楽しい、来客──あるいは葵の日常
今日もMMSショップ“ALChemist”は大盛況~♪……と言いたいですが
地下にある玄人向けのお店ですから、平日は割と静かな環境ですの。
あ、申し遅れました。わたしは神姫三姉妹の次女・ロッテですの~♪
……マイスターが忙しい時は、レジでお留守番するのが日課ですの。
それはHVIFを使って“葵”となっている日でも、代わりません。
地下にある玄人向けのお店ですから、平日は割と静かな環境ですの。
あ、申し遅れました。わたしは神姫三姉妹の次女・ロッテですの~♪
……マイスターが忙しい時は、レジでお留守番するのが日課ですの。
それはHVIFを使って“葵”となっている日でも、代わりません。
「消化不良には大根ですか~……晶お姉ちゃんにも実践ですのッ」
「……や。見るからに外国人の少女が、主婦御用達の情報番組ね」
「ふぇぇぇっ?!あ、お客様……い、いらっしゃいませですの♪」
「……や。見るからに外国人の少女が、主婦御用達の情報番組ね」
「ふぇぇぇっ?!あ、お客様……い、いらっしゃいませですの♪」
にゅっと顔を出したお客様に突っ込まれましたの……一応接客業ですし
実際の昼食は遅めにしているので、ついついテレビを見てしまいます。
そのお客様は、ラフな服装の男性とハウリン……に限定版ストラーフ。
ハウリンさんが訝しげな表情をしましたけど、初めてのお客様ですの。
実際の昼食は遅めにしているので、ついついテレビを見てしまいます。
そのお客様は、ラフな服装の男性とハウリン……に限定版ストラーフ。
ハウリンさんが訝しげな表情をしましたけど、初めてのお客様ですの。
「へー、ここがMMSショップ“ALChemist”……素直に言うと、狭いね」
「……マイロードー?それは幾ら何でも失礼じゃないでしょうか……」
「だって、ここの店長さんに俺蹴られてるし。結構痛かったしさー?」
「あの姿で怖がられない方がよっぽどだと思うぞ、主よ?して、娘や」
「はい、なんでしょうか~……って、この耳を貸せばいいんですの?」
「……マイロードー?それは幾ら何でも失礼じゃないでしょうか……」
「だって、ここの店長さんに俺蹴られてるし。結構痛かったしさー?」
「あの姿で怖がられない方がよっぽどだと思うぞ、主よ?して、娘や」
「はい、なんでしょうか~……って、この耳を貸せばいいんですの?」
何やら言い合いをしていたお客様から、白いストラーフがわたしの方へ
テーブル伝いに歩いてきて、手でわたしを招き寄せましたの……何かと
思い、耳を貸してみましたが……その直後でしたのッ!こう、ぬるっと
暖かく柔らかい神姫の人工舌が、細い手に支えられたわたしの耳をッ!
優しく艶めかしく、水っぽい音を立てながら……隅から隅までぇっ!?
テーブル伝いに歩いてきて、手でわたしを招き寄せましたの……何かと
思い、耳を貸してみましたが……その直後でしたのッ!こう、ぬるっと
暖かく柔らかい神姫の人工舌が、細い手に支えられたわたしの耳をッ!
優しく艶めかしく、水っぽい音を立てながら……隅から隅までぇっ!?
「ふぁあ……あ、っ!?ひあ、やぁんっ!な……なッ、何を~!?」
「ふふ、神姫の様に可愛らしい娘だったのでな。つい食べたくての」
「う゛……そ、そんな煽ててもちょっぴりしか安く出来ませんのっ」
「あーすまん。うちのディス、男女も人・神姫も見境ねーんで……」
「あうあうあうあう……いきなりなんてビックリしちゃいますの~」
「ふふ、神姫の様に可愛らしい娘だったのでな。つい食べたくての」
「う゛……そ、そんな煽ててもちょっぴりしか安く出来ませんのっ」
「あーすまん。うちのディス、男女も人・神姫も見境ねーんで……」
「あうあうあうあう……いきなりなんてビックリしちゃいますの~」
勿論、不意打ちのキス……晶お姉ちゃんにする事はあっても、されたのは
当然初めてですの……に胸が高鳴っているのは有ります。でもそれ以上に
“神姫の様に”という言葉で、正体を見抜かれた様な気がしていますの。
その所為で、お客様への対応はなんだか相手ペースになっちゃいました。
当然初めてですの……に胸が高鳴っているのは有ります。でもそれ以上に
“神姫の様に”という言葉で、正体を見抜かれた様な気がしていますの。
その所為で、お客様への対応はなんだか相手ペースになっちゃいました。
「しかしマイロード……本当に宜しいのですか?私達なんかの、為に」
「いいってのっ。結局鳳凰杯の時も一つしか買えなかったし……な?」
「遠慮するでない。女子たる者、男に精一杯甘えると良いぞ。碧鈴よ」
「ディス程節操無しじゃありません、私……でも、お言葉に甘えます」
「お客様ー。鳳凰杯って事は……お洋服の見立てでよろしいですの?」
「いいってのっ。結局鳳凰杯の時も一つしか買えなかったし……な?」
「遠慮するでない。女子たる者、男に精一杯甘えると良いぞ。碧鈴よ」
「ディス程節操無しじゃありません、私……でも、お言葉に甘えます」
「お客様ー。鳳凰杯って事は……お洋服の見立てでよろしいですの?」
肯く男性。どうやら鳳凰杯のブースへと来てくれたらしいのですけど、
その時は十分な買い物が出来なかったみたいですの。あの混雑ですし。
そうと分かれば……“わたしの逆襲タイム”のお時間ッ!で~すの~♪
その時は十分な買い物が出来なかったみたいですの。あの混雑ですし。
そうと分かれば……“わたしの逆襲タイム”のお時間ッ!で~すの~♪
「店長はちょっと工房に入っていますので、わたしがお見立てしますの♪」
「ほう?店長の感性は見知っておるが……それもそれで、楽しみじゃのう」
「って、あの店員さん。何を取り出してるんですか……黒い、フリフリ?」
「はい♪こっちは貴女、ハウリンさん用ですの!ストラーフさんは~……」
「ディスで構わぬ、こっちは碧鈴だ。ほぉう……儂にはこの白と桃色のか」
「はい。“スウィート・デス”っていう、妖しい魅力を持つ衣装ですの♪」
「ほう?店長の感性は見知っておるが……それもそれで、楽しみじゃのう」
「って、あの店員さん。何を取り出してるんですか……黒い、フリフリ?」
「はい♪こっちは貴女、ハウリンさん用ですの!ストラーフさんは~……」
「ディスで構わぬ、こっちは碧鈴だ。ほぉう……儂にはこの白と桃色のか」
「はい。“スウィート・デス”っていう、妖しい魅力を持つ衣装ですの♪」
ハウリン……碧鈴さん用には、黒い布地にフリルやレースをふんだんに
あしらって、ワンポイントに青い薔薇。ディスさん用には、白い布地に
桃色の飾り布を施して紅い薔薇を胸元に添えた、とびきり高価な衣装。
どちらにも十字架など宗教的なアクセントを施した上で、さりげな~く
胸や太腿など素体部の露出も考慮した、晶お姉ちゃん渾身の作ですの♪
あしらって、ワンポイントに青い薔薇。ディスさん用には、白い布地に
桃色の飾り布を施して紅い薔薇を胸元に添えた、とびきり高価な衣装。
どちらにも十字架など宗教的なアクセントを施した上で、さりげな~く
胸や太腿など素体部の露出も考慮した、晶お姉ちゃん渾身の作ですの♪
「う、うわぁ……これを……私達が着ていいのですか、マイロード」
「聞くのは店員に、じゃろ。娘、名は何と申す?悪い様にはせぬぞ」
「本当ですの?……葵、槇野葵と言いますの♪試着、してみます?」
「は、はい喜んで。って……マイロード、こっち見ないで下さい!」
「わーったわーった。後ろ向いてるから何時でも呼んでね葵ちゃん」
「聞くのは店員に、じゃろ。娘、名は何と申す?悪い様にはせぬぞ」
「本当ですの?……葵、槇野葵と言いますの♪試着、してみます?」
「は、はい喜んで。って……マイロード、こっち見ないで下さい!」
「わーったわーった。後ろ向いてるから何時でも呼んでね葵ちゃん」
男性が背を向けたのを見計らい、わたしは手早くディスさんと碧鈴さんの
着付けにかかります。ですけど、一筋縄ではいかない様ですの……むう。
着付けにかかります。ですけど、一筋縄ではいかない様ですの……むう。
「んっ♪ふふっ、卑猥な手つきじゃの葵とやら。儂に見惚れたかえ?」
「そ、そんな事無いですのッ!ですよね、碧鈴さん?……碧鈴さんッ」
「やっぱり恥ずかしいかもしれません……こんな胸元が、かぱぁって」
「何、いっそのことそれで主を悩殺してやれば良い。素質はあろう?」
「ですね、碧鈴さん可愛いですから……これで一層引き立ちますの♪」
「あぅぅ……だといいのですけど、心配です……んっ、よいしょ……」
「そ、そんな事無いですのッ!ですよね、碧鈴さん?……碧鈴さんッ」
「やっぱり恥ずかしいかもしれません……こんな胸元が、かぱぁって」
「何、いっそのことそれで主を悩殺してやれば良い。素質はあろう?」
「ですね、碧鈴さん可愛いですから……これで一層引き立ちますの♪」
「あぅぅ……だといいのですけど、心配です……んっ、よいしょ……」
着てきた衣装を脱がして畳み、十二分の一サイズのドレスを着付ける……
HVIFの大きな手でこれらを行うには、ちょっぴりコツが必要ですの。
洋服を着慣れた神姫の場合は、自分でも着られるので楽が出来ますけど♪
なので、ちゃきちゃきとお二人を着付けて……凡そ十五分で完了ですの!
HVIFの大きな手でこれらを行うには、ちょっぴりコツが必要ですの。
洋服を着慣れた神姫の場合は、自分でも着られるので楽が出来ますけど♪
なので、ちゃきちゃきとお二人を着付けて……凡そ十五分で完了ですの!
「お客様~、ディスさんと碧鈴さんの着付けが終わりま……お客様~?」
「今週の当たり目ー、ってうおう!?……葵ちゃん、もう終わったの?」
「はい。これでも此処の店員ですから♪ほら、ご覧下さいですの~っ♪」
「う、うぅ……ま、マイロードぉ……そんなにジロジロ見ないで下さい」
「何を言うか碧鈴?じっくりと見せつけてやれぃ、ほれ……どうじゃな」
「うわー……えー、っとだ。葵ちゃん、これ二着で幾ら位するの……?」
「今週の当たり目ー、ってうおう!?……葵ちゃん、もう終わったの?」
「はい。これでも此処の店員ですから♪ほら、ご覧下さいですの~っ♪」
「う、うぅ……ま、マイロードぉ……そんなにジロジロ見ないで下さい」
「何を言うか碧鈴?じっくりと見せつけてやれぃ、ほれ……どうじゃな」
「うわー……えー、っとだ。葵ちゃん、これ二着で幾ら位するの……?」
暫く視線を彷徨わせた男性が、決済用の電子カードを取り出しましたの。
もう、素直に褒めてあげた方が喜ぶのに……神姫とはそういう存在です。
ともあれ、お値段……告げた途端、真っ青になったのが印象的でしたの。
もう、素直に褒めてあげた方が喜ぶのに……神姫とはそういう存在です。
ともあれ、お値段……告げた途端、真っ青になったのが印象的でしたの。
「うげ……鳳凰杯の時は、こう二周りくらい安くなかった?葵ちゃん」
「あれは廉価版ですの。皆様にお配りする為、企業努力した結果です」
「で、これは採算度外視のハイエンドモデル……それなら納得じゃの」
「そんな高い物を……プレゼントしてくれるのですか、マイロード?」
「……約束だし。でも今月、残業で遅くなるのは勘弁な……お勘定ー」
「はい。有り難うございますですの~♪此方の装飾品も、如何です?」
「あれは廉価版ですの。皆様にお配りする為、企業努力した結果です」
「で、これは採算度外視のハイエンドモデル……それなら納得じゃの」
「そんな高い物を……プレゼントしてくれるのですか、マイロード?」
「……約束だし。でも今月、残業で遅くなるのは勘弁な……お勘定ー」
「はい。有り難うございますですの~♪此方の装飾品も、如何です?」
──────皆が可愛らしくなってくれる事が、何よりの喜びですの♪