考察 > 補完年表の解説



【1】幼少期・1960~70年代


<1-1>
 「ヒットスタジオに戸川純が出演した日」が1984年2月6日であることを基準として、
 コエンマが「約10年」「10年足らずで」と発言していること、
 「魔界の扉編」序盤に幽助達が進級しているので4月であること、
 「魔界の扉編」がWJ本誌に掲載されていたのが93年末から94年であることなどから
 逆算すれば導き出せる。

<追記>
★ヒットスタジオは84年2月6日、樹と出会ったのはその前日の5日。
★死亡した時、失踪から10年足らずかつ4月中旬以降に26歳10ヶ月。失踪時は17歳=高2だったと考えられる。
★原作では学ランを着ているので冬服シーズンである。また、アニメでは紅葉も落葉もしていない。
★コエンマが仙水の説明をする時「高校生だったな」と発言している。
 「妖怪は全て悪」と発言している仙水は樹と出会っていないと考えられる。
★樹と出会ったのと失踪、両方が高校生の時に起きた事だとすると、
 樹と出会った時は高校1年生の3学期、失踪した時は高校2年生の2学期後半か3学期前半。

<1-2>
 「小さいとき ずっと不思議だった 『どうしてボクにだけ見える生き物がいるんだろう』
  『どうしてそいつらはボクを嫌っているんだろう』『殺そうとするんだろう』
  答えが分からないまま戦い方だけ上手くなった」(act.152 仙水の遺言 /忍)
 以上のセリフから、家族及び幼少期の交友関係には、霊能力者がいなかったことが分かる。

 <1-3>の性格と合わせると「アスペルガー症候群」の特徴に似通っているので、
 家族や小児科医から発達障害児ではないかと疑われた可能性がある。
 また、アスペルガー症候群と同様の経緯で、交友関係を築けなかったり、
 鬱病などの神経症を併発した可能性もある。


<1-3>
 「正義感の強い男だった 度が過ぎるほど潔癖だった」(act.126 黒の章!! /コエンマ)
 「もともと奴は正義感が強い反面 融通のきかないところがあってな……」
                      (act.127 血塗られた過去!! /コエンマ)
 「新雪みたいに無垢な素顔も持っていた」     (act-139 魅きつける理由!! /樹)
 「彼の霊的な力の強さは一目でわかったけど、すごくはかなそうにも見えたな」
                  (act.154 初代霊界・探偵真田黒呼!! /佐藤黒呼)
 これら霊界探偵時代の仙水に関する証言と、戸川純「供述調書によれば」の
 歌詞の内容が一致しているので、公式発表されてはいないものの、
 この歌詞が、仙水忍のモデルになったと見ていい。
   供述調書によれば  作詞:戸川純:作曲:中原信雄
     従順ぽさや束縛だけが
     友だったといや友だった上に
     主義や主張を声高にして
     訴えることも自粛して来て
     善人になりたかった 良い人になりたかった

     倫理道徳信じるだけの
     品行方正自立欲もなし
     正義や仁智を誰か相手に
     呼ぶことすらもひかえて来たが
     善人になりたかった 良い人になりたかった

     なんでなんで こうなったのか

     どこでどこで まちがえたのか

     なんでこんな とこにいるのか

     なんであんな ことをしたのか

     瞬間・刹那の 選択・衝動
     誰だって同じだ 他人事じゃないぞ
   ライブ映像はこれ。(最初の曲0:00~1:30)
   http://www.youtube.com/watch?v=RIwJu6R47JM&feature=youtu.be 

 <8-5>でも挙げるが「デビルマン」のサタン(=飛鳥了)が樹のモデルになったと考えられ、
 その惚れた相手である不動明は、以下のような性格。
 >デビルマンとなり得る資質「善良で純粋な心」を持ち正義を愛する若者。
 >元来は小学生時代「東小のサイレン」と呼ばれた泣き虫で臆病な性格であったが、
 >デビルマンになった事で精神に影響を受け、好戦的な性格に変わった。(ウィキペディア)


【2】1980年 中学1年生


<2-2>
 樹に「ヒットスタジオ」の話題を振られて、小一時間雑談した後見逃しているが、
 今まで「妖怪=悪」とみなしてきた仙水が、いきなり意見を変えたうえに、
 雑談するのは唐突すぎるので、過去にこういった経緯があったと考えられる。

 「霊界紳士録」には「領域能力に目覚めるキッカケとなったコンプレックス」
 について、全員分の設定が書かれている。
 彼らが能力に目覚める事を予測し、話を合わせて勧誘できたという事は、
 仙水は、彼ら全員と何かしらの共通点があったと考えられる。
 特に、作中で天沼と御手洗が学校で孤立しており、
 巻原もクラスメイトから見下されているようなので、
 この3人と話を合わせる事ができた仙水も、クラスで孤立していたと考えられる。

 「あんたもオレも『仲間はずれ』だったって話したことあるよね
 (中略)天沼は強いから疎外される 御手洗は弱いから疎外される」
                          (act.134-ゲームは得意!! /天沼月人)
 「能力名通り食うのが趣味。不器用で動きがのろいため、高校でのあだ名が『ウシ』。
 堂々『楽してスポーツがうまくなりたい、強くなりたい、成績上げたい』と思っていた事が
 趣味とあいまって”美食家”という能力につながった」      (霊界紳士録 /巻原定男)

 アニメ版ではさらに、御手洗がクラスメイトから暴力を振るわれるシーンが追加されており、
 仙水が「誰も助けてくれなかったろう。皆自分だけがかわいいのさ」とコメントしている。
 言葉尻を捉えると、「誰も助けてくれなかった」のであれば、
 その事を知っているのはいじめられた当人だけであり、
 こういった発言が出来るということは、仙水もいじめられていた事になる。



【3】1981年 14歳 中学2年生


<3-1>
 「幻海すら持ち得なかった究極の闘気!! お前は…それをこの10年足らずで…」
                            (act.143 究極の闘気 /コエンマ)
 「オレもあと5年したら霊界探偵になるんだ!!」
   (act.154 初代霊界・探偵真田黒呼!! /佐藤快晴・9歳)
 (結婚を機に霊界探偵を辞めた事について問われて) 「その少し前に忍くんにも会ったよ」
                     (act.154 初代霊界・探偵真田黒呼!! /佐藤黒呼)
 「第一線を退いてから十数年 随分ダッシュな展開になってたのね──」
                         (act.155 魔界への招待状!! /佐藤黒呼)
 以上のセリフから、仙水忍が失踪してから9年以上10年未満だが、
 霊界探偵になってから11年以上経過している。
 また、佐藤快晴君のセリフから、霊界探偵は伝統的に14歳で就任するものと分かる。

 なんらかの経緯がなければ、霊界探偵になった動機に説明がつかない。
 幽助は霊界の手違いで死亡し、蘇生条件の後払いのような格好で霊界探偵を始め、
 その時初めて霊能力を得たので、イチから教えて貰えた。
 初代の真田黒呼は「霊界紳士録」の設定によると陰陽師の家系とされており、
 霊界の役割を理解したうえで、霊界探偵を引き受けたはず。
 だが仙水は、霊界についての知識が無く、メリットも無いのに、霊界探偵になっている。
 とすれば、コエンマら霊界人以外に霊能力の事を相談できる相手がおらず、
 霊界探偵(=正義の味方)になること自体が目的だったと考えるほかない。

 「妖怪は存在そのものが悪です すべて無に還すべきですよ」
                          (act.127 血塗られた過去!! /仙水)
 「事実 彼は倒した妖怪は全て殺してきた」      (act.139 魅きつける理由!! /樹)

<追記>
霊界探偵になる事によって、初めて霊能力を理解してくれた、
コエンマをはじめとした「霊界人との接点を失いたくない」も、動機として適当。


【4】1984年2月 16歳8ヶ月 高校1年生


【解説】

<4-1>
 戸川純が「夜のヒットスタジオ」に出演したのは1984年2月6日で、その前日の出来事。
 なお、その日放送されたのは「玉姫様」で、ピンクのワンピースを着て
 トンボの羽根をつけた衣装での出演だった。
 その映像はニコニコで見られるが(http://www.nicovideo.jp/watch/sm1876276)
 MPを吸い取られそうな前衛的な動きをしながら奇声を発するというもので、
 動画には案の定「放送事故」「公式が病気」タグがつけられている。
 (お笑い芸人の鳥居みゆきのコントは、戸川純のパロディらしい)

 これを観たいというのは、アニメ版の樹の返答「ドラマの最終回が観たい」とは
 まったく違った意味になってくる。
 樹が「宝島」などサブカル雑誌の愛読者だったとしたら、
 追っかけをしてきた地下アイドルが日の目を浴びる瞬間が楽しみだったろうし、
 放送事故の現場に居合わせ、ヤジウマしたくもあっただろう。
 戸川純を知らない人に薦めれば、ちょっとしたイタズラになる。

 仮にイタズラだとすれば「妖怪のお医者さん」の「枕返し」の話が似ている。以下あらすじ。
 「枕返しは人間の夢を盗む妖怪で、出逢ったばかりの少女に
 イタズラのつもりで、怪物に追いかけられる怖い夢を与えた。
 しかし、少女は病気で寝たきりであった為、夢の中で自分が歩ける事に喜んでしまった。
 枕返しは少女を喜ばせる為に、夢を盗んでは与え続けるようになり、
 少女が成人した時にプロポーズした。が、結婚して間もなく少女は病気で息を引き取った。
 少女の死に耐えられなくなった枕返しは、自分自身に少女が生きている幻を見せ続ける為に、
 大量の魔力を欲し、悪行を行ってしまった」

<4-2>
 仙水が、樹の人間くさい発言に驚いている事から、当時の仙水は
 B級以上の妖怪を見た事が無く、知識も与えられていない状態だったと考えられる。

 「逆にオレはいつも一人で大勢の敵を相手に戦ってきた…」
                         (act.140 勝てない理由1~3!! /ミノル)
 「オレもほんの一瞬だが 初めて楽しく戦えた ありがとう」 (act.152 仙水の遺言 /忍)
 師匠に師事して修行したり、トーナメントに出場するなどして、タメないし格上と戦ったり、
 善悪関係なしにケンカをするといった経験が出来なかったようだ。
 裂蹴紫炎弾は格下の雑魚を大量に倒すには効果的だが、タメないし格上に対しては、
 威力が低すぎて使い物にならない技である。過去に格上と戦う機会があれば、
 この技の弱点に気づいたはずだが、自慢しながら使ってしまっている。


【5】1984年10月 17歳4ヶ月 高校2年生


【解説】
<5-1>
 コエンマの「10年足らずで」発言(17歳時、かつ上半期ではない)
 BBC突入時の服装が原作では学ラン、アニメではTシャツかトレーナーだった事、
 紅葉も落葉もしていなかった事を考えると、秋の衣替えよりも後だが、晩秋よりは前となり、
 1984年10月に失踪している事になる。

 BBCでの出来事及び「黒の章」は「デビルマン」の、それまで力を人間を守る為に
 使ってきた不動明が、"悪魔狩り"の民衆により牧村美樹が殺されたのを知り、
 人間に絶望するシーンがモデルになっていると思われる。

 「ここに人間はいなかった 一人もな」の「人間」には、仙水自身が含まれているかもしれない。

 コエンマに対して「人間は生きる価値があるのか」と疑問をぶつけている事や、
 樹が「絶望していった」「変わっていく仙水を見守り」と発言しているので、
 仙水は失踪当時、人間を嫌ったり、コエンマを恨んでいたとは考えにくい。
 失踪した理由はこういったものになるはず。

 「黒の章」を盗んだ理由も「計画への利用」ではなく、
 「人間が善か悪か知りたくなったから」あたりが妥当。


<5-2>
 仙水の右腕は義手であるが、体中の傷について「妖怪につけられた傷など1つも無い」と
 コメントしており、両立させるには「事故で失った」「自傷で失った」
 「銃を取り付ける為に、健康な腕を切り落とした」いずれかになる。
 しかし、カズヤしか使いこなせない銃を取り付ける為に、
 これほどのリスクを払うのは不自然だし、事故で失ったとすると
 「反射神経よりも早く体を動かし致命傷を避ける」とまで自慢していたのが悲しい事になる。
 とすると「自傷で失った」が最右翼。

 副人格の設定は、原作(含・霊界紳士録)とアニメでは微妙に異なっている。
 アニメでは「妖怪にしてきた残虐な仕打ちに耐えられなくなったのでカズヤが、
 人を騙し洗脳していく自分に耐えられなくなったのでミノルが生まれた」とされており、
 2人ともBBCより後にできた人格であり、カズヤが本当に人を殺したかは不明。
 一方「霊界紳士録」では、カズヤは「たまに(銃器コレクターの人格ジョージの銃)これを使って、
 人間を狩りにいく」と明確に殺人を犯した事が設定されており、
 BBCより後に出来た人格なのも確定。ミノルの人格が出来た時期や理由は特に設定されていない。

 仮に、失踪直後の忍がまだ人間嫌いではないとしたら、
 カズヤが殺人を犯したらショックを受ける事は想像に難くないので、
 ここでは、腕を失った原因はカズヤによる殺人に絶望したから、とする。
 1週間後のシーンで樹が仙水の遺体を抱いているが、仮に生前から
 こうするのが当たり前だったのだとすると、かつて不眠症だった等の理由が必要になる。
 また、原作で桑原に使われた拘束具の出所に説明をつける事ができる。

 作中では、樹から仙水に対しての好意は何度も話題に挙がっているが、
 仙水が樹について語っているセリフはまったく無い。
 加えて、失踪前の仙水は真面目で潔癖であり、同性愛というタブーを毛嫌いしていそうである。
 しかし樹が「オレは仙水の影~」で、決定権は仙水に譲っているので、
 あれほどの公式CPであるにも関わらず「ノンケの仙水が、同性愛者の樹に対して告白する」
 という状況を作らなければ、このCPは成立しない。
 理由として考えられるのは「人間もコエンマも信じられなくなった為、
 樹しか頼れる相手がいなくなり、引き止めなければならなくなったから」
 あるいは「樹から借りを作り続けてしまい、借りを返さなければならないと思ったから」


<5-3>
 アニメ版では仙水の動機が「魔界で一番強い妖怪に殺されること」に変更されている。
 (「妖怪が浮かばれるわけじゃないが」と言っているので、謝罪の意味を含めているらしい)

 また、人間界に来られるのはB級妖怪までなので、人間界で戦うだけなら、
 S級になるまで修行を続ける必要は無かった。
 辻褄を合わせる為には、こういった理由が必要になる。


<5-4>
 「悪人を裁かなければ」という考えにシフトした事によって、
 少なくとも自殺を考えなくなった。
 また、カズヤを「殺すのは犯罪者に限る」などの条件つきで
 受け入れられるようになったはずなので、悪い事ばかりではない。


<5-5>
 <8-2>で蔵馬の発言に腹をたてた理由、及び<8-5>で精神的に疲弊していた理由。


【6】1993年末



<6-2>
 戸愚呂(兄)を拾った時について「今こそ計画を実行に移すときだとな」
 と発言しているので「計画」を思いついたのはそれよりも前らしい。

 アニメ版では、魔界入りした直後に、人格それぞれが
 計画を続けるべきかやめるべきか議論するシーンがあり、
 ミノルとカズヤは人間界に混乱をもたらす為、まだまだ戦うつもりでいるが、
 非戦闘系の人格(恐らくヒトシ)は「自分を偽るな。人間界を愛しているくせに」
 忍は「目的は遂げた。もうやめよう。それにもう…」と発言している。


【7】1994初頭

<7-1>
 <2-2>で挙げた通り「霊界紳士録」に領域能力者が能力に目覚めたきっかけが載っている。

 「というより、人前に出てくることすら 何ヶ月ぶりくらいだ」(act.143 究極の闘気!! /忍)
 「(仙水の多重人格を)しらなかった…!」(act.141 七人いる!! /御手洗直志)
 これらの発言から、仙水に勧誘された能力者の前では常にミノルの人格でいたと思われる。
 また「何ヶ月ぶり」は、樹が界境トンネルを広げ始めた時期と一致する。


【8】1994年4月 26歳10ヶ月

<8-1、8-2>
 樹の発言「時限爆弾と恋人」「無修正のポルノ」が比喩表現に過ぎないとすると、
 前者は「仙水は霊界探偵に不釣り合いな純粋な性格だったので、いつか絶望しそうな予感がした。
 その際、仙水は自分に頼ってきそうな気がしていた」
 後者は「仙水は類稀な才能を秘めていた。成長していく仙水を見守っていたかった」
 (絶望=強くなる、なのがポイント)この程度の意味になる。

 前者は<3-1>で挙げたコエンマや黒呼の印象とほぼ同じ内容で、
 当時の仙水を知る者なら当たり前の事を言っているに過ぎない。
 後者は、すぐ後に「変わっていく仙水を見守り~」と、
 まったく同じ内容を言い直しており、比喩表現である確率が極めて高い。

 では、何故こんな比喩表現を使ったか。
 3人を亜空間に閉じ込めた時は仙水・樹とも危害を加えるつもりはないと言っているが、
 幽助が死ぬ直前には、樹が「一人ずつ死んでもらう」と意見を180度変えている。
 この間に、樹が意見を変えざるをえない状況になったと考えられる。

 亜空間にいる間に、3人が樹を怒らせるような事を言ったとすると、
 蔵馬の発言は、仙水の闇堕ちの件でコエンマを恨んでいるであろう樹を
 クリティカルに怒らせる内容であるので、これが原因と考えられる。

 なお、樹は亜空間にいる時点で、蔵馬と飛影が元A級だと見抜いていたが、
 忍は亜空間から出てきた2人を見て気づいたので、認識にズレがある。


<8-3>
 「コエンマ…いい奴等を見つけたな 決心が鈍りそうだよ」(act.149 一対一、再び!! /忍)

 仙水が幽助の善悪にこだわらない性格についてコメントしたのは二回、
 一方はミノルによるもの、もう一方は忍によるもので、意見が正反対になっている。
 「ククク お前はシンプルでいいな それもよかろう」
        (act.139 魅きつける理由!! /ミノル)
 「浦飯…戦っているときの君は…すごく楽しそうだ
  オレもほんの一瞬だが 初めて楽しく戦えた ありがとう」 (act.152 仙水の遺言 /忍)

 なお、以下部分は<1-3>で挙げた歌詞の最後と同じ、
 闇堕ち経験者から善サイドへの警告という形式を取っている。
 「君もいつかきっと気づく 何かの為 誰かの為に闘っているうちに段々…
  闘う為に目的を探すようになる 血だけ見たくなるんだよ」
                         (act.139 魅きつける理由!! /ミノル)
 「瞬間・刹那の 選択・衝動 誰だって同じだ 他人事じゃないぞ」  (供述調書によれば)


<8-4、8-5>
 樹の性格は「無修正のポルノ」発言に合わせるか、
 1週間後のシーンに合わせるかでまったく違ってくる。
 前者の解釈では「変態、ドS」後者の解釈では「母性、献身」になる。
 一般的にはインパクトの強い前者の解釈が多いが、ここでは後者に合わせた解釈をしている。

 公式発表されているわけではないが、恐らく、樹、及び1週間後の後日談の
 モデルとなったのは、コミック版「デビルマン」のサタン(=飛鳥了)及び最終話。
 ストーリー終盤で飛鳥了がサタンとしての記憶を取り戻した際、
 不動明を悪魔信望者の集いに連れ出し、デビルマンにした理由について、
 「不動明に対して恋愛感情を持ってしまった。
 仲間である勇者アモンを犠牲にしてでも、不動明を助けたくなった」と説明しており、
 不動明がどう思ったかはともかく、飛鳥了に悪意は無かったようだ。

 また「新世紀エヴァンゲリオン」も「デビルマン」から影響を受けたとされている作品で、
 「樹仙」は、同じく公式CPの「カヲシン」と共通点が多い。
 現在公開中の「新劇Q」はコミック版「風の谷のナウシカ」7巻から影響を受けており、
 Qの渚カヲルのモデルとなった「庭の主」を樹に当てはめる事もできる。
 「庭の主」は、遺跡を守る為に作られた長命な人造人間で、客人を迎え入れては、
 優しく接してつけ入り、洗脳して庭の住人にしてきた。
 ナウシカが母親を求めていると読んだ「庭の主」は、性別を変えてまで
 ナウシカに母親として接するが、たくらみを見抜かれる。

 「オレ達はもう飽きたんだ」は、仙水だけでなく樹も、精神的に疲弊していると取れる。
 仮に樹が元来の変態だとしたら、仙水の死によって落ち込むとは考えにくく、
 さっさと仙水を生まれ変わらせるなり、次のターゲットを探すなりしていたはずだが、
 現実には1週間後もそのまま呆然と仙水の遺体を抱いているだけである。

 「亜空間にいたら生まれ変われない」という忍の遺言と、
 樹の行動が矛盾している件はたびたび議題に上がるので、
 両立できるようこじつけてみた。

 「幽白」には、当初は幽霊も出てきていたし、魔界の扉編でもコエンマが
 「おかしい 幽助の霊体が上がってこない」と発言しているにも関わらず、
 何故か、仙水の霊体をネタにした二次創作がほとんど存在しないらしい。
 仮に一週間後のシーンで、コマ外に仙水の霊体がおり、
 樹がそちらに話しかけているのだとしたら、樹の発言の意味は変わってくるし、
 それに対する忍の返答はこうなるのではないか、と推測してみた。

<追記>
「忍…お前が『忍』でいるとき 想像を絶するような痛みの中で
そんなそぶりを一度も見せてくれなかったな オレはそれが少しくやしかった」
原作では、樹が亜空間で発言したのはこのセリフのみで、それ意外はアニメで追加されたもの。
このセリフは、原作の時点では解釈の幅が非常に広かったが、
アニメ版ではセリフが追加された為に解釈の余地が無くなってしまった。

まず、わざわざ「忍でいるとき」と断りを入れているので
『他の人格の時は見せたが、樹はそれでは満足できなかった』
「他の人格」として適当なのはナル。
「痛み」は物理的な痛みなのか、精神的なものなのかは解釈が分かれるところだが、
ここでは分かりやすく「甘える」「弱音を吐く」などに置き換えて考える。

単に仙水の死体に語りかけている悲劇的なシーンと考えると、意味は
『ナルは甘えてくれたが、忍は甘えてくれなかった』となる。

幽遊白書が霊能力漫画であり、樹が「忍の魂は渡さない」と言っているので
亜空間には仙水の霊体がいると考えられ、本人が樹の話を聞いているとすると、意味は
『これから甘えて欲しい』
となり、途端にハッピーエンド臭が漂い始める。

また「ナルは樹の前にしか姿を現さなかった=樹の為に作った人格」説を採用し、
なおかつ樹がその事に罪悪感を感じているとしたら
『オレのせいでナルという副人格が出来てしまい、忍の人格でいるときは
弱音を吐く事ができなくなってしまった。その事を謝りたい」となる。
最終更新:2013年03月22日 19:25