零より来る者──あるいは準々決勝(後編)
ロッテお姉ちゃんが構えたのは、天使の輪によって極限まで収束した
閃光の槍。対する弁慶さんの相棒は、刃を集め力を束ねた旋風の槍。
どちらも、まともに喰らえば必死……全身全霊を込めた一撃だもん。
距離は十分取り……互いに残ったブースターを、全開にするんだよ!
閃光の槍。対する弁慶さんの相棒は、刃を集め力を束ねた旋風の槍。
どちらも、まともに喰らえば必死……全身全霊を込めた一撃だもん。
距離は十分取り……互いに残ったブースターを、全開にするんだよ!
「……ドライ!」
「……ツヴァイ!!」
「……アインッ!!!」
『ゲーン(往きます)!!!!』
「……ツヴァイ!!」
「……アインッ!!!」
『ゲーン(往きます)!!!!』
そしてきっかり三カウントの後、二人はアスファルトを蹴って走る!
瞬きする間にも距離は詰まっていき……互いの力が高まるんだよ!!
瞬きする間にも距離は詰まっていき……互いの力が高まるんだよ!!
「穿て閃光ッ!!……神儀、ブリッツ・シュピッツェッ!!」
「偽りよ、全てを覆せ……ストラーダフェイクゥッ!!」
「偽りよ、全てを覆せ……ストラーダフェイクゥッ!!」
そして、僅かコンマ0.24秒……互いの槍は大気を切り裂いて交錯ッ!
互いのエネルギーがスパークした衝撃で、フィールドは閃光に包まれて、
余波が地面を薙ぎ払っていくんだよ。二人の姿は暫く見えなかったけど、
土煙と残光が晴れた後、そこに立っていた二人は……ズダボロなんだよ。
互いのエネルギーがスパークした衝撃で、フィールドは閃光に包まれて、
余波が地面を薙ぎ払っていくんだよ。二人の姿は暫く見えなかったけど、
土煙と残光が晴れた後、そこに立っていた二人は……ズダボロなんだよ。
「ほら、見ろ……弁慶の方が、強かった……」
「……確かに、この槍……迷いのない、一撃……ですの、ッ」
「ロッテ……ちゃんッ!?」
「……確かに、この槍……迷いのない、一撃……ですの、ッ」
「ロッテ……ちゃんッ!?」
先に倒れたのは、ロッテお姉ちゃんだったんだよ。七つの刃でCSCを
砕くが如き一撃を受けて、アスファルトへ倒れ込むロッテお姉ちゃん。
でもボクは見たんだよ……弁慶さんのお腹に突き立てた、光の槍をね?
砕くが如き一撃を受けて、アスファルトへ倒れ込むロッテお姉ちゃん。
でもボクは見たんだよ……弁慶さんのお腹に突き立てた、光の槍をね?
「……気は、抜けなかった……手強い、奴……ッ」
『べ、弁慶ッ!?弁慶ッ!!』
『これは果たして!?……ジャッジは、弁慶選手の勝ちですっ!!!』
「Wooooooooooooooooo!!!!」
『べ、弁慶ッ!?弁慶ッ!!』
『これは果たして!?……ジャッジは、弁慶選手の勝ちですっ!!!』
「Wooooooooooooooooo!!!!」
相打ち気味に、折り重なる様に倒れる弁慶さん。でも、及ばなかったね。
全力は出し尽くしたもん、ロッテお姉ちゃんもボクも悔いはないんだよ?
エントリーゲートから戻ってきたロッテお姉ちゃんを抱え、オーナー席を
降りて、千空さんの所にボクらは歩く。“勝者”と握手がしたいもんね。
全力は出し尽くしたもん、ロッテお姉ちゃんもボクも悔いはないんだよ?
エントリーゲートから戻ってきたロッテお姉ちゃんを抱え、オーナー席を
降りて、千空さんの所にボクらは歩く。“勝者”と握手がしたいもんね。
「……リベンジお見事なんだよ、弁慶さんに千空さん。完敗、かもね」
「良い戦いが出来て、わたし達幸せですの~♪……って、千空さん?」
「良い戦いが出来て、わたし達幸せですの~♪……って、千空さん?」
千空さんも、こっちに歩いてきたけど……さっきより、顔色が悪いかな?
とりあえずは、勝者を称える為に手を差し出して、握手をしたんだよっ。
でもそれと、ボクの胸に千空さんが倒れてくるのは同時……だったかな。
とりあえずは、勝者を称える為に手を差し出して、握手をしたんだよっ。
でもそれと、ボクの胸に千空さんが倒れてくるのは同時……だったかな。
「は、はぁ……よかった、弁慶勝ったんだね……あっ、目眩が……ッ」
「!?……千空さん、千空さん?……気を失ってるんだよ、弁慶さん」
「緊張で、貧血か。すげぇ迷惑……お前、千空を頼む。なんか面倒だ」
「分かったんだよ、千空さんは男の子だけど……うん。軽い、大丈夫」
「!?……千空さん、千空さん?……気を失ってるんだよ、弁慶さん」
「緊張で、貧血か。すげぇ迷惑……お前、千空を頼む。なんか面倒だ」
「分かったんだよ、千空さんは男の子だけど……うん。軽い、大丈夫」
どうやら、ボクとの握手で緊張の糸が切れちゃったみたいなんだよ……。
多分ステージに上がる前から、緊張で体調崩してたのかもしれないもん。
ボクらは急いで、救護室に千空さんを運ぶ事にしたんだよ。その途中で、
晶お姉ちゃんと“神姫部”の皆を呼び集めたけど、診断は……面会謝絶。
多分ステージに上がる前から、緊張で体調崩してたのかもしれないもん。
ボクらは急いで、救護室に千空さんを運ぶ事にしたんだよ。その途中で、
晶お姉ちゃんと“神姫部”の皆を呼び集めたけど、診断は……面会謝絶。
「こら弁慶。自分のオーナーに対して、あんな態度はいけませんよ?」
「な……なんだ義経ッ、煩い!弁慶がどうにかするの、すげぇ面倒ッ」
「……ひょっとして、弁慶さんってかなり素直じゃない性格ですの?」
「すみません皆さん……こんなですけど、弁慶も心配してるんですよ」
「し、してないしてないしてないッ!?勝手な事、言うな!……全く」
「紅くなっちゃって……可愛い所もあると思いますよ、弁慶さんは♪」
「な……なんだ義経ッ、煩い!弁慶がどうにかするの、すげぇ面倒ッ」
「……ひょっとして、弁慶さんってかなり素直じゃない性格ですの?」
「すみません皆さん……こんなですけど、弁慶も心配してるんですよ」
「し、してないしてないしてないッ!?勝手な事、言うな!……全く」
「紅くなっちゃって……可愛い所もあると思いますよ、弁慶さんは♪」
弁慶さんは、舞台上での言動を義経さんって神姫に咎められてる所だね。
ボクがこれを見ているって事は、ボクらも人数の都合で入れないんだよ。
例外で、晶お姉ちゃんだけが認められたんだもん……会話が聞こえるね。
ボクがこれを見ているって事は、ボクらも人数の都合で入れないんだよ。
例外で、晶お姉ちゃんだけが認められたんだもん……会話が聞こえるね。
「ドクターストップだそうだ。情け無いぞ千空よ、あの程度で……」
「そ、そう言われてもあんな大舞台で……僕、死ぬかと思いました」
「……もう少ししっかりしろ。弁慶は私の“妹”を下したのだぞ?」
「そ、そう言われてもあんな大舞台で……僕、死ぬかと思いました」
「……もう少ししっかりしろ。弁慶は私の“妹”を下したのだぞ?」
なんだか、晶お姉ちゃんに覇気がない気がするのは気のせいかな……?
……“神姫部”の人達も、ニヤニヤしたり悔し涙を流したりしてるね。
ちょっと、千空さんが羨ましい気もするんだよ。皆に想われてるもん。
……“神姫部”の人達も、ニヤニヤしたり悔し涙を流したりしてるね。
ちょっと、千空さんが羨ましい気もするんだよ。皆に想われてるもん。
「でだ。その……貴様に梓が勝ったら、貴様を……という話だったな」
「あ……い、いいんですよ。そんな話僕はどうだって……晶さんっ?」
「い、否っ!!私は気に入らぬ……その様なアンフェアな話は好かぬ」
「え、ええと。あのー……晶さん?どうしたんですか、もじもじして」
「あ……い、いいんですよ。そんな話僕はどうだって……晶さんっ?」
「い、否っ!!私は気に入らぬ……その様なアンフェアな話は好かぬ」
「え、ええと。あのー……晶さん?どうしたんですか、もじもじして」
……なんだか、晶お姉ちゃんの声が急に上擦ってきた気がするんだよ。
だけど現実に出てきた言葉は、その異変以上に凄い物だったんだよッ!
だけど現実に出てきた言葉は、その異変以上に凄い物だったんだよッ!
「……その、チップは逆の条件を提出しよう……と言う事でどうだ?」
「ぎ、逆のチップ?あの、えっと、それって……ええっと~……!?」
「貴様な……一日借りるが、その時私を好きにしろ!という事だッ!」
「ぎ、逆のチップ?あの、えっと、それって……ええっと~……!?」
「貴様な……一日借りるが、その時私を好きにしろ!という事だッ!」
──────思考が、空白になる。そして、直後に皆が発したのは……!
『え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!?』
まさに“絶叫”だったんだよ。誰も予想だにしない、有り得ない契約。
でもそれは今、晶お姉ちゃんの口から告げられてしまったんだよ……!
“神姫部”の皆も大騒ぎだけど、ボクの両肩に乗るアルマお姉ちゃんと
ロッテお姉ちゃんも、それは今までにない酷い取り乱し様だったもん。
でもそれは今、晶お姉ちゃんの口から告げられてしまったんだよ……!
“神姫部”の皆も大騒ぎだけど、ボクの両肩に乗るアルマお姉ちゃんと
ロッテお姉ちゃんも、それは今までにない酷い取り乱し様だったもん。
「え、ええっ!?マイスター、あの人にもらわれちゃうんですかッ!」
「まさかそんな事はないと思いますけど、うう……どうしますの!?」
「こんな時は……深呼吸なんだよ……すー、すー、すー、す……うぐ」
「あ、梓ちゃん吐いて吐いてッ!息を吐いてくださいですの~っ!?」
「これから、マイスターと千空さんどうなっちゃうんでしょう~……」
「まさかそんな事はないと思いますけど、うう……どうしますの!?」
「こんな時は……深呼吸なんだよ……すー、すー、すー、す……うぐ」
「あ、梓ちゃん吐いて吐いてッ!息を吐いてくださいですの~っ!?」
「これから、マイスターと千空さんどうなっちゃうんでしょう~……」
──────新たな波乱と共に、ボクらの“祭り”は終わったんだよ。