時クラスで流行っていたTV番組を観続ける。
「夜のヒットスタジオ」もそういった番組のひとつ。
【3】1981年 14歳 中学2年生
<3-1>
霊界探偵にスカウトされる。完全なボランティアであるにも関わらず、
「客観的に見て”正しい人間”」になるのにもってこいである為、引き受ける。
また、霊能力を理解し、自分を褒めてくれる唯一の存在として、
コエンマに対して過剰に懐く。
「客観的に見て”正しい人間”」になる事への執着から、
悪と認識している妖怪には容赦せず、視界に入ったもの全てを殺し続ける。
【4】1984年2月 16歳8ヶ月 高校1年生
<4-1>
2月5日、追い詰められた樹が、仙水に「言い残す事はあるか」と問われ、
「できればあと1日生きたい。明日のヒットスタジオに戸川純が出る」と答える。
樹は「サブカルおたくの間だけで知られていた戸川純がゴールデン枠に出る事で、
日本中のお茶の間がパニックになる瞬間に居合わせたい」
あるいは「今まで仲間を殺し続けた霊界探偵にささやかな嫌がらせをしたい」
といったつもりで話題を振ったのだが、
仙水は前々から「TV番組の話が出来る友達が欲しい」と思っていた為、
樹の意に反し、運命を感じて懐いてしまう。
<4-2>
樹は過去の罪の償いとして、霊界探偵のパートナーになるよう命じられ、
仙水とともに行動しているうちに、仙水が上級妖怪に関する知識を与えられていない事、
学校で孤立している事、霊界探偵を続ける為に生活を犠牲にしている事などに気づき、
コエンマをいぶかしむ。が、口出し出来る権限を持っているわけではないし、
ヘタをすると霊界に目をつけられて自分の命が危なくなるかもしれないので、
言い出す事ができないままになってしまう。
【5】1984年10月 17歳4ヶ月 高校2年生
<5-1>
BBCで人間が妖怪を虐げている現場を目撃して取り乱し、
その場にいた人間を皆殺しにしてしまう。
コエンマは事情を察して仙水を責めなかったが、これにより
「客観的に見て”正しい人間”」になる事は、未来永劫不可能となる。
仙水は「”正しい人間”でなければ、コエンマの傍にいる資格は無い」
と考えていた為、コエンマと顔を合わせるのが気まずくなって失踪した。
<5-2>
副人格のカズヤが第二の殺人を犯した事で、思いつめた忍が自殺未遂を図る。
(この時点では、カズヤの人格を制御できていなかった)
樹に止められたので一命は取り留めたが、右腕を失う。
右腕を失った事で生活に支障をきたし、樹に面倒を見て貰ううちに、
樹に見捨てられる事への恐怖心が、同性愛への嫌悪感を上回ってしまった。
また、忍の人格が眠っている間に、副人格のカズヤがさらに人を殺す事を恐れ、
手足を縛り、樹に添い寝されなければ、眠る事ができなくなった。
後にカズヤと対話する機会を得てからは手足を縛らなくなったが、添い寝は生涯続いた。
<5-3>
忍が「妖怪である樹に殺されたい」といった事を言い出す。
樹は「攻撃は不得意だから、殺す事は出来ない」と断るとともに、
生きながらえさせる為に「魔界にいる妖怪の頭領に謝罪し、殺されるべき」
という無理難題をふっかける。
これにより忍は、現地に辿り着く為にS級並の強さにならなければ、死ぬ事が出来なくなる。
<5-4>
忍が人間を殺した事を苦に自殺未遂を図ったので、樹が慰めるつもりで
「悪人がしかるべき制裁を受けただけだ。忍が気に病む必要は無い」
「コエンマは仙水を利用していた。霊界の正義に囚われる必要は無い」
といった発言をする。これにより、忍は「妖怪=悪」から、
「悪人を裁かなければ」という考えにシフトしてしまう。
<5-5>
この時点で、仙水はコエンマとは3年以上4年未満のつきあい、
樹は9ヶ月のつきあいであり、さらにコエンマは責任者でもあったので、
樹は「仙水がこうなったのはコエンマのせいで、
自分はその尻拭いをしている」と認識していた。
樹がどんな接し方をしても、忍は自分を責める事をやめず、
悪い方へ向かい続けたので、樹自身も介護ノイローゼに陥っていった。
【6】1993年末
<6-1>
死期を悟る。
治療が可能な病気であったが、人間に頼るのが嫌だったので治療を受けずに放置し続けた。
<6-2>
戸愚呂(兄)を拾った事で後輩の幽助の存在を知り「計画」の決行を思い立つ。
ただし「計画」への考え方は人格により大きく異なっており、
ミノルやカズヤが「人間や霊界への復讐」と考えている一方、
忍の目的は「魔界で妖怪の頭領に殺されること」と、
「コエンマが本当に自分を利用していただけなのか、確かめること」だった。
ナルなどの非戦闘系の人格は「忍の目的を叶えるため」計画に賛成した。
<6-3>
樹は、忍から「計画」について聞かされているうちに、
忍が今でもコエンマに好意を持っている事、
本人も自覚しないまま、コエンマからも好意を持たれている事を
前提とした計画を立てている事を見抜き、コエンマに嫉妬した。
(コエンマが魔封環の使用を決意するモノローグは、無理心中に近い。
また、魔封環は将来起きる災害に備えたものであり、
霊界が人間界へ介入するのも好ましくない事とされているので、
コエンマが個人的な判断で使えば処罰される可能性もある)
【7】1994初頭
<7-1>
領域能力に目覚めそうな、社会的に孤立し、鬱屈している者を勧誘していった。
「過去の自分自身に似ている者」を見つけて、話を合わせればよかったが、
忍は人を騙す事に耐えられなかった為、人を騙す事を厭わない副人格のミノルにすべて任せ、
忍は最終段階まで引き篭もっている事にした。
【8】1994年4月 26歳10ヶ月
<8-1>
樹が蔵馬、桑原、飛影を亜空間に閉じ込める。
樹は、蔵馬に「お前なら止められたはずだ 仙水がこうなってしまう前に」
と言われて「コエンマは、仙水がこうなった責任を自分に押し付けるつもりでいる」
と感じて腹をたて、あてつけをしたくなった。このため、
「仙水が強くなっていくのを見守っていたかった」と返答すべきところを、
「忍はコエンマのせいでこうなった。それを見ているうちに自分自身も精神を病んだ。
それなのにまだ、こちらに責任を押し付ける気か」という皮肉を込めたくなり、
比喩表現を交えて、「キャベツ畑やコウノトリを信じているようなかわいい女の子に、
無修正のポルノを見せつけるような下卑た快感さ」と発言した。
(当然、精神を病む前の樹の性格を知らない蔵馬には、意味が伝わらなかったので、
改めて「変わっていく仙水を見守り~」と、比喩表現無しで言い直した)
<8-2>
樹は、当初は仙水も言っている通り、危害を加えるつもりは無かったが、
蔵馬と飛影が元A級妖怪であることと、桑原の能力を引き出す為には、
プレッシャーをかけた方がいいと判断したこと、
忍の読み通り、本当にコエンマが魔封環を使ったのに焦ったことから、
「ダメだね」「1人ずつ死んで貰う」などと発言した。
<8-3>
忍は、コエンマが人間界まで来て、魔封環を天沼や自分自身に使ったこと、
魔族になった幽助とコエンマが駆けつけた際の仲間のリアクションなどから、
コエンマが自分を利用していたわけではないと確信した。
また、幽助が善悪関係なしに戦いそのものを楽しむ性格であることや、
仙水を闇堕ちさせてしまった経験から、幽助を育成するに当たって、
コエンマが細心の注意を払ったであろうことを、羨ましく思った。
<8-4>
忍がコエンマや幽助と嬉しそうに喋っているのを見た樹は、
今までの10年間が否定された気がして、嫉妬をつのらせ、
「忍をコエンマに取られてたまるか」とコエンマを遠ざけ、遺体を持ち去った。
忍が「次こそ魔族に生まれますように」「死んでも霊界には行きたくない」
と言い残したのは、「霊能力を持ったまま人間に生まれ変わったら、
次の人生でも同じ事で苦しむハメになる。
それなら、霊能力を持っていて当たり前の魔族の方がいい」
あるいは「自分が霊界に行けば、コエンマが裁かなければならなくなる。
それによってコエンマを苦しめるのは嫌だ」といった理由からだったが、
コエンマに対して嫉妬している樹から伝えられた為、ニュアンスが変わってしまった。
<8-5>
仙水の面倒を見続けた事で、樹自身も精神的に疲弊していた。
また、亜空間に閉じ込めている限り、死んでいても霊体と喋る事は出来るし、
生まれ変わったら、前世の記憶を失ってしまうだろうと思うと、
仙水を生まれ変わらせる決心がつかなかった。
仙水が死んだ事によって、樹は、仙水に負担をかけまい、
ましてや自殺の原因を作るまいと、今まで言えずに黙っていた事を、
霊体となった仙水に言えるようになった。
忍は、ナルを樹に見せる事で、樹を信頼し、隠し事はしていないと示したつもりでいたが、
当の樹は、ナルよりも、忍自身に甘えて欲しがっていた。
また、忍はこのとき、自分のコエンマに対する好意が、樹を傷つけていた事を知った。
事情を知った忍は「樹の気が済むまで、先延ばしにしてくれて構わない。
いや、いっそ生まれ変わらず、このまま閉じ込められ続けるのも悪くない。
今まで10年間無理をさせ続けたのだから、樹にはその権利がある」と答えた。
最終更新:2013年03月22日 19:25