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リンドウ編 > 2


「君は会ったんかね?リンドウと名乗る少女と」
「……はい」
ここは、どこだ?意識が朦朧とする。
「彼女はテロリストなんよね。あ、ちなみにうちらはバフ課とか呼ばれてるけど、名称なんてどうでもいいんよ?バ課でもいい。あ、やっぱバフ課がいいよね」
君はどう思う?と後ろの男におっさんが話しかけてるが、どちらの顔もぼんやりとした輪郭しか見えない。
「うちら8班。スパイ。って言い方は感じ悪いよなぁ。バ課8班諜報係」
「……はぁ」
「彼女の特徴は、瓶底眼鏡に黒服で身長は君と同じぐらい。あっとる?」
「そうですね」
「で、何かされたん?っと、あと三秒で目覚ますか。また今度話そうかね」

暗い病院のベットで目を覚ました。陽は沈んでいるらしい。
ぐっしょりと枕が濡れていて、気色悪い。
ここは病院か。だとしても、今さっきまで会議室のような場所で話していた感覚がある。
そして会話の内容を思い出して戦慄した。
先程の会話全部が、夢の中で行われたと言う事に。


「こんこん、リンドウですけど」
ノック音まで擬音語にする必要はないと思う。
いや、病室のドアは開きっぱなしだったからそういう対応をする必要があったのかもしれない。
それは無いか。
直接疑問をぶつけることにする。
「お前は……テロリストなのか?」
リンドウは疑問を避けて、さぁね、と眼鏡を外しながら隣のパイプ椅子に座った。
眼鏡を外したリンドウの瞳は、この病室の夜の暗闇よりも暗い。地獄の闇を覗き込んでいるようだった。
「……この病院はチェックが厳しくて、出入りは厳しく監視されているはずだが」
一度脚を骨折していて、そういうことは知っていた。
リンドウはまた質問を避けて、何もなかった手のひらからリンゴを取り出した。
手品?いや、この世界でいうならば――
「私のもう一つの能力。物を置き換える力」
先にリンドウが答えを言った。監視カメラも、何かと置き換えているのだろう。
「……どうして俺に肩入れする。関わり合いになる気はないぞ」
俺には家族がいる。巻き添えにはしたくない。
「詳しいことは言えないわ。これから尋問もされるでしょうから。だから、ヒントをあげる」
そう言って窓際の窓を開けて、夜風を招き入れた。
「私たちの組織には、運命を見ることができる人がいる」
カーテンが春の夜風で揺れていた。
「このままの運命だと、あなたは殺される」
二度、三度カーテンが揺れて彼女の半身を隠す。
「死にたくなかったら私との関わりはなるべく隠す事ね」
そう言って眼鏡を掛け直す。四度目、カーテンが彼女の全身を隠した後、彼女は消えていた。

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最終更新:2010年06月15日 21:32
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