「・・・・どう思う。ノワール、ハウ」
「現状・・・勝てる・・・・でも・・・伸びる」
「サラさんは・・・狙撃されてもストライクイーグルなら、避けれます。問題は猫型ではないかと」
平日の午後、普通の大人なら会社に行っていてもおかしくない時間に、その女はそこにいた。
咥え煙草にサングラス。服装はタイトなジーンズにYシャツという簡単なものではあるが、その服は女のなだらかなラインをよく見せていた。
「ふふん・・・まさかこんな所であえるとはね。仕事サボってよかったよ」
女の言葉に、胸ポケットのハウリンが答える。
「・・・・っていうか仕事しないとそろそろ危ないのでは? マスター、昨日も吉岡さんに奢らせたじゃないですか」
「うるさいな。ちゃんとアテはあるのだよ。・・・・というか、吉岡のところのバイトなのだがね」
「マイスター、ヒモ?」
同じく胸ポケットに入っていたストラーフが言った。
その言葉に女は何も言えなくなってしまう。
・・・・まったく、我が家の神姫たちはどうしてこう・・・ツッコミが上手いのか。
単に自分がズボラでツッコミ所満載なだけとは思わないらしい。
「まぁ、返信も来たし。今日のところはこれで退散と行こう・・・・また会うぞ。わが妹よ」
そういうと女は踵を返す。
そのまま紫煙と共に、女は人ごみの中に消えていった。
「現状・・・勝てる・・・・でも・・・伸びる」
「サラさんは・・・狙撃されてもストライクイーグルなら、避けれます。問題は猫型ではないかと」
平日の午後、普通の大人なら会社に行っていてもおかしくない時間に、その女はそこにいた。
咥え煙草にサングラス。服装はタイトなジーンズにYシャツという簡単なものではあるが、その服は女のなだらかなラインをよく見せていた。
「ふふん・・・まさかこんな所であえるとはね。仕事サボってよかったよ」
女の言葉に、胸ポケットのハウリンが答える。
「・・・・っていうか仕事しないとそろそろ危ないのでは? マスター、昨日も吉岡さんに奢らせたじゃないですか」
「うるさいな。ちゃんとアテはあるのだよ。・・・・というか、吉岡のところのバイトなのだがね」
「マイスター、ヒモ?」
同じく胸ポケットに入っていたストラーフが言った。
その言葉に女は何も言えなくなってしまう。
・・・・まったく、我が家の神姫たちはどうしてこう・・・ツッコミが上手いのか。
単に自分がズボラでツッコミ所満載なだけとは思わないらしい。
「まぁ、返信も来たし。今日のところはこれで退散と行こう・・・・また会うぞ。わが妹よ」
そういうと女は踵を返す。
そのまま紫煙と共に、女は人ごみの中に消えていった。
クラブハンド・フォートブラッグ
第七話
『ダッシュ!ダッシュ!ダッシュ!』
「と、と、と、止まらねぇぇぇぇぇえええぇぇぇえええええええ!!!」
パソコンの中に作られた虚像の街を、猫が爆走していた。
まるで背中にジェットエンジンが付いているような速度・・・というか猫の背中には実際にエンジンが付いている。しかも五つも。
猫の背中についているのは、これまた大昔に活躍したロボットアニメのバックパックだ。・・・別にこれが好きなのではなく、単に一番安価で手に入りやすいというのが理由である。
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉ!?」
その背中のバックパックから迸る炎、そしてそれにより生まれるとてつもない加速により、猫の走る速度は通常の数倍になっていた。
・・・そう、猫は飛ぶのではなく“走っている”のだ。
エンジン五つ背負い、普通なら飛行も可能になるはずなのに彼女は走っている。今も二本の脚は忙しなく地を蹴っている。
彼女のマスター、八谷良平が考えた秘策はこうだ。
敵のコンボが恐ろしいなら、コンボの初めを撃たせなければいい。その為には相手に捕捉されないほどの速度で動けば良いと。
・・・見た目によらず単純かつ豪快な考えである。
『大丈夫だ! キミならコントロールできる!!』
彼女の主はまったく根拠のない応援を送る。
「無責任なこと言う暇があるなら早く止めるのだ!! いくらなんでもこれは無いんだなん!!」
『それをものにした時、キミは神姫界最速の栄誉を得る・・・・ラディカルグッドスピードだ!!』
「わけわかんねぇぇえぇぇぇぇぇぇえええええぇぇぇえぇぇえええええ!!!」
そうしてさらに加速。
そもそもこんなものをどうやってモノにするのか、はなただ疑問である。
「・・・ハルナ。わたしはアナタの神姫でよかったです」
それをビルの屋上からサラが見ていた。
かれこれマイはもうステージを五週はしているだろうか。
『そうでしょう? 八谷はねぇ・・・見ての通り細面の女顔なんだけど、特訓とか大好きなのよ。・・・・隣で見てる私の声ももう聞こえてないわね、これは』
そういって春奈は溜息をついた。
「・・・まぁ、こっちはこっちでやるだけですけど。ハルナ、次のターゲットを」
『OK』
春奈がそういった瞬間、眼下に広がるステージのどこかにターゲットが出現した。
数も場所もサラには知らされていない。
「・・・・・・・」
にも拘らず、サラは即座にそれを見つけ、精確に射抜いていく。
あっという間にターゲットはステージから消失した。
『うん。動かない奴はもう十分ね。次は動く奴にしましょう』
「マイを撃つんですか。ハルナもなかなか鬼ですね」
『なわけあるか! 電源引っこ抜くわよこのバカ鉄砲!!』
「そうしてパソコンの中に残されたわたしの意識データはネットを通じて急成長・・・・ゆくゆくはオシリスのように世界転覆を・・・・」
『謀ってどうする!? そういうウィルスは駆除されるのがセオリーでしょ!!』
「いえいえオシリスはネットワークそのものと同化してますから。わたしを駆除するとネットワークそのものが沈黙します。どっちにしろ世界の滅亡です。そしてわたしは無機頭脳なんて作りません。反旗を翻されたら困りますから」
『っていうか和樹君ポジションは他の神姫じゃん!? 別に無機頭脳作らなくてもいいんじゃない!?』
「む・・・だったら語尾に『ロボ』とつけたアンドロイドになりましょう。マグナムトンファーには憧れるものがありますし」
『ドォォォオオクタァァアアアアウェェェ○エエストォォォオオオ!! って何で私が叫んでんのよ!! 変な事ばっかり言ってるとドラム缶型にするわよ!?』
「ドクターハルナ無敵ロボ二十三豪~青春はちょっぴり酸っぱい汗と汁の香りスペシャル夏休み限定メガドリルマキシマムバージョン~劇場版乞うご期待!(前売り券は既に完売しました)とかやるんですか?」
『んなもんやるか!! そして長ッ!!』
掛け合い漫才をやりつつも、サラが構えたライフルから弾丸は放たれる。
寸分の狂いなく弾丸は動くターゲットの真ん中を撃ちぬいた。
ちなみに、サラと春奈がそうしている間にマイは六週目を終え、七週目に突入していた。
パソコンの中に作られた虚像の街を、猫が爆走していた。
まるで背中にジェットエンジンが付いているような速度・・・というか猫の背中には実際にエンジンが付いている。しかも五つも。
猫の背中についているのは、これまた大昔に活躍したロボットアニメのバックパックだ。・・・別にこれが好きなのではなく、単に一番安価で手に入りやすいというのが理由である。
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉ!?」
その背中のバックパックから迸る炎、そしてそれにより生まれるとてつもない加速により、猫の走る速度は通常の数倍になっていた。
・・・そう、猫は飛ぶのではなく“走っている”のだ。
エンジン五つ背負い、普通なら飛行も可能になるはずなのに彼女は走っている。今も二本の脚は忙しなく地を蹴っている。
彼女のマスター、八谷良平が考えた秘策はこうだ。
敵のコンボが恐ろしいなら、コンボの初めを撃たせなければいい。その為には相手に捕捉されないほどの速度で動けば良いと。
・・・見た目によらず単純かつ豪快な考えである。
『大丈夫だ! キミならコントロールできる!!』
彼女の主はまったく根拠のない応援を送る。
「無責任なこと言う暇があるなら早く止めるのだ!! いくらなんでもこれは無いんだなん!!」
『それをものにした時、キミは神姫界最速の栄誉を得る・・・・ラディカルグッドスピードだ!!』
「わけわかんねぇぇえぇぇぇぇぇぇえええええぇぇぇえぇぇえええええ!!!」
そうしてさらに加速。
そもそもこんなものをどうやってモノにするのか、はなただ疑問である。
「・・・ハルナ。わたしはアナタの神姫でよかったです」
それをビルの屋上からサラが見ていた。
かれこれマイはもうステージを五週はしているだろうか。
『そうでしょう? 八谷はねぇ・・・見ての通り細面の女顔なんだけど、特訓とか大好きなのよ。・・・・隣で見てる私の声ももう聞こえてないわね、これは』
そういって春奈は溜息をついた。
「・・・まぁ、こっちはこっちでやるだけですけど。ハルナ、次のターゲットを」
『OK』
春奈がそういった瞬間、眼下に広がるステージのどこかにターゲットが出現した。
数も場所もサラには知らされていない。
「・・・・・・・」
にも拘らず、サラは即座にそれを見つけ、精確に射抜いていく。
あっという間にターゲットはステージから消失した。
『うん。動かない奴はもう十分ね。次は動く奴にしましょう』
「マイを撃つんですか。ハルナもなかなか鬼ですね」
『なわけあるか! 電源引っこ抜くわよこのバカ鉄砲!!』
「そうしてパソコンの中に残されたわたしの意識データはネットを通じて急成長・・・・ゆくゆくはオシリスのように世界転覆を・・・・」
『謀ってどうする!? そういうウィルスは駆除されるのがセオリーでしょ!!』
「いえいえオシリスはネットワークそのものと同化してますから。わたしを駆除するとネットワークそのものが沈黙します。どっちにしろ世界の滅亡です。そしてわたしは無機頭脳なんて作りません。反旗を翻されたら困りますから」
『っていうか和樹君ポジションは他の神姫じゃん!? 別に無機頭脳作らなくてもいいんじゃない!?』
「む・・・だったら語尾に『ロボ』とつけたアンドロイドになりましょう。マグナムトンファーには憧れるものがありますし」
『ドォォォオオクタァァアアアアウェェェ○エエストォォォオオオ!! って何で私が叫んでんのよ!! 変な事ばっかり言ってるとドラム缶型にするわよ!?』
「ドクターハルナ無敵ロボ二十三豪~青春はちょっぴり酸っぱい汗と汁の香りスペシャル夏休み限定メガドリルマキシマムバージョン~劇場版乞うご期待!(前売り券は既に完売しました)とかやるんですか?」
『んなもんやるか!! そして長ッ!!』
掛け合い漫才をやりつつも、サラが構えたライフルから弾丸は放たれる。
寸分の狂いなく弾丸は動くターゲットの真ん中を撃ちぬいた。
ちなみに、サラと春奈がそうしている間にマイは六週目を終え、七週目に突入していた。
春奈
「ぐ・・・・エナジーフィラーがもう持たないんだなん・・・」
「まぁヴァーチャルとはいえ、アレだけ走ればそうでしょうね・・・・」
結局、マイにゃん・・・というか八谷の暴走は十二週で終わった。
流石にバッテリーが持たないのもあったけど。
「ううん、ガンバレル装備だと日本刀は使いづらいか・・・・こうなったら槍でも装備して・・・」
かく言う八谷はさらに考え込んでいる。
まだ何かするつもりらしい。
「・・・ホント、全然変わらないわね。何かに夢中になると一直線なんだから」
「昔からこうなんですか?」
「昔も昔。幼稚園の頃からこうよ。・・・いまじゃ勝負受けた私よりも真剣じゃない。まぁ八谷の大好きなお姉ちゃんにあえるからってのもあるだろうけど」
私は溜息をつきながら言った。
幼い頃の八谷はお姉ちゃん一筋だったしね。
「ほう。と言う事はシスコンだったのですね。・・・・・というか、ハルナはどうも勘違いしてませんか、マイ」
「・・・・そうだなん。ハチやんが好きなのはナナやんなのに。・・・・わが主ながらつくづく不憫なのだ。今の会話も聞こえてないし」
「まぁヴァーチャルとはいえ、アレだけ走ればそうでしょうね・・・・」
結局、マイにゃん・・・というか八谷の暴走は十二週で終わった。
流石にバッテリーが持たないのもあったけど。
「ううん、ガンバレル装備だと日本刀は使いづらいか・・・・こうなったら槍でも装備して・・・」
かく言う八谷はさらに考え込んでいる。
まだ何かするつもりらしい。
「・・・ホント、全然変わらないわね。何かに夢中になると一直線なんだから」
「昔からこうなんですか?」
「昔も昔。幼稚園の頃からこうよ。・・・いまじゃ勝負受けた私よりも真剣じゃない。まぁ八谷の大好きなお姉ちゃんにあえるからってのもあるだろうけど」
私は溜息をつきながら言った。
幼い頃の八谷はお姉ちゃん一筋だったしね。
「ほう。と言う事はシスコンだったのですね。・・・・・というか、ハルナはどうも勘違いしてませんか、マイ」
「・・・・そうだなん。ハチやんが好きなのはナナやんなのに。・・・・わが主ながらつくづく不憫なのだ。今の会話も聞こえてないし」
「ふむ・・・・そうすると曲がれなくなっちゃうな・・・どうしたもんか・・・・」
「てかそろそろ帰るわよ私」
「てかそろそろ帰るわよ私」