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**曙の女神達──あるいは新年三ヶ日(前半)
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い、いた……頭が痛い……私は、わたしは……ああそうだ、槇野晶。
今日は、確か……えと、そうだ。一月一日、新年を迎える頃か……。
しかし、なんかこう胸の辺りがスースーする様な……な、何ぃッ!?
「うわぁっ!?な、なんだこの格好は!それに……お前達何をッ!?」
「わふぅ……ん、んんぅ~……あったかいんだよぉ、マイスター……」
「はぁ~♪……う、うわわ!地震、地震ですのぉ~!?わきゅっ!?」
「痛たたぁ、えと……朝、ですか?マイスターおはよ……きゃっ!!」
「お、おはよう!というか明けまして、いやあっちを向いてくれッ!」
私は……正確に言うと私達は、主に私のあられもない艶姿に赤面した。
ブラウスは大きく乱れ、その……見えていた。貴様は見ていないな?!
『何を』だと!?聞くな、神田川に沈めてやるぞ!あっちを向けッ!?
……ふぅ。しかし何故、私の胸で“妹”達が子猫の様に寝ていたのだ?
慌てて振り落としてしまった三人を拾い上げて、状況の把握に努める。
「はふぅ……な、何なのだ一体。どうも、昨晩の事が思い出せぬ……」
「……ふぁぁ、それは多分コレの所為なんだよマイスター、ほら机の」
クララが、最近置いた小型炬燵の上にある茶色の瓶を示す。どう見ても
それは……私が、店内を浄める為にと買ってきた日本酒の小瓶だった。
神仏を信じるか否か以前に、こういう“儀式”自体にこそ意味がある。
故に呑めぬ酒を買ってまでしているのだが、今年はそれが仇になった。
「ぐ、御神酒か……そうか、酒気に当てられてその後……ロッテか!」
「え、えへ……マイスターがクラッとしてる隙に呑んじゃいましたの」
「吃驚しました、昨日は。ロッテちゃんがあたしに、流し込んで……」
「もういい皆まで言うなアルマ……全く、質の悪い悪戯だぞロッテや」
「ロッテお姉ちゃんの“酒癖”が悪いの、すっかり忘れていたんだよ」
真っ赤になって己の悪戯心を恥じ、尚克微笑むロッテ。可愛らしい……
と言ってばかりもいられん。時刻は早朝、“アレ”は間もなくなのだ。
禊ぎの代わりにと手早く皆でシャワーを浴びて、今日の活動に備える。
……乙女の入浴を“覗く”等という愚行は、よもや侵すまいな?んぅ?
「全く、私もそうだがお前達の躯も酒でベトベトではないか……ほらっ」
「きゃはっ♪マイスター、くすぐったいですの~!クララちゃんも……」
「ん、んんっ……強くし過ぎると嫌なんだよ……さ、アルマお姉ちゃん」
「は、はい……あ、マイスター。ここのツボ押してあげますね……えい」
「ひゃうっ!?く、くぅぅん……なんかコレは、皆で洗いっこ状態だな」
……等とじゃれ合っていたら、あっという間に数十分が過ぎた。慌てて、
皆の躯を拭いて良く乾かし、今日の為に仕込んで置いた一張羅を着せる。
それは“Electro Lolita”として、新たに試作した神姫用振り袖なのだ。
以前手掛けたオーダーの経験を活かしたそれらは、悪くない出来である。
あくまでサブメニュー的な位置付けの品でも、妥協はせぬ。それが私だ!
ちなみに私も、戸棚から引っ張り出した自分の晴れ着を着込んでいるぞ。
「ふむ、どうだ着心地は?なるべく華奢なお前達にも着やすくしたが」
「重さは問題ないですね。動きやすさは……戦闘とかは無理ですけど」
「元より戦闘用なら、デザインの変更が必要なんだよ。コスプレ的に」
「ホックとかで気付けが楽になっているのは、ポイント高いですの♪」
「よし、それでは往こう。私の肩に乗ってくれ、もうそろそろの筈だ」
評判は上々。我が“三姉妹”の笑顔も上々……これが何よりの報酬だ。
神姫達が微笑み、己を内外共に美しく可憐に磨き上げる。これなのだ!
……と、新年への意気込みを新たにした上で、私達は万世橋無線会館の
屋上へと久々に出る事とした。早朝に屋上へと出る目的は、無論一つ。
「おー……間に合ったみたいですの♪真っ赤な日の出ですの~っ!」
「有無。2038年の初日の出だ……さぁ、皆で手を合わせるとしよう」
そう、私が自由に出来る場所で最も高い場所はここだ。そこから、東の
空を見つめ、ビルや街・線路の向こうにみえる紅い朝日へ祈りを捧ぐ。
日はいつでも昇るが、初日の出は一年に一度……やはり気合が違うな。
そして、暫しの静寂。流石の東京と言えども、多少は静かな朝だった。
「……うむ、初日の出はこれでよかろう。朝食を取ったら、出かけるか」
「あ、そう言えば近所の神社に行くって話でしたね。どこなんですか?」
「それなのだがな。なんでも、『神姫の巫女が居る』神社があるそうだ」
「聞いた事あるんだよ。第八弾の先行流出とは違う、“狛犬はうりん”」
「それなら、その神社で御神籤引いてみるのも悪くなさそうですの~♪」
──────新しい出会い、どんな娘が迎えてくれるのかな。
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