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「番外編:その弐 ドライの場合」(2011/03/01 (火) 17:24:26) の最新版変更点
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「ハイジャック犯に告ぐ!!この建物は完全に包囲されている!諦めて大人しく投降しろ!!」
深夜8時、大東亜共和国首都の新東京市にて銀行強盗が発生した。
I.N.S.P日本支部サイバー犯罪捜査課勤務の安田 聡美警部補もこの現場に出動していた。サイバー犯罪捜査課は当初は名前道理、インターネットを使った犯罪の取り締まりを行っていたが、2016年のロボティクス・ドライブシステム、2022年のアムドライバー、そして2031年の武装神姫の登場により、それらに関する犯罪捜査も請け負うようになっていった。
「警部、このままでは人質が保ちません。強行突入の許可を!」
「しかしだな安田警部補、今交渉人が説得を続けている。今犯人を刺激するわけには・・・・・」
「だからと言ってホイホイ要求を聞くわけにはいきません!!」
現場近くの本部テント内にて、聡美は上司である初老の警部に食ってかかっていた。
「うむぅそこまで言うなら、やって見せろ。ただし、必ず人質を救出及び犯人確保しろ。MMSの使用を許可する」
「はっ!必ず!!」
しかし、この現場が誰かにとって最後の仕事になることは、聡美自身も判るはずがなかった。
その二:ドライの場合
「と言うわけ、アイン、ツヴァイ、ドライ、戦闘準備急げ!」
「「「了解!」」」
聡美は指示を受けると直ぐさま神姫達の詰め所に向かい、アイン達に出撃指示を出した。
一番機を務めるアイン、接近戦担当のツヴァイ、そして後方支援を受け持つドライで構成される小隊は複数個設定されたルートから突入(否、潜入)した。
「ツヴァイ、ドライ、そろそろ敵が来ますよ」
「判っている・・・」
「OK、いつでもどうぞ」
先頭で呼びかけるエウクランテタイプのアインに対し、それにストラーフタイプのツヴァイとランサメントタイプのドライが答える。
「二人とも安心して。キッチリサポートするから」
「それを聞いて安心しました。・・・・・来ます!」
アインが叫ぶと同時に犯人グループとその神姫達が銃撃してきたが、聡美は咄嗟に避けて難を逃れた。
「イーグル0より各機、散開して各個に応戦!!」
「「「了解!!」」」
自らも物陰に隠れて拳銃で応戦しつつ、聡美は檄を飛ばす。
それを受けたアインはビームライフルで、ツヴァイはサブアームを盾にしながらヴズルイフで、ドライは重装甲にものを言わせて被弾しながらもアクティオンで迎え撃つ。
暗い廃ビルの中、繰り広げられる銃撃戦。辛うじて確認できるのは、大小の銃弾が着弾する音と、マズルフラッシュのみ。後はどれが敵でどれが味方かも判らない闇。
『このままじゃ埒が明かない・・・・。向こうは多人数故に同士討ちの危険も高い。こっちの手持ちは三体、だとすればとれる手は一つ・・・!』
「アイン、ツヴァイ一時後退!!ドライ!反応弾の使用許可!!」
「ええ!?それって一発撃つのに政府の許可が必要じゃ・・・」
「ガス爆発って言い訳しておく!!纏めて吹っ飛ばせ!!」
そう言って聡美はポケットの中から38口径ほどの大きさの反動弾頭を取り出すとドライに放る。
反応弾、赤外線によって誘導され、着弾した際に大爆発(爆風の半径は20センチほど)を起こす強力な爆弾だ。
「もう、どうなっても知りませんよ!!」
とか言いながらもドライは反応弾を受け取り、アクティオンの銃口の先端に装着させて照準を合わせる。
「お願いだからできる限り逃げてよね!!」
アクティオンの引き金が引かれ、白い尾を引きながら飛んでゆく反応弾。
次の瞬間、大爆発が起きて犯人グループの一部と殆どの神姫が熱で、爆風でなぎ倒される。
「相変わらず、凄い威力・・・」
「後で管理官にどう言い訳すれば・・・・。OTL」
「被疑者確保ー!!!」
呆然とするアインとツヴァイを尻目に、聡美の号令一過、警官隊が突入して犯人達の両手首に白く光る手錠を掛ける。
「さてと、私たちは引き続き人質の保護に向かうわ。アイン、ツヴァイ、ぼさっとしてないで行くわよ!」
「そうなる原因を作ったのは姉さんでしょう・・・・!」
「アイン、今は仕事中」
「そうよぉ、後でジェリカン奢ってあげるから」
「はぁあ、寿命縮みそう・・・・」
--
聡美達が周囲を警戒しながら奥の一室へ足を踏み入れると、人質に(基、神姫質)されていたのか、一体のパーチオが部屋の隅に座り込んでいた。
「姉さん!人質を見つけました!!」
「ご苦労様。保護してちょうだい」
「了解。もう大丈夫よ、安心して」
アインが保護しようとパーチオに近づくも、完全に怯えてしまっており、なかなか向こうも動いてくれない。
「困ったわねえ、これじゃ連れて行きようが無いわ」
「そうだ!姐さん、私に考えがあるわ」
「どうするの?」
「こうするんです」
そう言うとドライはほぼ全ての武装を解除し、パーチオに歩み寄る。
「もう大丈夫よ。怖かったでしょう」
感極まったフェレット型が赤いカブトムシに抱きつく。まるで迷子になっていた子供が、母親を見つけて駆け寄っていくような・・・。
しかし、パーチオは嬉しいはずなのに一向に声を発しようとしない。
「可哀想に、声帯機能が壊れているのね」
「・・・・可愛い・・・」
「にしてもおかしいわねぇ?野良神姫とは思えないし、本当に人質のだったらどっかしらに彼女のオーナーが居るはずなのに・・・・・。まさか・・・・ドライ!その子を離して!!」
「えっ!?」
聡美が叫んだその瞬間、抱きついていたパーチオから閃光が発せられたと思うと、爆発した。
「なんてこと!!神姫に爆弾を仕掛けるなんて!?」
「姉さん!ドライが・・・・ドライが!!」
問題のドライは2メートルほど離れた所に倒れていた。
爆風をもろに受けたドライはあちらこちらがひしゃげてカーボン製の内骨格が飛び出しており、近くにいたツヴァイも顔を中心に損傷を負っている。
「修理班!何人かこちらによこして!!負傷者が出たわ!!!」
聡美が発した通信機への叫び声が、ツヴァイが気絶する前に最後に聞いた声だった・・・・。
無機質な天井がツヴァイの視界に入る。周囲を見渡すと、自身がメンテナンス用のクレードルに寝かされていることが判る。
「ん・・・・、此処は・・・・?」
「気がついたんですね、ツヴァイ」
「アイン・・・?そうだ!ドライは!?」
そう言われて首を振るアイン。
「コアユニットに留まらず、CACにも損傷が・・・。修理班もさじを投げたって姉さんが・・・」
「そんな・・・・・私が、もっと気を付けていれば・・・」
「自分を責めないでツヴァイ。悪いのはあの子に爆弾を仕掛けた連中よ」
「・・・・・・人質は?」
「別働隊が全員保護したわ。安心して」
「そう・・・・なの」
数日後修理が完了したツヴァイは治安局のメンテナンス・センターから出所してきた。
しかし、その顔には斜めに奔る傷跡が無惨に残っている。
オフィスの自身の机に着くと、二人に肩に乗っかられている聡美が口を開いた。
「ちょっとツヴァイ、どうして傷口を消さなかったの?一応神姫なんだし」
「良いの。これは戒めだから・・・」
「それよか、二人に新しい仲間を紹介するわ。ドライ、出てらっしゃい」
「「?」」
すると、一体の神姫が山積みにされた書類の影から現れた。
カーキ色のヘッドマウントディスプレイに赤いお下げ髪が特徴の砲台型神姫、フォートブラッグだった。
「アイお姉様、ツーお姉様、初めまして。本日付でイーグルチームに所属する事になりましたドライです。よろしく・・・」
「貴女は私たちの知っているドライじゃない」
「ツヴァイ・・・」
「まあともかく、三人とも仲良くしなさいよ」
「「「はーい」」」
この段階ではまだまだ馴染めないドライ(2代目)だが、この後初代以上のコンビネーションを発揮することになるが、それはまた本編で。
[[とっぷへ>http://www19.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2005.html]]
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